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ヤマハ YAMAHA RX-A1040 AVアンプ 音質 比較 レビュー価格 試聴 販売AVアンプ RX-A1040 (生産完了) 音質テスト
2011年の発売以来ご好評をいただくハイクラスAVレシーバー「AVENTAGE」(アベンタージュ)の第四世代7.1chモデルとして今回発売された『RX-A1040』は、4K/60p映像対応HDMI端子や内蔵Wi-Fiをシリーズ初採用。さらにESS社製D/Aコンバーター、H型クロスフレーム装備の高剛性シャーシ、WAV/FLACの192kHz/24bitに加えてApple Losslessの96kHz/24bit再生やギャップレス再生にも対応したハイレゾ音源最適化設計のネットワークオーディオ、あらゆる使用環境で豊かな臨場感と迫力を再現する「Virtual CINEMA FRONT」「YPAO Volume」「新Extra Bass」など、音・臨場感・操作性の色褪せない本質を追求する高音質と多機能が満載されたAVアンプです。 またAndroid/I-OS搭載タブレット端末に使える、ピンチ&スワイプ操作によりシネマDSPの音場効果を直感的にカスタマイズできる「DSP調整」などを装備した最新の専用アプリ「AV CONTROLLER」(最新バージョン)にフル対応しています。 今回はこのRX-A1040をiPod Touch(USB接続)とAIRBOW UD7007 Specialと接続し、ステレオ/疑似サラウンド(5.0ch)で聞いてみました。 試聴に使ったスピーカーシステム
音質テストの概要 ウォーミングアップはiPod touchをリピートにセットし、10時間ほどウォーミングアップを行った後、iPod touchに取り込んだWAVEファイルを再生して「ステレオモード」に加え最適だと思われる「DSP/疑似サラウンドモード」の音質をチェックしました。 iPod touchでの音質チェックの後、高画質・高音質BDプレーヤー AIRBOW UD7007 SpecialをHDMI接続して、ディスクメディアの音質をチェックしました。 試聴に使ったプレーヤーとデジタルケーブル iPod Touch(第4世代)+ audioquest USB-DIAMOND AIRBOW UD7007 Special + audioquest HDMI-Vodka
iPod touch USB接続 音質テスト(音源はCDから取り込んだWAVファイル) A Child is Born / Junko Mine ”My One and Only Love” 「ステレオ」 RX-A1030と直接比較していないので確かではありませんが、RX-A1040はA1030よりも一段と音が細やかになっているようです。滑らかさと適度な艶もあり、その音質はピュアオーディオ機器にかなり近づいています。少なくとも初期のAVアンプのとげとげしさやざらつきはもはや完全に過去のものとなりました。もちろん本格的なピュアオーディオ機器と比べると、音楽の表情や色彩感、余韻の透明感など細部のディティールの描き方はやや浅いのですが、AVアンプとは思えない不自然さのない心地よい音に仕上がっています。 もう少し分析的に音を聞いてみました。 細部のディティールが浅いのは、響き成分がやや少なく音が乾いて感じられるためです。ステレオ再生ではもう少し響きが多い方が、余韻が残って心地よく音楽を聴けるのですが、サラウンド再生の場合は逆に響きが多すぎると音の収束が遅れ、音場が濁ります。響きが少なめの乾いたこの音は、サラウンドによりマッチすると思います。 ピアノとボーカルは分離し、それぞれがお互いの音を聞きながら演奏している様子が伝わります。人の声は自然で硬さや誇張感も感じられず、100万円(ペア)を超えるスピーカーを鳴らしても破綻することのないウェルバランスでアコースティックなJazzが魅力的に鳴りました。 「DSP(スタンダード)」 YAMAHAが得意とするDSPプラグラムをテストしました。 イントロのピアノは、「セラークラブ」か「ボトムライン」が良いのですが、いずれのプログラムもボーカルはエコーが聞きすぎて不自然になりました。 