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Wharfedale ワーフェデール Diamond ダイヤモンド 11 シリーズ スピーカー 音質 比較 評価 レビュー 試聴Wharfedale Diamond 11.1、11.4 音質テストと 11 Seriesのご紹介
2017年10月、Wharfedale( ワーフェデール)から、Diamond 10シリーズの後継モデル、11シリーズが発売されました。 (Wharfedale社の歴史とDiamond10シリーズについてはこちらからご覧いただけます) 11シリーズには、Diamond 10の様々な技術が進化し、継承されています。 ・良質な低音の実現 Diamond 11に使われる特殊なバスレフポート「スロットを使う分散ポートシステム」は、キャビネットの底面とベースボードの間に隙間を設け、底面に設けられたバスレフポートから放射される低音をベースボードで拡散し、通常の丸形のポートを持つバスレフ方式よりも豊かで良質な低音を実現する優れた方式ですが、よく似たシステムのポートをTADは、“Bi-Directional ADS”と名付け、ブックシェルフ型の"CE1、ME1"に採用しています。 2012年発売のDiamond 100で初めて採用されたこのポートが、Diamond 11ではさらに進化ています。ポート形状の改良により、はき出される気流が線形化され空気量が増加、低周波出力の増大が可能となりました。この新型ポートの採用により、Diamond 11 シリーズの低音は、同サイズのスピーカーより量感が豊かで膨らみや濁りの少ない良質さが実現しています。 Diamond 100シリーズの分散ポート ・エンクロージャーの共鳴を低減し濁りのないサウンドを実現 Wharfedaleは、キャビネットの共振や共鳴がスピーカーのサウンドに大きく影響することを創業時からすでに認識し、キャビネットの音は、常に「スピーカーのサウンドの一部」であると考えています。 Diamond 11シリーズのキャビネットのために、Wharfedaleは、異なる密度の木材をテストし、ドライブユニットの音が「そのまま鳴る」ように、キャビネットの音を「抑え」ました。また、緩やかなカーブを描くラウンド側板の採用(Diamond 11.0を除く)により内部の共鳴を低減し、さらに特別に開発した吸音繊維を配置することで幅広い帯域幅にわたって優れた吸収性を発揮し、キャビネットの共振出力をドライバーの出力より25dB以上低減することに成功しています。 この優れたキャビネットの採用により、Diamond 11シリーズは、価格を超える「濁りのない透明なサウンドを実現」します。 ラウンドキャビネット ・WFRベントシステムを採用した高域ユニット(ツィーター) Diamond11のすべてのモデルに採用される高域ユニットには、新設計のWide Frequency Response(WFR)ベント付きモデルが採用されています。大型のチャンバーを使うこの方式では、ツィーター背後の空気抵抗が減少し、振動板がより大きく、より歪みなく動くことができるので高域の周波数特性と歪み特性が向上し、伸びやかで澄み切った高音が実現します。 さらにツィーター周囲に設けられた、広拡散性ウェーブガイドにより緩やかな指向特性を獲得、圧迫感のない自然な音の広がりを実現しています。 線材に使われるCCAW配線は、アルミの表面に銅をコーティングすることで、銅と同じ伝導性とアルミに近い軽さを実現し、振動系の慣性質量を軽減し、高域のリニアリティーを向上させます。また、後部に設けられたカッパーキャップは、磁気回路の歪みを低減し、透明で澄み切った高音を実現します。 これらの素晴らしい技術が導入された高域ユニット(ツィーター)を搭載するDiamond 11シリーズは低価格でありながら、上級(ハイエンド)スピーカーに匹敵する、澄み切った濁りのない伸びやかな高音が実現しています。 WFR方式を採用したツィーター ・大型マグネット、ロングボイスコイルを採用したミッドレンジとウーファーユニット Diamond11シリーズのミッドレンジ(中域)・ウーファー(低域)ユニットには、この価格帯では珍しく高価なカーボン繊維を使う軽くて強度の高い振動板が使われます。磁気回路には、巨大なマグネットが使われます。 ユニットの理想である「軽い振動板と強力な磁気回路」の組み合わせを実現したこのユニットは、コーンの動きが完全にコントロールされ歪みが少ないだけでなく、感度(能率)も高く、真空管アンプなど低出力のアンプとの組み合わせでも良好な音質を実現します。 