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ハイエンド 昇圧トランス 音質 聞き比べPhasemation T-1000 昇圧(ステップアップ)トランス(生産完了品)AIRBOW T4-291 、 WEーTrans 昇圧(ステップアップ)トランス
プレーヤーは、YAMAHA GT-5000、カートリッジは、Phasemation PP-500を使って、Phasemation EA-550の内蔵(昇圧トランス)と、別売のAIRBOW T4-291(88,000円)、WE-Trans(150,000円)を聞き比べました。 YAMAHA GT-5000(ブラック) メーカー希望小売価格 600,000円(税別) 往年のGTシリーズをオマージュしたデザインですが、駆動方式をダイレクトドライブからベルトドライブに変更するなど、ヤマハが目標とする新世代のフラッグシップ・アナログプレーヤーにふさわしい音質を目指し、妥協無く作られた製品です。そのヤマハの思いは「26.5s」という重さに象徴されています。開発当初に決定した販売価格を固持したため「60万円」という「安さ」ですが、開発費用を抜きにして、販売価格の2倍程度でも採算がとれるかどうか疑問なくらいコストがかかっているようです。
Phasemation
T-1000 EA-550とのマッチングを考えて設計されたT-1000は、Phasemation最高峰の MC 昇圧トランスである T-2000 同様、Lch と Rch 独立モノラル筐体構造を採用し、左右の音質干渉を徹底的に排除しています。フロントパネルは 10mm 厚スラントアルミパネル、1.2mm 厚の銅メッキ鋼板シャシー、1.6mm 厚の銅メッキ鋼板カバーによる、強靭な筐体構造を採用し剛性を確保した上で、トランス付近に磁気シールド材を配置することにより、外部誘導ハムと磁気歪の低減を実現、さらにハイダンピングラバー材でトランスを本体からフローティングし、外部振動ノイズの影響を遮断しています。 心臓部には、2次巻線材に高純度銅線 PC Triple-C を使用し、巻線構造に独自の特殊分割巻き線構造を採用する大型の EI コアを持つ新規開発のMC トランスを採用し、広帯域で優れた周波数特性と位相特性を実現しています。 この優れた特性を生かすため、入力はPhasemationが推奨するバランス(XLR)に対応させ、MCカートリッジから出力される微少な信号を損なうことなくフォノイコライザーアンプに伝送することに成功しています。 昇圧トランスとしては、類い希な物量が投入されたPhasemation T-1000は、高い低域リニアリティと高効率昇圧(低損失)という優れた特性を達成しつつ、可聴帯域内の位相歪を減少させ全体域に渡り生命力のみなぎる細かな空間表現とより明確な音像定位を可能としています。入出力端子は高品質・高音質で定評のある FURUTECH 社製ロジウムメッキ端子を採用。フットは外部振動を遮断する重量級金属インシュレーターを採用し、さらなる解像度アップに貢献しています。
AIRBOW T4-291 販売価格 88,000円(税別) ドイツのコレクターから流出してきた英国製と思われるビンテッジトランスをAIRBOWオリジナルの高級アルミ削りだし高剛性シャーシーに収めました。内部配線には、高品位な銀コート銅線、テフロン絶縁銀コート銅線を使用しています。さらにDCT処理済みピンプラグや高音質ハンダの採用など、上質なトランスの良さを最大限に発揮できるケースに収めました。 AIRBOW T4-291 販売価格 150,000円(税別) 高額で取引される「オリジナル」のウエスタン製品は、すでに劣化し耐用年数を超えた個体が多く、価格に見合う音質は期待できません。そこでジャンクのウエスタン製トランスを分解しコア材を抽出、劣化した銅線(コイル)を新たにまき直すことで、オリジナルに近い音質を復元した「リビルト品昇圧トランス」をAIRBOWオリジナルのNC削り出しアルミの強固で美しいケースに納め、ウエスタンの上品な味わいはそのままに、現代でもまったく問題なく通用する「繊細さ」と「透明度」・「ワイドレンジ」を両立しました。
試聴環境 プリメインアンプ AIRBOW PM12 Master、スピーカーには Vienna Acoustics Lisztを使用して聞き比べました。 AIRBOW PM12 Master 販売価格 415,000円(税別)(詳細はこちらから) Vienna Acoustics Liszt メーカー希望小売価格 2,000,000円(ペア/税別)(詳細はこちらから) この聞き比べをMusic
