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Esoteric F05 プリメインアンプ 音質比較試聴 Esoteric F05 メーカー希望小売価格 700,000円(税別)
F05の概要
Esotericの最上級モデル”Grandioso” プリアンプC1からフルバランス・プリアンプ回路を、パワーアンプS1からAB級アナログパワーアンプ回路をそれぞれ継承し、コンパクトなプリメインアンプのボディーに凝縮しました。
プリアンプからパワーアンプまで完全バランス・デュアルモノラル回路を搭載し。徹底したチャンネルセパレーションと高S/Nを実現しています。
L/R、正/負のそれぞれに独立した4つの素子を持つ、高精度な電子ボリュームを搭載します。
高精度なボールベアリングが使われ滑らかに回転する、無垢アルミニウム材から削り出された大型のボリュームつまみが使われています。
MC/MM切替式、L/R独立電源・独立回路のデュアル・フォノアンプを搭載。
TI社のハイエンドチップセット、TPA6120A2を採用したパワフルなヘッドホンアンプを搭載。
電源部には、940VAの大型カスタムEIコア電源トランスを採用。 試聴環境 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) AIRBOW K05X Ultimate (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) AIRBOW MSS-i5 MsHD 6.7
試聴は、スピーカーにVienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)、プレーヤーにAIRBOW K05X UltimateをUSB接続でMSS-i3 MsHD6.7に繋いで行いました。 試聴したソフトは、いつもの5曲です。CDとそれをリッピングしたWAVファイルを聞き比べました。 せせらぎ セレナード Esoteric全製品に通じる、音作りでまとめられている。 モナリザ ボーカルとギターの関係性もきちんと再現される。個々の音を聞いていると、かなりレベルが高い。 この試聴の前に、スピーカーとプレーヤーは同じ組み合わせでアンプをAIRBOW
PM11S3 Ultimateで聞いた時と比べて、色彩がやや薄く「その場の空気感」や「雰囲気感」がやや薄い。せせらぎが、生命感の薄い「ジオラマ」に感じられたのも同じだと思う。 500Miles 最新のEsoteric製品は「過渡特性の良さ」を盛んに謳うたっている、しかしF05の聴感上の音の立ち上がりはそれほど早くはなく、楽器のアタックはやや角が丸く「マイルド」に感じられる。モナリザでは「ギターのアタックの先端がほんの少しだけ丸く」感じられたし、500Milesでは「ピアノの打鍵感」やはり「まろやか」になった。 ピアノの打鍵感(アタック)が丸くなるので、「右手と左手の音」の分離がやや悪く、特に左手の音(ピアノの低音)は量的には出ているものの、音階がやや不安定でグランドピアノの厚みも出にくい。 ピアノの倍音もやや高域寄りで、実際に演奏されているピアノの音色よりも、僅かに金属的な質感が強められているようなイメージがある。 新世界 楽器の変化や、音楽の流れは精密で細かく再現され、ハーモニーの雰囲気も良く、良い音だと思うが、生演奏とは違っている。 試聴後感想 それから私は、縁あって指揮者に師事しあらゆる「生音を覚える(記憶する)」事ができたのですが、確かにその前後で音の聞こえ方や感じ方がハッキリと変わったように思います。生音をしっかり記憶したことで、スピーカーから出てくる音が「生音を基準にどれくらい違っているか?」はほぼ瞬時に判別できます。また、その違いを知ることで「どのソフトがどのような音で鳴るか?」も瞬間的に理解できるようになりました。 日本人の多くのオーディオファン、あるいはオーディオ機器を開発、音決めしているエンジニアも、日常的に「生音」を聞く機会はそれほど多くないと思います。もちろん「ピアノ」や「ギター」なら、誰でも聞いたことがあると思いますが、バイオリンやチェロなどの弦楽器を間近で聞いた経験はほとんどないと思います。 「生音」を基準とするならば、今回試聴したEsoteric F05の音は、それとは明らかに違っています。 高域はクッキリしてライブでは聞こえない細かい音までハッキリと聞こえるのに、楽音の立ち上がりは生音よりも明らかに遅い(アタックが鈍い)のです。生楽器と常に接している方が聞けば、F05の音は「何か足りない」あるいは、「何か違っている」と感じるでしょう。 けれど、Esoteric色に染められたその「人工的」な音は、嫌な音かと問われれば、決してそうではなく、また長時間聞いていられないほど違和感が強いかと問われれば、そういうこともないのです。逆に一部分(主に高域の明瞭度)が強調されたその音は、生音よりも繊細な感じで「面白い」、「音が良い」と感じる事もあるでしょう。また、人間は素早く環境に適応するので、F05だけを聞いているのであれば、何の不満も無く、良い音に感じられると思います。実際、今回の試聴でもこれという、大きな問題点は見つけられませんでした。 けれど、「生音」の雰囲気に近く、音楽表現に長けているアンプと聞き比べると、F05は音質には優れているが、色彩感や楽器の躍動感が少し薄いことに気がつくと思います。 生では聞こえないほど細かい音を聞くことを「良い」と感じるか? あるいは、生演奏と同じような「曖昧さ」があっても、生演奏を彷彿とさせるようなバランスを持つ音を「好ましい」と感じるか? 個人的にはこういう音も「あり」だとは思いますが、その答えによって、F05の評価は二分されるでしょう。 2016年7月 逸品館代表 清原裕介 |
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