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V90 メーカー希望小売価格 ¥200,000(ペア・税別 )
CAVから本格的なブックシェルフ型スピーカー「V90」が発売されました。この製品は振動に強い2層式高密度MDFキャビネットを採用し、マグネシウム振動板を持つドーム型ツィーターと軽くて強度の高いハニカム構造の振動板を持つウーファーを搭載しています。この構成を考えれば非常に安いメーカー希望小売価格は20万円(ペア・税別)は、さすがCAV製品です。それでは、V90の各部を写真でご紹介いたしましょう。(V90の紹介をYou tube 逸品館チャンネルで見る)
仕上げは、MDF突き板仕上げです。写真はプロトタイプのもので、製品は色がもう少し薄く木目がよりハッキリ見えると言うことです。白いマグネシウムツィーターとウーファユニットのハニカム構造がよくわかります。キャビネットは前面の角が切り取られ、高性能スピーカーらしい形状に仕上げられています。
撮影を忘れたのですが、キャビネットの下には4つのねじ穴があり付属のスパイク(上写真)を取り付けられます。スタンドとはスパイクによる、4点接触になります。
マグネシウム振動板を採用したツィーター。振動板保護と指向性を和らげるため、黒い音響ディフューザーが採用されています。
ウーファーにはご覧の通りハニカム構造(蜂の巣構造)の振動板が採用されています。センターキャップは、かなり特殊な形状です。
高品位なパーツが採用された入力端子。がたつきを防ぐ2重構造のキャップが使われています。BI-WIREに対応します。右の写真は背後にある、バスレフポートです。外観は、このクラスのスピーカーの水準的かそれより少しだけチープな仕上がりだと思います。サンプルはプロトタイプなので、製品では改善するかも知れません。
CAV V90 メーカー希望小売価格 ¥200,000(ペア・税別) (この製品のご注文はこちらからどうぞ) |
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<柔らかい> - - - - - * - - - <硬い> | V90の付属品 |
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試聴テスト
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AIRBOW TRV-88SER Vintage (お問い合わせはこちら)
Nora Jones / ノラ・ジョーンズ "Come away with me"
(V90/ネットなしで再生した、ノラ・ジョーンズをYou tube 逸品館チャンネルで聴く)
まず最初にネット付きとネットなしの状態を比較しました。やや高域が強すぎるバランスですがネットなしのほうが見通しが良く、高域の良さが引き出せたので試聴はネットなしで行いました。
マグネシウム振動板を採用するツィーターの良さで、高域の歯切れ良さと解像度感、新のある引き締まった感じは抜群です。シンバルの音、ベースの切れ味、ピアノの打鍵感のカチリとした感じは、この価格帯ではまず聞けないものです。ボーカルは子音が少しきついですが、高域の強さを極度に気にしなければ十分に聞ける範囲です。高域がきついので音が全体的に硬く、乾いてボーカルは少しざらざらしていますが、それも許容範囲です。高域のイメージはヤマハ NS1000Mに似ていますが、それよりもずっと繊細です。解像度もかなり高く、音が消え入るところの静寂まで再現します。
中音はクロスオーバーが3700Hzと高いせいなのか、ツィーターとの繋がり部分でやや厚みが足りず平面的な感じです。高音と低音が強く中音が弱い、明かな「ドンシャリ型」のバランスですが、You Tube逸品館チャンネルの録音はそれがより強く強調された感じで、実際に耳で聞くともう少しフラットです。
全体的な印象としては解像度が高い高性能なブックシェルフ型スピーカーと言う印象です。音質から考えると、20万円(ペア)の価格は、実力の半分近いバーゲンプライスのように感じます。少し安い価格帯で中高域の評価が高い、ELAC BS243BEよりも明らかに高音質だと感じました。
Picture at an exhibition / Sergiu Celibidache , The Munich philharmonic orchestra
(V90/ネットなしで再生した展覧会の絵をYou Tube 逸品館チャンネルで聞く)
