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Phasemation フェーズメースション 真空管プリアンプ CA1000 音質 比較 評価 レビュー 試聴Phasemation(フェーズメースション) CA1000 (Phasemation CA1000と一緒に行った、Twenty26の音質テストを動画で見る) 真空管プリアンプ 音質試聴テスト Phasemation CA1000の特長(メーカーHPを加筆・編集して掲載) ・3筐体設計 Phasemation CA1000は、「CPUと電源」を搭載した電源ユニットと、「増幅回路のみ」を搭載するハーフコンポサイズのアナログアンプ部×2の3筐体で構成されます。特徴的な左右独立2筐体のアナログユニットに秘められた、リレー制御のハイブリッド・アッテネーターと管球式無帰還増幅が、アンプの存在を意識させないほどの圧倒的な臨場感、見通しの良いステージ、豊かな音楽性を実現し、あなたを未知の音の世界へと導きます。 ・電源部 まるでコントロールアンプのようなデザインをした電源部には、アナログアンプ部の信号切替と音量調整を行うためのリレーを制御するCPUと制御回路が搭載されています。アナログアンプ部は、この電源ユニットからのI2C(Inter-Integrated Circuit)通信信号を受けて、ソース切替、音量調整を行っています。電源部のCPU・制御回路は動作をするときだけ動き、それ以外の時は速やかにスリープ状態になるため、音楽再生時にアナログアンプ部に音質を損なうデジタルノイズが混入することがありません。 電源部の整流回路には、余裕のある容量を持つRコアトランスを搭載し、トランジスター・ダイオードのようなスイッチングノイズを発生しない整流管(5U4G)を電源平滑に用いています。さらにチョークトランスを左右独立に用意するなど、音質にこだわった贅沢な整流回路となっています。 ・アナログアンプ部 完璧なモノラル構成を実現するため、アナログアンプ部をハーフコンポサイズの2筐体に独立して収めました。 このアナログアンプ部は、オーディオ信号をノイズから隔離するためCPUや制御回路を持たず、Phasemationの特許技術であるハイブリッドアッテネーターのリレー制御は、電源部からの信号でコントロールされます。また、この音量調整機能には、Phasemationが誇るトランス技術が盛り込まれています。 増幅回路には、過渡特性に優れ音質に定評のあるECC803(12AX7)の無帰還SRPP型増幅回路に6922(6DJ8)の出力バッファを搭載し、真空管無帰還増幅ならではのダイナミックレンジの大きな艶やかで躍動感ある音質を実現します。 入力にはRCAとXLRをそれぞれ3系統搭載し、XLR入力には新設計の入力トランスが使われ、高いS/N比と高解像度を実現、微小信号まで完全に再現します。 出力にも新設計の出力トランスが使われ、徹底した低インピーダンス出力(100Ω以下)実現し、プリアンプとパワーアンプを繋ぐケーブルの影響を低減します。さらにアンプを経由しないハイブリッド・アッテネーターダイレクトの出力端子も装備し、様々な用途に対応します。 入出力端子には、高品質・高音質で定評のあるWBT/NEUTRIK社製を採用しています。 ・堅牢かつ質感の高い筐体 不要な振動を排除する為に、20mm 厚のアルミ材を削り出し各フロントパネルに採用。それぞれのカバーには3mm 厚のアルミパネルと1mm 厚の銅メッキ鋼板とのハイブリッド構造としました。 シャーシは2mm厚の銅メッキ鋼板とし、剛性を高めています。さらに筐体下にはウッドベースを追加。異種素材を組み合わせる事により、不要振動排除をねらっています。普遍性の高い風格のある仕上がりは、所有する喜びを裏切りません。 ・ワイヤレスリモコンを装備 音量・左右バランス・ミュート・入力切替の操作が可能な、ワイヤレスリモコンを装備します。 極太OFC導体を使う、高音質電源ケーブルが付属します。 AC 電源ケーブルx1本 リモコン×1個 DC 電源中継ケーブルx2本・制御通信ケーブル×2 本・GND 接続ケーブルx1本
