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Triode トライオード Luminous ルミナス 84 真空管プリメインアンプ TRX-88S パワーアンプ 音質 比較 評価 レビュー 試聴

真空管プリメインアンプ、パワーアンプ 音質比較テスト

 Triode(トライオード) Luminous(ルミナス)84 、 TRX-88S

  

2017年5月、Triode(トライオード)から、リモコンを省きコストパフォーマンスを高めた、2モデルの真空管アンプが発売されました。仕上げの色は、濃いめのえんじ一色で定番Triodeカラーの「赤」はラインナップされません。仕上げは丁重で美しく、塗膜の厚みにもムラがなく、フロントパネルのヘヤーラインもきめ細かく整っていて、写真からもおわかりいただけるように、Luxman製品の隣に置いても見劣りしないほどの美しい質感を持っています。Triodeも「高級オーディオ メーカー」と呼ぶにふさわしいグレードに達したと思います。この成長ぶりは、私も含め初期のTriode製品を知っている方には、感慨深いことだろうと思います。

 

 

Triode(トライオード) Luminous(ルミナス)84L メーカー希望小売 128,000円(1台・税別) (メーカーホームページ

Luminous84は、プリ管とドライバー段にJJ製の12AU7を合計3本、出力管にも同じくJJ製の6BQ5(EL84)がプッシュプルで左右2本ずつの合計4本が使われる、小型プリメインアンプです。標準ジャックのヘッドホン出力を備え、OPアンプを使ったMM対応のフォノイコライザーを内蔵し、レコードプレーヤーを直接繋げます。

部品点数を減らして価格を抑えるため、自己バイアス(カソードバイアス)が採用される、Luminous 84の出力はやや低めで、11W+11W8Ωの負荷で発揮します。

 

 

Triode(トライオード) TRX-88S メーカー希望小売 160,000円(1台・税別) (メーカーホームページ

TRX-88Sは、プリ管とドライバー段にJJ製の12AU7を合計3本、出力管にも同じくJJ製のKT88がシングルで左右1本ずつの合計2本が使われる、小型パワーアンプです。入力はRCAが1系統ですが、スイッチにより音量固定入力(Direct入力)と音量可変入力(Volume付き入力)が切り替えられる他、アンプのゲインをロータリスイッチにより0/-3/-6/-12dBに切り替えられますから、CDプレーヤーやDACを直接繋いで入力一系統のプリメインアンプとしても使えます。

シングル方式から8Ω負荷時に、10W+10Wという大出力を発揮させるため固定バイアスが採用されるTRX-88Sには、バイアス調整用のメータが備わります、

Triode(トライオード)製品ご購入お問い合わせは、経験豊富な逸品館におまかせください。

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試聴環境

 AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 480,000円(税込み)現金で購入)・(カードで購入

 AIRBOW HD-DAC1 Special 販売価格 180,000円(税込み)現金で購入)・(カードで購入

 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す

今回の比較試聴は、それぞれのアンプを約2時間ほどウォーミングアップして、十分に音質が安定した状態で行っています。

ソース(音源)には、AIRBOWネットワークプレーヤー「MNP-i5 Roon」をチョイス、搭載する「roon」と「HQ Player」の連動でCDから取り込んだWAVファイルを「88.2KHz/24bit」にアップサンプリングして、AIRBOW HD-DAC1 SpecialにUSB入力して出力したものを使っています。スピーカーは、聞き慣れている「Beethoven Concert Grand(T3G)」を使いました。

今回の比較試聴は、YouTube 逸品館チャンネルでもご覧いただけます。

※YouTubeにアップロードしている「音」は、それぞれのアンプの出力にBeethoven Concert Grand(T3G)を接続し、Beethoven Concert Grand(T3G)で音を聞きながら、マイクを使わずスピーカー出力信号をサンプリング(DA変換)したものです。スピーカーを接続することで、アンプはインピーダンス変動や逆起電力など影響を受けます。ダミーロドではなく実際にスピーカーを繋ぐことで、より「実際に近い音質」が収録できます。

テスト概要のご説明動画

試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルを使用)

