DW−S1のシングルウーファーモデル。(製品版)
プロトタイプに「構造材」が追加されたのか、箱鳴きがほとんど感じられないレベルに低減され、エンクロージャの強度不足に関する「マイナス点」がほぼ完全に払拭された。
DSW−T1との比較では、音の芯やエネルギー感の強さでは譲るものの、レスポンスの良さ軽快さという部分では、DW−S1を越えた!と感じさせるほど「鳴り」がスムーズで良くなっている。
エンジンで言うなら、トルクのV8がDW−S1、軽快なレスポンスの4気筒がDSW−T1といったイメージか?
DW−S1の鮮烈な「音の魅力」は捨てがたいが、音楽を「上手く聴かせる」という魅力はDSW−T1もまったく負けていない。
スタジオを強く意識して音決めされた「DW−S1」に対し、より大胆に「楽しさ」を追求してチューニングされたDSW−T1の方が一般的には使いやすいだろう。
とにかく、音離れが良く、聞いて楽しいスピーカーだ。
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ライブを聴いたときの「拍手」が改良前は、やや平坦で広がり感がもう少し欲しかったが、改良後は「これこれ!」と思わずにんまりするほど、細やかでリアルに音が広がる。
ステージまでの距離が一気に縮まった。情報量は、DW−S1と比べても大きな差はない。ただし、やはり「低音の差」が出て「雰囲気の濃さ」はDW−S1には及ばない。これはシングルウーファーという構成と価格を考えれば、あきらめるべき部分だが、改良前に比べて、その距離感は(音質差は)ぐっと近くなっている。
DW−S1の情報量を100とするなら、改良版のDSW−T1の情報量は80くらい確保できている。スピーカーから離れて聞いた時の情報の劣化も改良後のモデルではまったく問題なくなっている、違いは「体が包み込まれるような感覚」がDW−S1の方が強いという部分だけになった。
音の差として感じられる部分はほとんど聞き取れなくなくなった。 |
スピーカー近づいても、離れて聞いても非常に細やかな音が出る。
DW−S1が持っているツィーターの能力の高さがそのまま引き継がれた感じがする。
スピーカーから出る音のタイミングや質感のバランスがものすごく良い。全体としてはDSW−T1、あるいはREQSTサウンドの癖を感じさせのかも知れないが、その「色づけ」は非常に薄く、なおかつ「すごく均一」なのでそれを「癖」や「色づけ」と認識できない。
結果として、とても素直で色づけのない音だと感じられる。
KRIPTON KX−3と比べると、DSW−T1の「バランスの良さ」が際だってよくわかるだろう。
ツィーターとウーファーの音の繋がりも秀逸だが、改良後はツィーターの良さがハッキリと出てくるので、高性能フルレンジスピーカー+高性能ツィーター=高性能2Wayスピーカーに無理なく生まれ変わっている。
雰囲気は、楽しく躍動感が強い。体が自然に動き出すようなリズムを持っている。癖が少なくどんなソフトにもマッチする。楽器の音色も見事にに描きわける。
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高域アッテネーターの抵抗値低減により、音にしっかりとした芯があり、遠くまで減衰せずに飛んでゆく心地よく、特徴的なツィーターの音は、DW−S1と遜色がなくなった。
カチッとした芯がありドライな音はドーム型にはなく、ホーン型に近いこのツィーター独自の持ち味。
色づけがなく、指向性が緩やかでリスニングポジションを選ばずに良い音が聞けるというホーン型にはない、ドーム型に近い良さもこのツィーターの持ち味。
結果として、癖がなく芯が強く、聞く場所を選ばす高域が飛ぶ=リスニングエリアが広いというツィーターとしては理想的な特性がこのスピーカーでは実現している。
人の声はキツくならず、ナチュラルなのにシンバルやドラムなど打楽器系のアタックがきちっと再現されるのは、この価格帯のスピーカーでは、多に例がないといっても過言ではないだろう。
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中域はDW−S1よりも箱の剛性が低いので「ダイレクトな圧力感」には、どうしてもやや譲るところはあるが、「軽やかなレスポンス」は素晴らしい!
小型スタジオモニター定番の「YAMAHA NS−10M(音はそれほどよいと思わないがレスポンスは抜群)」に匹敵するスピーディーで素直なレスポンスを持っている。高域との繋がりも良い。
やや残念なのは、「厚み」や「質感」がやや「軽い」ことだ。かなり大型のパワーアンプを使ってテストをしたが、それでも「中域の厚み」は物足りなさが残ったので、その部分に関してはこのスピーカー固有の特徴と割り切るのがよいだろう。
倍音は伸びやかで濁りが無く、スピーカー全体が一つの「楽器」のように朗々と鳴るという長所は、改良によりさらに伸ばされ、もはや「スピーカーを聞いている」という感じがしない。
空間から、音が「ポンッ!」と出てくる、飛んでくる感覚は、なかなか捨てがたく、実際にすでにDW−S1が入っているスタジオにもDSW−T1が追加導入されるという事例も複数あったと言うことだ。
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低域は、damped
air
ventの追加により、レスポンスが圧倒的に向上した!
私が望んでいたように、低域がリジッドにスパッと出てくるようになった! 広域ネットワークの改良で、ツィーターにDW−S1と同じクォリティーが実現したことで、ウーファー側にも思い切った改良を施すことが可能となったのだろう。
高域に合わせてチューニングされた「低域」と言う感じはもはやまったくない。ツィーターもウーファーもその能力の限りに、その能力の限界まで軽々と「鳴って」いる。
そのバランスも非常に良く、雑味やノイズ感も無い。
私は、現在DC5(インテグラ TYPE−R)に乗っているが、8000回転を越えてまったく雑味なく軽々と回転を挙げてゆく、HONDA エンジンの緻密さ、バランスの良さ、軽快さと通じるものをこのスピーカーに感じる。 その軽快さを一度でも味わうと・・・、たぶん他のスピーカーを持っていても、DSW−T1も欲しくなってしまうほど魅力的なレスポンスを持っている。
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ステージ(音源)までの距離感は、非常にリアル。 改良前は、ステージが前後方向にやや浅く感じられたが、改良後は「距離感がドンピシャ」になっていて、ステージの「熱気」・「躍動感」がリアルに伝わり、非常に密接な「一体感」が得られるようになった。 ニアフィールドモニターとして「良くコントロールされたバランスの中で音楽を安心して楽しめる」という方向から「生演奏をその場で聴いているようなリアリなイメージで音楽と一体となれる」という印象へと大きく変貌を遂げた。 まさに、リアル・ミュージック・モニターという言葉がふさわしいような、響きがトータルで高度にチューニングされ「完全に一致したバランスを持つ」製品へと大幅にアップグレードされた。 もはや「癖」・「色づけ」といった、マイナス要因はまったく感じられない。
演奏者とリスナーを「隔てるもの」が何もない。 聞くことが心地よく、ただただ幸せだ!
この音は、ミュージシャンとリスナーを強く結びつけ、そして間違いなく双方を平等にハッピー!にするはずだ! |