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アメリカ製 セパレートアンプ、8モデル聞き比べ Mcintosh
C22V,C8 MC830,MC1502
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オーディオファンあこがれの海外ブランドといえば、「Mcintosh(マッキントッシュ)」と「mark-levinson(マークレビンソン)」は外せませんが、あこがれる理由は、優れた音質とデザインだけではなく「高級品としては比較的求めやすい価格」にもあると思います。
リスニングルームの雰囲気を最高潮に盛り上げるこれらの製品はどのような「音」を聞かせてくれるのか?
Mcintoshから新発売された「C22V、C8」の二つの真空管アンプとトランジスターパワーアンプ「MC830」、そして大型真空管パワーアンプ「MC1502」。
mark-levinsonからは、それぞれトランジスター方式のプリアンプ「No.5206」パワーアンプ「No.5302」を選び、そこに逸品館おすすめのアメリカ・スタジオ用真空管アンプの老舗「MANLEY(マンレイ)」の300Bを使うプリアンプ「Neo Classic 300B」とEL34を使って100Wの大出力を引き出す、モノラルパワーアンプ「Snapper」を加えて聞き比べました。
試聴概要のご説明
聞き比べは、次の組み合わせで行いました。
試聴環境
音源は、現在逸品館で準備できる最高の音を用意しました。ミュージックPC「AIRBOW MBN-N54 LTD」が搭載するHQ Playerを使いすべての音源は「DSD ×256」にアップコンバートして「TAD D1000 Mark」にUSB入力し、D1000 Mk2をD-Dコンバーターとして使うことで、DSD信号をハイサンプリング/ハイビットのPCM同軸デジタル信号に変換して「D600」に入力しました。かなり複雑な方法ですが、同一のCDディスクをD600で直接再生する場合よりも、明らかに良い音(SACDとほぼ同等の音質)でCDを再生できます。
スピーカーは、3号館試聴室でベストの状態で鳴っている「Focal Sopra No.2」を組み合わせましたが、この条件は約1年前に試聴したアメリカ製プリメインアンプ、Mcintosh MA9000、MA8900、mark-levinson No.5805、Pass INT-25聞き比べと同じです。「YouTube 逸品館チャンネル」をご覧下されば、「動画をまたいでそれぞれの音質を聞き比べていただける」と思います。
USB接続 → 同軸デジタル接続→
AIRBOW MBN-N54LTD 販売価格 385,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
TAD D1000 Mark2 メーカー希望小売価格 1,800,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
TAD D600 メーカー希望小売価格 3,500,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
Sopra NO.2 メーカー希望小売価格 1,560,000円(ペア・税別)
Macintosh(マッキントッシュ)
Frank H. McIntoshによって1949年にワシントンで創立された専業オーディオメーカー Mcintosh(マッキントッシュ)は、「音楽への愛情」を背景に最先端技術を実用的に精錬、恒久的な信頼性、安定性を実現できるコンポーネントを作り続けています。
オーディオマニアなら誰もがあこがれるであろう、漆黒のガラスとフルグラスのパネルとグリーンとブルー透過照明が組み合わせられたフロントパネルは、時代を超越した美しさを持ち、使い勝手優先でも的確にデザインされたスイッチの配置、多バンドトーンコントロールに代表される便利な多機能、スピーカーを損傷から守るパワーガードなど、あらゆる方向から家庭用アンプとしての完全性が追求されています。
今回は、真空管を使うプリアンプ「C22V」とカタログ・スペックはほぼ同じながら、そこから約2割強安い「C8」そして、Mcintosh伝統のパワートランスフォーマー(出力トランス)を装備しないダイレクト・カップリングのトランジスターパワーアンプ「MC830」。さらに、出力150W・重量約5
製品の概要 (エレクトリのホームページより抜粋)
「C22V」は、2019年にマッキントッシュ社70周年を記念して発売された、「C70」のすべての性能を持ちながら、「C22」伝統のガラスとアルミニウムのフロントパネルデザインとシリーズ5代目の「V」を冠するレギュラーモデルの真空管プリアンプです。「C22V」は、12AT7真空管1本と12AX7A真空管5本を使用し、バランス入力を2系統、アンバランス入力を3系統、MCとMMフォノ入力を各1系統の合計7系統の入力を備えます。バランス出力とアンバランス出力をそれぞれ2ペアずつ装備しており、2台のパワーアンプに信号を送ることができます。
