H57は、まずDVI入力で画質テストを行いました。「シネマライク」な印象が強かったH56Aとは絵作りの方向が少し違い「ビクターの業務用機器」が持っている「フラットで癖が無く、地味だけれどリニア」な印象を受けました。
「ソースの持ち味」をそのまま引き出す「モニター」的なイメージです。ある意味ではACTION! MODEL ONE MK2と共通するこの個性はDLP独自の物でもあり、また輸入代理店の担当者(竹下氏)の好みなのかも知れません。
DLPらしくガンマカーブや色彩、色調などに非常に癖が少なく、プロジェクターに下手な主張をさせないその方向性には、大賛成です。今回テストした個体は、プロトタイプですが製品版もほぼ同じ仕上がりになると言うことです。
惜しまれるのはカラーホイールが4倍速(HC900Jも同じ)のためか、HT1100Jよりも「カラーブレーキング(色割れ/色のちらつき)が多く感じられましたことで、2004年末発売のNEC HT1100JKとH57の価格差、約2万円を考えれば、どちらを選ぶかの選択は非常に微妙です。どちらも「実機」が手に入り、セッティングもじっくり煮詰まった時点で、もう一度徹底比較を行わないといけないようです。カタログにない「ファンノイズ」は、十分に小さくまったく問題のない範囲でした。
同クラスの三菱のLVP−HC900Jとの比較では、プロトタイプの画質ですらそれを大きく上回っていると感じましたし、LP−Z3やEMP−TW200Hなどの「高画質液晶プロジェクター」と比較した場合にも、価格を除いてDLPの高画質にほとんど弱点はなく(唯一カラーブレーキングが最大の欠点です)安心してお薦めできます。
更に、余り表面には出てきませんが
さすがに最近の製品は、初期のモデルのように容易に画面に埃が映りこむ様なことはなくなりつつありますが、埃っぽい部屋で液晶プロジェクターを使うときには、フィルターのこまめな清掃などメンテナンスに十分配慮して下さい。また、中古の液晶プロジェクター(特に年式の古いもの)は、液晶が焼き付いたり変色したりしていることがありますから、購入時に十分注意するか信頼のおける販売店をご利用下さい。ノークレームノーリターンが横行する、ネットオークションでは手を出さない方が無難でしょう。
話は変わりますが、外国人は室内照明に「白熱灯の間接照明」を用います。白熱灯の間接照明の元では、対象物は「柔らく陰影に富んで」見えます。
しかし、日本人は「蛍光灯の直接照明」を使うことが多く対象は白熱灯に比べ、遙かにコントラスト感が強く、白が青色方向にシフトして見えるのです。
こういった一般的な日本人の「好み」あるいは、日本人にとっての「自然なバランス」を意識して、積極的に絵をいじったコンポーネント入力では、業務用モニター的なイメージのDVI入力に比較してNECのHT1100Jに近い「TVライク」なイメージの画質に一変しました。
コンポーネント入力が良いか? あるいは、DVI入力が良いか? 絶対的な情報量では、ややDVIが優位なように感じますが、実際の見た目は「セッティングの幅の広い」コンポーネント入力に分があるように思いました。