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PMCのStudio Monitor Seriesが「SE」にモデルチェンジしました。
「SE Series」は、PMCのハイエンド3ウェイ・リファレンス・モニター(IB2、MB2、MB2 XBD&BB5)を最先端の音響技術でブラッシュアップし、さらに英国のキャビネット作りの伝統を組み合わせて開発されました。PMC(Professional Monitor Speaker)の社名に恥じない高音質と大幅にブラッシュアップされた特別仕様の美しい仕上げを合わせ持つSE Seriesで音楽ファンの皆さまをより一層の音楽再現の高みへと誘います。
SE Seriesの特長
SE Seriesには最新のコンピューター設計を駆使してドライバユニットのベースプレート形状に最適化し、さらにキャビネット内部に新しいブレーシングを追加、カスタム設計のスタンドが付属します。PMCが理想とする新しい基準の高音質を極めるため、外観・内部デザイン・ユニット・スタンドに至るすべての要素が純粋な音楽信号の再生のためリフレッシュされています。
外観とサイズ
新旧スペック比較表 |
MB2SE | MB2 |
周波数特性 | 20Hz 〜25kHz | 20Hz 〜25kHz |
入力感度 | 89dB SPL(1W,1m) | 91dB SPL(1W,1m) |
クロスオーバー周波数 | 380Hz/ 3.8kHz(-24dB/oct) | 380Hz/ 3.8kHz(-24dB/oct) |
インピーダンス | 8 Ω | 4 Ω |
ドライブユニット | ウーファー/310mm
コーン スコーカー/75mm ソフトドーム ツィーター/27mm ソフトドーム |
ウーファー/310mm コーン スコーカー/75mm ソフトドーム ツィーター/27mm ソフトドーム |
入力コネクター | トライワイヤリング対応 | トライワイヤリング対応 |
本体寸法(mm) | H870 × W380 × D555 | H870 × W380 × D535 |
本体質量 | 58kg(1 本) | 53kg(1 本) |
スタンド(mm) | H536 × W374 × D502 | - |
スタンド質量 | 17kg(1 本) | - |
MB2/SEの外観サイズと形状は、旧モデルMB2と同一です。これはスタジオなどで壁に埋め込まれたスピーカー(MB2)を新型に入れ替えるときにトレードインを可能とするためです。また、PMCオリジナル技術の「トランスミッションライン」を採用したキャビネットはその形状を変えられません。これらの理由により、MB2/SEはデザインはそのままに外観の仕上げの刷新のみ行われています。
ユニット
使われているユニットには振動板や磁気回路には変更がなく取付プレートの形状と素材などのみ変更されているようですが、スタジオなどで新旧のモニタースピーカーが混在した状況でサラウンドソースのマスタリング作業などが行えるようにするため、またすでに旧モデルで耳が馴染んでいるエンジニアへの配慮だと思います。
スピーカースタンド
SE モデルには、本体と仕上げが同一の本格的なスピーカースタンドが付属します。
高さ調整機能が備わるスパイクが付属しますが、スパイクベースは付属しません。スパイク先端は厳しく尖っており、スパイクベースを使わないと床とスパイク先端の両方を痛めると思います。上面四隅にはコルクのリングが貼り付けられ(写真左上の一番外側の大きい方の球形の部分)、コルクがスピーカーの底面と接触します。
MB2/SE専用スタンド |
スタンド側面と付属するスパイク |
付属するスパイク材質は軽合金 |
スパイクをスタンドに取り付けたところ |
音質テスト
CDプレーヤー:AIRBOW UX1SE/Limited (OCX+GPS-10MH)
プリアンプ:AIRBOW Tera Cryo/Limited
パワーアンプ:Digital Domain B1a×2(BTL)
PMC Studio Monitor SE Seriesには、すべて専用スタンドが付属します。
音質テストは、スタンドをスパイク未使用でカーペットの上に直接置くセッティングで開始しました。