試聴環境 今回の試聴は、3号館のリビングリスニングルーム(手前側の部屋)でSopla No.1を専用スタンドに乗せ、それをカーペットの上の直置きして行いました。 CDプレーヤーは、AIRBOW SA11S3 Ultimateを用意し、フロントUSBスロットに「audioquest Jitter Bug」を使って、CDから取り込んだ44.1kHz/16bitのWAVファイルを収録したUSBメモリを装着して音源とし、プリメインアンプにはAIRBOW PM11S3 Ultimateを使いました。 この接続で「Sopra No.1の試聴」を行った後、CDプレーヤーとプリメインアンプの間にPhasemation CA1000を挿入し、プリアンプの追加前後の音質変化を比較しました。 AIRBOW SA11S3 Ultimate 595,000円(税込) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら)
audioquest Jitter Bug メーカー希望小売価格 7,700円(税別) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) ↓ プリアンプ追加前後の音質を比較しました。 ↓ AIRBOW PM11S3 Ultimate 565,000円(税込) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) Focal Sopra No.1 1,160,000円(スタンド付き・ペア・税別) (現金でのお求めはこちら) (カードでのお求めはこちら) 試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルをUSBメモリーに収録し、audioquest Jitter Bugを併用して再生)
→ → → It Might As Well Be Spring 耳に聞こえる音が、大きく変わることはない。コンポーネントが持っていた、本来のバランスが変わることもない。 ウッドベースの弾み感、ピアノやギターとの掛け合いの鮮やかさ、ボーカルの声と発音の聞き取りやすさ。 あらゆる音が無機物から有機物に変わるような変化をする。 もはや、AIRBOWもFocalも存在しない。目の前にあるのは「ライブ」そのものになってしまった。 The Rose この曲でも、ポインシアナとまったく同じような変化を感じる。ピアノの音が格段に細かくなるわけではない。ボーカルのきめ細やかさが、格段に変わるのでもない。けれど「生々しさ」だけは大きく変わり、まるで生演奏を聞いているような音になる。 アンプを変えたり、アクセサリーを追加すると「文字にできる音の変化」が感じられるのだが、CA-1000がもたらす音の変化は、それらとは違っていて文字では表しにくいものだ。それは、ピアノの音の変化を文字にできるような、平井堅の声の違いを書けるような、そういう感覚がもたらされないからだ。 ピアノは「演奏の間」がまったく変わり、音が出始めてから響きが消えるまでの「変化の流れ」が一変する。 平井堅の声は、マイクが捉えオーディオ機器が再生したと分かる声から、生の声「そのもの」に変わってしまう。 コンポーネントの存在感が完全に消え、同時にAIRBOWで鳴らしている、Focalで聞いているという「印象」も消えてしまう。 生音との違いはもちろんあるはずだけれど、それはもはや「座席位置の違いで生じるもの」にしか感じられない。オーディオ機器の介在は、完全に消えてしまう。 こんな風に「コンポーネントの存在感を消してしまえるプリアンプ」は、同じ真空管アンプのEAR
912以外に知らない。 先に聞いた2曲と違って、この曲に使われているシンセサイザーには「生音(基準の音)」が存在しない。 イントロのシンセサイザーは、人間が演奏しておらず、シーケンサーによる自動演奏かも知れない。だから、CA-1000を追加しても、シンセサイザーの音が「生音に近づいた」という感覚はない。 違って感じられるのは「ボーカル」だ。アマンダ・マクブルームの声は、圧倒的に生っぽくなり、人間くささが増す。 伴奏とボーカルがそれぞれ「違ったものである」と認識が完全に切り替わる。「無機物」と「有機物」が明確に分類される。これがプリアンプを追加する前と、後との最も大きな違いだ。 自動演奏の部分は「アニメ」、ボーカルの部分は「実写」が組み合わされた「合成画像」のように感じられる。けれどその「合成画像」は、ミュージシャンが意図して作り出していることがハッキリと伝わり、この曲は空想(自動演奏の音)と現実(ボーカルの声)を組み合わせて作られている、新しい現実的な物語だと理解できる。 「Dreaming(夢見ている)」と言うこの曲名と今奏でられている演奏は、完全にマッチしている。こういう鳴り方でこの曲を聞けたのは、初めての経験だ。 Jupiter を二本のスピーカーを正三角形にセッティングしたリスニングポイントでこの曲を聞いていると、自然に手が動き、リズムを取る。そう、あたかも自分自身が「指揮者」になったように。 