音量設定に加え、左右の音量バランス調整が可能で、さらにバイパス可能なバスとトレブルのトーンコントロール、フォノ入力のインピーダンスとキャパシタンス調整機能が備わります。
High Driveヘッドフォンアンプを搭載する、1/4インチのヘッドフォンジャックを装備し、Headphone Crossfeed Director (HXDR)技術の採用で、ヘッドホンからスピーカーリスニングのような前方定位のサウンドステージを実現します。
「C8」は、C22Vと同一の12AT7真空管1本と12AX7A真空管5本を使用する真空管プリアンプで、バランス1系統とアンバランス2系統のアナログ入力、さらに負荷インピーダンスを調整できるMCフォノ入力と負荷容量を調整できるMMフォノ入力を各1系統装備します。デザインは、MC275真空管アンプ、MA252、MA352インテグレートアンプと同様のオープンシャーシ・インダストリアルデザインが採用されます。
入力選択、トーンコントロール、トーンバイパス、バランス、入力オフセットのレベルは、フロントパネルのノブまたは付属のリモコンで調整可能で、アンバランス出力のうち1つはサブウーファー出力として設定可能で、パワードサブウーファーと組み合わせて使用できます。
ハイ・ドライブ・ヘッドホン・アンプが搭載されるヘッドホン出力が装備され、幅広いヘッドホンをお使いになれます。
別売の「DA2デジタルモジュール 別売価格:154,000円(税込) 」を併用すれば、同軸2系統、光2系統、USB1系統、MCT1系統(MCT500またはMCT80 SACD/CDトランスポート用)、オーディオ専用のHDMIオーディオリターンチャンネル(ARC)1系統の計7系統のデジタル入力が使えるようになります。USB入力は最大DSD512、DXDは384kHzまでのネイティブ再生に対応し、同軸入力と光入力は最大24bit/192kHzまでのデジタルフォーマットのデコードに対応しています。
Mcintosh C22V メーカー希望小売価格 700,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
Mcintosh C8 メーカー希望小売価格 550,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
「MC1502」は、2019年に発表したマッキントッシュ社70周年を記念して発売された、限定モデル「MC2152」真空管パワーアンプ直系の後継製品で、チャンネルあたり150Wを出力するステレオパワーアンプのレギュラーモデルとして製品化されました。
MC1502のチャンネルあたり150Wの大出力は、1949年の創業時からの特許取得済技術UnityCoupled Circuit出力トランス技術により、スピーカーのインピーダンスが2、4、8Ωに関わらずフルに発揮されます。
Mcintosh真空管パワーアンプの歴史を作った名器「MC275」とスタイルを共有する「MC1502」は、「MC275」の2倍のステレオ出力定格(150W vs 75W)を持ち、筐体サイズや重量も大きく、様々な意味で「MC275」の兄貴分と考えることができます。
「MC1502」の出力部には8本のKT88出力真空管が各チャンネルに4本ずつ、合計8本使われています。プリ部は、4本の12AX7Aと4本の 12AT7で構成され、12AX7Aはバランスアンプとインプットアンプ用、12AT7はボルテージアンプとドライバーアンプに振り分けられます。
アンバランス入力端子に加え、ケーブルの長い引き回しにもノイズの影響を受けにくいバランス入力端子を装備しています。
「MC830」は、MC275真空管アンプ、MA252、MA352インテグレートアンプと同様のオープンシャーシ・インダストリアルデザインを採用し、Mcintosh伝統のパワートランスフォーマー(出力トランス)を使わない、ダイレクト・カップリング出力設計・300W/8Ω(480W/4Ω)のモノラル ソリッドステート パワーアンプです。大型の放熱板を装備し、常にパフォーマンスを最大限に発揮させるための温度を最適に保ちます。
スピーカーとシステム全体を保護するために搭載される、特許取得済みのパワーガード回路は、音質にほとんど影響を与えないヒューズレスの短絡保護回路で、電流が安全な動作レベルを超える前にMC830の出力段を切り離し、動作状態が正常に戻ると自動的にリセットされます。
このモデルもアンバランス入力端子に加え、ケーブルの長い引き回しにもノイズの影響を受けにくいバランス入力端子を装備しています。
Mcintosh MC1502 メーカー希望小売価格 1,500,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
Mcintosh MC830 メーカー希望小売価格 1,100,000円(ペア・税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