2本のスピーカーの中央に音像がコンパクトに定位します。鳥の声は遙か遠くから聞こえ、精密なセッティングを施していなくても音の広がりと立体感は驚くほど正確です。それぞれの音の質感や方向と距離が手に取るように分かるのは、PMCらしいモニターの世界です。この立体感の再現性のすばらしさから、グレードアップされたキャビネットやプレートにより、ユニットの反射音がきめ細かくコントロールされていることが伺えます。
水のはじける音が滑らかに聞こえるまろやかさを感じる自然な音は、高域にやや固さと細さを感じたMB2から音質が大幅に改善されていることが伺えます。初代のMB2との比較(記憶での)では、音の細かさと明瞭度感が大きく改善されていると感じます。
高い音と低い音の質感、タイミングがどんぴしゃりと合っています。測定すれば、音波の位相がきちんとそろっていることを確認できるでしょう。
イントロのシンセサイザーの音が部屋いっぱいに広がります。ボーカルはきめ細かく滑らかで、女性らしい艶もよく出ます。
ただ間奏部での鈴の音の高域の芯の強さがハードな振動板を使うTAD R1に及ばないので、改善を期待してジャンパーを付属品から6N単線に変えました。
本来ならばAETなどの高音質ジャンパーを使いたいところですが、今回はMB2SEの「素の音」を探るため、あえてそれらの高音質ジャンパー線は使いませんでした。接続ケーブルも6N導体を使ったSpace & Timeの3,500円/1m程度の製品を使っています。
付属品のジャンパー線(棒) |
交換した6N単線のジャンパー線 |
ジャンパー線を変えると高域がさらに滑らかに柔らかくなりました。その結果、高音のメリハリ感は若干削がれましたが、水の音の柔らかさと鳥の声の表情の再現性が改善されました。また、より遠くの聞こえなかった鳥の声(郭公の声)も聞こえるようなって、音の広がりの限界(境界)が広がりました。
スピーカー中央に定位する水の音はやや遠くなり、スピーカ後方に大きく音が広がります。2本のスピーカーの中央にある窓越しに、生の景色を見ている(聞いている)ような雰囲気。すばらしく精密なこの定位感は、PMCならではに感じます。
オリジナルジャンパーではやや固く細く感じらた高域がより滑らかになって、音の密度感が高まります。高域はさらにきれいに伸びますが、中域の厚みがそれを上回るので音場は濃くなります。
初期のMB2が感じさせた凜と張り詰めた雰囲気とはずいぶん違う滑らかで暖かい音ですが、解像度や明瞭度もずいぶん高められています。BB5ほどの低域の量感や厚みはありませんが、中高域の解像度と密度はそれを上回るでしょう。
間奏の鈴の音は超高域の固さが足りませんが、これは振動板が柔らかいソフトドーム型ツィーターの限界かもしれません。振動板の強度が不十分だと、楽器の発生する「衝撃音・衝撃波」が再現されないのです。しかし、それと引き替えに高域の厚みと滑らかさが実現するのがテキスタイルドームツィーターですから、この違いは好みの範疇といっても良さそうです。また、ソフトドーム型ツィーターの弱点を補うために、AIRBOWの波動ツィーターを使うのもよいと思います。
声はリアルで生々しいですが、何も足さず、何も引かない感じです。従来モデルほど張り詰めた緊張感のあるサウンドではありませんが、精密さ端正さはPMCならではの美点を受け継いでいます。
高域の明瞭度の改善を行うため、カーペットとスタンドの間に「Kripton AB5000」を使ってみました。スパイクは未使用です。
赤田首里殿内 + 6N単線ジャンパー + Kripton AB5000
高域に芯が出て明瞭度が改善しました。高域の音質の有効性が向上するため、ボードなしでは分からなかったシンセサイザーの低音のうなり(揺れ)がきちんと再現されるようになります。
夏川りみの声も上が伸びて、彼女特有の声の張り、高域の強さが再現されるようになりました。鈴の音もしっかっり伸びてもうほとんど不満を感じなくなりましたが、金属が発生するアタック(衝撃音)はまだ再現されていません。
明瞭感の改善に伴い重なる音の分離感が向上し、空間の濁りも低減しました。スタンドの追加によって変化した、澄み切った凜とした音は従来モデルのPMCに一歩近づいた感じで新旧モデルの違和感がなくなりました。それにしてもボードを使ったことによる、高域の改善は驚くほどです。
