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Wharfedale ワーフェデール Diamond ダイヤモンド 11 シリーズ スピーカー 音質 比較 評価 レビュー 試聴CASTLE Knight -2 , Knight-4 , Richmond スピーカー 音質テスト
2017年10月、イギリス Castle(キャッスル) Acoustics社のKnight(ナイト)シリーズから、Knight-1、Knight-2、Knight-4、Knight-5の4モデルに上級モデルのRichmond Anniversaryを加えた5モデルのスピーカーの輸入が開始されました。 Castle Acoustics社は、1973年にイギリス・ヨークシャーで開業したスピーカー専業メーカーです。Castle(キャッスル)の名称は、11世紀に建てられたSkipton Castle(スキップトン城)をに由来し、ロゴマークにも「城」のシルエットが使用されています。 その後ブランドは、中国資本の「IAG」に買収されましたが、今もCastleは、デザイン部門と製造部門の両方を一つの工場に集約している数少ないスピーカーメーカーの一つで、ドライブユニットや電子部品だけでなく、それらを包み込む美しいリアルウッド素材のエンクロージャーも手作業で製造しています。 逸品館では、約20年ほど前にCastle社のブックシェルフ型スピーカー「トレント2(TRENT2)/発売時価格 6万円ペア」を高く評価し、拡販していた記憶があります。 ・QUAD、WharfedaleとCastleの共通点 中国に居を構える「IAG」Group」は、多数のオーディオメーカーを束ねる巨大なファンドです。現在、日本市場で知られているブランドでは、「Luxman」に始まり、「QUAD」、「Whafedale(PRO)」、「Audiolab」、「Mission」、そして今回輸入が開始(再開)される「Castle」などを傘下に収めますが、日本に知られていないオーディオ・ブランドのELCOやLEAK、そして楽器やPAメーカーなども含めると優に10社を超えるブランドを所有しています。 今回試聴したモデルでは、上級機のRichmondに使われるカーボン繊維を使うウーファーや、そのツィーターにWhafedale製品との共通点が感じられました。また、Knightシリーズのセンターキャンプが突き出した形のウーファーユニットは、QUAD製品との類似性を感じさせます。それぞれのブランドの解説には、すべて「独自で開発」とされていますが、ユニットやエンクロージャーに関してある程度共通点があるようです。 ・Knightシリーズの特徴 今回導入されるのは、「3」を除く4モデルです。すべてのモデルは2ウェイ構成で、ウーファには天然繊維の混合物を加熱して円錐形にプレスした混合ファイバーコーン素材を用いたユニットが使われます。天然繊維は比強度が高い反面、精密な形状に蚊加工しにくいという欠点があります。それを補うため、天然繊維に熱硬化樹脂を混合して成形する方法は、現在Focalなど多くのスピーカーメーカーが採用しています。 ツイータは、アルミコアのボイスコイルを組み合わせた25mmのソフトドームを各1基搭載されます。ソフトドーム型は、金属振動板にみられる「固有のピーク」が発生しにくく、滑らかで耳当たりの良い高音を再現します。 ネットワークには、 シンプルな2次クロスオーバー(12db/オクターブ)が採用され、すべてのモデルでクロスオーバー周波数は3kHz、定格インピーダンスは8Ωとされています。 バスレフポートには、独自のツインパイプテクノロジー(TPT)が採用され、反射ポートを使わずキャビネットの内部容積を活用することで、低音レスポンスの拡大を可能としています。キャビネットは、木材を手作業で仕上げ、5日間かけて接着とワックスが施されたものが使われます。Knightの各モデルには、「Cherry」、「Mahogany」、「Walnutl」の3色が用意されます。 ・Richmondシリーズの特徴 Richmond Anniversaryは、Castle社定番モニター「Richmond」を新設計で再び製品化したコレクター・アニバーサリーエディションモデルで、リアバスレフのブックシェルフ型モニタースピーカーです。Richmond ANV.に採用されている、特徴的な逆型ユニット配置(ツィーターが下側、ウーファーが上側)も、Castle社の伝統的なデザインが継承されています。 ツイータをウーファの下に配置することで、ユニット間のタイムアライメントが最適化され、Linkwitz-Riley音響スロープを用いた正確な位相のクロスオーバーが可能となります。さらにツイータは、フロントバッフルの輻射を分散させるためにオフセット配置されています。設置する場合には、ツィーターが内側よりになるのが基本だと思いますが、スピーカー間が狭い場合など、逆(ツィーターを外側)になるよう設置しても、問題はありません。 Richmond ANV.には、Knightシリーズとは異なるユニットが使われています。ウーファにはカーボンファイバー織コーンが使われ、カプトンボビンに巻かれたコッパークラッド・アルミニウムボイスコイルが線材として使われます。