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Rogers Stirling Broadcast スターリング ブロードキャスト、LS-3/5a 音質 比較 スピーカー 新製品 情報 音質 価格 販売 比較 グラハム オーディオ Graham Audio LS-5/9 LS-5/8 音質 比較 スピーカー 新製品 情報 音質 価格 販売 比較Stirling Broadcast(スターリング ブロードキャスト) LS-3/5a V2Graham Audio(グラハム オーディオ) LS-5/9 , LS-5/8BBC License Monitor Speaker (BBC ライセンス モニター スピーカー)3モデル 音質比較テストBBC(イギリス放送協会)は、日本で言えばNHKのようなものです。そのBBCが放送局用モニタースピーカーとして製作したモニタースピーカーは、日本にも輸入され、オーディオマニア垂涎の名品となりました。今回はそのBBCがライセンス(音質認証)する復刻モデルから、Stirling Broadcast LS-3/5aとGraham Audio LS-5/9、LS-5/8を聞き比べました。これらの製品は、オリジナルモデルを生産していたRogersが廃業(現在のRogersは名前だけが継承され、当時の人間は在社していない)してしまったために、一度はすべてのモデルが生産完了となったのですが、生産完了後も世界的な需要が見込める(スタジオだけではなく民生用としても)ことや、これらのスピーカーの音質を愛好するファンが多いことなどから、Stirling Broadcast社が「LS-3/5a」と「LS-3/6」をGraham Audio社が「LS-5/9」と「LS-5/8」を当時そのままに復刻し、BBCのライセンスを得て新製品として再発売を開始したのです。 オリジナルが日本に輸入されたモデル(LS-3/6はオリジナルは輸入されませんでした)の発売年度と当時の価格、再発売年度と現在の価格を比較しました。
LS-3/5aを除いて、意外なほど当時と値段が変わりません。けれど値上がりしているように感じるLS-3/5aも、SEAS社と協同で完全なクローンユニットを作成し、オリジナルをさらに改良し、出荷前に全数がヒヤリングテストを行われている「手間暇」を考えれば、それほど不当な価格とは思えません。そして、その音を聞いてみれば、その価格は望外なほど「安い」と思えるようになるはずです。 この一連のBBS モニターの特長として「保護グリル付き、ソフトドーム型ツィーター」と「ポロプロピレンコーン採用ウーファユニット」が使われていること、バッフルの4角が突き出していること、ウーファーユニットがバッフルに奥まって取り付けられていことなどが挙げられますが、これらの特長のほとんどは「音を回折させる(悪い反射を引き起こす)」という理由で最新型スピーカーでは廃止されています。けれども、実際にそれらの音を聞いてみると、むしろこういう「音を悪くする」と考えられていた「無駄(間違い)」がそうではなく、それがあるからこそ「スピーカーがよい音で鳴っていた」と考えられるのです。 音質テスト PCなどによる解析を得ず、人間の耳と手で生み出されたスピーカーには「楽器」に近い味わいがあると思います。現代スピーカーでは失われつつあるその「味わい」を引き出すため、今回の試聴ではスピーカーが生産された当時の「音源」と「アンプ」に合わて、CDプレーヤーには「アナログレコード」に最も音が近い一体型CDプレーヤー AIRBOW CD3N Analogueを選び、アンプにも最新型トランジスターアンプのような「複雑な電子回路(電子ボリュームなど)」を搭載せず、ある程度スピーカーの影響を受けやすい(スピーカーとアンプが共鳴するように動く)シンプルな増幅回路を持ち、さらに「スピーカーを生かせる音色の良さ」までも実現しているプリメインアンプとして、AIRBOW PM7005 Applauseを選びましたが、試聴を終えてこのチョイスは正解だったと感じました。 AIRBOW CD3N Analogue (お問い合わせ・ご注文はこちらから) AIRBOW PM7005 Applause (お問い合わせ・ご注文はこちらから) さらに今回、電源ケーブルには「AIRBOW KDK-OFC/2.0m」という普通の電源ケーブルを使いましたが、接続にはイギリス最大のAVケーブル専門メーカー「QED」の最高級RCAケーブルとスピーカーケーブルを奢っています。Stirling Broadcast LS-3/5aには、AIRBOWの高音質ジャンパーケーブル「Silver Jumper/VT」を標準のジャンパーに変えて使いましたがこれらの効果も大きく、結果としてそれぞれのスピーカーの音質は最大限に発揮できたと感じています。
テスト概要のご紹介動画 試聴ソフト
試聴後感想 BBC(イギリス放送協会)が開発したモニタースピーカーが、BBC Monitorと名付けられた4つのモデルです。 イギリスとは面白い国で、古くても良い物は「捨て去らない」という風潮を大切にします。伝統を重んじると言い換得られるこの風潮が、何でも新しいものをありがたがるアメリカ人とは決定的に違います。アメリカ人は新しいものにこだわり、イギリス人は伝統にこだわる。これは、国を出た人たちと、国に残った人たちの「対比」を表しているようです。 そういう「古くても良い物は守る」彼らが、一度は生産が完了になり消えてしまった「スピーカー」をわざわざ現代に蘇らせたのが、今回試聴した3機種のBBC Monitorです。この3モデルに、Stirling BroadcastのLS-3/6を加えた4モデルすべてが復刻され、BBCが再びライセンスを与えました。これがどういうことかと言えば、日本なら、NHKと「個人」が手を取り合って、30年以上前のスピーカを正確に蘇らせるようなものです。 そんなことは、イギリス以外の国ではあり得ないでしょう。また、これほど「こだわりに満ちた」スピーカーが他にあるでしょうか? 間違いなく、BBC Monitor 4モデルは、オーディオの「歴史的財産(ヘリテイジ)」だと言いきれます。オーディオマニアなら、その音を聞かずしてオーディオを語れない。それほどの意味と価値を持つのが、この4つのモデルではないでしょうか。 では、なぜそれほどのスピーカーが日本では「無名」なのでしょうか?最大の理由は、オーディオ雑誌や金に目のない評論家たちは「我田引水」にしか興味がないからです。彼らは褒めても金にならない製品を、褒めたりしないのです。もちろん、昔からそう言う風潮はありました。けれども昔の評論家や雑誌は、「本物」であれば、損得勘定抜きにでもその情報を提供してきました。それが、彼らの見識であり、良心の証でした。けれど今の雑誌社の編集部や評論家連中に、そのような「見識や良心」を求めることが無理です。だいたい、オーディオと音楽についての知識すら怪しいのですから。 もう一つは「オリジナル」を必要以上に珍重する一部のマニアの存在です。音がわからないからこそ、オリジナルにこだわるのです。名機だから、音が良いと盲信する。間違ったことです。本当に善し悪しがわかるなら、オリジナルや何らかのアイコンにこだわる必要などありません。常により良い物が生み出されるからです。それが、進歩であり、本当の意味での技術革新です。 オリジナル以上の音質を実現して、現代に蘇ったBBC Monitor。 復刻されたBBC Monitorとは、そういう「信用できない連中」ではなく、イギリス放送協会がライセンス(認証)を与えた新製品です。BBCが認定していることが、すなわち信頼の証です。 もちろん、その音は現代にもまったく問題なく通用します。 音楽を聞くためのシンプルな道具。プロの道具。それが、BBC Monitorなのです。一度は聞いてみてください。もしかすると、あなたのオーディオに対する考え方が変えられるかも知れないのですから。 2015年7月 逸品館代表 清原裕介 |
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