まず最初にプリアンプ「C8」パワーアンプ「MC830」と「MC1502」の組み合わせで聞きました。
C8/C22Vの仕様や機能を比べた場合、使われている回路はたぶん同一と考えられるので、価格の安い「C8」の音が良いのは少し意外でしたが、事前に軽く行った音質チェックで「C8」の音の細やかさレンジの広さが「C22V」を確実に上回っていることを確認していたからです。二つのプリアンプを比べた場合、入力端子の数や種類と外観が重要でなければ、価格の安いC8がおすすめです。
パワーアンプは、エネルギー感だけではなくレンジの広さや、音の細やかさでも「MC1502」が勝っていましたが、これだけのサイズ、これだけの消費電力や発熱、1人では動かせない重量に加え、出力管の寿命(定期的に交換が必要)も考えるとMC1502を「相棒]にできる人はかなり少ないのではと思いました。その点、寿命が長く持ち運びもしやすい「MC830」のほうが、より現実的な選択になるでしょう。音質は、ペア110万円のパワーアンプとして考えた場合、ほぼ納得できる水準にありました。
聞き比べの最後に最も売れ筋になるであろう、プリアンプ「C22V」、パワーアンプ「MC830」の組み合わせで電源ケーブルの交換などアクセサリーの活用による「音質アップの実験」を行いました。
mark levinson(マーク レビンソン)
「Mark Levinson(マークレビンソン)」は、スタジオミュージシャンとして活動しながら、最新の電子回路を取り入れたプロ用レコーディング機材の開発を始め、1973年のAESで19"ラックマウント式の巨大な業務用プリアンプ「LNP-1」を発表した「マーク・レビンソン(Mark Levinson)」氏によって設立されましたが、彼は1984年に社を去っています。
設立者を失ったMark Levinson社は、開発の中心をスタジオモデルからコンシューマモデルへと変え、ハーマングループの一員としてその後もプリアンプやパワーアンプを主軸に独自の白と黒のツートンカラーを基調とするデザインと音質を継承しながら、高級オーディオを次々と世に送り出し、1980年頃には不動のハイエンドブランドに成長しましたが、2000年頃から始まったハイエンドオーディオ市場の衰退と共に徐々に往年の神通力を失って行きました。
しかし、国産高級車「レクサス」の純正オーディオとして採用されたことをきっかけに力を取り戻し、ハイエンドオーディオの世界でも再びその輝きを取り戻し始めました。その復活の証として2020年には、魅力的な新型プリメインアンプ「No.5805」を発売しました。今回試聴するのは、続いて発売されたプリアンプ「No.5206」とソリッドステート・パワーアンプ「No.5302」です。
製品の概要
「No.5206」は、信号経路からカップリングコンデンサーを排除したダイレクトカップル接続・完全ディスクリート構成のデュアルモノラル構成の採用に加え、吟味されたパーツとA級回路が使われ、さらに新しい特許技術も惜しみなく投入された圧倒的な製品完成度と高音質を実現する「ラインレベル・アナログ・ソリッドステートプリアンプ」です。
入力は、バランス(XLR)×2、アンバランス(RCA)×2、フォノ(RCA)MM×1 / MC×1、出力は(XLR)×1、アンバランス(RCA)×1を備えます。
定評ある上位モデル「No500」シリーズ・フォノステージの主要なディスクリートコンポーネントと、低ノイズのプリサーキットに、CR型とNF型を組み合わせたハイブリッド・パッシブRIAAイコライザーを採用するフォノイコライザ部は、MM/MCゲインとオプションのサブソニックフィルターをフロントパネルから設定し、本体背面パネルにて「抵抗値・負荷」の設定が可能です。
Mark Levinson PrecisionLink IITM DACと最新のESS Sabre 32bit D/Aコンバーターが採用されたデジタル部は、独自のジッター低減回路と、フルバランス設計されたディスクリート電流-電圧コンバーターを備え、ハイレゾのデジタルファイルが持つ膨大な音楽情報を余すところなくD/A変換します。AES/EBUバランスデジタル、同軸およびオプティカルのS/PDIF、USBと豊富なデジタル入力に加え、aptX-HD搭載のBluetoothレシーバーを搭載、スマートホンやタブレットからも最高音質でのワイヤレス再生が可能です。
対応するフォーマットは、PCM(最大384kHz/32bit)、DSD(最大11.2MHz)ですが、MQA(Master Quality Authenticated)テクノロジーに準拠していますので、MQAで記録されたオーディオファイルやMQAで配信されるストリーミング再生をMQAの高音質でお楽しみいただけます。
「No.5302」は、プリアンプ同様、完全なディスクリート構成のダイレクトカップリング回路による、クラスABアンプモジュールを搭載する出力135W/8Ω(270W/4Ω)のステレオパワーアンプです。
