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USB / LAN どちらの音が良い? そして、スタジオ向けインシュレーター「Moof PowerCell」音質チェックMoof PowercellMBN-N54LTD2、PM7000 SpecialLAN / USBどちらの音が良い? インシュレーターで音は変わる? をYouTube 逸品館チャンネルで見る。 CDが発売された1982年には、「ネットワークで音楽を聞く」ことなど想像もできませんでした。けれどそれから20年もたたないうちに、携帯電話で「着メロ」が大ヒット。もちろん、その当時はネットワークの速度も遅く、音質もCDとは比べものになりませんでしたが、最新のストリーミングサービスは、ハイレゾやMQAに対応し、データー量や音質でCDを超えつつあります。 いつでも、どこでも、すきなだけ、音楽を聞けるネットワーク・ミュージック(ストリーミングサービス)の台頭に「ディスクの時代」は、完全に終わりました。 けれど「光ディスク」を限界までしゃぶりつくしてきたオーディオマニアが、いくらハイレゾとはいえ「ネットワークの音」に満足できるでしょうか?彼らは利便性やコストを犠牲にしても、「少しでも良い音で聞きたい」と強く願うのです。 今まで「マニア」は、オーディオメーカーとその傀儡である「メディア」に懐柔されてきました。真偽はどうあれ、彼らはマニアに「情報」という餌を与え、十分なリターン(収益)を得るという「ビジネスモデル」が成り立っていたのです。 ディスク時代は「Win-Win」で成り立っていたこの関係は、インターネットの普及と共に崩れ始め、その「ディスク離れ」の危険を感じて、いち早く「ネットの海」に漕ぎだした「ONKYO(オンキョウ)」は、勝ち組になるどころか業界からの「追い風」すら受けられず、ついには消滅の危機に瀕しています。旧態依然とした「利益構造」から抜け出せない、オーディオ業界やメディアもいずれONKYOと同じ道を歩むことでしょう。 「企業」や「権威」が情報を独り占めしていた時代は終わりました。同時に発信する情報を「独占する」ことで、利益を享受するビジネスモデルは消失しつつあります。大衆は「情報」を求めるにもかかわらず、「本質を見抜く力」を持ちません。そういう大衆を踊らせ、「お金」になるページビューを稼げる情報は、驚くほどコンプライアンスの低い「三流週刊誌」のような内容ばかりです。。ニュースのコメンテーターを「お笑い芸人」が勤めるようでは、情報に「質」は望めたものではありません。豊かな文化は、豊かな情報という土壌に育まれます。情報の質が落ちると、「文化」が荒廃します。 「スマホ」の普及と共に、音楽は劣化の道を歩み始めました。言葉とリズムが主体でメロディーはどこかで聴いたような旋律ばかり。ハーモニーや音色という音楽に深みを与える要素が抜け落ちています。対極に高級オーディオ製品は、高くなるばかりです。今や、「オーディオ」という市場に育つのは雑草か、生命力の強い大木でしかありません。けれど土地が痩せてゆくのですから、大木もいずれ枯れるでしょう。 良い音と共に育まれる豊かな音楽文化の継承を目指し、逸品館は、高級オーディオ市場向けにはAIRBOWからミュージックPCという画期的なオーディオ機器(デジタルプレーヤー)をゼネラルオーディオ市場向けにはFunSoundsからBluetoothスピーカーを発売すると共に、インターネットを利用して「より良い音の素晴らしさ」を伝えようと試みています。インターネットの台頭で滅びつつあるオーディオの文化をインターネットの力で復活させようというところでしょうか。 そんな雑感はともかく、すでに「ストリーミング・サービスをより良い音で聞く方法」はかなり詳しくご紹介していますから、説明は省きます。今回はもっと簡単に、シンプルに、ネットワーク対応DACとPCを接続する場合、「有線LAN」と「USB」のどちらの音が良いか?、そして、そういう「デジタル」な方法と「インシュレーター(Moof Powercell)」という超アナログな方法の「どちらがとが良くなるか?」の聞き比べを取り上げてみました。 聞き比べの方法 LANとUSBの送り出し機には、AIRBOW ミュージックPC「MBN-N54 LTD2」を使います。