REGA BRIO (レガ、イギリス製・プリメインアンプ)Integrated Amplifire REGA BRIO
箱から取り出してまず感じたのは、「軽い」そして「スタイリッシュ」。 カタログの「REGA社独自のカスタムビルドの一体型アルミニウム無共振ダイキャストボディー」の謳い文句は伊達じゃない。海外製品独特のセンスでうまく作り込まれた「シルバーの外観」は、「日本製品と同等の質感」を感じさせる非常に優れたもの。「知的センス」が高く、「イギリス製品らしさ溢れる」好感の持てるアンプだ。 スイッチやボリューム、セレクターのノブなどの工作精度や質感も十分に高く¥69,800(税別)の標準価格以上の満足感がある。音質はよいけれど、外観は・・・というありがちな海外製品のネガティブな一面を持たないのは非常に嬉しい。特に、イギリス製品は「チープな外観(個人的には嫌いではないが)」の製品が多い中で、世界的な水準(特に日本人の外観や質感に対する要求は高い)を十分に満たす作りの良さは、大いに誉められてよいと思う。 それにしても、本体重量が僅か5Kgというのは、「重厚長大を良し」とするオーディオ製品では異例の軽さだ。実際、箱から取り出すときの「軽さ」には拍子抜けしそうに驚いた。これでは「いくら無共振ボディー」といっても「若干の泣き」は避けられないはずだと直感したが、実際はどうなのだろう? CDプレーヤーには、愛機AIRBOW CH7700Super2。スピーカーには、最近特にお気に入りの[PMC OB1]を使って、聴いてみた。ディスクは、聞き慣れたポップスの「カーペンターズ」。電源ケーブルは、まず標準添付品を使用した。 電源投入直後の音は、一聴して[中高域の透明度の高さ]を感じさせるが、[高域にバランスが偏り]・[やや高域が荒れた感じ]があって正直聴き疲れしそうな音だった。しかし、2〜3曲経過すると中高域に[暖かさ]と[滑らかさ]が加わると同時に、不足気味だった[低域の量感]が増し、バランスの取れた[おしゃれな外観に見合う軽やかで明るいサウンド]が流れ出し、ひと安心。そのままディスクを最後まで聴いたが、それ以上の変化は起こらなかった。 このアンプで聴く、カレン・カーペンターは「スレンダー」で「明るく」そして「さわやか」。年齢もジャストに感じられるが、彼女の持つ「暗さ」が表現されない。やや作られたような、非日常的な美しさを感じる。それは「美しい外観」から感じられるイメージそのものだ。 このアンプの音を人間に例えるなら、知的でセンスが良くスマートで頭の良さそうな青年を想像させる。カタログ写真の「REGA社オーナー/MR.ROY GANDY」から感じられるイメージそのままの音だ。何でもスマートにこなし、辛いことや苦しいことからは「するりと身をかわす」そんなイメージの音に聞こえる。綺麗だけれどやや軽く少し軽薄な印象もあるが、価格的には十分に納得できる音質だ。 ライトなクラシック(室内楽/オーケストラは低音の量感がやや不足するかも?)や軽快なPOPSにマッチするだろう。JAZZもねっとり、こってりしたものではなく、フュージョンに近いような軽快な曲がマッチしそうだ。 試聴を終える前に、電源ケーブルを近くにあったAIRBOW CPSC−Lに交換してみた。・・・!驚くほど音が変わった、カレン・カーペンターの声に「愁いを帯びた女性特有の哀しさ」が感じられるようになったし、前後方向の音の分離感や広がりも良くなった。バックのハーモニーとのマッチングも改善された。 低域の軽さだけは、まだ残っていたので「コーリアンボード」と「AIRBOW WOOD−BOY/KM」を使って足元を固めてみたが、これは功罪両面があった。バランスが取れしっとり感が出た反面、音の響きが若干曇り、それまで感じられていた抜けるような開放感が殺がれてしまった。曲によっては、こちらの方が良い場合もあるので、この結果は「好き嫌い」で判断して良いと思うし、適当に設置しただけなので、足下を更に工夫すれば「ベストなバランスのサウンド」を得ることは難しくないだろう。 結果としてわかったことは「電源ケーブル」や「インシュレーター」などに対し「非常に敏感に反応する=セッティングで音が変えられる」ということ。このような「センシティブ」な反応を示すのは、筐体の軽さと無関係ではない。つまり、軽いが故に「振動」しやすく、インシュレーターで音が変わりやすい。そして、「軽い=シンプルな回路」は、電源の室がそのまま音質に反映しやすく、電源アクセサリーで音が大きく変わりやすい。使いこなしで音を変えられる、工夫しがいのある製品だ。 室温が「27度」の時、ボディーは「室温とほぼ同等の温度]でしかない。つまり、ほとんど発熱しないと言うことだから、狭い場所に入れてしまっても問題はないだろう。 国産アンプの「四角い外観」に「飽き飽き」している人。国産アンプの「閉鎖的なサウンド」から抜け出したいとお考えの人。「音楽/オーディオともっとおしゃれに付き合いたい」とお考えの人などに、自信を持ってお薦めできる、なかなか良いと感じた製品だった。 2004年5月30日 清原 裕介 |
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