Ratoc RAL-24192DM1 音質評価 

Ratoc RAL-24192DM1 \235,000(税別) (製品のお求めはこちらからどうぞ

製品の概要

形式 式DAコンバーター
入力数 USB×1、同軸E×1、光×1
出力数 RCA/XLR ×各1系統
使用DAC バーブラウン PCM1704
周波数特性
(理論値)
20Hz-20KHz(44.1kHz)
10Hz-40KHz(96kHz)
DC-90KHz(192kHz)
サイズW/H/D、重量 215×60×276(mm)、13kg
付属品 電源ケーブル
USBケーブル

使用機材

912のLINE入力の音質テストは、CD/SACDプレーヤーに AIRBOW X05 Ultimate、アンプにトランジスター方式の AIRBOW PM11S2 Ultimateを使い、912を使わずにX05 UltimateとPM11S2 Ultimateを直結したときの音質と、間に912を入れたときの音質を比較しました。Phono入力の音質テストは、アナログプレーヤーNottingdam Interspace HD(カートリッジは、Phasetach P-3)を912にダイレクトに接続して行いました。スピーカーは、Vienna Acoustic The Musicを使っています。

スピーカー

プリメインアンプ

ケーブル

PC

HP EliteBook 2760p Tablet PC

Vienna Acoustics
Beethoven Concert Grand(T3G)

AIRBOW
PM15S2 Master

Audioquest
USB-CARBON

HP EliteBook 2760p Tablet PC
Windows 7 Professional

音質テスト結果


Ratoc RAL-24192DM1


AIRBOW D07X Ultimate


Michi
Madness

細かい音は出ているのですが、高音が濁っていてスッキリしません。低音もエネルギー感が乏しく、低音・高音の端っこが丸まったレンジの狭い音です。

パワー感に乏しく弱々しい音は、水道から水がちょろちょろ出ているような感じです。

絶対的にはそれなりの音で鳴っているのですが、このソフトをCDプレーヤーで聞いた時と比べると躍動感に大きな差が感じられます。

音がスピーカーにまとわりついて、前に出てこないのも不満に感じられます。

一音が出た瞬間から、RAL-24192DM1とは世界が違います。音の数が圧倒的に多く、まるでCDをSACDに変えたほど大きな差が感じられます。

音楽の躍動感も全く違っています。比較的大人しく静的な音質のRAL-24192DM1に対してD07X Ultimateは実に動的に音楽を鳴らします。低音が弾んで音が広がり、サラウンドのように音に包み込まれます。打ち込みの低音楽器がメロディーと分離して、浮き上がって前に出ます。ボーカルも湿り気があり、ニュアンスがぐいぐい伝わります。音楽が楽しく弾み、体が動くその感覚は、RAL-24192DM1とは全く違うものです。

PC+D07X Ultimate D07X Ultimateで聞く限り、打ち込みで作られているこの曲(アルバム)は、今までCDプレーヤーで聞いた時よりも音が良く(特に低音の分離感と押し出し感)、音楽的にも楽しめる感じがしました。


Nora・Jones
Come Away with Me

PCノイズの影響が、高音の濁りと低音の膨らみに感じられます。
ボーカルは可もなく不可もなくといったところですが、高音が伸びないため子音が丸く、発音がこぢんまりとしています。ギターも力がなく弱々しく、ベースも前に出ません。
高域が綺麗に伸びず、楽器の音色もくすんでいる。この音であれば、あえてPCを使って音楽を聞く必要性は感じられません。

ピアノキーのタッチノイズの明確さやギターの切れ味など高音の解像度感と低音の量感、音場の広がりなどあらゆる部分でRAL-24192DM1と大差があります。
ノラ・ジョンズの声は細かく、艶やかでニュアンスも豊かです。音の分離に優れ、伴奏とボーカルは空間で分離して音場が立体的に大きく広がります。
RAL-24192DM1が鳴らすギターは、楽器を毛布で覆ったように高音が詰まり、ギターの音が弱々しく聞こえます。D07X Ultimateの音は低音も高音もスッキリと伸びて、何処かで詰まっているような感じがなく、ギターの弱さがあえてけだるい雰囲気を出すために「わざと弱く弾いている」と言うことが伝わります。