この曲ではマグネシウム振動板を採用したツィーターの効果で、金管楽器の音の明瞭さがよくわかります。解像度が高く音の広がりにも優れ、ホールトーンも良く再現されます。音場はスピーカーより前に広がりますが、前後は深く立体感は十分です。楽器が沢山入ったところでは細かい音まで綺麗に分離しますが、空間がややタイトで音の密度が高すぎる(狭い場所で楽器が一斉に鳴っている)ように感じます。コンサートを舞台袖で聴いているような、直接音が強く間接音がやや少ないバランスで交響曲が鳴りました。
ここで楽曲をJ-POPに変えて、3号館に設置しているV90にサイズが近い複数の2Wayスピーカーと聞き比べてみました。
Superfly / BOX Emotions
メーカー/型式番号 メーカー希望小売価格(ペア/税別) |
主な仕様 | 音質コメント | ||||||||||||||||||
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JAZZ(ノラ・ジョーンズ)、Classic(展覧会の絵)と2曲をこのスピーカーで聴きましたが、ややドンシャリの個性的なバランスを感じるもののそれほど偏っている印象はありませんでした。しかし、“誕生”は元々の録音がドンシャリバランスなので、V90で再生するとそれが行き過ぎて、かなり耳を刺す疲れる音になりました。高域の刺激が強すぎて、ボーカルが良く聞き取れません。低音はぐんぐん前に出ますが、エネルギーか強すぎてやはり少し疲れます。J-POPのような録音の悪いソフト、高域が強いソフトとの相性は非常に悪いようです。 |
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これまでKX-3PMK2は、真面目だけれどパンチに欠けるという印象がありました。しかし、それは十分にこのスピーカーを聞き込んでいなかったせいで、V90との比較でKX-3の良さを再認識することになりました。 まず、ボーカルの表情が豊かで発音とニュアンスがしっかりと聞き取れることに驚かされます。リズムセクションは密閉型らしく歯切れ良さが抜群で、明快に弾みます。高域には適度な艶があり、ギターの音色がセクシーです。解像度は非常に高いのですが、V90のようにそれが耳に付きません。帯域バランスにも非常に優れ、安心して音楽を楽しめます。相当高解像度で高性能なサウンドですが、音楽表現の豊かさと中低音の厚みがそれにきちんと追いついています。国産スピーカーだからと侮っていましたが、訂正します。これは良い音です! |
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吸音材を極力少なくしてキャビネットの響きを生かす。自然な音の繋がりを得るためにネットワークを6dB/octの緩やかなものにする。これがMinima Vintageの基本的な設計方針ですが、“誕生”ではそれが裏目に出ます。 KX-3との比較では、キャビネットの響きが多すぎ低音が膨張してリズムが遅れることがわかります。いわゆるバスレフ固有の膨らんだ低音です。 しかし、中高音、特にボーカル帯域は抜けが良く透明で艶があり、表情も豊かです。クロスオーバーを2000Hzと可能な限り低くして、ツィーターの再生範囲を広げた良さが出て、中高域の艶と繊細な魅力はKX-3を凌ぎます。 本来Minima Vintageはこのようなパルシブな音楽ではなく、アコースティック楽器のみで演奏されるバラード系のJAZZ(特に女性ボーカル)やクラシックを得意とするスピーカーなので、今回のややふがいない結果は、楽曲とのミスマッチが原因です。 |
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バスレフ方式を採用するME25ですが低音の膨らみは良く押さえられ、リズムも上手く弾みます。KX-3と比べると低音がわずかに遅れることでボーカルが一歩前に出て、演奏に厚みと立体感が出ていることが分かります。同軸2Wayという構成も手伝って、ME25の定位と立体感(音の広がりの良さ)は圧倒的です。ボーカルのエネルギー感、ニュアンスの再現性にも文句の付けようがありません。 実際にスタジオでモニタースピーカーとして使われるME25は、エンジニアの厳しい耳に耐えるよう出荷前、全数に音質テストと微調整が行われます。まるで生演奏を聴いているような違和感を感じさせない(スピーカーの存在を感じさせない)完璧なバランスは、ハンドメイドならではのそういう手の込んだ細かいチューニングにより実現しています。 You Tubeでその音質を比較して頂ければ、オーディオ雑誌が取り上げない、他店が取り扱っていないMusikelectronicのME25を、なぜこれほどまでに逸品館がお薦めするのか?その理由をすぐに感じ取って頂けると思います。掛け値なしで私はこのスピーカーが大好きです。 |
2012年2月 逸品館 代表取締役 清原 裕介 |
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