電圧利得段は、すでに高い評価を得ている上位モデル「No534」パワーアンプの技術を踏襲し、A級動作する2つの高速ドライバートランジスタと、6つの260V/15A出力トランジスタの出力段で構成されます。
左右チャンネル用に個別の2次巻き線を備える、1,100VA大容量トロイダルトランスと、最終の出力段に近接装備された大型コンデンサから供給される電力によって、8Ω負荷時135W/ch、4Ω負荷時270W/ch、そしてブリッジモードでは4Ω負荷時550Wおよび2Ω負荷までの駆動を保証しています。
Mark Levinson(マークレビンソン) No. 5206 メーカー希望小売価格 950,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
Mark Levinson(マークレビンソン) No. 5302 メーカー希望小売価格 950,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
No.5205/5302は、DACを搭載するデジタル部の機能がNo.5805とほぼ同じで、価格がプリメインアンプ「No.5805」の約2倍の190万円(セット・税別)に設定されているところから、同一メーカーの「プリメイン」vs「セパレート」の音質比較としても興味がそそられます。
※mark-levinson No.5805の音質チェックはこちらからご覧いただけます。
プリメインアンプのNo.5805は、通常サイズの部屋(10畳程度)とやや大きい部屋(20畳以上)の二つの試聴質で音質をチェックしましたが、スピーカーから遠ざかる、あるいは反射の少ない環境で聞いたとき「やや高音が伸びたりない」印象がありました。
No.5205/5302のセットでは、セパレート化によってこの部分が大きく改善されているかと思ったのですが、その音質はプリメインアンプとそれほど大きくは変わらない印象で、レンジを広げるというよりは、ある一定の範囲の中で音楽を凝縮して聞かせてくれる雰囲気の良さが感じられました。あっけらかんと元気よく、開放的に鳴るMcintoshに対し、ややアンニュイな影を感じさせるのが創業当時からのmark-levinsonの印象ですが、No.5206/5302も時代を超えて、それを引き継いでいるようです。
MANLEY(マンレイ)について
南アフリカ出身のレコーディングエンジニア David MANLEY氏が1980年に真空管アンプの設計を始め、1988年にVTL社(Vacuum Tube Logic of America社)の傘下に入り、VTL社の古い工場で作られた家庭用のHi-Fi 真空管アンプとプリアンプを最初の製品として、MANLEYブランドはスタートしました。
現在の社長EveAnna氏は、1989年1月、当時20歳だったコロンビア大学在学中にMANLEY社の従業員と知り合い、製造チームに加わりました。彼女はハンダ付けや真空管アンプの組み立て方をそこで学び、同セクションの後輩育成を終えた後、QC(品質管理)の部署を担当することになりました。1990年にLAで行われたAES Showにて初披露されたMANLEY社を代表するマイクプリやアウトボード、マイクなど、プロユースの製品が作られ始めたのは、まさにこの時期です。
1993年、MANLEYはVTL社から独立してカリフォルニアのChinoに新工場を構え、プロ機器と家庭用機器のすべての製品の生産を開始します。翌1994年には、コンピューター制御の機械導入により、「トランス」の自社開発、製造を開始します。この自社工場で生産されるカスタムトランスこそが、MANLEYのサウンドの要であり、それは今日まで変わることはありません。
そしてVTL社から独立した3年後の1996年、創設者であるDavid MANLEY氏は会社を離れ、EveAnna MANLEY氏が実質的な会社の舵取りを行うことになり、MANLEYはその後3年間で飛躍的に売り上げを伸ばし、世界的なブランドへと急成長を遂げました。
現在、生産拠点を中国などのアジアへ移すブランドが増え続けている中、MANLEY社は、アメリカの自社工場にて、厳選されたパーツのみを使用し、徹底した品質管理のもと、確固たる信頼性を獲得してきたユーザーの心に響く音を生み出す製品を日々作り続けています。
「MANLEY」をググれば、プロ機器は幅広く表示されますが、家庭用機器はほとんど表示されない(逸品館以外ではほとんど取り扱われていない)ように、日本のピュアオーディオ市場ではあまり馴染みのないメーカーですが、アメリカ本国ではプロ機だけでなく家庭用機器も高く評価され、真空管アンプのブランドとして高い人気を持っています。
逸品館は、前代理店(プロメディア)の時代にMANLEYを知り、その素晴らしい音質と良心的な価格を高く評価し、プリメインアンプの「Stingray」のみ販売を行ってきましたが、プロメディアによる取扱が終了しました。そこで、2020年1月にアメリカまで出向き、MANLEY社EveAnna氏と直接交渉の上で代理店業務を引き継ぎ、現在さらに魅力的な製品のラインナップを増やしつつあります。※MANLEY オフィシャル・ホームページはこちら
