■各種コンテンツ ■サービス・キャンペーン ■逸品館運営・外部ショップ ■Twitter・Facebook ■試聴機レンタルサービス ■オーディオ逸品館 MI事業部 オフィシャルサイト |
デノン DENON DA-10 AH-M300 AH-M400 ヘッドホン NOBLE CLASSIC 4 5 6 PK K10 Universe JH AUDIO Roxanne Unique Melody MASONE MAVERICK イヤホン 音質 比較 レビュー 価格 試聴 販売ヘッドホン、イヤホン、音質比較テストDA-10 、AH-MM300/400 (ご注文お問い合わせ) Classic 3/4/5/6 、Switch PR 、 K10 Universal (ご注文お問い合わせ) Roxanne (ご注文お問い合わせ)2014年ヘッドホン関連商品の高級モデルをDENON「DA-10」にiPod Touch(CDからリップしたWAVファイル)を接続して聞き比べました。 試聴したヘッドホンアンプ
試聴した音楽(CDからリップしたWAVファイルを試聴)
ヘッドホン比較試聴 DENONからダイナミック型ヘッドホンが2機種発売されました。プロトタイプをメーカー発表会で聞いた時の印象が素晴らしく、「DENONからよいヘッドホンが出る」と期待していた製品です。AH-MM300、AH-MM400をiPod TouchにDENON DA10を組み合わせ、愛用のSennheiser HD25-1 Uを基準として比較試聴しました。 まず基準器HD25-1 UをDENON DA-10と組み合わせて聞きました。以前のカナル型イヤホン試聴テストに比べると、ヘッドホンは振動板までの距離が離れるためか少し音の細かさが足りない気がします。またDA-10との組み合わせだとHD25のハウジング材質に起因するプラスティックのような響きがほんの少し感じられました。この点では、逸品館お薦めDAC内蔵ヘッドホンアンプ「HEGEL Super」のほうが広がりや艶やかさ、滑らかな繊細感でHD25との相性が良さそうです。しかし、前回のテストでHEGEL Superは残留ノイズ(その後点検に出しています)が過大だったため、カナル型イヤホンテストに支障が生じたため、今回はノイズのない DENON DA10をアンプに使いました。 DA10のゲインは、音に力強さを感じる「Hi」に設定しました。また「Charge」をONにした場合と、OFFにした場合を比較するとOFFの方が若干音がクリアに感じられましたが、試聴テスト中の「バッテリー消耗による音質変化」や今後のテストでのバッテリー劣化による音質変化を考慮し、テストはDA10フルチャージした上で「Charge ON」にしています。 それぞれのヘッドホンの音質グラフは、Sennheiser HD25-1 Uを「10点」として、相対的な感覚で評価しています。
イヤホン比較試聴 カナル型イヤホンの基準には、生産完了になってしまった愛用のイヤホン「audio-technica ATH-CK90PRO2」とほとんど同じ音質の「ATH-IM02」を選びました。このモデルには「バランスド・アーマチュア型」という構造が採用されています。まずIM-02をDENON DA-10と組み合わせて聞き、DA10のゲインは音に力強さを感じる「Hi」に設定しフルチャージ状態にした上で、「Charge ON」にしています。 それぞれのイヤホンの音質グラフは、IM-02を「10点」として、相対的な感覚で評価しています。