MB2SEをきちんと評価するためには「足下の強化」が重要と分かったので、スタンドに純正スパイクを取付け、スパイクベースにAIRBOW Metal Base Lを追加しました。
赤田首里殿内 + 6N単線ジャンパー + Kripton AB5000 + 純正スパイク + Metal Base L
音が出た瞬間驚きました。音の細やかさが2倍くらいアップしたからです。イントロ部分のシンセサイザーの密度が半端じゃありません。高原の薄い空気が、いきなり海抜0mになったのではと感じるくらい濃くなります。
高域の速度も大幅に向上し、高音が頭の中までたたき込まれるほど強くなります。音を聞いているという冷静な感覚が消えて、音波の荒波に身体が翻弄される雰囲気です。音質の改善は想定していましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。最初に行った簡易セッティングでは引き出せなかった音が出始めて、ようやくMB2SEが本領を発揮しだしたと感じます。そこでさらに違う曲を聴いてみました。
リザ・フェルシュトマン バッハバイオリンソロ(SACD)
心を無にして音と対峙すれば奏者とリスナーの隔たりが消えて心情が一つの空間に同居するように感じるほど、バイオリンと弓の角度だけではなく奏者の体の傾きさえ見えそうなほど繊細で正確なサウンドです。バイオリンとそれを取り巻く空気、演奏されているスタジオの響き以外は何も聞こえません。奏者の間近、マイクの位置で生演奏を聴いているようなサウンドです。
ただ、やはり演奏を心で聴いているというよりは、音を聞き、聞いた音から心の中で音楽を組み立てる雰囲気です。例えるならライブを味わうというよりも、コンクールの審査をしている感覚です。
色即是空、そして空即是色。すべての虚飾を廃すると、鮮やかな色彩が見えてくる。そういう「禅」に通じるようなサウンド。この驚くほど細やかで精緻なサウンドは、PMC以外のスピーカーでは得られない独自の世界観です。
シゲティーのバッハが、ベストマッチしそうな虚飾を廃したサウンドでフェルシュトマンが鳴りました。
レポートを書くことを止めて、耳をPMCが描き出す世界に投じれば、心は無になって自由に羽ばたけるでしょう。
音楽を艶やかに解釈するのではなく、ただ楽器の美しい音に陶酔できるサウンドです。
イントロのウッドベースがずしりと腹に響きます。ホリーコールの声は、やや乾いてもう少し艶がほしいと感じますが、中域のボリューム感は抜群です。従来のMB2とSE Seriesを比べるなら、中域のボリューム感の向上がもっとも異なる部分だと思います。MB2SEの中域の濃さはBB5に匹敵するほどです。
さすがに38cmウーファーを搭載するBB5ほどの空気が揺れる超低域は再現されませんが、MB2SEでも耳に聞こえる範囲の低域はほぼ完璧に再現されます。
ボーカルはスピーカーより前リスナー近くにとてもコンパクトに定位し、まるで小型スピーカーのようです。その繊細さ明瞭感からホリーコールがマイクの近くで歌っている様子が手に取るように分かります。ピアノはボーカルの後方に広がって定位し、ボーカルの分離感・距離感は抜群です。
ピアノの音は一つ一つの響きが完全に分離、整理されて聞こえます。音の濁りの少なさ、再生される音の完璧性(録音された音に最も近い)という意味では、やはりPMCは今も世界の最高峰です。MB2SEを聞けば、あの高性能なMAGICOですら、甘美な響きが付加されていると感じるほどです。ただし、やはりテキスタイル振動板を採用するツィーターの限界で、TADやMAGICOが搭載するベリリウム振動板のような「強い音(衝撃音)」までは再現されませんから、この部分はエージングと、セッティング、組み合わせるシステムで解決しなければならないようです。
試聴後感想
MB2SEの価格は、発売初期のBB5に近いほど大幅に値上がりしました。
スパイクを使うまでは、その音質はBB5には全く及ばないイメージでした。しかし、スパイクを使うことで部屋の空気をゆっくりと揺らすような重低音を除き、MB2SEのクォリティーがBB5を超えるようになったのです。
SE Seriesは、それまで再現しなかった細やかな音が再現します。それぞれの音の明瞭度が向上し、キャビネットの響きもさらに少なくなっています。それらの相乗効果により、PMCらしい完璧に整合した緻密で精緻なモニター的な傾向は強められています。演奏する曲によっては音楽を楽しんでいるというよりは音楽を分析している感覚を覚えるようになりますが、「何も足さず、何も引かない」といえるPMCのパーフェクトな世界は一層完成度を高められています。