ボーカルをセンターに割り振り、リアスピーカーからはプログラムされた残響を発生する「スタンダード」を使うと、少なめだった残響成分が補われ、音楽の雰囲気が濃くなります。ピアノとボーカルの表情も一段と細やかになり、不自然さを感じることなく音質が改善しました。 この曲は「ステレオ」よりも「DSP/スタンダード」の方が音楽をより雰囲気良く味わえました。 Ballad Collection Mellow / DOUBLE ”Stranger” 「ステレオ」 RX-A1040は過去のAVアンプとは比べものにならないほど音のざらつきが少なく、イントロのベル音は澄み切っています。さらに下手なピュアオーディオ機器でありがちな高域の誇張感がなく、ベルの響きが滑らかです。 低音はシッカリ出ますが、収束がやや早く音が乾いています。A1040はこだわりのディスクリートパワーアンプを搭載しますが、デジタルアンプのようなやや乾いた低音です。 ボーカルは伴奏から分離して、中央に綺麗に定位します。声のトーンはピュアオーディオ機器で聞くときと変わらず、AVアンプで聞いているという違和感はまったくありません。これでもう少し艶があれば完璧です。
「DSP(ボトムライン)」 響きのあるホールで歌うようにボーカルに若干エコーがかかり、伴奏より一歩前に定位します。かなりDSPが効いているその音は少しわざとらしい感じがしなくはありませんが、YAMAHAが提案するDSPの楽しさが伝わります。 この曲と「ボトムライン」の組み合わせは、実際にクラブでコンサートを聴いているような雰囲気が出て私は好ましいと思います。低音部分にも少し響きが付いてテンポに余裕が出ます。アルコールが入っているような、リアルなライブ感が演出されました。
「ステレオ」 最近、試聴機として届けられた3社のPC関連のUSB-DACやヘッドホンアンプの新製品を聞いたのですが、どれもこれも判で押したように高音が金属のように硬く、単調でヒステリックなその音で交響曲はとても聴けたものではありませんでした、そういう音はきっとアコースティック楽器の生演奏を聴いたことがない人が作ったのでしょう。試聴用に収録されていた音楽はみな、メタル系のロック?よく分かりませんが激しくうるさいだけの音楽でした。それらの機器で私が普段聞くる音楽を聞くと頭が痛くなり数分と聞いていられませんでした。一応、試聴レポートも書いたのですが、悪口雑言ばかりだったのでお蔵入りにしたほどです。 YAMAHA初期のAVアンプもそういううるさくて雑な音でしたが、それがRX-A1030で劇的に改善しRX-A1040に至っては本格的なクラシックも十分聞ける音に仕上げられていました。これは驚くべき急速な変化です。 RX-A1040は高音と中音低音のバランスに優れ、バイオリン、チェロ、コントラバスの特長も良く出ます。交響曲のポリフォニックの構造がAVアンプで再現できるのは素晴らしいと思います。こういう「大人の音」は、意図的に音を作らなければできない音です。この音であれば、少々音にうるさい音楽マニアからも文句は出ないと思います。 「DSP(ミュンヘン/ウィーン/チェンバー)」 「リスニングルームでホールトーンの響きを実現する」この思想は、YAMAHAが1986年に世界で始めて発売したDSPプロセッサー「DSP-1」で彼らが実現しようとした「夢」でした。しかし、当時のDSP(Digital Signal Processor)演算精度(たぶん16bit)では演算を行うと音が痩せ、彼らが考える音質向上は実現しませんでした。それから一年後ドルビーもDSPにチャレンジしましたが、結果は同じでした。 DSPは「小さい音(エコーなど)」を作り出す技術です。CDの最大音量は16bitですが、微小音量は数bitで表現されます。この僅か数bitしかないデーターをロスなく演算するためには、DSPは16bitよりも高い精度が必要です。DSP-1が成功しなかったのは、当時のDSPの精度が低すぎためです。しかし、その後のLSI技術の急速な進歩によりDSPの演算精度は24bitに向上し、近年遂に32bitに達しました。 