イヤホンの特殊性とイヤホン難聴について 今回試聴した「イヤホン」の一部は、スピーカーで音楽を聞くのとはかけ離れた「硬くてキツイ音」でした。ヘッドホンの一部にもそういう「キツイ音」の製品はありますが、イヤホンではその傾向がより強く見られます。その理由を考えました。 ・私達は身体でも音を聞いている。イヤホンでは、音を判断するための情報(刺激)が足りないのではないか? すでに「20KHz以上の高周波が人間の脳を活性化させる」という考えは、CDを超える高域を収録できる「SACD」、「DVDオーディオ」、最近では「ハイレゾ」などの必要性で言及されています。この考え自体は本当で「ハイパーソニック エフェクト」と称され、科学者にも広く知られています。日本では「京大」などが意欲的に「ハイパーソニック エフェクト」の研究を行っています。その京大で行われた「PET」を使った実験で、オーディオマニアにとって「重要な事実」が見つかりました。それは「人間は高周波(20kHzを超える高い音)は、耳ではなく身体で聞いている」というものです。 この研究は、次のような方法で行われました。「被験者」の脳の働きを探るため「PET」という装置を使い、脳内の活動の状況を画像で直接観察できるようにして、次の二つの状況で「脳の活動」を計測します。 1.被験者はヘッドホンを装着します。ヘッドホンからは20kHz以上「聞こえない高い音」を出し、スピーカーからは20kHz以下の「聞こえる音」を出す。 2.被験者はヘッドホンを装着します。ヘッドホンからは20kHz以下の「聞こえる音」を出し、スピーカーからは20kHz以上の「聞こえない高い音」を出す。 驚いたことに「ハイパソニックエフェクト(20kHz以上の音波によって脳内の活動が活発になる)」は、「ヘッドホンから聞こえない高い音を聞かせる(1)」でなく、「身体に20kHz以上の音を当てる(2)」で発現し、(1)では発現しなかったのです。この研究により、人間は20kHz以上の高調波を「耳」ではなく「身体」で感じていると考えられるようになりました。※この実験の内容は「放送大学」で詳しく紹介されました。 ※詳しくは、ハイパーソニックエフェクトの発見者である大橋力さんの対談ページをご覧ください。ちょっと難解ですが、「5.聞こえない音を聞く脳を見る」の項目でこの現象について触れられています。 この研究結果や自分自身がスピーカーとイヤホンで音楽を聞き比べた経験を踏まえ、「イヤホン」による音楽の試聴では身体(皮膚)への高周波の刺激(実際には高周波だけではなく低音も含めた音波全般の刺激)がなくなるため音の聞こえ方に偏りが生じ、それを補うため「高域過多」になりやいと考えています。ヘッドホンも同様に考えられますが、ヘッドホンは多少なりとも頭蓋の骨伝導を起こすため、イヤホンよりも高域過多の製品が少ないように思います。また、一般的に「音が良い」とされるヘッドホンの音はスピーカーのバランスと似ているように思います。 このように人間が「複数の刺激」を統合して「情報精度を高める」ことは、聴覚だけではなく味覚でも行われています。例えば鼻をつまめば食べ物の味がよくわからなくなりまが、それは脳が「味覚と嗅覚を統合して味を判断する精度を高めている」証拠です。もしかすると皮膚感覚を伴わないイヤホンでの音楽鑑賞は、鼻をつまんでものを食べているに等しく、音の判断に「より強い刺激が必要とされる=高域がキツくなる」のかもしれません。 ・ミュージシャンが「騒々しいステージ上やスタジオで使うイヤホン」が「静かな環境で聞く」時にマッチするのか? ミュージシャンやレコーディングエンジニアが聞いているのと同じ音を聞き、現場との一体感を高めたいという願望は音楽ファンなら誰しも感じる事です。だからこそオーディオファンにとって「現場の音」は、「憧れ」です。オーディオを始めた頃は、私もまったく同じように考えていました。けれどその後の現場経験、レコーディング経験、ハイエンドオーディオ機器の製作などの経験を通じ、現場と家庭環境で必要とされる音は「まったく別なものである」と痛感するに至っています。その理由を説明しましょう。 スピーカーの試聴では「店頭での大音量」と「家庭での小音量」で製品の印象がまったく変わってしまうのが普通です。それは「ダイナミックレンジの違い」が原因です。「ダイナミックレンジ」とは最大音量と最小音量の比ですが、この数字が大きければ大きいほど音楽の表現力が増します。