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Phasemation フェーズメースション 真空管プリアンプ CA1000 音質 比較 評価 レビュー 試聴真空管アンプ 音質比較テスト Phasemation(フェーズメースション) CA1000、MA1000、MA2000 (Phasemation CA1000と一緒に行った、Twenty26の音質テストを動画で見る) AIRBOW(エアボウ) Stingray Ultimate Phasemationから発売された、真空管セパレートアンプ「CA1000」、「MA1000」、「MA2000」をAIRBOWの真空管プリメインアンプ「Stingray Ultimate」を交えて聞き比べてみました。 試聴環境 AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 480,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入) AIRBOW HD-DAC1 Special 販売価格 180,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入) Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) ソース(音源)には、AIRBOWネットワークプレーヤー「MNP-i5 Roon」をチョイス、搭載する「roon」と「HQ Player」の連動でCDから取り込んだWAVファイルを「88.2KHz/24bit」にアップサンプリングして、AIRBOW HD-DAC1 SpecialにUSB入力して出力したものを使っています。 スピーカーは、聞き慣れている「Beethoven Concert Grand(T3G)」を使いました。 今回の比較試聴は、YouTube 逸品館チャンネルでもご覧いただけます。 ※YouTubeにアップロードしている「音」は、それぞれのアンプの出力にBeethoven Concert Grand(T3G)を接続し、Beethoven Concert Grand(T3G)で音を聞きながら、マイクを使わずスピーカー出力信号をサンプリング(DA変換)したものです。スピーカーを接続することで、アンプはインピーダンス変動や逆起電力など影響を受けます。ダミーロドではなく実際にスピーカーを繋ぐことで、より「実際に近い音質」が収録できます。 テスト概要のご説明動画 比較試聴した製品 Phasemation CA1000 メーカー希望小売 2,500,000円(税別)(詳細はこちら) Phasemation MA1000 メーカー希望小売 600,000円(1台・税別) (メーカーホームページ) 直熱三極管「2A3-40」のシングル動作で10Wの出力を発揮する、モノラル真空管パワーアンプです。 Phasemation MA2000 メーカー希望小売 1,250,000円(1台・税別) (メーカーホームページ) 直熱三極管「300B」のパラレル・シングル動作で25Wの出力を発揮する、モノラル真空管パワーアンプです。
AIRBOW Stingray Ultimate メーカー希望小売 830,000円(税別) (メーカーホームページ) 業務用真空管コンソールで世界的に有名な「MANLEY社の真空管プリメインアンプ Stingray」を許可を得てカップリングコンデンサーをVintage品オイルコンデンサーに変更する、超高級マイカコンデンサーを使うなどの手法で音質を大きく向上させています。 EL84(6BQ5)のパラレルプッシュ動作で、3曲管接続時18W、UL接続時36Wの出力を発揮します。今回の試聴では、3曲管接続を使いました。
試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルを使用)
音質評価
Phasemation CA1000/MA1000 濁りがなくすっきりとした音ですが、驚くほどきめが細やかで滑らかです。 Phasemation CA1000/MA2000 音の立ち上がり(アタック)の早さは、MA2000がMA1000を上回ります。MA2000は、MA1000に比べて、音がすっと立ち上がり、すっと消える感じです。音の細やかさは、ほぼ同等かMA2000が細かい感じ、低音の量感はMA2000の方が良く、また低音もきちんと引き締まっています。 演奏を味わう上で大きく違うと感じるのは、アンプをMA1000からMA2000に変えると音が止まりきらず響いていたのが、余計な響きがなく止まるようになることです。MA1000の「真空管らしい響き」は、良い意味で「音楽をより芳醇」にしてくれました。それのないMA2000は、MA1000に比べて演奏が少し辛口になります。MA1000はキュートな真空管らしい音でしたが、MA2000はストレートなサウンドです。いかにも真空管らしいMA1000に比べて、MA2000はトランジスターアンプに近い音です。 AIRBOW Stingray Ultimate Stingray Ultimateの音もとてもきめ細やかで、演奏されるホールの響きまで聞き取れます。Stingray Ultimateが聞かせるバイオリンの音がとてもみずみずしく美しいのは、Phasemationと同じ真空管アンプならではの長所です。 トランジスターアンプと真空管の音が違って感じられるのは、真空管アンプで聞くと演奏の抑揚の大きさと時間の流れ方がゆったりとオーガニックに感じられるところです。 豊かな味わいを持つ、暖かい生命感あふれる音でバッハが悠々と鳴りました。 音質評価
Phasemation CA1000/MA1000 ギターの木質的な響きの柔らかさと、ゲージの金属的な鋭さの対比が見事です。 生演奏では、これほどクリアに音が聞こえませんし、またこれほど細かい音も聞こえません。それほどまでに質の高い音を聞かせながら、実に自然な音です。 鋭すぎず、柔らかすぎず、細かいけれどそれがいやらしくならずにデリケートな部分まで聞き取れる良さとなる、このなんとも言えない「ほどよい感覚」は、オーディオでしか味わえない種類のものです。音楽を家庭で聞くために完成された音。このシステムの完成度は非常に高いと感じました。 Phasemation CA1000/MA2000 ギターの弦の音が太く、その音がやや男性的なイメージに変化します。余韻は、やはりMA1000よりも早く止まります。ボーカルも少し乾いて感じられます。 AIRBOW Stingray Ultimate Phasemationと同じソースを聞いているとは思えないほどにStingray
