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ローテル ROTEL RC1580MK2 RB1581 CLASSE クラッセ CA-M300 TAD タッド C600 D1000 プリアンプ パワーアンプ 音質 比較 評価 レビュー 試聴 ローテル ROTEL パワーアンプ RB1581 クラッセ CLASSE CA-M300 TAD タッド C600 パワーアンプ プリアンプ 音質 比較 試聴 評価 テスト レビュー 販売 価格プリアンプ・パワーアンプ 音質比較テストROTEL/ローテル RC1580MK2(プリアンプ) RB1581(パワーアンプ)CLASSE/クラッセ CA-M300(パワーアンプ)Digital Domain/デジタル ドメイン B1a(パワーアンプ)TAD/ティー・エー・ディー C600(プリアンプ)(その他の音質テストはこちら)ROTEL(ローテル)からモノラルパワーアンプ"RB1581"の試聴機(発売は2015年6月頃の予定)が届けられました。そこでD&MからCLASSEモノラルパワーアンプ"CA-M300"の試聴機を取り寄せて、プリアンプには、ROTEL"RC-1580MK2"を使い音質を比較しました。さらにメーカー希望小売価格が30万円に満たないRC1580MK2では、200万円クラスのパワーアンプには価格不相応と考え、メーカー希望小売価格 350万円のTAD "C600"をプリアンプに使い、RC-1580MK2との音質比較を行いました。続けてパワーアンプを3号館のリファレンス機「Digital Domain(デジタル ドメイン)B1a(BTL接続してモノラルパワーアンプとして使用)」に変えて、CLASSE CA-M300と比較しました。CDプレーヤーには、TAD D1000,スピーカーにはB&W 802 Diamondを使っています。 スピーカーにB&W 802 Diamondを選んだのは、ウォーミングアップを兼ねてB&W 802 Diamondと組み合わせて長時間聞いてみると、その相性が非常に良かったからです。それもそのはず、現在"ROTEL"と"CLASSE"は共に「B&W傘下の子会社」ですから、彼らは開発にB&Wを使っているに違いありません。すなわちB&WとROTEL、あるいはCLASSEは「純正の組み合わせ」なのです。これまで802 Diamondに様々なアンプを組み合わせて聞きましたが、ROTEL/CLASSEが一番「自然な音」で鳴らしてくれました。こんなナチュラルで暖かく、違和感のない音が802 Diamondから出たのは初めてです。 プレーヤーにEsotericK01Xよりも「マイナー」なTAD D1000を選んだのは、ウォーミング安比時に聞き比べてD1000の方が音質が自然でテストに向いているという理由だけではなく、音質でK-01Xを上回りながら外観・メディア露出度・スペックなどで引けを取るD1000がなかなか購入選択の俎上にのぼされないため、今一度クローズアップする狙いがあります。 スピーカー:B&W 802 Diamond 生産完了
テスト概要説明動画
試聴ソフト 音質テスト ・RB-1581の概要
RB-1581は電源トランスに、ROTEL開発・自社生産800VAトロイダルトランス、主電源平滑コンデンサーにイギリスBHC社の15,000MF品を4個搭載。出力素子に5パラプッシュのトランジスターを使い、最大出力500W(8Ω)を実現しています。大出力のモノラルパワーアンプですが、サイズは比較的小さく(一般コンポサイズで高さは150mm)、重量も19kgと一人で動かせる範囲内に留まっています。価格も安く、29万円(1台)と2台買っても最高級プリメインアンプとそれほど変わらないプライスが付けられてるのも嬉しいところです。入力はRCA/XLRが各1系統装備され、スピーカー出力は2系統用意されています(常時同時出力)。 ・RC-1580MK2の概要
RB-1580MK2はMM/MCに対応するフォノ入力、4系統のRCA入力、2系統のTAPE入出力、1系統のXLR入力、2系統のRCA出力、1系統のXLR出力を装備し、リモコン操作も可能な本格的な機能を備えながら、24万円という低価格を実現したプリアンプです。スペック上の歪み率が大きいのは、測定値を向上させるための複雑な仕組み(定電圧回路、高次のフィードバック)などが採用されていないためだと思われますが、良い意味で「枯れた(使いこなされた)」昔ながらのシンプルな回路を採用し、厳選されたパーツを奢ることで低価格と高性能を両立させるのは、ROTELならではの上手いやり方です。誰が聞いても、その価格を信じられないほどの細やかで滑らかな音を聞かせてくれるRC-1580MK2はとてもコストパフォーマンスの高いプリアンプです。
・CA-M300の概要 (CLASSEについて詳しくはこちらのページをご覧ください)