ツィーターにも採用された特殊形状の銅キャップ付きポールピースにより磁束が制御することで、ミッドレンジエリアにおける歪みが抑えられ、ロングボイスコイルの採用により振動板が大きくストロークしたときにも歪みが少なく、大音量でもスッキリとした濁りのない中低域が実現します。 ミッド・ローレンジユニット ・クロスオーバーネットワーク 完成したクロスオーバーコンポーネントの値、コンポーネントの形式、回路基板のレイアウトまでが最も正確に、そして精密に微調整され生産モデルに搭載されています。 ・低価格・高音質を実現 フロントパネルには光沢ブラック仕上げが施され、ラウンドしたキャビネットは木目と仕上げが美しく、その音質と外観は優に2倍くらい高価なスピーカーを凌駕するほどです。 ・選べる3色の仕上げ ・Diamond 200シリーズとの違い Diamond 11シリーズに採用された技術は、先行発売されているDiamond 200シリーズと共通ですが、通常の直方体キャビネットを採用するDiamond 200がキャビネットの響きを生かしゆったりとした鳴り方なのに対し、ラウンドキャビネットの採用と新型ツィーターが搭載されるDiamond 11シリーズは、透明感と高域の切れ味が優れています。 この音色の違いにより、ゆったりとした響きがマッチするクラシックやバラード系の音楽には200シリーズが、現代的なPopsやRock、テンポの速いリズミカルな音楽には、11シリーズがマッチします。 Diamond 11シリーズと200シリーズは価格も非常に近く、選択が悩ましいところですがどちらも良い音の製品なので、デザインの好き嫌いで選ばれても大丈夫だと思います。 Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.0 メーカー希望小売 41,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.1 メーカー希望小売 64,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.2 メーカー希望小売 84,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.3 メーカー希望小売 140,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Wharfedale(ワーフェデール) Diamond
11.4 メーカー希望小売 Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.5 メーカー希望小売 220,000円(ペア・税別) (メーカーホームページ) Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.CC メーカー希望小売 38,000円(1台・税別) (メーカーホームページ) Wharfedale(ワーフェデール) Diamond 11.CS メーカー希望小売 59,000円(1台・税別) (メーカーホームページ)
試聴環境 AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 460,000円(税別)(現金で購入)・(カードで購入) AIRBOW AI301DA Special 販売価格 61,500円(税別)(現金で購入)・(カードで購入) 今回の比較試聴には、低価格で高音質を実現しているプリメインアンプ"AIRBOW AI301DA Special"を組み合わせました。 データーの送り出しは、AIRBOWネットワークプレーヤー「MNP-i5 Roon」を選び、標準搭載の高音質アプリ「HQ Player」によりCDから取り込んだWAVファイルを「88.2kHz/24bit」にアップサンプリングして、AI301DA SpecialにUSBで入力し、それぞれのスピーカーを鳴らしました。 また、6万円弱のAI301DA Specialに50万円近いMNP-i5 Roonの組合せは極端だと考えて、iPod Touchに収録した同じデーター(CDをリッピングしたWAVファイル)をBluetoothでAI301DA Specialに入力し、Diamond 11.4で行った音質チェックを追加しました。 今回の比較試聴は、YouTube 逸品館チャンネルでもご覧いただけます。 Diamond 11 シリーズのご紹介 Diamond 11.1の試聴 Diamond 11.4の試聴 Diamond 11.1/11.4を交互に試聴 AIRBOW AI301DA SpecialをDiamond 11.4で試聴 音質テストに使ったソフト