エージングが完全に終わっていなくても分かるのは、PMCがSE Seriesで目指した完璧性と濁りのなさです。クリアでクリーンなサウンドですが、完全に無色透明なバックグラウンドに、淡い色彩とほのかな艶で楽音が展開します。
水の中の一滴の水は探せなくても、オイルの中の一滴の水はすぐ見つかります。同じ透明な液体を混合していても、そのわずかな違いさえ克明に再現する力をMB2SEは持っています。PMCの名にふさわしい比類なき解像度と忠実性が与えられたスピーカーです。
外観とサイズ
新旧スペック比較表 |
IB2SE | IB2i |
周波数特性 | 25Hz 〜25kHz | 25Hz 〜25kHz |
入力感度 | 89dB SPL(1W,1m) | 89dB SPL(1W,1m) |
クロスオーバー周波数 | 380Hz/ 3.8kHz(-24dB/oct) | 380Hz/ 3.8kHz(-24dB/oct) |
インピーダンス | 4 Ω | 4 Ω |
ドライブユニット | ウーファー/250mm
カーボン平面ユニット スコーカー/75mm ソフトドーム ツィーター/27mm ソフトドーム |
ウーファー/250mm
カーボン平面ユニット スコーカー/75mm ソフトドーム ツィーター/27mm ソフトドーム |
入力コネクター | トライワイヤリング対応 | トライワイヤリング対応 |
本体寸法(mm) | H740 × W330 × D485 | H740 × W330 × D465 |
本体質量 | 49kg(1 本) | 41kg(1 本) |
スタンド(mm) | H486 × W326 × D438 | - |
スタンド質量 | 13kg(1 本) | - |
MB2/SE同様IB2SEも外観サイズと形状は、旧モデルと同一です。
ユニット
使われているユニットも振動板や磁気回路には変更がなく取付プレートの形状と素材などのみ変更されています。
音質テスト
CDプレーヤー:AIRBOW UX1SE/Limited (OCX+GPS-10MH)
プリアンプ:AIRBOW Tera Cryo/Limited
パワーアンプ:Digital Domain B1a×2(BTL)
音質テストは、MB2SEで最も音が良かったスタンド+スパイク+スパイクベース+オーディオボードで行いました。ジャンパーは交換せず付属品を使用しました。
IB2Sは、MB2SEから中高域を継承し、低域のユニットとキャビネットが小型化されています。その影響で低音の量感や伸びはMB2SEにはかないません。しかし、それと引き替えにブックシェルフ小型スピーカーのような、アキュレートな定位感に磨きがかかっています。
MB2SEで「どこか遠くから」聞こえていた鳥の声が、「どこから」聞こえてくるのか分かるようになります。また水の音も、より繊細でフレッシュなイメージに変化しました。全体的に瑞々しい感じです。
イントロのシンセサイザーがより複雑に響きます。ハープの音もクリアです。夏川りみの声も分離に優れていますが、無理矢理分離させたような違和感がなく、とても自然に分離します。
声の倍音は最上位域まできれいに伸びていますが、堅さはありません。鈴の音の切れ味も、MB2SEを超えていますがこれは使用している「ジャンパーの違い」が効いているのかもしれません。今回のモデルチェンジでは、MB2SE/IB2SEともに細部が大きくリフレッシュされていますが、もしかするとジャンパーの音質もチェックされているのかもしれません。
リザ・フェルシュトマン バッハバイオリンソロ(SACD)
MB2SEではバイオリンの音とホール(あるいはスタジオ)の反射音が聞き取れました。IB2Sではバイオリンの音がより強くクローズアップされます。響きの少ない環境で目の前のバイオリンを聞いている感じです。
一つ一つの音は細かく明瞭です。高域もきれいに伸びていますが、潤いがあって滑らかな音です。また以前のPMCの音はストイックで若干暗めのイメージでしたが、IB2Sの音はそれよりも明るく絶対的にもニュートラルから若干明るめや印象を受けます。
