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Luxman L507uX2 marantz PM10 プリメインアンプ 音質 比較 評価 レビュー 試聴トランジスター 真空管プリメインアンプ 音質比較テスト Luxman(ラックスマン) L507uX2 marantz(マランツ) PM10 AIRBOW(エアボウ) PM10 Ultimate 、 Stingray Ultimate 2017年6月に発売された”L507uX2”を購入時に比較されそうなライバル機、marantz PM10、そしてそのカスタムモデル AIRBOW PM10 Ultimate、真空管プリメインアンプのAIRBOW Stingray2 Ultimateと聞き比べました。 各モデルの概要 Luxmanから、2012年8月に発売された”L507uX”の後継モデルとして2017年6月に発売されたのが、最大出力220W(4Ω)、110W(8Ω)のAB級トランジスタープリメインアンプ”L507uX2”です。 Luxman L507uX2 メーカー希望小売 480,000円(1台・税別) (メーカーホームページ)
前モデル”L507uX”からの主な変更点は、電子制御アッテネーター「LECUA」が、88ステップのLECUA1000にグレードアップされたこと Luxmanオリジナルの低歪み出力回路 ODNFのバージョンが3.0から4.0へグレードアップされ、歪みがさらに低下したこと、 プリアンプ部の出力にC−900uに使われているディスクリート・バッファアンプが追加され、さらに出力抵抗や配線取り回しなどの変更により、ダンピングレートが205から260へと向上したことなどです。 最大出力は変わりません。 入出力端子も変更なく、RCAライン×4,XLR×2,フォノ(MM/MC)×1、テープ入出力×1、セパレート入出力×1です。スピーカー出力×2、ヘッドフォン出力×1です。リアパネルにあった、サービスコンセントは廃止されました。 marantz PM10 メーカー希望小売 600,000円(1台・税別) (メーカーホームページ)
marantz PM10は、2017年2月、セパレートアンプの持つ優れた3つの資質、「大出力と圧倒的なスピーカー駆動力」 パワーアンプ部には、Hypex社のスイッチングパワーユニットを4台使った、左右独立フルバランス(BTL)回路を採用し、4Ωで400W、8Ωで200Wの最大出力を実現しています。 Luxman L507uX2との比較では、ボリュームコントロールに、0.5dbステップの高音質電子ボリュームICが採用されること。バッファアンプには、marantz伝統のHDAM回路の最新バージョン、HDAM-SA3が採用されること。出力回路にD級BTLが使われるところなどが違っています。 入出力端子は、RCAライン×3,XLR×2,フォノ(MM/MC)×1、テープ入出力×1、とRCAライン入力が1系統少ないほか、L507UX2にあったプリアウトがなくなっているかわりに、最大4台までのPM10を連動させられる、F.C.B.S.(Floating Control Bus System)が採用されています。 スピーカー出力×2、ヘッドフォン出力×1は同一ですが、PM10では入出力端子に純銅削り出しの高級品が使われるなど、端子のグレードが違います。消費電力は、最大出力は270Wとほぼ同じですが、無信号時消費電力は42WとL507uX2の約半分になっています。スイッチングアンプの搭載で、発熱も少ないのがPM10の特徴です。 サイズは、 440×168×453mmと高さが10mmほど低いことを除けば、ほぼ同一。重量は、21.5kgと25.0kgのL507uX2よりも約3.5kg軽くなっています。価格は60万円と、L507uX2から12万円のアップです。 AIRBOW PM10 Ultimate 販売価格 780,000円(1台・税別) (メーカーホームページ)
AIRBOW PM10 Ultimateは、PM10のパーツを約150個変更して、その音質を高めたカスタムモデルで、価格は78万円です。 AIRBOW PM10 Ultimate 販売価格 830,000円(1台・税別) (メーカーホームページ)
今回の比較試聴では、この2台のトランジスターアンプに加えてAIRBOWの真空管プリメインアンプ Stingray2 Ultimateを加えています。AIRBOW Stingray2 Ultimateは、出力管にEL84(6BQ5)を8本使った、パラレルプッシュプルの回路を搭載し、3極管接続で最大出力18W(5Ω)、ウルトラリニア(UL)接続で32W(5Ω)の出力を持ちます。 ボリュームには、真空管アンプとしては珍しくPM10と同じような電子ボリュームが使われ、左右バランス調整などが可能となっています。プリ部には、12AT7、ドライバー段には6414が使われています。 入力端子は、RCAライン×3、テープ入出力×1、サブウーファー出力×1です。スピーカー出力は、1系統。