スピーカーには、DALI OBERON1を使いましたが、これは「普及品のスピーカーでどれくらい音が変わるか」をお伝えするためです。OBERON1で音の違いが出るなら、だいたいどんなシステムでも同じように音が変わると思います。 アンプには、「ネットワーク」と「同軸/光」のデジタル入力を備える「AIRBOW PM7000 Special」を選びましたが、これは「簡単なD-Dコンバーター」を使い「USBから同軸デジタル接続」した場合の音質と、LAN入力の音質を比べるためです。 長年オーディオに取り組まれていらっしゃる方なら「高音質DAC(もしくはDAC機能付きCDプレーヤー)」を一台くらいはお持ちだと思います。しかし、古いモデルではUSB入力が装備されていないため「ストリーミングサービスには使えない(USB入力は使えない)」とお考えだと思います。ところがそんな古いDACでも安価なD-Dコンバーターを使うだけで、最新のUSB入力付きDACに勝るとも劣らない素晴らしい音が聞けるのです。昔の高級デジタル機器を二束三文で売りに出して、安物のUSB-DACを購入するくらいなら、安価なD-Dコンバーターを使う方が、遙かに良い音でストリーミング・サービスを聞くことができます。「お金をかけなくても良い音が聞ける」。メーカーやメディアが決して教えないそんな「裏技」を今回はご紹介します。 AIRBOW MBN-N54LTD 販売価格 385,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入) 4コアのi5をCPUに搭載し、高速接続の1TB SSDを内蔵するノート型のミュージックPCです。Linuxをオーディオ用にチューニングしたOS(MsHD)を搭載し、サーバーソフトに「Aseet uPnp」、USBプレーヤーに「Signalist HQ Player4」、さらにJ-Riverの最新版とRoon Coreがプリインストールされています(プリインストールされているソフトの総額は10万円を超えます)ので、細かな設定なしに電源を入れるだけですぐ使えます。さらに、このモデルには「専用外部電源(IDC-RMP18V2)」が付属しています。 AIRBOW PM7000 Special 販売価格 200,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入) PM7000 Specialは、マランツ伝統のHDAMRや電流帰還型増幅回路などの高音質回路を搭載するプリメインアンプ部に、HEOSテクノロジーに対応しハイレゾ音源(DSD 5.6 MHz、PCM 192 kHz / 24 bitまで)のネットワーク再生やAmazon Music HDやAWA、Spotifyなどのストリーミングサービス(※Amazon Music HD、Amazon Music、AWAをお楽しみいただくには有料プランのアカウントが必要です)の試聴が可能な高性能DACを追加した、高音質ネットワーク対応プリメインアンプです。 今回は、ストリーミングではなくMBN-N54LTD2に記録した、PCMデーターの再生で「有線LAN」と「同軸デジタル」を聞き比べました。 DALI OBERON1 メーカー希望小売価格 57,000円(ペア・税別) (現金で購入)・ (カードで購入) OBERON 1は、DALIの特許技術である磁気回路の歪みを低減するSMCテクノロジーをこのクラスでは初めて搭載することで、中音域の滑らかさやきめ細やかさを従来モデルより大幅に向上させることに成功し、新しい大口径のツィーターとウッドファイバーコーンのウーハーダイアフラムを装備により、クラス最高のサウンドクオリティを誇ります。 聞き比べ →有線LAN→ 最初にFLAC 96kHz/24bitのギター音楽を聞き比べました。最初の接続は、サーバーソフトに「Roon」、通信プロトコルは「AirPlay2」でMBN-N54LTD2とPM7000 Specialを接続して聞きました。 次にアマゾンで1万円すこしで購入できるUSB-DAC「TOPPING D10s」をMBN-N54LTD2に「同じ曲」をUSBで接続し、入力信号を「D10s」で同軸デジタルにコンバートしてPM7000 Specialに接続しました。