リザ・フェルシュトマン演奏のバッハ・無伴奏バイオリンソナタ。SACDハイブリッドソフトのCD層の音声をリッピングして使いました。

録音に優れるXRCDで「ボーカルソフト」を集めたベスト盤。Vol3.から、セーラKが弾き語りで歌う「ビンセント」を聞きました。

シンセサイザーも伴奏に使われるPOPS系のソフト。アマンダさんの独特な声の太さや甘さ、シンセサイザーの音がどのように再現されるかがポイント。

アナログレコード後期の優秀録音盤がCD化されて発売されたディスク。美しい峰純子さんの歌声とジャズトリオの伴奏のマッチングが聞き所。

オーディオマニアなら誰もが知る「ノイマン+チェコフィル」の「新世界より」から、第2楽章を聞きました。

 音質評価 Luminous 84

この価格帯のアンプとしては、とても音は細かく、バイオリンの音は、滑らかで伸びやかです。バイオリンの弓が弦をこするかすかな音まではっきりと聞き取れます。バイオリンは高い音まで、すっきりと伸びるのでストレスなく演奏を聴くことができます。
従来のTriodeアンプは、高域が堅く隈取りが強くなりすぎるために、音が前に出すぎて後方への展開が不足して奥行きが不足し、音場が平坦になりがちでした。Luminous84は、この点が大きく改良されています。高域の堅さは、まだわずかに感じられますが、今回の試聴環境では、ほぼ問題のない範囲に収まっています。高域のざらつきが軽減されているので、従来のTriodeアンプに比べるとバイオリンの音が立体的に大きく広がります。

小型の出力管を使っていますが、重心の低い音が出ます。中音が魅力的で、バイオリンの2弦、3弦が粘り強く、豊かに鳴るアンプはこのクラスではなかなか他に類を見ないのではないでしょうか。
演奏のニュアンスもしっかり出て、価格を大きく超える納得のサウンドでこの曲が鳴りました。

ギターは高域がわずかに荒れていますが、それほど気にはなりません。

Luminous 84の高域の強調感は、ギターの隈取りをハッキリさせ、ボーカルの子音をわずかに強調しますが、それは嫌なものではなく、むしろ明瞭度が高める働きを持っているので、左右のスピーカーを結ぶ空間の中央に音像がクッキリと浮かび上がります。スピーカーから音が聞こえるのではなく、空間に音像が浮かぶこの鳴り方は、高級オーディオを初めて聞く人に「新鮮な驚き」を与えるはずです。このホログラムのような定位感は、中上級にもオーディオ的快感をもたらしてくれるでしょう。
Luminous 84の持つこのわずかな誇張得は、音楽をより楽しませてくれる方向に働き、初めてオーディオアンプを購入する人には、好意的に受け入れられると思います。

Luminous84が鳴らすシンセサイザーの音には、しっかりとした密度感があります。これはアンプが中低音をしっかりと出すからでしょう。ボーカルも厚みがあって暖かく、80万円クラスの中~大型トールボーイのBeethoven Concert Grand(T3G)をしっかりと鳴らします。

高音と低音の端っこは、わずかにロールオフして先端がわずかに丸くなっています。Luminous 84は、録音の粗を隠してソースを選ばず音楽を楽しく聴かせる「おむすび型」の帯域バランスを持っています。
重心が低く、厚みを感じるある暖かい音で、Dreamingがしっかり鳴りました。

Luminous 84は、ピアノ、ボーカルの音の輪郭をわずかに強調します。この高域の荒れは、すこし「瀬戸物的?な響き」にも聞こえますが、それは他のTriodeアンプよりも少ない量です。

高域の強調により子音が荒れ、峰純子さんの声や歌い方が少し下品に聞こえますが、なんとか容認できる範囲です。逆に、こういう強調された、誇張された声(ヘレン・メリルの歌う、You'd Be So Nice To Come Homeような)は、オーディマニアの好むところでしょう。