(サランネットを取り外して聞きました)
Diamond
11.1は、技術解説通りにキャビネットの共振がしっかりと抑えられていて全帯域にほとんど付帯音がなく、この価格帯のスピーカーとは思えないほど高域がきめ細やか。透明感の高い澄み切った音でリザ・フェルシュトマンのバイオリンを鳴らします。
この価格帯のスピーカーから出る高音はほとんどの場合、密度が低く感じられたり、どこかざらついて不満が残ります。けれどDiamond11.1の高音はとても質が高く、思わず聞き惚れるほどの美しさです。 高音はあいかわらずとても伸びやかで、ギタリストが弦を弾く(リリースする)時のしっかりとした高音の芯の強さが伝わりますし、ギターの密度が高く緻密な鳴り方にDiamond11.1に使われているユニットの素性の良さを感じます。 キャビネットによる音の濁りがほとんど感じられないので、ギターの胴鳴りもしっかりと再現されますし、セーラーKさんの声の太さハスキーな感じもよく出ます。ギターとボーカルのマッチングもバッチリです。
シンセサイザーの音は見事に澄み切っていて、しっとりした緻密な音で再現されます。アマンダさんの声も力強く、抑揚が大きく、表情が豊かです。 濁りがあまりにも少ないためか全体的に少し硬質な感じを受けますが、この曲にはその澄み切った透明な音が実によくマッチします。ボーカルとシンセサイザーの分離にも優れ、価格という枠を取り除いても、良い音で鳴っていると感じます。
ピアノの音に、しっかりとした芯の強さが感じられます。ボーカルは、濁りが全く感じられず、ピアノと綺麗に分離しながら、見事なハーモニーを形作ります。
イントロの金管楽器の重厚感がきちんと伝わります。木管楽器のパートでは、金管楽器とは異なる表現が使われていることが、しっかりと伝わります。弱音から音量が徐々に大きくなり、音が天上に立ち上るような表現も正確な音量と空間の変化で見事に再現されます。 はるかに高価なコンポーネントでこの曲を鳴らしても、バランスが崩れ曲調が変わってしまうことは少なくありません。そんな音楽的には未完成な高級機とは対照的に、Diamond 11.1はこの曲の主題に一切の脚色を与えることなく、演奏のイメージをストレートに伝えます。 この価格でこれほどの音楽再現能力と精度を兼ね備えるコンポは、世界広しといえども多分他にはない。そう確信するほど、素晴らしい音で「新世界より」が聞けました。 (サランネットを取り外して聞きました)
Diamond 11.1でなんら不満が感じられなかったこの曲ですが、スピーカーがフロア型になってさらに低い音が出たことで、「ホールの空気の動き」や「演奏者の体の動き」まで伝わるようになってきました。また、11.1では「宙に浮かんで鳴っていた」ように聞こえていたバイオリンの音が、11.4では「地面に足を着けた演奏者の体」まで感じ取れるようになりました。 空間は11.1の方が濁りがなく透明でしたが、11.4の方が響きがより豊かで、よりホールでの「生演奏」に近い雰囲気が醸し出されます。
ギターの音は太く、甘い雰囲気です。 楽器の響きはより長くなりましたが、中低音に若干キャビネットの共振と思われる付帯音が発生します。11.4では、豊かさと濁りがトレードの関係にあります。 ギターとボーカルの密な感じは、11.4の方が強く、11.1では感じられなかった「演奏会場の雰囲気」や「ギターとボーカルの距離の近さ」が伝わります。11.1では伝わりきらなかった、セーラKさんがギターを抱えて歌っている様子が11.4では伝わります。 非協和音成分が少ないこの演奏では、11.4のキャビネットから発生する中低音の濁りはほとんど気になりません。
ピアノの高音(倍音)の美しさでは11.1が勝っていましたが、ピアノの響きの豊かさと中低音の力強さは、11.4が勝っています。 良質なマイクが捉えた純度の高い音を「そのまま聞いている感覚」だった11.1に対し、目の前で「ボーカリストが歌っているように感じる」のが11.4の鳴り方です。
イントロの金管楽器の響きが長く尾を引くようになりました。大音量部では、音場がさらに大きく広がります。 弦楽器のパートは厳かに、木管楽器のパートはふくよかに、それぞれ明確に違う音で鳴らし分けられます。 追加試聴 先に書いたように、6万円弱のAI301DA Specialに50万円近いネットワーク・トランスポーターを組み合わせるのは、あまりにも非常識(盛りすぎ)だと考えたので、一般的に最も考えられる組み合わせとして「iPod TouchをBluetoothで接続」して聞いてみました。
AIRBOW AI301DA Special 販売価格 61,500円(税別)(現金で購入)・(カードで購入)
