試聴は、Esoteric G−0sによる「クロック外部入力のあるなし」を含め、3号館でさらっと行いました。
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P03+D03 |
88.1KHz・PCM接続(CD再生)
P70+D70で確立されたEsotericサウンドを踏襲していますが、より上品なイメージにリファインされ、日本製品とは思えないような、柔らかさや艶かさが加わっています。
ボーカルや生楽器の肉付きも良く、人気のあった旧モデルDACのD−3的な暖かさを感じるのが、P70+D70との大きな違いです。
リンダロンシュタットのボーカルは、やや肉付きが良くバックのストリングスなどとの立体感も十分。でも、ボーカルと楽器、奏者と奏者の間の「気配感」、「空気感」も十分に再現されます。
このテストの後で試聴機を購入しましたが、テストの時よりも更に音質に磨きがかかっているように感じます。UX1SEが、クリスタルグラスなら、P03+D03は、ミネラルグラスのイメージです。柔らかさ、ほんの少しの曖昧さ、ホットするような優しさがあり、これまでのEsotericの製品よりも遙かに上質かつ上品なサウンドにまとまっています。
著名な海外デジタルプレーヤーと比較しても、その音質はまったく引けをとらないどころか「細やかさ」、「ダイナミックさ」などの部分で優位に立ちます。ようやく、自信を持って世界に誇れるようなサウンドがEsotricから誕生しました。
特筆したいのは、その「自然さ」です。従来の日本製コンポは、どこか不自然で「技術の香り?」、「エンジニアの個性/エゴ?」を感じさせたものですが、P03+D03には良い意味でそれがほとんどありません。
音楽が好きな人ほど、生の楽器の音を良く聞く人ほど、従来のEsotericのサウンドの「硬さ」にはなじめないことがあったのですが、そういう方にこそ是非お聴きいただきたい、「一体どうしたの?」と言うくらい、一気に音が自然になっています。音楽を聴くのが楽しくなる、長時間聴き続けてもまったく違和感がない、価格も高いですが完成度はそれを上回ります。
2006年に追加発売された、映像出力のある[P03−Universal」にもその音質は受け継がれ、映像出力が追加された事によるデメリットは皆無。DVDビデオから迫真の音と映像を出力できる、真の高級DVDプレーヤーの誕生です。
PCM接続(CD再生)+G−0s
音色は変化しないが、G−0sの周波数を44.1−88.2−176.4と上げるに従って、解像度が増し、音の輪郭と音の芯がシッカリする。S/N比も向上し、明らかに音が良くなるのが感じられます。
ボーカルと楽器、奏者と奏者の間の「SOME THING」も確実に濃くなります。
DSD接続(CD再生)
PCM接続よりももっと柔らかくなりますが、解像度はやや低下し薄いベールがかかります。良質なマッチングトランスをラインに挿入したイメージです。
DSD接続(SACD再生)
情報量が圧倒的に増え、細やかな音が聞こえる。周波数帯域が上まで伸び、ステージの情報の音が聞こえるようになる。ホールの天井が高くなったように感じられます。
CDよりもON−MICな感じで、ステージや演奏者までの距離が近くなります。
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X−01 Limited |
CD再生
X−01に比較して、圧倒的に柔らかく立体感(奥行き感)に富み、良い意味で海外製コンポの持つ「味わい」が加わっています。
試聴には、Esotericの重役と営業が立ち会いましたが、P70+D70の音作りは、どちらかというと「オーディオマニア」に向けた、わかりやすい「ハッキリ、クッキリ」を優先させていたために、一部の「音楽ファン(私も含めて)」からの評価には結構厳しいものがあったそうです。(冷たい、金属的、平面的など)
それを謙虚に受け止めてX−01 LimitedやP03、D03では、音作りの方向性を質実剛健といった従来のイメージを踏襲しながら、グローバルで一般的な音作りのエッセンスを取り入れ、柔らかさ、艶やかさ、立体かんなどを充実させる方向へと変化を見せています。
リンダロンシュタットのボーカルでは、酷い言い方をするとスケルトン(骸骨)のように肉付きが感じられず、まるで真空の中で謳っているように聞こえた声が、良い意味で普通の肉体から出ているように聞こえるばかりか、ちゃんとした色彩感と色気があります。
その音質は、私の知るこれまでのEsoteric製品では、X−1sに最も近いように感じました。
CD再生(G−0sを追加)
G−0sを追加すると、透明度、明瞭度が大きく増加し、CDに収録されたレンジの「端っこ」まで全部見通せる感じがします。X−01 Limitedの持ち味に加え、P70,D70の持つ良い部分が加わる感じで、明らかに音質、表現力ともにアップしました。
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UX−1 Supreme emotion |
CD再生
X−01 Limitedよりも、さらに柔らかく透明度、立体感(奥行き感)に優れています。再生音の透明度、広がり感、滑らかさ、などは確実にX−01 Limitedを上回ります。(価格も高いですが)
UX−1 Superme emotionのサウンドには、CD特有の高域の歪み感が全くなく、同時に倍音の頭打ち感も完全に解消しています。これは、録音〜再生のプロセスを自分で試し、44.1KHz、16bitの限界を思い知っている私には衝撃的な出来事です。
CDに不可避とあきらめていた、高域の問題が完全に払拭されたことで、比較対象はCDではなく、高級レコードプレーヤーと良質なMCカートリッジの組合せ(ノッティンガム+チュバフォン)に広がります。
完成したこのプレーヤーの音を聴いたときに、スクラッチノイズとサーフェイスノイズを探している自分に気づいたほど、その音質はレコード近く、ついに本気で「レコードを手放しても良い」と思ったほどでした。
リンダロンシュタットのボーカルは、これまで聞いたことがないほど、繊細で滑らか、デジタル特有の粉っぽさとは完全に無縁です。ステージは広大で、2chで聞いているにもかかわらず、後方にも音は広がり、まるでサラウンドで聞いているように体が音場空間に包まれます。
(オーディオ担当の仲嶋も、2chでこれほどの音を出すのは並大抵ではないのに、CDプレーヤー単体でこの音質を実現するのはすごい!といっていました)
CD再生でありながら、出来の悪いSACDプレーヤーや廉価なSACDプレーヤーの音質、表現力を完全に凌駕します。
CD再生(G−0sを追加)
G−0sを追加すると、紛れもなくAIRBOW一族のサウンドだったUX−1 Supreme emotionが俄にEsoteric一族の仲間入りをして、X−01 Limited+G−0sの音質に近づきます。
Esotericの人も、不思議だね〜というくらい、G−0sの追加でEsotericサウンドのエッセンスが加わります。
また、UX−1はユニバーサルプレーヤーということで、G−0sの出力周波数は100KHzが推奨されていますが、この周波数は「音」との相性が悪く、44.1,88,2,176.4といった、CDの基本サンプリング周波数の倍数を入力するときに比べ、音の濁りが増え空間が不透明になります。下手をするとG−0sを繋がないオリジナルのサウンドよりも悪く感じられるほどです。
Esotericの方にさえ、今回のテストの中ではUX−1 Supreme emotion + G−0sのサウンドがP03,DO3+G−0sよりも好みであると言わしめるくらい、UX−1 Supreme emotionの完成度の高さが確認できました。
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