ヘッドフォン出力×1で、操作しやすい大型のリモコンが付いています。消費電力は、最大300W、無信号時85WでL507UX2とほぼ同じ。 AIRBOW MNP-i5 Roon 販売価格 480,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入) AIRBOW HD-DAC1 Special 販売価格 180,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入) Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) ソース(音源)には、AIRBOWネットワークプレーヤー「MNP-i5 Roon」をチョイス、搭載する「roon」と「HQ Player」の連動でCDから取り込んだWAVファイルを「88.2KHz/24bit」にアップサンプリングして、AIRBOW HD-DAC1 SpecialにUSB入力して出力したものを使っています。スピーカーは、聞き慣れている「Beethoven Concert Grand(T3G)」を使いました。 今回の比較試聴は、YouTube 逸品館チャンネルでもご覧いただけます。 ※YouTubeにアップロードしている「音」は、それぞれのアンプの出力にBeethoven Concert Grand(T3G)を接続し、Beethoven Concert Grand(T3G)で音を聞きながら、マイクを使わずスピーカー出力信号をサンプリング(DA変換)したものです。スピーカーを接続することで、アンプはインピーダンス変動や逆起電力など影響を受けます。ダミーロドではなく実際にスピーカーを繋ぐことで、より「実際に近い音質」が収録できます。 テスト概要のご説明動画 試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルを使用)
今回の比較試聴では、通電からしばらくするとかなり音質が変化する”L507uX2”の特性を考慮して、L507uX2のみ「通電直後」の音と「24時間の十分なウォーミングアップを行った後」の音も比較しました。このような入念なテストを行う理由は、今までに聞いたLuxmanアンプの多くが、通電開始から30分〜2時間でかなり音質が変化することを経験していたからです。 Luxmanのアンプは、1時間ほどの通電(ウォーミングアップ)で音が「ぼやける」モデルもあれば、逆に音が「クッキリする」モデルもあります。店頭での試聴の際は、この点を考慮していただければ、より正確に音質を判断していただけると思います。 音質評価
Luxman L507uX2(通電直後) バイオリンの音は艶があって良い感じです。音の広がり(立体感)も十分で、価格を考えればとても良いという感じです。 Luxman L507uX2(ウォーミングアップ完了) L507uX2は、前モデルのL507uXに比べてシャープで、音の輪郭がクッキリしています。音がハッキリするウォーミングアップ後は、音源(演奏者)までの距離が近くなったように感じられました。 ウォーミングアップ完了後も、最高域がほんの少し伸び足りず、「艶やかさ」はL507uXよりも後退しているように感じられました。大きな癖がない音から現場のニュアンスがそのまま伝わり、目を閉じれば奏者の体の動きすら思い浮かべられるところは、とても良いと思いました。なぜならば、演奏の「現場が見える」のは、音楽ファンのためのオーディオアンプに欠かせない条件だからです。L507uX2は、それをクリアしています。 marantz PM10 スイッチングアンプという言葉から連想するのは、「ざらざらとしたいかにもデジタルチックな音」、「厚みのない薄っぺらな音」です。けれど、それは初期のスイッチングアンプの問題で、技術が進歩した今のスイッチングアンプには当てはまりません。 PM10を真空管アンプと比べると。さすがにほんの少しだけ音が「粉っぽい」感じがするかも知れませんが、L507uX2とは対等な「十分に滑らかな音」が出ていると思います。 そこで、marantz歴代アンプの中でも「飛び抜けたフラットな音質」を実現しているPM10の音作りについて、「D&M シニアサウンドマネージャー 澤田龍一氏」に確認してみました。 すると、「A級/AB級トランジスター・プッシュプルアンプで不可避の「ゼロクロス歪み」が、スイッチングアンプでは発生しないため、アンプの直線性(リニアリティー)は、それらよりも高いので音の癖は少ない。」という回答が得られました。 それを実感させる、スムースで自然な音が出ています。 聴感上のS/N感、高域の伸びやかさが向上し、marantz PM10(ノーマル)で若干感じられた「粉っぽさ」も完全に消えました。 弱おんぶの表現も大きく向上し、「ホールの空気感やホールの大きさ」が伝わるようになってきました。 Stingray2 Ultimateの音はきめ細やかでバイオリンの音がとてもみずみずしく美しく、演奏されるホールの響きの良さまで伝わります。 再生周波数レンジやとの細やかさ、S/N感のような「聞こえる部分」ではなく、楽器の色彩感や音色の変化などから伝わる「音の質感」が、真空管アンプとトランジスターアンプで明らかに違って感じられます。 Stingray2 Ultimateもその例に漏れないのですが、さらにリザ・フェルシュトマンが演奏するバッハ無伴奏曲の抑揚の大きさと、時間の流れ方が全く違ってきました。 無機物が有機物に変わったような感覚、あるいは、金属的な音が木質的になった感覚に加え、均一に流れていた時間に「ゆらぎや間」が生み出される感覚を覚えます。 音質評価