この銅よりも軽く、銅と同じ導電性を持つ特殊な線材は、Wharfedale Diamond 11シリーズのツィーターにも使われています。ユニット口径は、130mmです。ツィーターには、口径19mmのポリアミド・マイクロファイバー製ドームツイータが採用されています。 クロスオーバーには「音の透明度」を高めるため、シリコン-鉄積層コアを用いたベース・コイル、大型の空芯コイル、独自のポリプロピレン低損失コンデンサなどが採用されています。 エンクロージャには可聴帯域でのパネル共鳴を減らすため、最新の振動スペクトル解析を用いて配置が決められる、ビチューメン材ダンピングパッドが追加された15mm厚のMDFが使われます。また、パネルは多層複合素材がルーズ繊維織物と組み合わせて作られ、エンクロージャーで発生する共鳴を低減、内部共鳴波を吸収することで不要な音の発生が抑えられ、ユニットの持つダイナミックレンジを余すことなく発揮します。この考え方は、やはりWharfedale Diamond 11シリーズのキャビネット設計と同じです。 キャビネット表面は、厳選されたクラウンカットの高品位な突き板を使われ、非常に美しい木目に仕上げられています。仕上げは「Lacewood」のみとなっています。 Castle (キャッスル) Knight(ナイト) 1 メーカー希望小売 52,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Castle (キャッスル) Knight(ナイト) 2 メーカー希望小売 70,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Castle (キャッスル) Knight(ナイト) 4 メーカー希望小売 148,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Castle (キャッスル) Knight(ナイト) 5 メーカー希望小売 178,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Castle Richmond(リッチモンド)Anniversary メーカー希望小売 158,000円(ペア・税別) (ホームページ) 試聴環境
AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 460,000円(税別)(現金で購入)・(カードで購入)
AIRBOW AI301DA Special 販売価格 61,500円(税別)(現金で購入)・(カードで購入) 今回の比較試聴は、YouTube 逸品館チャンネルでもご覧いただけます。 音質テストに使ったソフト
(サランネットを取り外して聞きました) 最近の小型スピーカーは、低音が良く出ます。Knight 2も、その例に漏れず低音が良く出ます。 キャビネットが少し薄く、またDiamond11.1のように後方に向かって絞り込まれていないためか、箱鳴き(キャビネットの共鳴音)は少し多めですが、空間はそれほど濁りません。 バイオリンの音質はこのクラスのスピーカーとしては平均以上ですが、エッジはやや鋭く、若干ぎざぎざしています。 バランスのとれた聞きやすい音で、リザ・フェルシュトマンのバイオリンが聞けました。 (サランネットを取り外して聞きました) スピーカーのサイズが大きくなると音に余裕が出て、空間のスケール感が一気に広がります。 バイオリンの力強さも格段に向上し、「演奏の動き(奏者の体の動き)」が見えるような音になります。 弓をゆっくりと引き始め、ゆっくりと止める。その「粘っこさ」が感じられるようになりました。 トールボーイ型スピーカーとしては、かなり小さいKnight 4ですが、ブックシェルフ型スピーカーとは一線を画する豊かな低音が再現されます。 2Wayならではの透明感の高い澄み切った音とフロア型ならではの豊かな音場感・力強さが、コンパクトなサイズに凝縮されています。 (サランネットを取り外して聞きました) スピーカーが小型になったため、音場の広がりや豊かさは若干削がれていますが、高価格スピーカーらしい「きめ細やかさ」が感じられるようになりました。 潤い感、滑らかさ、シルクのような上質な感覚。やはり、高額品はそれなりの音が出ると納得させられます。 Knight 2は、価格を超える音。Knight 4は、サイズを超える音。Richmond ANV.は、緻密で質の高い音質で、リザ・フェルシュトマンのバイオリンを聞かせてくれました。
(サランネットを取り外して聞きました) バイオリンよりサイズが大きく、胴鳴りが多いギターでは、Knight-2のキャビネットの共鳴音がかなり強く感じられます。ボーカルにも共鳴による濁りが発生しているのが聞き取れます。 空間が少し濁り、空気が煙っているようです。 しかし、それを除けば、音質は素直でセーラKさんの声も、ギターの音も高級スピーカーで聞くときと変わらない音色で鳴っています。音は濁りましたが、奏者が伝えたいことはきちんと伝わってきます。 (サランネットを取り外して聞きました) キャビネットの共振はあいかわらず邪魔な存在ですが、Knight 2よりもかなり量が少なくなりました。 低温がきちんと再現されることで、ギターとボーカルの分離感が向上し、ギターとボーカルのそれぞれのニュアンスが聞き取りやすくなりました。けれど、それぞれの音がバラバラに鳴るのではなく、弾き語りらしい一体感が再現されるのはさすがです。 (サランネットを取り外して聞きました) キャビネットの濁りが消えて、澄み切った美しい音になりました。 ギターは指で弦を弾いたところから、響きが消えるまでの時間が長くなり、その間の変化が寄り細やかに再現されます。 ボーカルもマイクを近づけたように、音が細かくなり、セーラKさんの唇の動きが見えるようです。 ため息混じりに切々と訴えるような、この曲の雰囲気が実に良くでます。 心地よい音で、Vincentが鳴りました。