Ultimateの「奏でる」ギターの音は美しく、セーラKさんの声も一段と艶やかに感じられます。セーラKさんがこの曲を愛でながら、しっとりと歌っている様子がとても良く伝わってきました。 音質評価
Phasemation CA1000/MA1000 この曲はカートリッジやレコードプレーヤーのテストでレコードをなんとも聞いています。「アナログ」と比べて、スクラッチノイズがないことで、今聞いている音が「デジタル」だとわかりますが、もし軽くノイズをかぶせたら、アナログとデジタルの区別は付かなくなる。それほど滑らかで、響きが豊かです。 Phasemation CA1000/MA2000 この曲ではMA2000の印象が良い方向に変わります。MA1000に比べてシンセサイザーのが太くなり、密度も大きく向上しています。ボーカルも引き締まり、やはり密度が上がって感じられます。 欲を言えば、もう少し、明るく、キラキラと鳴って欲しいと思いました。 AIRBOW Stingray Ultimate イントロのシンセサイザーの抑揚と響きの美しさ、アマンダさんの声の質感は、真空管アンプならではの素晴らしさです。高域はすっきりと伸びますが、トランジスターアンプで気になりがちな高域の「荒れ」は一切感じられません。 響きは鮮やかで透明。独特な透明感と美しい響きに体が包まれて、このまま眠ってしまいそうになるような音でDreamingが官能的に鳴りました。 音質評価
Phasemation CA1000/MA1000 CA1000/MA1000の優れているのは、「音の隅々まで完全に分離している」、「空間に一切濁りがない」ことですが、それでいて音がバラバラになってしまうのではなく、すべての音が有機的に絡み合って、豊かで暖かい時間の流れを生み出すところがさらに素晴らしいと思います。 Phasemation CA1000/MA2000 気のせいかMA2000の音は、MA1000よりも少し濁っているように聞こえることがあります。ピアノの余韻が消えるのは、MA1000よりも早くまたそれが、静寂の中に音が消えていくようなイメージではなく、何かのノイズに音がかき消されてしまっているように聞こえるからです。 AIRBOW Stingray Ultimate 時にドキッとさせられるほど、美しく鳴り響くピアノの音と、呼吸を忘れて聞き入りそうになるほど艶やかなボーカル。 音質評価
Phasemation CA1000/MA1000 生演奏では、他の観衆のざわめきなど「ノイズ」が気になることがあります。また、私は自分の感覚で音楽に「浸りたい」ので、 そういう私のわがままなリクエストに、CA1000/MA1000は見事に答えてくれます。生演奏よりも質が高く、細やかでいながら、 Phasemation CA1000/MA2000 この曲でもMA2000よりMA1000の方が、S/N感に優れ、音に浸透力があったように思います。 AIRBOW Stingray Ultimate トランジスターアンプと真空管アンプの違い。それは音の滑らかさと、楽器の響きの美しさ。そして、命が通っているという確かな実感。目を閉じれば、自分自身がコンサート会場の一番良い席に陣取って音楽を独り占めしているような雰囲気を醸し出すこと。 CA1000/MA1000の音も素晴らしいと思いましたが、Stingray
Ultimateも決してそれに負けはしません。 総合評価 Phasemation CA1000/MA1000 CA1000/MA1000は、真空管の良さを上手く生かし、ソースにより美しい響きと、体が包み込まれる用な音の広がりを与えてくれます。モノクロの映像が、フルカラーになったようにすら感じるほどの、素晴らしい表現力を持っていますが、それは原音を超える「原音プラスアルファ」の音です。 けれど音楽に豊かさと暖かさを与えてくれるCA1000/MA1000ですが、ゆったりとした響きがすべての音につきまとうので、それが「不愉快」と感じられたら、このアンプを好きになれないかもしれません。 Phasemation CA1000/MA2000 特性を重視するか、官能性を重視するか。あるいは、システムとのマッチングに依存するのか。今回の条件では、MA2000はMA1000よりもトランジスターアンプの音に近く、周波数レンジの広さや、密度感(音の緻密さ)では勝るのですが、MA1000に比べると真空管の味わいがやや薄くなっているように感じられました。 少なくとも価格が2倍だから「あらゆる部分でMA2000がMA1000よりも良くなっている」とは思えなかったので、念のためMA2000の試聴後、パワーアンプだけをMA1000に繋ぎ直して聞いてみましたが、やはり印象は変わりませんでした。 AIRBOW Stingray Ultimate AIRBOW Stingray Ultimateは、「音ではなく音楽を聞かせてくれる」というのが、すべての楽曲を聞いて共通するイメージです。 もちろん、セパレートアンプと比べても音質は十分細かく、響きの美しさや分離感、広がり感も同等以上良かったと思うのですが、そういう「音質的」な部分よりも、「表現力」の豊かさにより強く惹かれました。 CA1000/MA1000にも感銘を受けましたが、Stingray Ultimateはそれよりもずっと安い価格で、それにかなり近い雰囲気を醸し出せたと思います。出力は、Triode接続で18Wですが、かなりの大音量を出すことができます。ご家庭では十分な音量が出せるでしょう。 真空管という素子を懐疑的に感じられる方がいらっしゃるかも知れません。けれどギターアンプやエフェクターには、今も好んで真空管が使われています。それは、やはりトランジスターアンプでは出せない音、出てこない表現が真空管アンプだと実現するからでしょう。このプリメインアンプは、AIRBOWの最高傑作の一つだと感じています。 2017年6月 逸品館代表 清原裕介 |
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