パワーアンプの作動温度とパフォーマンスの間には密接な相関関係があります。多くのオーディオ愛好家は、アンプの性能が最高になるのはアンプが「温まっているとき」だと言いますが、十分温まっているとはどのような状態で、どこからが「温かすぎる」状態なのでしょうか。CLASSEのパワーアンプはこの問題に対し、「パワーアンプの動作温度を精密に管理する」という答えを出しました。従来のパワーアンプは露出式のヒートシンクを備え受動的(自然空冷)により、作動温度を決めていました。しかし、この方法では気温だけではなく、リスニングセッション中の出力量によりアンプの作動温度が変化するため、理想的な動作温度を維することができません。オーディマニアが考える「暖まった理想的な状態」とこれまでのパワーアンプは、かけ離れていたのです。 Classe
の新しいデルタ・シリーズアンプでの放熱処理は IC Tunnelで行われます。これはセンサーとマイクロプロセッサーにより温度を精密に制御する技術で、高出力のレーザー機器や医療機器のヒートシンクよりヒントを得たものです。ユニット内に取り付けられた
ICTunnelにより、CLASSEパワーアンプの温度は能動的に制御され、常に最高のパフォーマンスと信頼性を実現する温度に保たれます。 この温度管理機能と放熱ファンを備えるため、CA-M300の放熱フィンは通常よりも小さく、常温ではアンプのウォーミングアップはすぐに完了し、適正温度に達するまでの時間は15分もかかりません。出力が大きい場合は、ファンが作動して適正温度が維持されます。これらはすべて、従来のヒートシンクではできなかったことです。
プリアンプをTAD
C600に変えて、CLASSE CA-M300とDigital Domain
B1aの比較試聴を行いました。
スピーカーとCDプレーヤーはそのままに、プリアンプをROTEL
RC-1580MK2からTAD
C600に変更し、CA-M300を聞いた後パワーアンプをDigital Domain
B1aに変えました。 スピーカー:B&W 802 Diamond(お問い合わせはこちらからどうぞ) CDプレーヤー: TAD
D1000(お問い合わせはこちらからどうぞ)
テスト概要説明動画
・C600の概要 TADのフラッグシップモデル"Reference Series"のプリアンプとして生み出されたC600には、TADの持てる技術の粋がつぎ込まれています。 TADの思想は「揺るぎなき高音質」。電源や回路はもとより、アンプの混変調の原因となる微振動さえ追放するため、C600は厚さ33mm、質量15kgのアルミニウム無垢材シャーシを使用した振動制御構造を採用しています。この一般的なパワーアンプさえ凌駕する「強固な土台」により、スピーカーなど外部からの振動がアンプを振動させることなく、さらに継ぎ目のない極厚シャーシは低インピーダンスで安定したアース電位を実現します。 C600は、電源トランスの振動や漏洩磁束が増幅回路や信号経路へ及ぼす影響を排除するために電源部が別筐体となっています。本体同様に強固なボディーを持つ電源部には、400VAクラスのオーディオ用「超強力トロイダルトランス」が搭載され、オーディオ信号の正確な伝送を実現しています。 C600の伝送回路には、入力から出力まで正負対称のフルバランス増幅方式が採用され、左右チャンネルに同じ基板を配置して同一の回路を構成としています。さらに配線の長さや処理までをも左右同一にし、左右のオーディオ基板を中央で仕切るフレームの中に電源や制御系配線を収納したセンターフレームシールド構造を採用しています。これにより、電源や制御系配線と回路基板の干渉を防ぎ、ボックス構造の高剛性と相まって純度の高い安定した音質と、完璧なステレオイメージを実現します。
(Digital Domain B1aについて詳しくは、こちらのページをご覧ください) ・B1aの概要 オーディオマニアなら誰もが知るアンプ作りの天才「ネルソン・パス」。彼は現在Pass LaboratoryとFirst Wattの設計を担当していますが、「First Watt」は、彼の生涯で得られたアンプ作りのノウハウを結集し「妥協なきアンプ(Final Answer)」を生み出すために自ら設立したプライベートブランドです。 その「First Watt」のフラッグシップに選ばれた「パワー素子(出力素子)」がSIT(静電誘導トランジスタ)と呼ばれる特殊なトランジスターです。詳しい説明は省略しますが、SITはMOS-FETをさらに進歩させた「真空管に最も近く、オーディオアンプとして理想的な出力素子」であるとされています。 B1aは、このSITをオリジナルのカスタムの半導体プロセスで製造して搭載し、さらにSITの特質を引き出すための新回路、音質にこだわったオリジナル単結晶太銀線による最短距離配線など、考え得る限りの高音質パーツが使われています。 さらにパーツ以外にもこだわっています。「パワーアンプの理想」とされる大きな電源、必要最小限の小さなコンデンサー、振動に強いシャーシーと放熱ラジエター、歪みの原因となるカップリングコンデンサーを使わないA
級DCアンプ、スピーカーとタイトに結合が可能な低抵抗OTL出力など、枚挙に暇がない高音質技術がつぎ込まれています。