(サランネットを取り外して聞きました) この曲でも小型スピーカーとは思えないほどの豊かな低音に驚きます。 ベースラインは少し膨らんで、若干遅れがちですが、バラード調のこの曲にはそれが良く合います。 曲間に入る、木質的なパーカッションの音も、上手く響きます。 濁りなどは価格だからとあきらめるとしても、それぞれの楽音の音色と質感の再現はさすがです。 (サランネットを取り外して聞きました) Knight 4のサイズの小ささが奏功して、膨らみがちになるこの曲の低音を膨らまずに鳴らします。けれど低音がもう少し伸びれば、エコーがもっと長く伸びて、雰囲気がさらに濃くなったはずです。 粘りけと艶が少なめな、ややあっさりとした音調でこの曲が鳴りました。 (サランネットを取り外して聞きました) 一聴して低音の出方の違いが分かります。量感は少ないですが、密度感の高いしっかりした低音が出ます。 また、Knight 2/4では聞こえなかった、コーラスのハーモニーや、主旋律の影に隠れていた副旋律、大きな音に隠れていた小さな音が聞こえるようになりました。 声の抑揚も大きくなって、スピーカーのサイズは小さくなりましたが、表現力は大きくなったように感じます。
(サランネットを取り外して聞きました) ピアノの響きが、少し濁ります。高音も少しピークが出て、強く鍵盤を叩いたときの音をうるさく感じる事がありますが、右手と左手の音のバランスは秀逸です。 ボーカルも少し濁りを感じますが、綺麗にピアノと分離するところは価格を考えると、とても素晴らしいと思います。 キャビネットの構造と材質の違いによるのでしょう。Diamond 11.1がとても透明で切れ味の良い音を出したのとは対象的に、少しおおらかで響きの膨らむような鳴り方をします けれど、音楽の内容を伝えるために大切な、音色の再現に癖がなく、描き分けも見事です。 ちょっと、タンノイに似ていると思いました。 (サランネットを取り外して聞きました) 低音が出るのはやはり良いものです。音楽の表現が豊かになり、臨場感がぐっと高まりました。 低音の濁りもKnight 2より少なく、全体的な質感も向上しています。 この自然で滑らかな音は、やはりユニットが3つでも分割を一つにして、2Way構成を取っているメリットでしょう。 自然な鳴り方に、身をゆだねると、とても心地よい感覚になりました。 (サランネットを取り外して聞きました) 山椒は、小粒でもぴりりと辛い。ボーカルが鳴った瞬間にそう思いました。 声の質、細やかさや透明感がまるで違っています。 ピアノもグランドピアノらしい、美しい響きが感じられます。 価格を考えれば仕方ないのですが、Knight 2/4の響きは、少しがさつ(がさがさする)ようなところがありました。Richmond ANV.には、そういう低級な響きは一切ありません。 スピーカーは楽器と同じで、再現される音質感は、やはりどうしても価格に依存するようです。 その点、価格GAYA水にもかかわらず、高い質感さえ感じさせる「Wharfedale Diamond 11シリーズ」や「audiopro FS-20」は、類い希だと思います。
(サランネットを取り外して聞きました) イントロの低音はしっかり出ますが、少し膨らみと濁りがあります。金管楽器の高音も、やや薄っぺらい感じです。 弦楽器の量感と圧力感はまずます。 けれど価格が安いので交響曲は、無理かなと思いましたが、それぞれの楽器の音はきちんと分離して再現されますし、ホールの雰囲気も良く出ます。ブックシェルフ型らしく、音場の立体感にも優れています。 なかなかどうして、侮りがたい雰囲気の良さで「新世界より」が聞けました。 (サランネットを取り外して聞きました) イントロ部分での音の重なりに厚みが出ました。ティンパニーの音も量感が豊かです。 コントラバスのパートの低音がしっかり伸びて、Knight 2では引き出せなかった「臨場感」と「間合い」がしっかりと伝わります。 主旋律と副旋律の分離、休符の存在感が俄然強くなり、目を閉じれば、ホールの中央でコンサートを聴いている気分になれました。 (サランネットを取り外して聞きました) こんなに小さなスピーカーが鳴っているとは思えないほど、しっかりとした空間のスケールが再現されて驚きます。 トランペットの音もKnight 2とは、全く違います。 サイズがこんなに小さくなっているにもかかわらず、響きの豊かさが余り変わらず、逆に響きの複雑さが増し、空間の密度が向上しています。楽器の数の多さが、全く違います。 使われる楽器の数が多い交響曲で聞き比べると、スピーカーの「格の違い」が伝わりました。 2017年10月 逸品館代表 清原裕介 |
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