仮に購入を検討しているオーディオセットの最小有効音量を「1」とします。店頭での音量の最大値を「100」とするなら、店頭試聴でのダイナミックレンジは「最大100(1:100)」です。家庭での音量の最大値はこれより小さく「10」としましょう。この場合のダイナミックレンジは「最大10(1:10)」でしかありません。つまり音量が限られる家庭では店頭の「1/10」の能力しか発揮できないのです。この「ダイナミックレンジ」をライブに当てはめて考えましょう。クラシックのように「生楽器が使われる(音を電気増幅しない)」場合、楽器の最大音量は決まっていますから「ダイナミックレンジを拡大し音楽に表現力を増加させる」ためには「最小値の小ささ」が求められるので、静かな環境で演奏が行われます。これに対し生楽器よりも遙かに大きな音量が得られる電気楽器(スピーカーを使う音楽)では、環境が騒々しくともそれを上回る音をだせばダイナミックレンジが確保できるので、再生音量が大きくなります(ライブハウスなど)。 家庭(静かな環境)での音楽鑑賞に必要なのは「最大音量の大きさ」ではなく、「最小音量の有効値を下げる」ことです。オーディオセットの最小有効音量が「限りなくゼロ」に近くなれば、小音量でもダイナミックレンジは無限に大きなり、小音量でも音痩せを感じずに音楽を楽しむ事ができるのです。余談になりますが、店頭でのオーディオセットの選びで重要なのは「大きな音」ではなく「小さな音」を聴く事なのです。逸品館3号館ではお客様の試聴時、「すべての蛍光灯を消す」事があります。これは蛍光灯から発生する「聞こえないほど小さなノイズ」をシャットアウトするだけで、「スピーカーから聞き取れる最小音量がぐんと下がり」オーディオセットの繊細な表現力が飛躍的に向上するからです。蛍光灯を消せば、「音の広がり」、「臨場感」が数倍以上改善するので一度お試しください。このように「現場(騒々しい)」と「家庭(静か)」では、環境がまったく異なります。 ミュージシャンが使っている高級イヤホンとして有名な「JH Audio社」の製品説明Webには次のように書かれています。 【JH Audio社は「インイヤーモニター(IEM)の神」と言われるジェリー・ハービー氏によって設立されたメーカーです。ジェリー氏は、まだインイヤーモニターが普及していない当時、ヴァンヘイレンのモニターエンジニアをしていました。その際にドラマーであるアレックスにインイヤーモニター導入の検討を依頼されました。試行錯誤の末、最初の2ウェイカスタムインイヤーモニターを完成させ、他のメンバーもその高音質に驚き、またたくまに音楽業界のスタンダードインイヤーモニターとなりました。エアロスミス、ガンズアンドローゼス、ヴァンヘイレン、レディーガガ、フォーリナー、リンキンパーク、アリシアキース、ロブトーマス、ボンジョビ、ゴッドスマックなどのビッグネームはすべてJH Audioユーザーです。】 確かにこの説明を読めば「JH Audio 社製イヤホン」に憧れを持ち、それが欲しくなると思います。この「ミュージシャンが信奉する」という広告のやり方は、「楽器業界」で有効な手法として広く使われていますし、オーディオの世界でも何度となく使われてきた言葉です。これは「演奏家への憧れ」を利用した、巧妙なすり替えで「現場」=「神」だから「最高」という強引な論法で商品の音質を正当化する方法です。けれど「現場の音」と「リスナーが聞きたい音」はハッキリ異なります。まず先に説明したように「周囲の騒音レベル」がまったく異なります。さらに「音楽家」は「演奏を聴いている」のではなく「演奏に必要な情報をイヤホンから得ている」という部分が家庭での音楽鑑賞と決定的に違います。大音量下でのイヤホン試聴では「繊細さ」よりも「明瞭度」が求めらます。電気楽器系コンサートのライブ中に「繊細な音」を聞き取るのは不可能です。彼らが求めるのは、楽器演奏のタイミングを確認するための「明瞭度」です。