AVアンプが搭載するDSPの演算精度が32bitに高められたことで、RX-A1040ではDSP演算前後で弦楽器の繊細な音がほとんど変わらないのです。YAMAHAはDS-1の発売に際し、実際に世界の著名なホールに出向いて残響データーを測定しています。その生データーがプログラムされているのがRX-A1040に搭載されるDSPです。※YAMAHA DSP スペシャルサイトはこちら YAMAHAが保有するどのデーターが使われたのかどうかは分かりませんが、RX-A1040が搭載するこの3つのDSPプログラムはかなり良くできています。若干「効きすぎる」違和感はありますが、十分に音楽を楽しむ助けになると思います。また、異なるホールで演奏を聴いている気分になれるのも嬉しいことです。 BDプレーヤー HDMI接続 音質テスト(音源はCD) iPod Touchとの組み合わせで一通りのジャンルを聞いた後、AIRBOW UD7007 Specialにそれぞれのディスクをセットし、iPod+USBとUD7007 Special+HDMIの音質を比較しました。ヒラリー・ハーンのバッハコンチェルトは、ハイブリッドディスクなのでSACDレイヤーを聴いてみました。 A Child is Born / Junko Mine ”My One and Only Love” 「ステレオ」 CDをステレオモードで聞いていますが、iPod+DSPで聞いていたときのように音が大きく背後まで広がります。 ピアノの響きは一段と美しく、ボーカルもまったく別人のように魅力が増しました。リズムの緩急と音の強弱が明確になり、楽曲の表情が一変します。 もちろん、ピュアオーディオ機器と比べると再生周波数帯域の上限と下限が伸びきらず、ピアノの重厚感が不足気味です。また、ボーカルも今一歩艶が足りず、唇の濡れたイメージが希薄です。けれど、入力機器を変えたことで、RX-A1040の魅力はさらに増し、一瞬我を忘れて聞き惚れるほど魅力的な音でJazzが鳴りました。 Ballad Collection Mellow / DOUBLE ”Stranger” 「CD:ステレオ」 それぞれの音の表現力と分離感が向上し、音質は大きく改善しています。演奏とリスナーの間に引かれていた、カーテンが開いてスッキリと見通しが良くなりました。 CD+プリメインアンプで30-40万円相当のピュアオーディオ機器の音質に匹敵する感覚の良い音でストレンジャーが鳴りました。 「DVD:ステレオ」 このソフトにはCDだけでなく、DVDソフトが付属しています。追加でDVDの「音」を聞いてみました。 今回テストに使ったAIRBOW UD7007 Specialはカスタマイズによりオリジナルの音質を大きく改善し、DVDでピュアオーディオのCDプレーヤーと変わらない音質を実現た音楽再生・高音質BDプレーヤーです。 UD7007 SpecialとRX-A1040を組み合わせでDVDを聞くと、高域がCDよりも明らかにきめ細かく、スムーズで魅力的に感じられます。 サンプリング周波数が44.1kHzから48kHzに拡大されたことで高域の強調感が解消し、音の広がりや音楽の表情に自然な深みと艶が出ます。 映像もきめ細やかで美しく、画面を見ながら音楽を聞いていると、別世界にトリップしている気分になれます。この美しい映像と音楽がマッチした世界を味わってしまうと、映像のない世界で音楽を聞くことを忘れるほどです。かなりインパクトのある経験です。 「SACD:ステレオ」 少し話がそれますが、CDとSACDの規格を定めた国内メーカーはご存じだと思います。CDの発売時には「レコードより音が良い」、SACDの発売時には「CDよりも音良い」と彼らは声高に主張しました。それは間違いではありませんが「CDには入っていない音があるから、ハイレゾやDSDでなければ音楽を楽しめない」という、彼らの主張には「強い憤り」を感じます。彼らの主張が正しいなら、音楽ソフトはすべてSACDに変わっているはずです。現実はどうでしょう?SACDは疎か、CDさえ売れなくなりました。音楽を楽しむためには、MP3でも十分です。自社の利益のため、何度厚顔無恥な嘘を繰り返せば気がすむのでしょう。