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Elac New BS243BE メーカー希望小売価格 ¥200,000(ペア・税別 / 光沢ブラック仕上げ)生産完了
Elac New FS247BE メーカー希望小売価格 ¥360,000(ペア・税別 / 光沢ブラック仕上げ)生産完了
ELACのヒットモデル240 LINEは、発売後5年目にして初のモデルチェンジを果たし、FS247SEに採用されたハイパワー・エアコイルを全機種に標準搭載してNew 240 BLACK EDITIONとして新発売されました。
今回はシリーズ唯一のブックシェルフモデル BS243BEと最も廉価なトールボーイモデルFS247BEの音質をテストしました。
Elac最大の特徴 JET-3型ツィーター
ELACが搭載するJET3ツィーターは、1993年にオスカー・ハイル博士が開発したハイルドライバーを発展させたユニットで、リボン型ツィーターに近い特性を持っています。JET3を搭載するELACのスピーカーは、特に高域が繊細でスッキリ、クッキリした高音が特徴です。
組み合わせられるウーファーは、AS-XR(クリスタル・ライン)アルミ素材とクルトミューラー製ペーパーコーンとのハイブリッド振動板が採用されています。BE240 Seriesではブラック・アノダイズ処理が施されています。
入力は、Bi-Wireに対応します。
試聴テスト
試聴テストには次の機材を用いました。
ELAC New BS243BE メーカー希望小売価格 ¥200,000(ペア・税別) (この製品のご注文はこちらからどうぞ) |
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<明るい>
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<柔らかい> - - - - - - * - - <硬い> |
BS243BEの付属品 |
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BS234BEは、初期モデルよりも音質が格段に好ましくなった従来モデルに大幅な改良が加えられた最新モデルで音質には大きな期待を寄せていましたが、残念ながら届けられた個体のエイジングが不十分なせいか、バランスが完全に高域よりで出てくる音はしゃりしゃりと薄っぺらく、とても納得できるようなバランスではありませんでした。もし、エイジングもこの音質ならば、このスピーカーにはかなり手こずることでしょう、今回の貸出期間は短く、十分なエイジングを行うだけの時間が許されなかったことも災いし、試聴結果は芳しくない結果となりました。
Nora
Jones / ノラ・ジョーンズ "Come away with me"
(BS243BE/ネット付きで再生した、この曲を動画で聴く)
まず最初にネット付きとネットなしの状態を比較しました。ただでさえ高域が強すぎるバランスなので、ネットなしでは高域がきつくて音楽を安心して聞けません。そこで試聴はネット付きで行うことにしました。
バランスは理解できないほど高域寄りです。高域がきつすぎることは開発段階の試聴でわかるはずなのに、そのままになっているのはELACの目指す音が硬くて高域の強い音なのか、もしくはエイジングで大幅に高域が柔らかくなるかのどちらかだと思います。
ノラ・ジョーンズの声は子音がきつく、しゃりしゃりと平面的です。艶や色気が感じられず、ただ無機質な言葉が流れるだけです。ギターも弦の音だけがきつく、響きが乾いています。低音が不足するのでバンジョーのようにキンキンしています。ベースも低音が効かないので、薄っぺらい音です。シンバルは切れ味と解像度は抜群ですが、薄い金属を叩いているような厚みのない音です。エイジングで改善されることを願いたいと思います。
Roby Lakatos / ラカトッシュ "Roby Lakatos and his ensemble play"
(BS243BE/ネット付きで再生した、この曲を動画で聴く)
ラカトッシュのように体の大きい(ファットな)人が奏でるバイオリンの音色は、独特の太さと甘さを持っています。名バイオリニストとして名高い、オイストラフも同じように太い音でバイオリンを鳴らします。BS23BEでは高域が強すぎるため、バイオリンの太さが出ません。引きつったように硬く無表情な音で、ガラスをひっかくような音になってしまいます。ノラ・ジョーンズでも感じましたが、なぜこれほどまでに高域過多なバランスに仕上げられているのかが理解できません。
ELAC New FS247BE メーカー希望小売価格 ¥360,000(ペア・税別) (この製品のご注文はこちらからどうぞ) |
