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YARLAND(ヤーランド) AUKLET 88J 真空管プリメインアンプ 音質 比較 評価 レビュー 試聴 真空管 KT150 KT88 KT66 EL34 音質 比較 試聴 評価 テスト レビュー 販売 価格YARLAND(ヤーランド)AUKLET 88J(KT/66/KT150/EL34)音質 比較 試聴テスト
逸品館がおすすめしているYARLAND(ヤーランド)製品は、すでに定評の高い「Triode(トライオード)」と同く、日本で企画設計され中国で生産されています。後発のYARLANDが目指しているのは、Triodeを超える音質と外観の美しさです。YARLAND製品の特長として、低価格高音質を実現しているだけではなく、価格を大きく超える質感とデザインの採用が挙げられます。これは、YARLAND社製品をユーザーが、愛着を持って長く使い続けることができるようにという想いが込められています。同じジャンルのモデルを比較した場合、YARLANDはTriodeよりも数割安いにもかかわらず、厚みのある漆のような漆黒の塗装が施され、天然木のフロントパネルが奢られるなと仕上げも上々です。このページの写真も綺麗に写っていると思いますが、リアルウッドを使ったパネル、漆塗りのようにさえ感じられる分厚いブラックの塗膜から、実物はそれ以上に美しく存在感を感じる仕上がりになっています。 音質には好みが出ると思いますが、基本的な性能を測る基準となる音の細やかさ、再生周波数帯域、透明感などはTriodeに決して劣る事はありません。また、今回試聴するAUKLETは、出力管に11種類(規格)の真空管を差し替えられ、YARLANDが究極のコンパチブルアンプと位置付けられています。 このAUKLETはYARLANDブランドのフラッグシップですが、それでも価格は30万円強に抑えられており、海外製品との比較では半額程度のスーパーロープライスが実現されています。 今回はYARLANDから、このAUKLET 88Jの量産試作機(製品と完全には同じではありませんが、音質はほぼ同等です)と、交換用出力管3機種(KT150/KT66/EL34)をお借りして、聞き比べることができました。 AUKLET 88Jの主な特長 ・入力部と出力部それぞれに左右独立の電源トランスを使う、合計4個の電源トランスを装備。これに出力トランスを加えた、総合計6個のトランスを実装。 ・突入電力から回路を保護するための左右独立電源スイッチを装備。 ・低歪み増幅回路の採用で、プッシュプルA級 50W+50Wの出力を実現。 ・11種類の出力管が使用可能。5881/6L6、KT66、6CA7/EL34、7581/6L6GC、KT88、6550A、KT77、KT90、KT120、KT150。 ・セルフバイアス方式により、メーカーから供給される真空管なら交換時のバイアス調整が不要(規定値を超える場合は、真空管を交換する)。 ・バイアス電圧をチェックするためのデジタルメーターを装備。天然木製フロントパネルに出力メーターを装備。 ※左写真上列のトグルスイッチは、バイアスメータ切り替え用。下列のスイッチは、フロント出力メーターのON/OFFとバックライトのON/OFF。 ・バランス入力(XLR)×1、LINE(RCA)×4の入力を装備。1系統のLINE(RCA)出力を1系統装備。 ・ローインピーダンススピーカー対応の4Ω出力と通常インピーダンス対応の8Ω出力の2系統のスピーカー出力を装備(ケーブルつなぎ替え式)。
試聴環境 スピーカー:Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(お問い合わせはこちらからどうぞ) プレーヤー: AIRBOW NA11S1 Ultimate(お問い合わせはこちらからどうぞ) 試聴した真空管
比較試聴したのは、ロシア製 TUNG-SOL KT150(約122グラム)、中国製 Shuguang KT66(約70グラム)、中国製 PSVANE KT88(約80グラム)、中国製 PSVANE EL34(約55グラム)の4種類です。復刻された真空管がオリジナルとどれほど近いのか、比較のためオリジナルのGEC KT88/KT66と比べました。 構造を含めShuguang/PSVANEの球は、かなり精密にオリジナルがコピーされています。今回は、私が所有しているGECの真空管が「新品」の状態なので、あえて聞き比べることはしませんでしたが、PSVANEはすでにWestern Electric 300Bを精密に復刻し、音質もかなりオリジナルに近いレベルに達していることから、KT88の音質もかなりオリジナルに近いと思われます。Shuguangの球もオリジナルのKT66をかなり精密にコピーしているようですが、PSVANEの球の重量誤差がほとんどないのに対し、Shuguangの球のみ±5%程度の誤差がありました。もしかすると、PSVANEほどガラスの厚さが均等ではないのかも知れません。 また、プレート損失は6L6が最も小さく、KT90/120/150が遙かに大きく、出力が取れるのですが、AUKLETの設計が6L6に合わせてあるため、出力管を交換しても最大出力に大きな変化は生じません。 試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルを再生) 今回の試聴には、常に使う5曲に最新録音POPSの代表として、Lady Gaga「The Fame MONSTER」から「Telephone」を追加して試聴しました。
AUKLET
総合評価 残念ながらKT88の「旨さ」と味わってしまった後では、それ以外の真空管でKT88ほどの感動を得ることができませんでした。 真空管アンプマニアは時にしたり顔で「球はこれでなければ」と決めつけてかかることがあります。けれど、今までに何台もの真空管アンプを作り、何十種類以上の真空管を聞き比べた経験では、真空管アンプの音質は「球と回路(トランス)」の響きのマッチングで決まります。だから、想定していない「真空管」と組み合わせたとき、それがどれほど名球であったとしても、中国級/ロシア球よりも音が悪くなることがあります。 もちろん、そういう「僅かな違い」を聞き取るためには、まずアンプをテストするための「環境」に癖があってはいけません。環境に癖があると、それを緩和する癖を持っているものが良く感じられるからです。そういう整った環境下で真空管アンプを聞き比べると、アンプの音質が向上しそれが完成に近づけば、近づくほどアンプそのものの音色(アンプの個性的な音)が消えて行き、装着した真空管そのものの音が出てくるようになります。 今回テストしたAUKLETはまだその領域までには達していないようで、 装着する真空管を選びますが、逆に真空管がマッチすると、驚くほどよい音が聞けます。今回の個体ではKT88がベストでしたが、探せば他にもマッチする真空管が見つかるかも知れません。AUKLETの試聴を終えて、念のため価格が2倍のUnison Research Sinfonia24th Anniversaryを聞きました。音質的にはAUKLETとそれほど大差は感じないか、むしろ量的にはAUKLETがSinfoniaを凌駕するのですが、音楽を油絵のように描き出す、そのこってりとしたSinfoniaの濃い味わいは、やはり格別でした。 価格が2倍違うので直接比較するのは無理がありますが、AUKLETは官能的な部分でまだイタリアの素晴らしい歌姫のレベルには到達していません。けれど、30万円オーバーという価格帯で比較するなら、これはかなり良いチョイスのアンプに違いないと思います。 また購入後、Sinfoniaに迫る官能的な音を引き出せるかどうか、あるいはユーザーが自身の環境と好みに合わせられるかどうか、11種類もの出力管を差し替えられる、AUKLETは無限の楽しみを持っています。 2015年8月 逸品館代表 清原裕介 |
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