Luxman L507uX2(通電直後) 全体的な雰囲気は良い感じですが、ギターは低音が膨らみ、ボーカルも子音が少し濁って声が鼻にかかります。 Luxman L507uX2(ウォーミングアップ完了) 暖まると音の切れ味が良くなって、高域がクッキリします。ギターの高音にしっかりと隈取りが出たことで、低音が止まるようになり、過剰な胴鳴りや低音の膨らみ感がかなり緩和されました。 marantz PM10 ギターは胴の響きが少なめで、「芳醇な音」とは言えない感じです。高音も少しですが、ざらつきが感じられます。 ギターの切れ味や音色の鮮やかさはもう少し欲しいと思いましたが、ボーカルとギターの分離感やボーカルとギターのマッチングのイメージは、ほぼ完璧で、この曲の弾き語りらしい雰囲気はとても良く出ています。 不満点は、高音が完全には抜けきらないため最低音部の響きが少し緩くなる(Vienna Acousticsの癖もあります)ところです。 けれど、それは先に聞いたPhasemationの370/500万円のセパレート真空管アンプと比較してしまうからです。逆に、それらと比べて大きな不満が出なかったということが、「PM10の基本性能の高さ」を証明しています。 AIRBOW PM10 Ultimate アンプをPM10 Ultimateに変えると、ギターの音色(トーン)が変わりました。 PM10(ノーマル)では、少し気になった「ギターの高音のざらざらした感じ」や「高い倍音が抜けきらない感じ」が見事に解消し、高級ギターらしい金属的な硬質な響きと上質な木の響きの甘さが両立した良い音が出てくるようになりました。 ボーカルも、L507uX2やPM10では表現しきれなかった、細部のディティールまで完全に再現され、セーラKさんがギターを抱えつま弾いている様子が見て取れるようなリアルな音になりました。 AIRBOW Stingray2 Ultimate 同じソースを聞いているとは思えないほどに、ギターの音が美しく響き、余韻が体を包み込みます。セーラKさんの声も全然違っています。セーラKさんが、この曲を愛でながら、しっとりと歌っている様子がとても良く伝わってきました。 音質評価
Luxman L507uX2(通電直後) シンセサイザーの音は透明でアマンダさんの声は良い感じに鳴っています。分離感にも優れています。音場の広がりは少し小さめで、この曲がチャーミングに鳴っている感じです。 ウォーミングアップが完了すると、シンセサイザーの低音が太くなりました。ボーカルもボリューム感が向上していますが、高域にはまだ少し濁りが感じられます。 Phasemation真空管アンプに比べると、音が少しくすんで感じられます。ベールがかかっていると言い換えても良いですが、それはどうしても価格に開きがありすぎるせいで、その部分を除けば十分に検討しています。 他のこのクラスのプリメインアンプは、ほとんどがメーカーやモデル固有の「味わい(癖)」を感じさせますが、PM10にはそれがありません。今回試聴した、Luxman L507uX2に関わらず、他の国産メーカーAccuphaseやEsotericなどには必ず「個性的な音」を感じます。良い意味で「個性の少ない」PM10は、そういう部分が他の国産メーカー品や従来のmarantzアンプと少し異なっています。伴奏とボーカルの関係性はとてもニュートラルかつ正確です。 無個性な音ですが、決して無味乾燥な音ではありません。PM10から心の琴線に届く音が出せるかどうかは使い手次第だと思いますが、60万円という価格を考えれば、PM10はとても基本性能の高いプリメインアンプ、セパレートアンプに近いアンプに仕上がっていると思えます。 イントロ部分のシンセサイザーの透明感、量感と響きの長さが大きく変化します。 PM10とPM10
Ultimateで聞き比べる「Dreaming」はCDとSACD、あるいはノーマル音源とハイレゾ音源ほど、細やかさと透明感の違いがあります。周波数帯域の両端がロールオフせずに真っ直ぐ伸びて静寂感が向上し、音場が透明になって空間の隅々まで見通せるようになりました。 高域はすっきりと伸び、響きは鮮やかで透明です。青天井に突き抜けてゆく、シンセサイザーの音を聞いているだけでも気持ちが晴れ晴れとして、気分がよくなります。 音質評価
