Phase tech EA-3 Phasetech EA3 フォノイコライザーアンプ 音質 テスト 評価

PhaseTech EA-3

フォノイコライザーアンプ

Phase Tech (フェイズテック)の高級イコライザーアンプの音質をテストしました。

Phase Tech EA-3

トランジスター方式 (CR型イコライザー回路搭載)

無帰還型フォノイコライザーアンプ

メーカー標準価格 ¥185,000(税別)

生産完了しました。

新型はEA-3U メーカー希望小売価格¥195,000(税別)です

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作りは非常にしっかりしています。

脚も前が2本、後ろが1本の3点支持と音響的に考えられた設計になっています。

スイッチとフィルターに切り替えがリアパネルにあるのは、使い勝手の面でちょっと問題ありです。

背面左から

●Rchのサブソニックフィルター(低域の不要な信号をカットするフィルター)の切り替えスイッチ。

●RchのMM/MC切り替えスイッチ。

●LchのMM/MC切り替えスイッチ。

●Lchのサブソニックフィルター(低域の不要な信号をカットするフィルター)の切り替えスイッチ。

サブソニックフィルターや、MM/MCのゲイン切り替えスイッチが左右で独立しているのは不便ですが、頻繁に操作することもないので大きな問題にはならないでしょう。

なぜ、スイッチが左右で分かれているかというと、回路が完全に「左右独立/シンメトリー」になっている証拠なのです。

メーカーカタログより抜粋

アナログデイスク再生の魅力がまたひとつ増す
ご好評をいただいているフォノアンプEA-1の設計思想と音楽表現を継承し、開発されたトランジスター式フォノイコライザーアンプEA-3は、より多くのアナログディスク愛好家待望のフォノアンプです。
レコードに刻まれた、音楽の実在感、アーティストの情念をも引き出すアナログディスク再生の楽しみが、より身近なものとなりました。

全段対称無帰還型増幅器

●初段は相補性FET(電界効果トランジスター)のコンプリメンタリー接続により極めて低雑音の電圧電流変換回路を構成しています。
厳選された素子は自己バイアス動作により動作点が定まるので、バイアス回路が不要となり、雑音の流入や音質の悪化要因がなく、素子本来の低雑音動作となります。

●2段目は電流増幅及び電圧変換回路を構成し、電流出力点に接続されたRIAAインピーダンス素子により再生特性を得ています。
このため超高城周波数までRIAA偏差のないCR型イコライザー回路を構成し、優れた過渡特性を得ています。この回路では電流変換誤差、出力電圧に依存する増幅素子のパラメーター変動の影響を受けすに、精度の高い動作を行なう各種の高度な回路技法が投入されており、無帰還型増幅器でありながら帰還型増幅器に匹敵する優れた電気的な諸特性を得る事に成功しました。

●出力バッファー回路は入力ブートストラップにより広帯域に渡り高入力インピーダンスを確保、ダーリントン接続された出力素子は同時に十分な電流増幅をもち、次段に接続される機器を強力にドライブします。

無振動・無共振・無干渉 構造の実現

微弱な信号を増幅するフォノアンプでは、信号の純度を守るために、他からの妨害を受けない無共振・無振動・無干渉構造の実現とシンプルな信号伝達が求められます。

●メカニカルアース     、
電源トランスダイレクトグランディング。(DIRECTGROUNDING CONSTRUCTION)大型コアを用いた本機のR型電源トランスは、低磁束密度による余裕を持った動作を行い磁気振動とリケージフラックスの発生を極力抑えています。
更にこのトランスは電気・磁気抵抗の高い絶縁体である5mm厚のベーク板を介して直接真鐘丸裸削り出しのフットに組みつけられており、電源トランスが発する振動はシャーシーに伝播されることなく直ちに大地に放出される構造となっています。

●デュアルモノラルコンストラクション
完全に左右対称のデュアルモノラルコンストラクションを構成し、高度な左右チャンネルの均一性を実現し ています。
左右独立電源トランスとシャント型ローカル電源により電源負荷によるパラメーター変動のない理想的な電源供給を行い、回路電流ループの極小化によりチャンネルセパレーション100dB以上(20Hz〜20kHz)を達成しています。

●無振動・無共振・無干渉構造のシャーシー
デリケートな増幅部は音楽信号以外の有害な信号・振動の影響を受けないよう電磁気的にフローティングしたサブシャーシーにマウントし無振動・無共振・無干渉思想を実現しました。
本機のシャーシーベース、トップカバーはそれぞれ1.2mm、1.6mm厚の鋼板に銅メッキ処理を行い、更にこの上に塗装仕上げを行なっており、剛性の確保と磁気歪の軽減を実現しています。
フロントパネルは6mm厚のアルミ削り出しにより製作されており、無振動・無共振構造を達成しています。