クリアでクリーンなPMCの持ち味を生かしながら、ほんの少しの滋味が加わることでさらにリアリティーが向上した印象です。心を無にしてバイオリンの音に耳を傾けていると、装置やスピーカーの存在感が消えて、奏者と一対一で対峙しているような気持ちになることが出来ました。
ベース奏者の左手の弦を押さえる圧力や角度、コンガを打つ手の平と指の動きがとてもクリアに伝わります。MB2SEではライブ演奏を聴いている雰囲気でしたが、IB2SEではスタジオで生演奏を聴いている雰囲気です。
ホリーコールの声は魅力的ですが、少しよそよそしく近寄りがたい高潔な雰囲気を感じます。女性ジャズボーカリストが歌っているというよりは、クラシックの声楽家が歌っている雰囲気です。
確かに録音されたそのときのままの音だとは思いますが、何も足さないところがPMCの長所であり、同時に弱点でもあると思います。
外観やコンセプトは若干変わったように思えますが、その音は変わらず真っ直ぐプロの音です。
試聴後感想
PMCは初期のモデルと比べると、ほぼ2倍近く高価になりました。もちろんそれに見合うだけ質感と音質は大幅に向上しています。賛否が分かれるのは、そのデザインではないだろうかと思います。各社のスピーカーのデザインがよりインテリアにマッチする高級感を感じさせる方向に変わりつつある中で、MB2SE/IB2SE共に初期のデザインをほぼそのまま踏襲しています。それはPMCが採用する「トランスミッションライン構造」のためでしょう。
現在生産されるすべてのPMC製品には「ATL(Advanced Transmission Line」が採用されています。これはキャビネット内部に仕切りを設け、低音を増強すると共に低域の歪みを低減し、均等な周波数レスポンスと高い効率(ゲイン)、そして深く早く明瞭な低音を実現する優れた方法です。また、キャビネットに仕切りを設けることで、軽く強固な(鳴かない)キャビネットが実現します。音響上は非常に優れた長所を持つ(だからPMCは音が良い)「トランスミッションライン」ですが、構造上どうしても曲線が使い辛くPMCのキャビネットは角張った四角い形状から逃れられないのです。
デザインを取るか、音の良さを取るか、この相反する命題に対しPMCは潔く「音」を取ったため、モデルチェンジで「形状」が変えられないのです。コンシューマ市場で求められる「デザインの有利性」に逆行してまで「角形」デザインにこだわるPMCですが、その音質は彼らが主張するとおり余計な響きの少なさ(音場の透明感の高さ)と音の質感(録音された音に最も近い音質を持つ)で他のスピーカーを大きく引き離します。今回のテストでも磨き抜かれた音の美しさを持つMB2SEとIB2SEの音質は、同価格帯の他メーカー製品とは一線を画する魅力が感じられました。
しかし、形状が変えられないまでも外観の質感や各部の作り込みには、PMCも随分と気を使うようになりました。コンシューマ市場での使い勝手を考え、MB2SE/IB2SEには音質に優れた美しい専用スタンドが付属します。また、スピーカー端子に滑り止めのゴムリングが装着されて端子の締め付けが楽になるなど、細かい部分にまでしっかり手が入れられています。
PMCらしい優れた中高域の解像度感や精緻なイメージはMB2SE/IB2SEに共通します。IB2SEはMB2SEよりも若干低音が少なく音質のボリューム感が低下しますが、それによりMB2SEより「フレッシュで瑞々しい雰囲気」を持っています。贅肉をそぎ落とし磨き抜いて始めて出る、IB2SEの澄み切った雰囲気の音は、キャビネットの鳴きがほとんど感じられない遙かに小さい小型スピーカーでなければ出てこない良さです。
MB2SEでもキャビネットの余計な響きはほとんど感じられないのですが、IB2SEはそれよりもさらにキャビネットの響きが少なく音がクリアで自然です。作られた音ではなく、そぎ落とした真実の音。このリアルさがPMCの神髄です。
外観の豪華さや音の暖かさから、一般家庭でのお薦めはMB2SEです。しかし、予算に上限がなく、小型で音のよいスピーカーを探していらっしゃるならIB2Sはとても魅力的なチョイスだと思います。
2013年9月13日 逸品館代表 清原裕介
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