Luminous 84の強調感は、上級者向き、楽器奏者向きとは、いえないかもしれませんが、十分にこの曲をしっとりと鳴らし切るその実力はかなりのものです。

高域がほんの少しだけ、曇って感じられますが、ほとんど問題になりません。この価格帯のアンプで聞いているとは思えないほど細やかで、滑らかな音です。

良いと思えるのは、音と音が重なった部分の背後の音を再現するのが、苦手なTriode製品とは思えない立体的な音がLuminous 84から出てくることです。

音調は、すこしだけ明るめですが、リスナーをリラックスさせてくれる音質です。
試聴後感想
Triodeのアンプは、EARなどの高級真空管アンプと比べると、高域がざらつき気味で、それが原因で楽器の音がそれらに比べると表面的で、安っぽく聞こえるところが不満でした。また、高域の強調が強すぎるため、音場の広がりが前後に浅く、楽器が横一列に並んでしまうところも不満でした。けれど、Luminous84には、そういう悪い癖がありません。
音も細かく、帯域バランスも良く、滑らかで暖かく、色彩感のあるサウンドに仕上がっています。
この音質なら、2倍くらい高価なLuxmanなどの真空管アンプと比べても、十分納得できるサウンドだと思います。

真空管アンプを、初めて買おうとお考えの方に、自信を持っておすすめできる製品です。

Luminous 84は、私の想像を大きく超えた良い音を聞かせてくれました。

 音質評価 TRX-88S

Luminous 84と比べ中低音は少し細くなりますが、演奏は無駄な油がとれた感じで好印象です。
高域の透明感、伸びやかさは、価格が信じられないほど優秀で、TRV0300SERさえ凌駕しているのではと思えるほどです。
このアンプの良いと思えるのは、音の立ち上がりの早さと、切れ味の良さ。バイオリンの音がすっと立ち上がり、無駄な響きなくすっと消えてゆきます。

空間の透明感は84よりも遙かに高く、澄み切った空間にバイオリンの音が静かに広がってゆきます。この透明感の高さは、かなり高価なアンプに匹敵するとおもいます。
静かで、心地よい音。価格を遙かに超えるクォリティーのサウンドは、Triodeの高額モデルさえ凌駕していると思えるほどです。

Luminous 84では、高域がわずかにざらつき、中低音の量感が増えました。TRX-88Sでは、高音はどこまでも透明で、中低音はほぼ生音に近いバランスで鳴るギターの音はとても自然です。スピーカーが鳴っているというイメージではなく、空間からギターの音が流れてきます。

ボーカルは滑らかで、適度な艶を感じますが、甘くなりすぎることはありません。
ギターとボーカルのマッチングも素晴らしく、目を閉じるとセーラKさんがギターを抱えて歌っている様子が見えるようです。

シンセサイザーのアタックが実に心地よく、響きの透明感、ボーカルとの分離感にも優れています。

ボーカルは説得力があります。シンセサイザーの音は透明で澄み切っていますが、冷たくはありません。
歪みが少なく、HIFIな音ですが、真空管アンプらしい適度な艶感と高い透明感が両立しています。
下手な真空管アンプのような「いかにも真空管でござい」という音は全くしません。
少し前に50万円クラスのプリメインアンプの比較試聴を行いましたが、TRX-88Sをその中に紛れ込ませても、十分比較できたと思えるほどです。相当高価なオーディオアンプと比べられる素晴らしい音質で、Dreamingが鳴りました。

ピアノの音は立ち上がりが早く、音色の変化、タッチの強弱もよく出ます。
ボーカルはもう少し厚みが惜しいですが、艶やかさと表情の細やかさは十分創出されます。
ホテルのロビーやバーで演奏されているような、とても上品な雰囲気です
ネットワーク・プレーヤー と組み合わせていますが、ここまでの音が出るのであれば、レコードすらいらないとさえ思えるほどのアナログ的な滑らかさ、響きの良さが実現しています。
難癖をつけるなら、もう少し厚みがあればと思いますが、16万円という価格を考えるなら驚異的な音質です。

ハーモニーの構造の細やかさ、各楽器の関係がきちんとと再現されます。ノイマン・チェコフィルらしい精緻な感じもとてもよく出てきます。
Triodeの製品の多くは、アンプが鳴っているという主張を感じさせる音が特徴ですが、TRX-88Sには、そういう「わざとらしさ」は微塵も感じらず、楽器やボーカルの音色の変化、ニュアンスの変化がとても自然です。