RAL-24192DM1とD07X Ultimateでは、楽器の倍音の再現性、音色の変化の再現性に大きな差が感じられます。

しかし、最初に聞いたマッドネスに比べると両機の差は小さく感じられます。またCDよりPCの方が良いと感じたマッドネスに比べ、ノラ・ジョーンズはCDの方が好ましいと感じられました。

Hilary Hahn Bach Concertos
Los Angels Chamber Orchestra
  Jeffrey Kahana (SACD) 
Grammophon

音場はスピーカーよりも後に展開します(前に出ません)が、今まで聞いたソフトの中では一番音は広がって感じられます。
バイオリンとコントラバスやチェロといった銅形式でサイズの違う楽器の「音色の違い」は大きくはありませんが、その際はきちんと再現されます。音色の違いがリニアなので、楽器の位置関係が前後にキチンと並びます。

やはり全体的に少し力が弱く、躍動感は小さく感じられますが、演奏の再現性に関しては決して悪くありません。
POPS/JAZZはハッキリ言って及第点以下でしたが、Classicは十分及第点を差し上げられます。

低音の量感や響きの再現性でD07X UltimateはRAL-24192DM1を大きく凌駕します。スピーカーのサイズが違うように感じるほど低音は違います。RAL-24192DM1ではホールの大きさが縮尺されましたが、D07X Ultimateはホールに回り込んで響く豊かな低音までも悠々と再現されました。
それに対し高音は、マッドネスで感じたような圧倒的な差はありません。ヒラリーハーンのバイオリンはRAL-24192DM1が繊細に感じられます。D07X Ultimateのバイオリンも細かいですがより力強く、音が太くある種ビオラに近いような響きを感じます。

伴奏と主旋律の対比の再現性はほとんど差がなく、音楽の構成や楽音の構造の再現性はRAL-24192DM1も十分伝わります。
classicで聞き比べる限り、RAL-24192DM1とD07X Ultimateの音質差は、価格の違いを考えれば十分に納得できる範囲だと感じました。


試聴後感想

最初に聞いたマッドネスでは、D07X UltimateとRAL-24192DM1の違があまりに大きく、お話にならないと感じました。RAL-24192DM1ではクラブミュージックらしい押し出し感や、低音がうねるように変化する感じがはまったく再現されず、弱々しく音が鳴っているに過ぎなかったからです。

ノラ・ジョーンズではRAL-24192DM1とD07X Ultimateの差が少し小さくなりましたが、今度はRAL-24192DM1の高音の濁りや倍音の詰まりが気になりました。RAL-24192DM1は音が消えるときの響きが短く、また色彩が単調で「良い楽器の味わい」が再現されませんでした。ノラ・ジョーンズの声もやや弱く、元気なく感じられました。  

最後に聴いたクラシックでは、RAL-24192DM1とD07X Ultimateの差が一気に縮まります。 確かに低音の広がりやエネルギー感には差が感じられるのですが、音楽の構成そのものは正しいスケーリングで再現されました。低音が少なくエネルギー感が薄いRAL-24192DM1では音場のスケールがやや小さく箱庭的に感じられるのですが、正しく縮尺されていますので交響曲をそれらしく楽しめます。価格を考えなくとも、十分に立派で良い音でした。  

RatocはPC(デジタル)の技術を得意とするメーカーです。そのため試聴による作り込みがまだ不十分のように感じます。この製品に関してはClasicをメインに音決めがなされた感じが強く、それ以外のソースでは完成度が低く感じられました。RAL-24192DM1はClassicをメインにお聞きになるのであれば、価値があると思います。しかし、それ以外の音楽も楽しみたいとお考えであれば、Esoteric D07XやAIRBOW D07X Ultimateをお考えになられた方が良さそうに思います。  

追記
今回音質テストに供されたRAL-24192DM1は「プロトタイプ」でした。その後この評価を参考に、さらに音質が煮詰められました。再度持ち込まれた、より製品に近いモデルも聞きました。若干の改善は感じられましたが、最初の印象を大きく変えられるほどではありませんでした。

2012年 6月 逸品館代表 清原裕介

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