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AYRE エアー CDプレーヤー CX-7eMP プリメインアンプ AX-7e 試聴 音質評価 販売 展示 価格CX-7eMP(メーカー希望小売価格 57万円/税別) ・ AX-7e(メーカー希望小売価格 57万円/税別) 逸品館が企画する「2016年決算処分市」でご案内させて頂くための「特価商材」を探していると、AXISSから「AYRE」のCDプレーヤー「CX-7eMP」とプリメインアンプ「AX-7e」の提案がありました。 「AYRE」の製品は、初期の高価な「セパレートアンプ」や、彼らが得意とする「USB DAC」以外あまり試聴したことがなく、また全体的に、やや「軽く・薄く」感じられる音質の傾向が私の好みでなかったこともあり、「AYRE」というブランドへの期待はそれほど大きなものではありませんでした。 しかし、いかに「生産完了モデル特価品商材」とはいっても、まったく聞かずに高級品を販売するのは、いただけないと思うので(当たり前のことです)、早速試聴機の手配をお願いしました。 届けられたCDプレーヤーと、プリメインアンプを開梱し取り出すと、アンプの「入力ポジション表示が絵文字になっている!」ことや、とシンプルだけれど質感のフロントパネル、凝ったスピーカー出力ターミナルなどに「AYREらしい独特なこだわり」が感じられますが、使い勝手は?なように思えます。CDプレーヤーもパネルの加工をプリメインアンプと同一にしているため(コスト的なものだと思います)スイッチの配列は、やはり若干使いにくいように感じられます。私はこういう「使い勝手を犠牲にするデザイン」があまり好きではありません。そして電源を投入し、直後に出てきた音は、今までの「嫌な感じ」がそのまま的中するような「レンジが狭く」、「解像度が低く」、「薄くて表情に乏しい」、それは、それは酷い音でした。 けれどCDを1枚連続で聞いていると、ぐんぐん音が変わって来るではありませんか? 1時間ほど聞いていると、高域の鈍さ、見通しの悪さ、解像度感の低さ(明瞭度の低さ)が大きく改善しました。中域にも独特な厚みが出てきています。今聞いている音は、ワイドレンジで中域が薄いと思っていた「AYRE」の私のイメージとは、全く違います。そこでさらにもう1時間聞くと、高域の見通しがさらに改善しました。けれどこの「改善」は、まだ先があるように感じたので、念のためCDをリピートにして24時間連続再生してから、音質評価を開始することにしました。 試聴環境 試聴スピーカーには、Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)を使いました。 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (生産完了モデル) 試聴したソフトは、いつもの5曲です。CDを聞きました。
試聴後感想 今回の試聴では、CDプレーヤーとアンプを「温める」ため、ほぼ丸一日「古いJAZZ」を聞いていました。インストルメンタルのJAZZは、仕事の邪魔にならないし、古いJAZZは楽しくて仕事の効率を上げてくれる(気分を上げてくれる)からです。 こういう「ビンテッジ時代」JAZZには、「Mcintsh」のゴージャスな音がはまります。「AYRE」は、あのレトロな「Mcintsh」とはまったく異なる斬新な外観とサーキットデザインを採用していますが、出てくる音はなんと「Mcintsh」に近く感じられます。もし、このコンポのフロントパネルが「ブールーガラス」だったら、私はこのコンポを「Mcintsh」と思ったかも知れません。それくらい、音のバランスが似ています。最初にかいたように、私はこれまで「AYREの音」は、薄味だと思っていました。けれど、違ったのです。 なぜそんな音が出るのか?試聴機に添付されていた「AYRE」CDプレーヤー CX-7eMPの「MPデジタルフィルターの解説」を読んだとき、その音質のヒントがつかめたように思います。
DACには、CDに記録されたPCMデジタル信号をアナログ化するとき発生する「高周波成分(元の音源には含まれない22kHz以上の周波数成分)」を遮断するためのアナログフィルーターの負担を軽減するため、この高周波成分の周波数をデジタル領域の演算により、さらに高くするための「デジタルフィルター」と呼ばれるアルゴリズム(計算式)が用いられます。 このアルゴリズム(計算式)を変えると、再生される音質が変化します。代表的なフィルターは「FIR」と呼ばれています。しかし、このフィルターを使うと再生される波形に僅かですが「リンギング(高い周波数の発信)」が発生します。そのため、ほんの少し音の角が強められ、「音のエッジが強調される」のですが、MPフィルターを搭載する「CX-7eMP」は、「リンギング」を発生しません。だから、普通のCDプレーヤーよりも「音が滑らか」なのでしょう。 CX-7eMPを今までに聞いたことがある製品に例えるなら、その柔らかさや滑らかさは、「ノン・オーバーサンプリングのDAC」に似ているように思います。なぜならば、ノン・オーバーサンプリングのDACはリンギングを発生する「デジタルフィルター」を使っていないからです。けれど、ノン・オーバーサンプリングだと高周波を遮断するための「アナログフィルターの高域遮断周波数を低く」せざるを得なくなり、そのため「解像度」が低下したり、「フィルターの共振(響き)」が可聴帯域に発生することがあります。CX-7eMPがノン・オーバーサンプリング機器と違うのは、アナログフィルターの負担を軽減するデジタルフィルターが搭載されているため、ノン・オーバーサンプリング機器が持つこのような「問題」がなく、解像度が高く、音の立ち下がりが速く、響きの消える時間が短く感じられることです。 しかし、レコーディングのプレイバック時や、レコーディングエンジニアが音を決めるために使う「スタジオに設置されるデジタル機器」には、ほぼ例外なく「FIR型フィルター」が使われています。つまり、エンジニアは「FIR型デジタルフィルターで輪郭が強調された音」を基準に音を決めているのであって、「MPフィルター」で、その「強調」が消えてしまえば、出てくる音は彼らの意図したものよりも「明瞭度が低くなってしまう」でしょう。 もちろん、音の輪郭の強調感はCDプレーヤーだけではなく、アンプやスピーカーでも発生しますから、CX-7eMPの音がどのように発揮されるかは、周辺機器との相性で変わります。 今回の試聴は、同じ思想で作られた「AYRE プリメインアンプ AX-7e」を組み合わせたので、輪郭が滑らかなその特長が、より強く発揮されたのでしょう。 後はそれが「好き」かどうかが、このコンポを選ぶかどうか、の基準になります。不思議な音ですが、このコンポにしかない魅力があると思います。 2016年3月 逸品館代表 清原裕介 |
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