試聴後感想 ROTELは、プリアンプ+モノラルパワーアンプの組み合わせ総額で高級プリメインアンプ1台分という「お安い製品」にもかかわらず、中低音の厚みや、音の広がりの大きさ(立体感)には、モノラルパワーアンプを使うセパレートシステムならではの実力の高さが感じられました。さすがに傘下の子会社だけのことはあって、802 Diamondとのマッチングに優れ、スピーカーやアンプの存在を感じさせることなく自然体で音楽を鳴らしてくれました。低予算でB&Wをきちんと歌わせたいとお考えなら、ROTELは検討に値すると思います。 CLASSE CA-M300はその大柄な体格とは裏腹な、繊細で癖のない音を聞かせてくれます。海外オーディオ製品が、ことごとく大幅に値上がりする中で、パーツメーカーという利点を生かし、低価格でリッチな性能のパワーアンプを提供するのはROTELと価格帯が異なりますが「コストパフォーマンスに優れる」ところで一致しています。初期のCLASSE製品は、上等なパーツを組み合わせただけで「情のない音」しか出ず、好みではなかったのですが、CA-M300は唯一欠けていたその「情」すら獲得し、欠点のない製品へと大きく進化していました。 TAD C600は、さすがです。淀みなく、癖がなく、そして情緒のあるその音からは、ストレート直球一本勝負の高最高級プリアンプの実力の高さが伝わりました。 TAD D1000は厳しいヒヤリングによって決められた動作ポイント、さらにその動作ポイントに対して最適な音質のパーツが選ばれていることで、音ではなく音楽が聞こえる仕上がりになっています。人によって聞こえ方の癖が違うので一概には言えないのですが、Esotericの音は若干明瞭度が高すぎるため常に「高音質」を意識させられます。作られた「良い音」も短時間ならここちよいのですが、長時間(一日近く)聞き続けていると疲れて、やがて聞き飽きます。同じ価格帯のEsoteric製品K01XとD1000を聞き比べると、D1000の方がおとなしい感じがするかも知れませんが、こちらはどれだけ聞き続けても聞き飽きることなく音楽を楽しめます。店頭での短時間比較試聴では、わかりにくいポイントです。 B&Wもどちらかと言えば「前者(聞き疲れる)」傾向を感じていたのですが、ROTEL/CLASSEの組み合わせではその気になっていた問題点が、嘘のように解消しました。だから、Esotericも相性の良い聞きと組み合わせれば、上手く鳴るのでしょう。 Digital Domain B1aは発売当初から私が高く評価しているお気に入りのアンプです。そのため採点は少し「甘い」かも知れません。けれど、世界で最高のアンプを作り出したいという、作り手の情熱(執念)がB1aの音には感じられます。「性能(スペックや技術の新しさ)」や「価格」で評価されることが多いオーディオ機器ですが、B1aのように「血潮の通った音」を聞かせてくれる製品がそれらよりも高く評価されるべきです。 オーディオ機器の選択は、音質、デザイン、数字で表せない部分で人の好みは千差万別、結局何がよいかは自分にしか決められないので、気に入った製品を「聞いて選ぶ」のが一番なのですが、一般の方は音を聞いてもそれがどんな音で、果たして自分にあっているかどうかの判断は難しいと思います。そんなときに参考にするのが「雑誌」や「マニアの意見」です。けれど「雑誌」や「マニア」は、機械のことは語れても「音楽と音の関係について」は驚くほど無知です。あくまでも主役は「音楽(演奏そのもの)」であって、機械ではないはずです。昔からそうですが、それが逆転しているのは残念な風潮です。もしそういう「機械主導主義」が改まれば、(機械オタク向けの、商業主義的オーディオ雑誌がすべて廃刊になって)本当の意味でオーディオ機器が音楽ファンに愛される時が来るのでしょう。 時々、漫画などで亭主がオーディオ機器でクラシック(フルトベングラー式の交響曲など)を聞いている横で、妻が顔をしかめ(この人はキチガイだ)みたいな場面を見るのですが、心が痛みます。なぜなら、フルトベングラーほど美しい音で(時には迫力のある音で)ベートベンを奏でられる指揮者はいないと思うからです。けれど多くのフルトベングラー指揮の交響曲は録音が悪く、セッティングの悪い装置で聞くとそれが「雑音」にしか聞こえません。決して高価な機器でなくても、フルトベングラーのなんたるかを感じられる音の出るオーディオ機器はあります。そして、そんな機器で亭主が音楽を聞いていたら、家人も側に来て耳を傾けることでしょう。オーディオ機器の性能は、価格では計れません。リスナーと音楽をどれだけ近く結びつけられるか、それが大切です。 音楽家とオーディオ技術者の「情熱」が融合したとき、音の世界が生まれ変わります。音ではなく音楽を聞くためのアンプをお探しなら、逸品館にお尋ねください。少なくとも音楽のなんたるかを知らない大企業の技術者が作る機器とは、ひと味もふた味も違う製品がここにはあります。 最後はなんだか宣伝のようになってしまいましたが、オーディオ機器は組み合わせで「化けます」。だからこれほど難しく、だからこんなに興味が尽きないのでしょう。 2015年4月 逸品館代表 清原裕介 |
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