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TAD E1、YG Acoustics Carmel 2、MAGICO Q1 音質 比較 価格 販売 試聴 評価 評判 レビュー TAD E1、YG Acoustics Carmel 2、MAGICO Q1 音質比較のページです。このページは、オーディオ専門店(株)逸品館が作成いたしました。ハイエンドスピーカー 3モデル TAD E1 、 YG Acoustics Carmel 2 、 MAGICO Q1 音質比較テスト
2015年3月、YG Acousticsからエントリーモデル「Carmel 2」が発売されたのを期に、価格が近いお薦めモデル「TAD E1」、氏素性が似ているので比較されやすい「MAGICO Q1」の3モデルの音質比較テストを行いました。このテストは文章による評価に併せて「YouTube オーディオ逸品館チャンネル」にアップロードした高音質付き動画で音質をチェックして頂けます。 テストには、逸品館 3号館に設置している「リファレンスシステム」からCDプレーヤー TAD D600、プリアンプ TAD C600、パワーアンプ Digital Domain B1aを選んで使いました。 CDプレーヤー:TAD D600(お問い合わせはこちら) プリアンプ:TAD C600(お問い合わせはこちら) パワーアンプ:Digital Domain B1a(BTL×2)(お問い合わせはこちら)
音質テスト使用機器と、試聴環境ご紹介動画
試聴ソフト 音質テスト TAD(Technical Audio Devices)は、元々はPioneerの業務機のブランドでした。主な製品はスピーカーのユニットで、各社の高級モニタースピーカーに使われ定評がありました。Pioneerの高級オーディオ機器ブランドでは「Exclusive(エクスクルーシブ)」が有名ですが、そのスピーカーにTADユニットが使われていたことはオーディオマニアの間では周知です。その後、Exclusiveの消滅に伴い、TADは業務機器だけではなく、Pioneeの高級オーディオブランドとしての役割を担うため独立したブランドとして分社します。2015年にPioneerのコンシューマ部門はONKYOに売却されましたが、TADはカーナビ事業と共にPioneerに残りました。
YG Acousticsのスピーカーの特長は、航空機グレードの強強度「鍛造アルミニウム」の塊からNC加工で薄く削りだした「ウーファーユニット(軽くて強い)」と同じく軽合金製の強度の高いエンクロージャー、そして高度な解析により生み出された「位相と周波数特性が完全にマッチした独自のネットワーク」にあります。デザインとマテリアルはいかにも「従来のスピーカーとは明らかに異なる高性能」を予感させるものです。
MAGICOは、一人のイスラエル人が「究極のスピーカーの製作」をめざして生み出した製品です。金属を使うキャビネットや最先端の素材などへのこだわり、そしてやはりイスラエル人が設計するYG Acousticsとは常に比較されるスピーカーです。けれどコンピューターによる高度な解析と理論に基づいて作られている「YG Acoustics」と、人間的な感覚(ヒヤリング)を重視しながら作り上げられた「Magico」の音質は、水と油のような明確な違いが感じられます。
試聴後感想 TAD(日本製品)、MAGICO(アメリカ製品)、YG Acoustics(アメリカ製品)、という3つのスピーカーを聞き比べて思うのは、その音の向こうに設計者の顔が透けて見えるMAGICOとYG Acousticsにくらべ、TADは「無個性」だと言うことです。 けれどこの「無個性」というのは、決して悪い意味ではありません。 MAGICOは、1996年にAlon Wolf(イスラエル生まれの当時45才)によって設立されたスピーカーメーカーです。彼は、有名なCGアーチストであり、工業デザイナーであると同時に熱心なオーディオファイルで、MAGICOの製品はその能力をフルに生かして最新技術によるCGモデリング及び高精度リアルタイム音響分析を利用して設計されています。そのエンクロージャーは金属を高精度に加工して作られ、MDFで作られたエンクロージャーよりも遙かに強度が高く、ウーファーの運動エネルギーをほとんど損なうことなくユニットの運動へと変換するためユニットのスタート・ストップが早いという特長があります。ツィーターはTADと同じく現在地上で最も軽い金属である「ベリリウム」が使われていますが、ウーファはMAGICOによって特別に開発製造された、現在地上で最も軽く浄土の高い繊維である「カーボン・ナノチューブ」が振動板に使われます。さらに現在最も強いマグネットであるネオジウムが組み合わされたこのユニットは、強度に優れ、軽く、放熱性も高くハイパワーの連続演奏にもビクともしないなどの大きな長所を持っています。また設計者のAlon Wolfは毎日4時間以上クラシック・ギターを演奏するプレーヤーであることが、MAGICOの音楽性を一層高いレベルに引き上げていると感じます。彼がMAGICOに込めた思いを共に綴った「技術解説書」は、10ページにも渡る細かいものですが、その内容は私がオーディオ機器の音を聞き、感じ、判断してきた指標と全く同じものでした。 YG Acousticsの設計者は、MAGICOの設計者と故郷(イスラエル)を同じくする、ヨアブ・ゲバ氏です。イスラエルと聞いて思い描くのは、軍需産業。中でもコンピューターのソフトウェアーとハードウェアーに関する技術水準は世界でも群を抜いていて、多くのハイテク関連製品(主に業務用)がイスラエルから輸出されています。ヨアブ・ゲバ氏は、軍に勤務しスーパーコンピューターを扱った経験から、スピーカー設計の最大のネックとなっている「位相特性」と「周波数特性」を完全にマッチさせるシミュレーションを編み出します。その他の部分も現在最高のPCシミュレーションによって最適化され、理論を高いレベルで現実化することに成功しています。 TAD E1とCarmel2/Q1が異なるのは正にこの部分です。TADには明確な「個人のストーリー」がありません。それは、TADが個人の思いによって作られた製品ではなく「企業のプライド」をかけて作られているからです。良い意味でも悪い意味でも「設計者の個性」が感じられる、YG Acoustics とMAGICOに対し、良い意味でも悪い意味でも「設計者の個性が希薄」なTAD。それは絶対的な性能として現れているのではなく「製品の個性」として音に再現されます。 TADの長所。それは圧倒的な「企業力」によって実現している、高性能と価格のバランスです。MAGICOと同じように「ユニット」から自社で生産し、さらにMAGICOがまだ成し遂げていない「蒸着」というベリリウムの加工において理想的な方法を採用しているにもかかわらず、その価格はQ1の1/2程度に収まっています。海外でのTAD製品は、国内価格の2倍近くに高騰します。日本製品だからこそ実現する、低価格と高性能の両立。それを確実に成し遂げ、海外でも高く評価されているTADもまた、YG AcousticsやMAGICOに一歩も引けを取らない素晴らしいオーディオ製品だと思います。 2015年3月 逸品館代表 清原裕介 |
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