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CAV T-5 、 T-50 音質評価
製品の概要
CAVという名前はオーディオ・ブランドとしてはまだあまり知られていないと思います。詳しいことはこちらのページに書いていますが、2006年に日本法人を設立し翌2007年から本格的に製品の発売を開始しています。当初はスピーカーの輸入から始まりましたが、スピーカー内蔵TVラックが「ジャパネットたかた」のTV通信販売で大ヒットし、瞬く間に年商数十億というLuxmanやAccphaseのような老舗オーディオ専業メーカーの売上規模を超えてしまう勢いで大成長を遂げたのです。その好調を足がかりに2011年より超弩級スピーカーの発売を開始し、この年末に2機種の真空管プリメインアンプの発売が開始されました。
日本市場で定評のある低価格・高品質の真空管アンプは「Triode」がその代表格です。当初、安かろう悪かろう的だった中国製オーディオ製品の著しい品質向上は、Triode 山崎代表の血の滲むような苦労の成果だと思います。CAV製品も輸入開始直後は、製品の仕上げは一流とは言えなかったのですが、「ジャパネットたかた」でもまれたのか?その後著しい改善が行われ、現在は国産製品とほとんど遜色がないレベルにまで向上しつつあるようです。少なくともT-5・T-50はTriode製品に勝るとも劣らない素晴らしいレベルに達しています。
そこで逸品館では、CAV製品(真空管プリメインアンプ)を信頼に足る製品と判断し、音質テストを行った上で取り扱いを始めることにしました。音質テストは、普段から音質テストによく使う Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) と AIRBOW NA7004Special+iPodの組み合わせで行いました。
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AIRBOW NA7004/Special + iPod Touch(MP3/320bps)接続ケーブルは、iPod付属品
CAV T-5 メーカー希望小売価格 135,000円(税別) この製品のご購入はこちらからどうぞ |
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<総評> CAVのアンプと聞いてあまり期待はしていませんでした。中国製の粗くバランスの悪い音を想像していたからです。しかし、音が出た瞬間にそれが間違いであったことがわかりました。 同じ中国製の真空管アンプではTriodeの製品が有名ですが、TRV-35SE当たりと比べてもT-5は決して聞き劣らしない実力を持っています。仕上げも美しく、Triodeと並べても何ら見劣りすることはないでしょう。最近各社から発売される「良くできた」オーディオ機器の性能が向上し、かなり拮抗していると感じる事が多いのですが、T-5もその例に漏れません。低音には十分な量感があり、真空管らしい柔らかさと暖かさ、ふわっとした広がりの良さを持っています。IPod(MP3/320bps)のソースでも真空管の響きが音に潤いと響きを与え、アナログテープレコーダーのように柔らかくニュアンスに富む音を出してくれます。音は明るく楽しい方向です。中でも女性ボーカルの良さは秀逸で、Triodeの同価格帯品を上回るかも知れません。 |
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CAV T-50 メーカー希望小売価格 350,000円(税別) この製品のご購入はこちらからどうぞ |
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<総評> T-50の音色はT-5と見事に統一されていて、その音作りにCAVの技術力の高さを感じます。真空管を変え筐体を変え、回路やパーツを買えても「同じ音色を作り出せる」というのは、簡単ではないからです。 外観の仕上げは美しくまた素材感もかなり良い部類で価格に十分見合っています。同じ曲でT-5とT-50を比べると、全体的な音のバランスや音楽の再現性はそれほど変わらないのに、厚みやコクが出て「リアリティー(実在感)」でT-50は確実にT-5を上回ります。ドラムの押し出し感やパンチ力、ギターの厚みと響き、バイオリンの透明感、ボーカルのリアリティーと表現力、あらゆる音のパーツがより美しく磨き上げられ、それぞれのハーモニーの完成度も高まっています。35万円(税別)という本体価格は、安くはありませんがその音質もまた伊達ではありません。逸品館お薦めの真空管プリメインアンプ、Unison Researchなどと比べても遜色ないと感じられるほど、その音には円熟した暖かみが感じられました。 T-50の余裕あるゆったりと優雅に流れる音と、真空管アンプ独特の美しい響きに囲まれ音楽を聞いていると、自然と満たされて心が豊かになります。T-5の総評にも書きましたが、後は本体にある「CAV」というブランド・ロゴをどのように感じるか?それだけがこのアンプを求めるか、あるいはそうでないかの決め手になりそうです。 T-5同様T-50もアンプとしての性能や仕上げには、全く問題ありません。Luxmanなどの国産品と比べてもまったく引けを取ることはない、T-50は良くできた真空管プリメインアンプでした。 |
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2011年 12月 逸品館代表 清原裕介
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