すべての音が命を与えられ、美しく、そして鮮やかに目の前で大きく躍動する。これほどの躍動感は「コンサートを座席で聞いて」いては、決して味わえない。他の観客の存在感、ざわつきや咳払いなどのノイズ、そして音を劣化させる距離、そういう「邪魔者」がすべて無くなってしまわないと、これほど音楽に集中できないからだ。 観客の存在感が消え、自分が舞台の上に立っているような感覚。だから、直感的に「自分が指揮者になったよう」だと感じたのだろう。 もちろん、生音と同じエネルギーが与えられるわけではないし、生楽器そのままの音がスピーカーから出てくるわけではない。けれど、聞いている人(リスナー)には、それが「偽物」であると分からない。一種のトリックがあったとしても、これは「生演奏」そのものとしか感じられない。 録音されて一度は無機物になってしまった演奏に命を与える、創生の力をCA-1000は持っている。 試聴後感想 CA-1000の試聴機が届いて、今回と同じ条件で電源を入れた直後は、味わいが薄く、それほど音も良くならない「日本的なプリアンプ」だと感じました。しかし、ものの30分も経たない間に、CA-1000の音は、様変わりします。そしてすでに1ヶ月以上CA-1000を聞いています。 結論は、「素晴らしいプリアンプに出会った」。この感動は、EAR 912を聞いて以来です。 私が知るPhasemationの製品は、「何か僅かに足りない」と感じられるものが多かったように思います。もちろんその「僅か」は、他メーカーの製品よりもずっと少なく、そのため私はこれまで比較論でPhasemationのアナログ製品を推してきました。けれど、CA-1000にはその「足りないもの」がないばかりではなく、「必要なもの」だけをすべて兼ね備えています。だから、CA-1000は絶対論でお薦めできます。 歴代のプリアンプで私がすごいと思う製品は、すべて「真空管式」でした。それは、真空管が持つ良質な響きと独特な暖か味が入力された音に再び命を与え、録音で止まってしまった「時間」を元通りに動かす力を持っていたからです。 歴代の真空管プリアンプで記憶に残っているのは、Audio-ResearchのSP-10(生産完了モデル)、そしてEAR 912です。今日ここに「Phasemation CA-1000」が加わりました。さらにCA-1000が、先に挙げた海外2機種の真空管プリアンプと違っているのは「存在を全く感じさせない」という所です。 Audio-Research SP-10には、磨き抜かれたような高音の美しさと抜けの良さという魅力がありました。 EAR 912には、独特の響きの良さ、余韻の美しさという魅力を持っています。 言い換えるなら、それぞれのアンプは独自の魅力という、「存在を主張する音」に仕上げられているのですが、CA-1000にはそれがなく、好きとか嫌いとかを超越した次元での「生々しさ」だけが感じられます。あえて言うなら、それが「真空管プリアンプ」であることすら感じさせないほど、「無個性」に仕上がっています。 けれど個々で言う「無個性」とは最大の褒め言葉で、その音は驚くほど生々しく、心を鷲づかみにするのです。 TADの製品もそれに近いところがありますが、それはあまりにも録音に忠実すぎて、時に窮屈に感じられることがあります。また、ソフトを選ぶ傾向が強く、良い物はより良く、そうでない物はそれなりにすら鳴らさない、厳しさも兼ね備えています。 CA-1000にはそれがなく、ソフトの粗を完全に消し、録音されている(録音したかった)生演奏の雰囲気だけを、ものの見事に醸し出します。それは、CA-1000がTADとは異なる思想、異なる技術的アポローチから作られているからでしょう。 真空管を使ったからこそ、こんな人間的な音が出るのかも知れませんが、それにしてもCA-1000の音は、驚嘆に値すると思います。 CA-1000は私が聞いた中で、過去最高のプリアンプの一つに違いありません。 少なくとも日本製のプリアンプの中では、真空管・トランジスターという方式の違いを超えて最高の製品の一つでしょう。 これは素晴らしいプリアンプです。もし250万円をコンポーネントに投資できるなら、騙されたと思って一度聞くべき製品です。オーディオで「生演奏を再現したい」とお考えなら、絶対に気に入っていただけると思います。 Digital Domain B1a(生産完了)、TADに続き、世界に誇れる日本製品にまた一つ出会えたことが、素直にとても嬉しく思えます。 2016年7月 逸品館代表 清原裕介 |
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