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<明るい>
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<柔らかい> - - - - - * - - - <硬い> |
FS247BEの付属品 |
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Nora Jones / ノラ・ジョーンズ "Come away with me"
(FS247BE/ネット付きで再生した、この曲を動画で聴く)
余り印象の良くなかったBS243BEとくらべるとFS247BEは、全く違うメーカーのスピカーに感じられます。薄すぎた中低音にしっかりとした厚みが加わり、高音がきつすぎません。JET-3を搭載するELACらしい切れ味や見通しの良さと、中低音の厚みが見事にバランスしています。このウェルバランスを作り出せるメーカーが、なぜ、BS243BEのように明らかにバランスの崩れた製品をラインナップするのか理解に苦しむほどです。今回は,時間に追われていたためエイジング不足、あるいは組み合わせるアンプなどの影響でBS243BEをきちんと鳴らせていなかったかも知れませんが、少なくともFS247BEとBS243BE聞き比べた後に、BS243BEが欲しいと思う方は、まずいらっしゃらないと思います。
BS243BEで聞くノラ・ジョーンズは、高域がうるさいだけでやせっぽちに感じられました。FS247BEはウーファーが一つ増えただけなのに、出過ぎていた高域がマイルドになり、不足していた中低域に厚みが加わります。たぶんネットワークのクロスオーバー周波数がBE243BEの2700Hzから2500Hzに変更されたことも効いているのだと思います。とにかく、やっとまともなバランスで音楽を聴けるようになりました。
Roby Lakatos / ラカトッシュ "Roby Lakatos and his ensemble play"
BS243BEとFS247BEの大きな違いは、ページにリンクを貼っている「動画ファイル」を再生して頂ければ一聴両全だと思います(この動画の収録には100万円近い本格的なマイクを使用しております。音声ファイルもサンプリング周波数48kHz、AAC 320bpsという良好なフォーマットを使っておりますので、ファイルの再生に良質なヘッドホンをお使いくだされば、音の違いが大変よくわかります)が、ラカトッシュもまったく別物です。
しかし、直前に同じシステムでStirling Broadcast LS-3/6を聞いていたためか、エネルギーバランスはまだやや高域よりに感じられバイオリンの高音がシャラシャラと少し耳障りです。スピーカーから高音がすっと出てくる感じですが、低音に対し高音のタイミングが早すぎ、エネルギーもやや強すぎるために音の深みや響きが足りないように感じます。念のためバイワイヤリングの接続を4通り試しましたが、完全には解決しませんでした。質は高いのですが、情緒深い音ではなさそうです。また、ボーカルの子音の荒れやサシスセソのきつさを気になさるお客様にはお薦めしにくいスピーカーだと感じました。
総合評価
最初にお断りしましたように今回のテストは十分な準備が出来ませんでした。現段階で得られた評価は、ELAC BS243BEはかなり特徴的な音質(癖の強い)スピーカーだと言うことです。少なくとも、短時間では上手く鳴らすことが出来ませんでした。
FS247BEはかなりバランスが改善し、十分に音楽を楽しめるレベルです。しかし、カタログスペックの再生可能周波数の下限30Hzは、聴感上では全く感じられません。例えば、同じスペックのJBL Studio 580/590CHの低音には全く届きません。またBS243BEもほぼ同じスペックのJBL Studio 530CHはもちろん、スペック的に遙かに劣るStirling Broadcast LS-3/5aよりも低音が薄く感じます。
最近の私の好みが、音質よりもバランスを重視する方向に向いてきたため、バランスに優れ音楽的なStirling Broadcastに比べ、ELACは全く異なるスピーカーのように感じられました。比較対象のためFS247BEで「新世界」を再生し録音しましたので、BS243BE/FS247BEとStirling Broadcast LS-3/6の音質を比べて頂ければ、伝えようとすることが伝わるかも知れません。
From The New World / Neumann , Czech Philharmonic orchestra
(FS247BE/ネット付きで再生した、この曲を動画で聴く)
2012年2月 逸品館 代表取締役 清原 裕介 |
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