USB再生アプリは「Roon」です。 →USB→→同軸デジタル→ 最後に「接続はそのまま」で、USB再生アプリをRoonからHQ Player4に変更し、96kHz/24bitを192kHz/24bitにアップコンバートして聞き比べました。 試聴結果 LANとUSBでは、音声を送る規格の成り立ちが違っています。LANは多くの機器を相互に接続するための規格ですが、USBは一台のホストに複数の端末を接続する規格です。信号(データー)の流れ方は、USBの方がシンプルでホスト側も信号の流れを制御しやすいと考えられます。特にUSBの音声接続では「アシンクロナス」という、音声データーを優先して流す機能も装備され、そもそもの音質がLANよりも有利なのではないかと考えられます。 この考えが正しいかどうかはわかりませんが、実際に聞き比べた感じでもLANよりも「USBの方が音が細かく、力強く」感じられました。USBと比べるとLANは高域がやや曇っているように感じられ、音場が濁っています。無線LANと有線LAN、あるいは無線LANとBluetoothでは明確な音質差が感じられますが、有線LANとUSBも同じような感じです。ただし、PCの通信技術は日進月歩で進んでいますから、将来的にはすべての接続で音質はさらに向上するでしょう。 技術が進んでも変わらないと思われるのは、同軸/光デジタル接続とは違って、LAN/USBではDACとの通信に使うソフトウェア(アプリケーション)で音質が大きく左右されることです。PCとDACを接続するなら、WindowsやMacに標準でついてくるソフトではなく、オーディオ用に特化した専用の高音質アプリを使うべきです。今回使った「Signalist HQ Player4」というアプリは、6万円ほどの価格ですが、RoonのUSBから切り換えることで、驚くほど音が良くなりました。その違いは、CDとSACD、通常音源とハイレゾと同等かそれ以上です。 今回PM7000 SpecialとのUSB接続では、中間にD-Dコンバータとして「TOPPING D10s」という1万円程度のUSB-DACを使い「同軸デジタルに変換」して行いましたが、それでも音質は有線LANを圧倒しました。高音質を狙うなら、接続はUSBが有利なようです。ただし、ストリーミング・サービスを受信する場合には、HQ PlayerのようなUSB再生アプリは使えないことが多いので、ストリーミング・サービスを受信する場合には、あらかじめ調べておくことが大切です。 今回D10sよりもさらに安いUSB変換アダプターも含め、5つ程度の製品のD-Dコンバータ機能をチェックしましたが、192kHz/24bitが再生できない(ものによっては48kHzまでしか対応しない)、音が途切れる、音が悪いなど、低価格の製品はやはり使い物になりませんでした。それでもそれらの製品のアマゾンのレビュー評価が高いのには驚き、今更ながら個人レビューがいかに当てにならないか痛感しました。 また、今回はご紹介していませんが、PCやAVアンプなどの「HDMI出力」から「同軸/光デジタル音声」を分離して取り出すアダプターも、3千円〜1万円程度で販売されています。この装置を使ってもPCやAVアンプと「同軸/光」入力しか持たないDACを接続できます。音質的には、USBほどではありませんが十分に使える音質が実現します。USBと違って、そもそも「HDMI」に流れているデジタル信号は、「オーディオ機器に使われる(S/PDIF)信号」と同じ形式なので変換が容易なのでしょう。低価格の製品をD-D変換に使った場合でも、「音質が極端に悪くなる」、「音が途切れる」などのトラブルはほとんどありませんでした。 また、HDMIからの変換アダプターの多くは、PCM 192kHz/24bitだけではなく、DSD 2.8MHzのデーターも同軸/光デジタル(PCM)に変換します(たぶん同じチップを使っているのでしょう)。サーバーにPCMとDSD音源が入り交じって記録されている、それをランダム再生するとD-10Sなら「DSD再生時は無音」になりますが、HDMIからの変換アダプターなら途切れずに音が出ます。安定度優先なら、PCとDACの接続は、USBよりもHDMIがお薦めです。 ※D10sで変換出来るのは、192Khz/24bit以下のPCMデーターです。DSDなどのデーターは変換できません。
