音質は、CDで聞き慣れた「ノラ・ジョーンズ」で比較しました。
結論から言って、新旧の音質差はほとんどありません。カタログには、アームに大幅な改良が加えられたように記述されていますが、形がほんの少し変わったのと色が変えられているくらいで、見た目はほとんど変わりありません。付属するカートリッジも同じです。
しかし、新型が滑らかさやきめ細やかさで旧モデルを凌駕していることは事実です。カートリッジの磨耗や個体差を考えると、その差がモデルチェンジによるものかどうかに疑問は残りますが、比較した個体同士では、旧モデルを100とすると新型は110程度の音質に感じられました。
逸品館がThorensのTD190
Seriesをお薦めしてきたのは、外観が華奢で見た目の豪華さは感じられませんが、なによりも、プレーヤーの響きを生かした“レコードらしい音”がしっかりと引き出されるからです。
誤解を恐れずに言うのなら、どれほど頑張ったところで、レコードの音質が最新のデジタルに敵うことはありません。歪みや特性が劣るからです。しかし、音質と音楽性、音の良さと雰囲気の濃さはまた別物です。Thorens製品の良さは、元々オルゴールメーカーだったためかどうかは分かりませんが、レコードの「響きの良さ」をうまく引き出してくれるところに集約されます。
音質を欲張った最新型のレコードプレーヤーの多くが条件を選びすぎるのに対し、Thorensならば、録音の善し悪しにかかわらず音楽を心地よく聞けます。その暖かさや雰囲気の良さこそ、アンチテーゼとして私達がデジタル自体に求めるそのものなのです。
旧型のTD190をすでにお持ちのお客様は、新型に買い換える必要はありませんが、新たにレコードプレーヤーのご購入を検討中のお客様には旧モデル同様自信を持って、レコードらしく暖かく滑らかなTD190-2をお薦めいたします。