アクティブ型サブソニックフィルター回路を搭載

カットオフ周波数20Hz、40Hz(18dB/Oct)の本格的なアクティブ型サブソニックフィルター回路を搭載し、アナログディスクの盤質に左右されない安定した再生を実現しました。
特に40Hzサブソニックフィルターの設定ではハウリングマージンの拡大効果もあり、ハイエンドマニア層以外にもアナログディスク再生環境を拡大しました。

EA-3の主な仕様

形式 MM/MC 全段対称無帰還型フォノイコライザーアンプ
  MM MC
入力感度 2.5mV 0.12mV
入力インピーダンス 47Kオーム 470オーム
利得 38dB 65dB
入力換算S/N比 -124dBV -144dBV
最大許容入力 125mV(1kHz) 6mV(1kHz)
定格出力電圧 200mV(1kHz)
リアカーブ偏差 ±0.2dB(20-20kHz)
出力インピーダンス 100Ω
チャンネルセパレーション 100dB以上(20-20kHz,MM/MC共)
消費電力 7W(100VAC 50-60Hz)
外形寸法 W305*H90*D310mm
質量 5.1Kg

 

音質

試聴は、NOTTHINDAM INTERSPASE/HD にフェイズテックのカートリッジ“P−3”を使い、昇圧トランスに逸品館オリジナルの“J'S 5471”を使って行った。アンプは、TERA、スピーカーはPMC IB1S+CLT−2の組合せだ。

いつもテストに聴いているレコードをかけたとき、真っ先に感じたのは「音がすごく良いという感じがしなかったこと」。ボディーは大きいし、フェイズテックのカートリッジを聞いたイメージからは、もっとレンジが広くクッキリした音を想像していたのでいきなり肩すかしを食らってしまった。

でも、1曲目が終わる頃に3号館が「懐かしいジャズ喫茶」の香りが漂うことに気づいた。

電源投入直後から試聴を開始したのでまだ数分しか経っていないけれど、ウォーミングアップのせいだろうか?

レコードがレコードらしく、暖かく、そして躍動する!
まさにアナログの音!
楽器が躍動し、演奏がものすごく楽しくムードたっぷり!
厚みがあるというのだろうか?
音が自然で、最高級のイタリアのコットンシャツの肌触り。

音が弾んで生きている。レコードの溝が音楽に変わる。そんな感じだ!

A面を聞き終わったところでカタログを見た。定価が18.5万円!う〜ん、絶対的には高いけれど、このフォノイコを外さなければならないと考えるとその代価としては決して高くはない。それくらい魅力的な音だ。

昇圧トランスに10万円クラスの製品を使っていたので、それを外してMC入力に切り替えてA面を初めから聞いてみる。
外した瞬間は、さすがに躍動感が少なくなり、音の数も減ってしまったけれど、2〜3曲聞いていると耳が慣れたのか?やはり、自然ですごく躍動感のある楽しい音に聞こえてくるから不思議だ。

あえていうなら、中低音の自然な厚みが素晴らしい。中高音はレコードらしく柔らかい。いわゆるデジタル臭さとは対極にあるサウンドで安心して聞いていられる。

緻密で濁りのない音から、製品の精度の高さ(コストが音の質感の高さに出ている)が感じとれる。電源トランスから分離したデュアルモノラルコンストラクションは、アンプに使っているTERAとまったく同じ思想だが、多くのメーカーが「モノラル」・「専用回路」にこだわると音は良くなるけど「音楽がつまらなくなる」ケースが多い。

特にアメリカや日本製の高級機にそういう音が多いけれど、このフォノイコライザーは違う。私がTERAに求めたのは、「モノラル化によるダイナミックレンジの向上」だが、このフォノイコライザーのサウンドから同様の思想が感じ取れる。

音響特性を追い求めるためにチャンネルセパレーションを上げるためではなく、各チャンネルに独立したトランス(エネルギー源)を使用することでch間でのエネルギーの奪い合いを阻止し、必要なときに必要なだけの電流を供給できる。だからこそフォルテがフォルテになりピアニッシモがピアニッシモになる。音が安定して聴感上の揺らぎ感が無くなる。音がしっかりと地に着く。土台がしっかりしているから、素晴らしい絵が描ける。このフォノイコライザーからは、そういう印象を受ける。

今まで10万円を超えるフォノイコライザーをお薦めしたことはなかったが、この製品なら自信を持って推薦できる。

カタログには、ぜひ「製作者の名前」を入れて欲しいと思った。電化製品ではなく、アートとしてのオーディオをわかっている方が作ったとそう感じたから。この「作品」には、それがふさわしいはずだ。

2006年10月 清原 裕介

 

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