だから、通常の音楽鑑賞に「JH AudioのRoxanne」を使った場合、明かな高域よりのバランスに感じられるのでしょう。 さらに大きな問題があります。それは「イヤホン難聴」です。まず騒音にさらされる環境での「24時間以内の労働災害安全基準」をご覧ください。85dB/8時間(騒音職場の定義)、91dB/2時間、94dB/1時間、100dB/15分とされています。106dBの安全基準は4分未満です。これ以上の時間大音量にさらされると「元に戻らない難聴」を引き起こします。けれど大音量コンサートのステージ上の音量、もしくは彼らが使うイヤホンの音量は、確実にこれらの危険水準に達しているでしょう。その音量下では、人間は一時的にせよ「聴覚感覚が変化(一部の周波数に対する耳の感度が低下する)」しています。 人間の聴覚には「自動音量調整・イコライジング機能」が備わり、大音量にさらされると耳は「感覚を保護」するために自動的に一部の感度を落とします。今回試聴したイヤホンで私が「高域が硬い」と感じた製品は、試聴リポートにも書いていますが「1/2/3/4/5/6kHz」にピークを持つと感じました。これを先ほどの「24時間以内の労働災害安全基準」に当てはめて考えると、騒音にされされた場合の聴覚の低下は「3kHz〜6kHzが聞こえにくくなる」という臨床結果と一致します。言葉は悪いですが、この周波数にピークが与えられた「難聴の人が聞き取りやすい音質のイヤホン」は、普通の感覚では高音がキツすぎると感じられます。そういう「特殊な環境」、「特殊な聴覚」にあわせて作られた音が、果たして「通常の耳」の感覚にマッチするでしょうか?そういう限られた条件下にマッチするように作られた「現場用のイヤホン」を「一般的にも最高」というのは違うと思います。 話が随分長くなりましたが、今回のイヤホンの試聴で感じたことは「二つ」です。一つは「イヤホンを聞く環境の騒音値」です。静かな部屋でイヤホンを使う場合と、電車の中などの騒音下でイヤホンを使う場合には、イヤホンに求められる音質が異なるはずです。二つ目は「イヤホン難聴」の問題です。必要以上に大きな音を聞き続けると、人間の耳は「高域の感度が低下」し、それを補うために「イヤホンの音が刺激的」になります。体と心の健康を考えると「高音が過剰に強いイヤホンを日常的に使うのは危険な行為」だと、私には感じられます。 昨年私はモータースポーツで左手に回復不能な傷を負いました。幸い、日常生活や仕事にはまったく影響がありませんが、それでも私はモータースポーツを続けています。「危険」を知っても、それが「好き」だからです。けれどモータスポーツを運営し、それで利益を得るメーカーや業界がユーザーに回復できない傷を負わせてから、危険を知らせるのはあってはならないことです。先ず最初に功罪を正しく伝えて、その判断をユーザーにゆだねる。それが「正しい自己責任」だと思うのです。あまりにもバランスが偏ったイヤホンを使い続けることで、ユーザーが「難聴を発症」したら、製造メーカー、それを薦める人たちには責任はないのでしょうか?知らなかったからですませられるのでしょうか? もちろん「音が偏っている、偏っていない」に関わらず、大音量での長時間の音楽干渉は「難聴発症」の原因になりますから、イヤホンのバランスの善し悪しと「難聴発症」を結びつけるのは短絡的で正しいことではありません。けれど、バランスの崩れた音を聞き続けるのは「体と心の健康」には良くないことです。さらに回復しないほど聴覚を損なう(難聴を発症してしまう)ことは、人生さえ変えてしまいかねないほど重大な出来事です。ユーザー(お客様)に正しい判断をしていただくために、よけいなお節介かも知れませんが逸品館は「効果」だけではなく「副作用」もきちんと伝えるべきだと考えます。 試聴結果
今回聞いたイヤホンで私のお薦めは「audio-technica ATH-IM02」、「MAVERICK」、「Noble clasic6」の3モデルです。 2015年1月 逸品館代表 清原裕介 |
|