シンバルを叩くときに中央付近を叩く場合と、外周付近を叩く場合では、音質がまったく異なります。同じことが、オーディオ機器の筐体を支えるインシュレーターやレゾナンスチップのような「制振材」の設置位置に当てはまります。「レゾナンスチップ」、「RS−CUBIC」、「RS−SQUARE」をどこに設置するか?その置き方次第で、効果の出方や音質が驚くほど変わってしまうのです。
ギターやバイオリンの弦が振動する様子はご存じだと思います。全体が一度に前後に動くのではなくて、両端あるいは全体の長さが割り切れる位置は静止しており、その場所を振動の基点として弦は振動しています。弦のように細長いものではなく、シンバルや筐体の底板のような平板が振動するときにも、弦の振動と同じように、「振動する場所」と「振動しない場所」にわかれています。この時、静止した振動の基点となる場所が振動の「節」と呼ばれています。
「節」は振動の基点なのでそこを打撃した場合、与えられた振動(運動)エネルギーは、「最大の効率で一瞬にして振動体全体」に広がります。すなわち「節」を振動させるためには「振動体全体が前後に振動するほどの大きなエネルギー」を加えないといけないということなのです。つまり、この一番動きにくいポイント(一瞬の打撃で素材すべてを動かすのは難しい)である「節」に打撃を与えた場合は、最短の時間で打撃エネルギーが分散するため、素材自体の音はあまり響かずコツンと堅い音がして響きも短時間で消えてしまいます。
この「節」に正確にインシュレーターを設置すれば、筐体の減衰力が最大限に発揮されると共に、振動エネルギーの偏りから生じる「不快な共振」の発生が最小限におさえられ、機器の響きが綺麗に透き通り、明瞭度や音の広がりが大きく改善されるのです。インシュレーターは、この「節」に設置しないと音質向上効果が望めないばかりか、逆に音を悪くしてしまうことがあります。
「節」と「節」の間には、素材が最も大きな振幅を繰り返す場所があります。これを「振動の腹」と呼んでいます。「振動の腹」は、その物体が「最も大きく振動する所」ですから、この場所に「重り(ウエイト)」を付ける(載せる)と[重りは、最も大きく運動し(揺さぶられ)効果的にその物体の振動を抑え(制振効果が最大)」ます。つまり、レゾナンスチップやRS−CUBIC、RS−SQAREなどの「振動を抑制するアクセサリー」は、この「振動の腹」に設置するのがベストなのです。
レゾナンスチップのような小さな「制振材」が「大きな壁」などの振動を効果的に抑えられる秘密はここにあります。制振使用とする「物体」を拳で軽くたたいて「もっとの大きく響く場所(最も音が濁って聞こえる場所)」にREQSTの製品をお使い下さい。
筐体の振動の「節」が、良質なインシュレーターで固定され、「振動の腹」が適切な制振材で「固定」されると「残響成分」が綺麗に分離し、音楽は澄みきった広がりを持って非常に繊細に聞こえるようになるのです。
ただし、RS−CUBICのような「重量で振動を押さえ込む」制振材は、「制振材そのものの音色(瀬戸物の音色)」が機器の音色に乗るので、効果の出方には「好き嫌い」があると思います。もし、音色が気に入らないときには使わない方が良いでしょう。また、気に入っても余り多用しない方が良いと思います。