彼らの力なら、真実を確かめようとしない稚拙なメディアを巻き込むのも容易です。自らの思い込みを主張するのは勝手ですが、大声で社会のため、音楽のためにならない嘘をつくのは絶対に止めて欲しいと思います。 話を元に戻します。データーがiPodに収録していたCD(WAV)からSACD(DSD)に変わり、さらに再生機がiPod touchからUD7007 Specialに変わったことで、音の細やかさは格段に向上します。最新ピュアオーディオ機器ではCD/SACDの違いがかなり小さくなっていますが、DVD/AVアンプの世界ではCDとSACDの音質の違いは明確です。また、BDに記録されたハイレゾの音もCDを明らかに超えています。その理由を説明すると長くなるのでここでは省略しますが、SACDや録音の良いBDを再生した場合、RX-A1040は同価格のピュアオーディオ・プリメインアンプとほとんど遜色のない音質を発揮します。 弦楽器の音はみずみずしく張りがあり、低音はしっかり出ます。まるで同じ曲が、違う楽器で演奏されているようです。1楽章と2楽章の雰囲気の違いも驚くほど明確に再現されるようになり、BDプレーヤー+AVアンプということをまったく意識せず、音楽に浸ることができます。さらに特筆すべきは、このディスクの「録音の悪さ」に左右されず、音楽が実に美しく再現されることでしょう。 お世辞抜きによい音でヒラリー・ハーンのバッハ・コンチェルトを楽しめました。 試聴後感想 多くのメーカーの配布するアプリが、「動作反応が遅い」、「楽曲の選択からリストに戻ると表示がリストの先頭に戻る」、「表示される機能の選択が適切でない」など、使い勝手や動作に問題を感じることが多い中で、RX-A1040が採用するYAMAHAアプリの使いやすさは抜群です。スマートホンが標準で搭載するアプリを操作するのとほとんど変わらない印象で、初見でもRX-A1040をスムースに操作できました。直感的に使えてしまうこの便利なアプリからの操作に慣れてしまうと、付属のリモコンを使うことはなくなるでしょう。私が使っている第5世代(音質テストは第4世代で実施)のiPod touchは、2万円以下で入手できます。画面が大きいアンドロイド端末は、それよりも安く入手できます。電話や通信機能を持つスマートホンの共用に抵抗を感じられるなら、電話機能を搭載しないスマートタブレットを一台購入しておかれるとRX-A1040の操作に便利だと思います。 音質に関してもRX-A1040はRX-A1030の長所を受け継ぎながら、さらに細部に渡りブラッシュアップされている印象を受けました。DSPは少々自己主張が強すぎる傾向を感じますが、YAMAHAらしく高音質で使えるプログラムが搭載されています。RX-A1040はDSPを使うことで、2chソースをさらに魅力的に聞かせます。プログラムを選べば、その日の気分で楽曲の雰囲気を変えることも可能です。一つの曲の魅力を高めるだけでなく、違う曲として何度も楽しめるDSPはYAMAHA RX-A1040の大きな魅力の一つだと思います。 最近は、SACD/MULTIを楽しむためのピュアオーディオ機器を見かけなくなりましたが、RX-A1040とAIRBOW UD7007 Specialの組み合わせなら、初期のSACD/MULTIピュアオーディオ製品よりも高音質にSACD/MULTIを楽しむこともできるでしょう。 重量がやや軽く、外観が若干チープなRX-A1040ですが、その音質と使い勝手は上級モデルRX-A3030に匹敵するばかりではなく、各社が発売するフラッグシップモデルAVアンプに比類するほど素晴らしいものです。 不思議に思うのは、2Kテレビを4Kテレビに買い換えるよりも価値が高いと感じられる、多機能で高音質なAVアンプがあまり売れていないことです。YAMAHA RX-A1040の「メーカーサイト」をご覧頂ければ、RX-A1040に込められたYAMAHAの熱意と良心が伝わるはずです。RX-A1040のメーカー希望小売価格が13万円(税別)というのは、にわかに信じられないことです。 2014年8月 逸品館代表 清原裕介 |
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