→USB→→同軸デジタル→ 有線LANとUSBの音の違いは、1曲目の聞き比べではっきりしましたから、つぎは「AIRBOW ミュージックPC」の売り物の1つである「HQ Player」の聞き比べをCDからリッピングした「44.1kHz/16bit」のWAVデーターで行いました。 最初の聞き比べと同様に、接続はUSBのままで「Roon 44.1kHz/16bit」と「HQ Player 176.4kHz/24bit」で行いました。 6万円という価格を納得させられる、HQ Player4の「圧倒的な高音質」を「動画」でお確かめ下さい。 Moof Powercell メーカー希望小売価格 65,000円(8個セット・税別) (現金で購入)・ (カードで購入) 英国、アビーロド・スタジオへの自社製ADC/DACの納入実績を持つ「Abendort(アベンドート)」が取り扱う「複合素材インシュレーター」が「Moof Powercell」です。この製品は、スピーカー・キャビネットの共振と、デスクトップの表面、床などからの反射、または部屋の共振伝導から引き起こされる振動を抑制するために作られました。 一般的なインシュレーターが処理している高周波数帯の振動は、ゴムなどの柔らかく単純なデカップリング素材を使うことで、比較的簡単にコントロールすることができます。しかし、低周波数帯はそれほど簡単ではありません。Powercellは、低周波振動の吸収するための特殊な混合素材をデカップリング素材に用いることで、効果的にスピーカーの不要な振動ノイズを抑制し、SN比、ダイナミクス、低音の正確性、そして出力全体の透明性を向上させます。Powercellは、プロフェッショナル・スタジオのモニター環境のみならず、HIFI オーディオ・システムにおいても、かつてない透明なリスニング体験を実現するために作られ、スタジオなどへの豊富な納入実績を持っています。 Powercell一基あたりの耐過重量は 5〜 8kgです。この値を守りながら、スピーカーを適切な数、位置に設置したPowercellで支えることで、スモール・モニターからミドル・サイズ・モニターまで対応します。 試聴結果 Powercellの試聴は、AIRBOWミュージックPC MBN-N54LTD2とPM7000 SpecialをD10sとHQ Playerを使った「USB接続」で行いました。スピーカーは、引き続きDALI OBERON1を使います。スピーカーの価格よりも高価なインシュレーターを使う意味は、どうあれOBERON1の音が、素晴らしく良くなったことには驚きました。 FLAC 192kHz/24bitの再生で聞き比べました。Powercellを使うと、ボーカルの濁りが消えて、スピーカーの価格が2ランク以上上がったかのようにきめ細やかさと滑らかさが向上します。なによりも「声の質感」がグッと艶めかしくなったことには驚きました。 また、Powercellの主張通り、低音の濁りが消えピアノの音が一回り以上大きいスピーカーから出てくるように聞こえたことにも驚きました。インシュレーターだけで、こんなに音楽が良質に聞けるようになるのは、今までに経験したことがありません。 低音を聞き比べたくてこのソフトを選びました。男性のコーラス部分の分離が一気に向上し、一人一人の声が聞き分けられるようになりました。当然、声の太さ=低音も全然違っていました。 Moof Powercellは、音質だけではなく、仕上げもとても綺麗です。新しい素材をそのまま使ったような製品や、金属の形状だけを工夫した点接触系インシュレーターはいくらでもありますが、「目指す音のために素材を複合して使った」Powercellの音は、それらよりも遙かに音楽的で有機的でした。最初は?と思った価格も、その音を聞いた後では「とても良心的」と思えるようになったのでした。 2021年8月 逸品館代表 清原 裕介 |
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