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本国イギリスではすでに発売されているTwentyシリーズが、2011年末〜2012年始めにかけていよいよ日本にやってきます。新製品Twentyシリーズは、PMC設立20年を記念してコンシューマ(民生)市場向けに発売される、肝いりのニューモデルです。
早速、4製品で構成される中から小型ブックシェルフのTwenty 21とTwenty 22がヒビノインターサウンドを通じ逸品館に届けられました。搭載されているツィーターは高級家庭用モデルのFactシリーズと同じSEAS社との合同開発によるソフトドーム型が採用されていますが、口径は異なります。ウーファーはTwenty 21に140mm、Twenty 22では170mm口径の軽量コーン型が採用されています。このウーファーユニットはTwenty Series専用として開発され
ています。
ネットワークにはPMC全商品に共通する24dB/octの遮断特性を持つPMCオリジナル・クロスオーバユニットが使われています。スピーカー入力端子には高級なものが奢られ、入力はPMCの伝統に従いBi-Wire(Bi-AMP)対応となっています。
そしてPMCならではの「トランスミッションライン」はTwenty シリーズにも採用され、サイズを超える重低音が再現されます。トランスミッションラインの開口部は前面下部に設けられ、設置がやりやすくなっています。
Twentyシリーズではサランネットの取り付けが「マグネット方式」となり、ツィーターとトランスミッションラインの開口部にグリルが設けられ、サランネットを外した状態でも良好な外観と高い安全性を保ちながら音楽を再現することができます。
PMCらしく理詰めで美しく仕上げられたTwentyシリーズは果たしてどのような音を聞かせてくれるのか?早速、聞いてみることにしました。
Twenty 21 22 |
音質テスト |
AIRBOW PM11S2 Ultimate \480,000 “Come away with me” ノラ・ジョーンズ(CD) Twenty 21 聞き慣れたノラ・ジョーンズのソフトは、聞き慣れたPMCの音で再現されます。低音はサイズを超える量感がありますが余計な響きは少なく、不要に膨らみません。ベースの音も膨らまず、リズムと音楽をきっちりと奏でます。ギターは金属的な切れ味の鋭さが素晴らしく、触れると手が切れそうなほど音のエッジは鋭く感じられます。ドラムスのブラシワークは立体的で、ブラシがドラムの上を動く様子が伝わります。ノラ・ジョーンズの声にはやはり余計な響きが付かず、ややストイックなイメージです。 Twenty 21は、この価格帯では最も高解像度なスピーカーです。しかしそれがモニター的になり過ぎず、実に絶妙なバランスでソースを見事なまでに細やかに鳴らすところが他の製品には見られない美点です。試しに音量をかなり下げてみましたが、トランスミッションラインにより強化された低音のお陰で、音が痩せることなく良好なバランスのままで音楽が再現されました。 オーディオ的にも音楽的にも「音の良さ」を追求したいとお考えで、細かい音を聞こえることを何よりも優先されたい場合、PMC Twenty 21は間違いなく最良の選択になると思います。またDB1iやAIRBOW IMAGE11/KAI2などの「ストレートな音」に馴染んでいるお客様のグレードアップ選択肢としても、最適な音質に仕上がっていると思います。 Twenty 22 Twenty 22はウーファー口径がTwenty21の140mmから170mmと大口径化されたモデルです。ウーファーサイズの拡大に合わせてエンクロージャーも一回り大きくなり、トランスミッションライン長も延長されて再生可能最低周波数が21の50Hzから40Hzへと拡大しています。今までの経験ではウーファーが大型化すると、レスポンスの悪化により中高域が濁ったり、あるいは低音が遅れて全体のバランスに悪影響を与えること多く見られました。しかし、Twenty 22は24dB/octカーブのネットワークが効いているのでしょうか、他メーカー製品のようにだらしなく中低音が膨らみません。それでもTwenty21と比べると中高音の透明感はわずかに後退しました。しかし、それと引き替えに響きがほんの少しだけ多くなり、楽器の音色の複雑さや響きの豊かさが向上しました。 ドラムには「タメ」が出て、ギターには胴の響きが感じられるようになります。Twenty 21で聞くノラ・ジョーンズの「張り詰めた雰囲気」もそれはそれで良かったのですが、「豊かさ」がそれに加わったTwenty 22の音も色っぽくて悪くありません。オーバーダビングで録音されたハーモニー部分では、Twenty 21では聞き取れなかった声の分離が確認できました。 Twenty 22はブックシェルフ型ですが、トールボーイ型のGB1i/FB1iなどとほとんど変わらないバランスでノラ・ジョーンズを鳴らします。目を閉じれば、今聞いているのがブックシェルフ型スピーカーとは絶対に信じられません。Twenty 21に比べピアノの余韻が長く、メロディーの流れが嫋やかです。 従来モデルと直接は比べていませんが、TB2iとTwenty 22では切れ味や音の芯の強さではTB2iがTwenty 22を凌駕し、低音の響きの豊かさではTwenty 22がTB2iを超えるはずです。 Twenty 21の切れ味の良さと抜群の定位感はとても魅力でした。22はそれを少し後退させる替わりにトールボーイ型スピーカーのような量感を獲得することに成功しています。Twenty 21と22、この2機種のスピーカーにはそれぞれに、それぞれの魅力があります。Twenty 21はROCKやPOPS、もしくは弾き語りのように編成の少ないソースを高解像度かつウルトラ・ハイスピードで楽しみたいときには適しています。Twenty 22は交響曲などの大編成の音楽を楽しみたいときや、録音の善し悪しに関わらず一定の音質で音楽を楽しみたいとお考えの時にベストマッチするはずです。 |
総合評価 |
PMCの全製品には、24dB/octという他に類がないほど急峻なカーブを持つフィルターがクロスオーバー・ネットワークに使われています。この独特なフィルター・カーブによりツィーターには高域を濁らせる余計な低音が入力されません。さらにウーファーにもコーン紙の分割共振を引き起こす原因となる余計な高域が入力されません。この技術的な特徴により、PMC製品は他メーカーの製品に比べ圧倒的に濁りの少ない(透明感の高い)中域が実現します。 どちらも素晴らしいスピーカーだと思いますが、PMCの研ぎ澄まされた音に魅力を感じる私としてはバランス的にぎりぎりでも、よりPMCらしいきりりと引き締まったサウンド・テイストを持っているTwenty 21により強く惹かれました。PMCが醸し出すストイックな精神世界こそ、他メーカーの製品では味わえないものなのです。 もう一つ気付いたのは、Twenty 21や22のように小さな2本のスピーカーですらこれだけの低音と広がり感が得られるのですから、サラウンドにすればすごいことになるのは間違いないと言うことです。ピュアオーディオでも素晴らしい音を出すPMCですが、実はサラウンドこそPMCが最も得意とする分野です。なぜならば、スピーカーを増やせば増やすほどPMCの濁りのなさが生きるからです。超高解像度の澄み切った音場でサラウンドを実現したいとお考えなら、Twenty 21 22はその望みを想像を超える音質で叶えてくれるにちがいありません。 |
2011年 12月 清原 裕介 |
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