BirdのYouTubeアーカイブで見る 試聴したレコード ダイレクトカッティングで録音された、高音質の女性ジャズボーカル曲。 CDでも発売されているオイストラフのバッハバイオリン協奏曲。EMIフランスの輸入盤。 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61 ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン)・ フランス国立放送管弦楽団・アンドレ・クリュイタンス(指揮) 録音時期:1958年11月8-10日・ 録音場所:パリ、サル・ワグラム・ 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
カートリッジをPP-300からPP-500に変えたことで印象ががらりと変わりました。この音なら、一瞬で「レコードの音」だと分かります。滑らかで高域まですっと伸びた「ウッドベース」の音。唇の湿り気が伝わるようななまめかしい「ボーカル」。ドラムの上を滑るブラシの動きが見えるような「ドラム」。そのどれもが実に生々しく、美しい音です。 レコードはこういう音で聞きたい!というアナログの見本のような音が出ました。 デジタルでは感じられない「滑らかさ」と、「響きの芳醇さ」。中央の奥行きの深さもきちんと出ています。
AIRBOW T4-291を外部トランスとして使い、EA-550の入力をMMに変えたことで、帯域は少し狭くなった感じはありますが、その音質はよりきめ細やかで滑らかです。特にピアノの音がきめ細やかに感じられ、ハンクジョーンズらしいソフトなキータッチが見えるように再現されます。ブラシワークも上品で細やかになりました。 音質(クォリティー)はそれほど大きく変化しませんが、演奏の質感がひときわ上質になったように感じられます。時間の流れも少しゆったりして、ミッドナイトのジャズクラブの雰囲気が出てきました。 内蔵トランスで感じられた「フォルテの歪み感」が解消し、音が伸びやかになりました。弱音部の解像度や分離感、広がり感も向上しています。内蔵トランスよりも透明感に優れ、音がよりストレスなく広がります。ハーモニーの構成も明確に聞き分けられるようになりました。シンフォニーの部分は文句なしに、かなりいい音で鳴っています。
ピアノの抜けがさらに良くなり、全体的な情報量(音の数)が多くなりました。楽器とボーカルの間、曲間にも音の存在が感じられ、空気感が唖然濃くなっています。それは微小信号の分解能力、再生能力が向上しているからに違いありません。 曲調もT4-291の独特なムードか薄れ、普段デジタルでも聞いているバランスに近づきました。 この曲では情報量の違いが演奏の再現性に直接反映されて、ホール内で最も良い席に移動したように音質がぐっと良くなり、フォルテでの歪みっぽさも完全に解消し、音場がひときわ大きく広がります。オイストラフのバイオリンは「冴え」が違います。 「オイストラフ」の主役ぶりは、EA-550内蔵トランスでは「オイストラフが純然たる主役」、T4-291では「楽団と対等に(寄り添って)」、WE-Transでは「オイストラフと楽団の調和の中に指揮者の存在感」が出てきました。
AIRBOW WEーTransからT-1000に変えて、聞いた瞬間に「パッ」とわかるほど大きな差はありませんが、すべてにおいて余裕が感じられようになりました。 言い換えるなら、レコードという「枠」、フォノイコライザーアンプという「枠」、カートリッジという「枠」の存在が消えてしまう感覚、レコードの録音が良くなった、デジタルでたとえるなら、CDがSACDになったような変化でしょうか。 気のせいだと思いますが、針を落として音が出てくるまでの無音でさえ「音が良くなった」ような気がします。 楽器の数が多いこの曲でトランスの違いは最も大きく出ます。T-1000は余裕たっぷり、ホールの隅々まで音が浸透し、そのエネルギー感も充実しています。フォルテで音が飽和してしまうようなイメージも完全に消えました。 T-1000を使うと、演奏のバランスや調和が見事に完成し、それぞれの存在感が高まりながら、演奏そのものの完成度が桁違いに向上する。このレコードでもT-1000は素晴らしい! 演奏にすっと入って行けて、入っていった後もさらにぐいぐいと引き込まれました。 2020年2月 逸品館代表 清原 裕介 |
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