※日本国内での「アフターサービス」は、MANLEY社の教務機器の代理店である「フックアップ(HPはこちら)」の力を借りることで、迅速で確実なサービス網を確立しています。
※逸品館ではManlayの製品の内部パーツを変更し真空管をより音質に優れる軍用品に交換するなどの「簡単なチューンナップを行ったAIRBOWモデル」を販売していますが、このビジネスモデルの承諾をMANLEY社から得ています。
今回は、ラインナップの中からフラッグシップの300Bを出力に使うプリアンプ兼ヘッドホンアンプの「Neo Classic 300B」とEL34パラプッシュ構成で100Wを発揮する、モノラルパワーアンプ「Snapper」をアメリカの老舗HiFiメーカーの製品と聞き比べました。
Neo Classic 300B メーカー希望小売価格 1,000,000円(税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
MANLEY Neo Classic 300Bは、アメリカ合衆国カリフォルニア州チノのMANLEY本社工場でトランスから手作りされている、大型直熱3極管「300B」を出力に使うプリアンプ兼ヘッドホンアンプです。
300Bは、シングルエンド動作出力5〜9W程度、プッシュプル動作出力22W程度の比較的小さなアンプのパワーチューブとして使用され、魅力的な音質の真空管であることが広く知られていますが、大出力を必要としないヘッドフォンアンプの出力デバイスとしても使われます。これは300Bの出力インピーダンスが低すぎず、消費電力もそれほど大きくないからです。真空管スペシャリストのMANLEY社は、この300Bの特性に注目し、300BをRCAダイレクトライン出力とヘッドフォンのトランス出力に使う、プリアンプ兼ヘッドホンアンプとして「Neo Classic 300B PreAmplifire RC」を設計しました。
Neo Classic 300Bは、エレクトロハーモニクス製の300Bを標準装備し、前段には双三極管の6SL7GTを組み合わせます。300Bと3極管ならではの艶やかでスィートな音質を損ねないように、整流回路にはダイオードではなく整流管が用いられ、すべての増幅段が純A級の構成となっています。
プリアンプとして、ヘッドホンアンプとして、最高のサウンドを引き出すために、Neo Classic 300Bは金メッキコネクター、高純度銅線、超厚銅メッキのミルスペックプリント回路基板、セラミック製タイトソケット、MANLEYオリジナルのカスタム設計トランスなどを採用し、さらに真空管を使うプリアンプで問題となる「ハムノイズ」や「残留ノイズ」に対処するため、特別に開発したハムノイズ低減回路を搭載し、大型の直熱3極管で「トランジスターアンプと変わらないローノイズを実現する」など、MANLEY社が長年業務用コンソール設計で培ったノウハウが惜しみなく投入されています。
逸品館を開始した1980年初期に大ヒットした真空管アンプは、6DJ8を使う「Counter Point SA-5000 / 100万円」ですが、それから40年を経た今、300Bを使うこだわりの高音質プリアンプが、当時のアンプと同じ「メーカー希望小売価格 100万円」というのは、驚きの安さだと思われませんか?音質も品質もSA-5000を上回っているのですから!
Snapper メーカー希望小売価格 1,300,000円(ペア・税別) (現金で購入)・ (カードで購入)
Snapperは、MANLEY Labsで設計され、製造される19層の特別な出力トランスに4つのEL34を組み合わせ、それを完全差動で動作させることで、全周波数帯域で最大出力100Wを達成するモノラルパワーアンプです。
バランス回路で動作する「Snapper」は、1系統の「バランスXLR入力」と1系統の「アンバランスRCA入力」を備えますが、どちらの入力を使っても同等の音質を発揮します。今回、同価格帯以上のMcintosh、mark-levinsonと聞き比べることで「MANLEY」のサウンドがどれだけ素晴らしいかを十分確認できました。
MANLEYと比べると、Mcintoshの音が「不自然」でmark-levinsonの音は「弱々しく」感じられるかも知れませんが、それはMANLEYが圧倒的に優れた音質を発揮するからです。私が今までに聞いたどんなに高価な真空管アンプと比べても、Neo Classic 300BとSnapperの組み合わせの音質は、一歩も引けを取りません。Snapperの本物の音楽のような、強くて自然なサウンドがどれほど素晴らしいものかは、 実際に体験してみないとわからないかも知れませんが、 価格も適正で、本当に素晴らしい、良心的なアンプだと思います。
2021年8月 逸品館代表 清原 裕介
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