Bluetooth接続でオーディオを鳴らすと高音に曇がでたり、音の密度が低下しがちです。それは音声を圧縮して伝送するからですが、驚いたことにAI301DA SpecialにiPod TouchをBluetooth接続して鳴らしても、MNP-i5 RoonのUSB接続とそれほど大きく違わない音が出て驚きました。 再生しているデーターは普通のCD品質で、決してハイレゾではありませんが、高音はCDとは思えないほどスッキリと伸びています。 高音に曇りは一切なく、しっかりとした芯もあって、ヒラリー ハーンの演奏らしい、キビキビした感じが実によく再現されます。 iPod TouchとBluetoothの組み合わせでも、まったく不満のない音でバッハが鳴ります。Wharfedale(ワウフェデール)Diamond 11.4の良さもさることながら、AIRBOW AI301DA Specialの音の良さにも驚かされました。
Bluetoothでは、高音が丸くなることが多いのですが、圧縮しない普通のCDと組み合わせて聞いているような伸びやかで緻密な音です。ヘイリー・ウェステンラさんの透明な声と、ホールの美しい響きが部屋いっぱいに広がり、ハープの音も実にリアルです。 確かに、しっかり耳を澄ませると「わずかに演奏があっさり(艶が少なめ)」に感じられなくはありませんが、Bluetoothと聞かされても信じられないほどしっかりした音で、ブライダル バラッドが鳴りました。
USB接続と比べるとイントロの重厚感がわずかに失われましたが、それでも十分良い音です。 弦楽器、木管楽器、ティンパニーの音の描き分けも完璧ですが、やはり音の数(楽器の数)は少し減っています。
巨大なパイプオルガンらしい、エネルギー感もきちんと再現されます。薄っぺらなハイレゾの音ではなく、地面にしっかりと根を張った、理想的なピラミッド型バランスの音です。三角形の先端も丸くならず、しっかりと角張っています。 パイブオルガンの重厚感、金属的な鋭さがきちんと再現されます。また、このクラスのアンプとスピーカーの組み合わせでは出にくい低いパイプの音(音階)もきちんと聞き取れます。コーラスの響きの良さ、それぞれの声色の違いもよく出ます。男女混成コーラス部の、それぞれの声の違いと音階の違いもきちんと聞き分けられます。 より音楽を濃密にするプラスアルファーはありませんが、実際のコンサートがどのようなものであったか、それを正しく伝えるには十分な音質です。
人間の耳では聞き取れないほど細やかな響きまで収録されている超優秀録音のこの曲で比較すると、iPod
Touch+Bluetooth接続ではやはり音が薄くなり(倍音が間引かれる感じ)、ピアノの音が軽くなっていることに気がつきます。
エバ・キャシディーさんの声の美しさ、強さがきちんと再現されます。子音もはっきりとして、英語の発音がとても聞き取りやすいのも美点です。 この曲は試聴会でも使われることが多く、例えば100万円を超えるシステムでも「えっ!?」と思うような情けない音で鳴っている事があります。価格では1/10ほどのAI301DA
SpecialとDiamond11.4の組み合わせですが、そういう「ダメなサウンド」は完全に凌駕しています。
イントロのドアが開く時の空気の揺れや動き、外側から聞こえてくる風の音、すこしわざとらしい狼の声、それぞれが見事に分離しています。さすがに高音はUSB接続時の高音質と比較するとすこしざらつきますが、問題ない範囲です。 それにしても、低音のパンチ力は素晴らしい!ベースラインの音が腰砕けになることなく、まっすぐと前に出てきます。 マイケルの声も抜けがよく、伴奏に埋もれたりしません。ギターのリズミカルな音、ボーカル、ベースライン。複雑に絡み合うそれぞれの音が綺麗に分離しながら、一つのハーモニーを形作る様子がとてもよくわかります。このシステムで聞くと、スリラーという曲が、まるで交響曲のように綿密に計算された複雑な構造を持っていることがわかります。 そんな素晴らしい音が誰でも十分手の届く価格で実現しているのが、さらに素晴らしい!最高のエントリーモデルです! 試聴後感想 これから「オーディオを始めよう」とお考えなら、このシステムを是非聞いてみて下さい。 すでに「半端な高級オーディオ」をお持ちなら、このシステムはお聞きにならない方が良いと思います。 そんな暴言を吐きたくなるほど、素晴らしい音でした。 スマートフォンの普及に見られるような、ここ数十年の驚くべき電子回路技術の進歩は、「名ばかりの高級オーディオ」をすでに、遙か彼方に置き去りにするほど大きな進歩をオーディオにもたらしています。 2017年10月 逸品館代表 清原裕介 |
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