音の細やかさや分離にも優れています。

試聴後感想
私は、これまでに聞いたTriodeのアンプの中で(トップモデルも含めて)TRX-88Sが最も気に入りました。

2017年7月 逸品館代表 清原裕介

1号館スタッフによるセカンドオピニオン(1号館にて個別に試聴)

・中島

LUMINOUS84
低域が薄く中高音よりの音色で、どのジャンルを聴いても高域のシャリシャリ感が少し気になります。
低域が薄い分ドライでスッキリとした印象を受け音数が少なく感じられますが、特に音量を上げると顕著に現れます。
本来の真空管の温かみのある音色とは逆でクールなトランジスタアンプの様な印象を受け、真空管のメリットがあまり感じられません。
TRX-P88S
LUMINOUS84と同じ傾向で低域が薄く中高音よりの音色です。
KT88管を使っているので厚み・温かみが感じられるかと思いきやどのジャンルを聴いても、高域のシャリシャリとした感じが残っり、特にロックは迫力に欠け躍動感も感じられません。立体感は感じられるが肉付きが無く骨組みだけの音色に感じます。
・須川
LUMINOUS84
TRIODEらしい中高音の透明度は他のモデルと同じで低域の量感は控えめです。
やや大きめのトールボーイ型との試聴では(ARIA926)音があまり広がらずこじんまりした印象でした。小型スピーカーとの相性がいいように感じ、小音量や低域をあまり求めない方におすすめです。僅かに真空管らしさを残した音作りにTRIODEらしさを感じます。
TRX-P88S
本体付属のボリュームを使い試聴しました。LUMINOUS84を聴いた後からかわかりませんが音が非常にストレートに聴こえ、よりすっきりとした純度の高い音に聴こえました。
味付けは控えめで低音がややしっかりとした印象です。主張がすくなくスピーカーの能力を引き立てるようなイメージで鳴っていました。LUMINOUS84よりは大きめのスピーカーを使っても音が十分に広がりました。
プリアンプの組み合わせ音にバリエーションをもたせられる癖のない音質は、パワーアンプに色付けがほしくないといった方にお薦めです。

・高見

LUMINOUS84
真空管を味わったことのない初心者には人気の商品かと思いますが、中高域よりで響きの少ないスッキリとした現代的な音質は、
中級者以上の真空管アンプ使用者では満足出来ません。
お問い合わせの多い古いジャズやロックを真空管らしい甘く温かみのあるサウンドで楽しむのであれば、上位モデルでは中低域の表現が濃い「TRV-88SER」や透明感の高い繊細な「TRV-A300XR」、YARLAND製の響きの多い真空管アンプへの買い替えをお薦め致します。
利点はこのサイズでMMフォノイコライザーを内蔵しており、アナログプレーヤーをシンプルな真空管システムで鳴らしたい方には良いかと思います。
TRX-P88S
KT-88×2本を使用したA級シングルパワーアンプですが太く力強いサウンドではなく、中域よりの若干密度の濃い音質でした。 
こちらのパワーアンプの良さは、真空管の変更が簡単なバイアス調整の確認で出来るので、ご購入後に真空管を変えてお好みの音質に変更するのもお薦めです。
・坂本

 Luminous84
中高域寄りの音質で、低音が苦手で、真空管を初めたい方には手頃でピッタリです。
落ち着いた印象のカラーは、派手すぎず部屋に馴染みます。
MM対応のフォノイコライザーも内蔵し、今ブームの「アナログ-真空管」を手軽に導入できます!
TRX-P88S

エントリーモデル真空管パワーアンプで、Luminous84と似た傾向です。
パワーアンプですが、背面のスイッチで音量ボリューム付きアンプに切り替えが可能で、プリメインアンプとしても使用可能で、
後々プリアンプを導入しようと考えている方の取り敢えず使いにちょうどいいです。

2017年7月 逸品館代表 清原裕介

  

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