Luxman L507uX2(通電直後) ピアノはタッチの強弱が少し伝わりにくいですが、音色は美しく、ボーカルも艶やかです。L507uX2の音は、この曲にとてもマッチしていて、ラックスらしい「甘さ」、「艶やかさ」がほどよく醸し出されて、とても良い感じです。 イントロのピアノの音が「いろいろな音が一斉に鳴っている」ように聞こえます。本来は、音の高低や弦の太さの違いによって、もう少し音の立ち上がりに差が出て、複数の音が分離しながら混じり合って美しいハーモニーを形作るように聞こえるはずです。 すでにYouTubeにアップロードしている、Phasemation
CA1000/MA1000の動画とL507uX2を比べていただければ、アンプの違いによる「ピアノの音の差」ははっきりわかると思います。 Phasemation真空管セパレートアンプと比べると、PM10の「ピアノ」は、ほんの少し人工的な音に感じられます。低域は良いのですが、高域のプレゼンスがわずかに足りないからでしょう。 PM10の良いところは「ピアニストとボーカルの息の合った感じ」が実に自然に醸し出され、良い味わいで再現されることです。いくら音が良くても、「音と音の関係性」が疎になり、あるいはそれが破壊されてしまうと、肝心の演奏の味わいが消えてしまうからです。PM10は、marantz渾身のフラッグシップ・プリメインアンプにふさわしい、音楽表現力を持っています。 Phasemationセパレート真空管アンプ(370/500万円)と同じ演奏を聞き比べても、それが「つまらない」と感じられることはありません。もちろん、音質は及ばないので、同じライブを少し悪い座席で聞く感じですが、演奏の良さは、しっかりと伝わります。 ピアノはアタックの立ち上がりが早くなり、タッチの強弱がハッキリしました。 PM10 Ultimateのトランジェント(過渡特性)は、ほんの少しスローかも知れません。けれど、逆にそれが「録音の粗」を上手く隠してくれて、ゆったりと音楽を聞かせる方向に働きます。 最高のカートリッジで聞いた峰純子さんのレコードと比べると、ほんの少しだけ「すっきりとした透明感」には欠けますが、出てくる音は相当レコードに近いイメージです。 ハットするほど美しく響くピアノの音と、思わず息を止めて聞き入るほど艶やかなボーカルに感動します。 音質評価
Luxman L507uX2(通電直後) イントロのトランペットの音は、もう少し厚みとパワー感が欲しい感じです。 電源投入直後には不満を覚えた、トランペットの厚みと力感不足は、ウォーミングアップにより解決しました。弦楽器を含め、全体的に楽器の数も増えたように感じられます。 marantz PM10 イントロのトランペットの音量は実に「リニア(自然)」に変化します。実はアンプを通った後の楽器の音量感をリニアに変化させるのは、かなりの腕がないと難しく、この点で国産品は海外製品に及ばないことが多かったのですが、PM10は国際的に見ても、変化が実にリニア(自然)な製品だと感じます。再現する音のスケールに狂いがないPM10は、この演奏の持ち味である「精緻さ」を見事に再現します。 この曲で「良いな!」と思ったのは、ピアニシモからフォルテに変化していくその「動きの大きさとスケールが、驚くほどリニアなことです。国産製品では、この部分がなかなか難しく、違和感を覚えることが多かった(PM11
S3もそうでした)のですが、PM10は良くチューニングされ、音楽を等身大で再現してくれます。S/N感にも優れています。 ベースモデルPM10の良さを引き継いだ癖のない自然な音です。 150個以上のパーツを交換した効果は伊達ではなく、PM10では表現しきれなかった「無音部」がしっかりと再現されます。音は聞こえないけれどそこには何か気配が残っている、そういう有機的な静寂の中から静かに音が立ち上り、再びそこへ消えて行く。この部分は、ノーマルのPM10では再現出来なかったところです。最大音量から無音部までの変化と、緩急を繰り返す時間の流れに一切の淀みや切れ目(停滞感)がなく、粛々と演奏が流れて行きます。 真空管アンプの音は、聞き比べたトランジスターアンプと何が違うのでしょうか? 総合評価 Luxman L507uX2 Luxman L507uX2は、ウォーミングアップ前後でかなり音が変わります。暖まる前の音は、Luxmanらしいクリーミーなサウンドですが、十分に暖まると高音がクッキリして低音の量感が増えます。 ウォーミングアップを兼ねて、様々な曲を聴きましたが、前作L507uXに比べ全体的に「メリハリが強い」のが印象的でした。アコースティック系の楽曲は上手く鳴りますが、録音の悪いPops系の楽曲では、メリハリが効きすぎて演奏が雑に、うるさく感じられることがありました。 PM10の音質は、「HEGEL プリメインアンプ最上級モデル」に近いイメージでしたが、それよりは少し明るいようです。 また。艶やかさではHEGELが勝ると思いますが、低音の再現力はPM10がそれを上回ります。 元々良く出来ているPM10のパーツをさらに150個も変更して音質を高められた、PM10 Ultimateは、プリメインアンプという枠を超える音質を実現しています。 今回の4台のプリメインアンプと同時に聞き比べた、Phasemationのセパレート真空管アンプと比較すると、PM10
Ultimateは、音の変化の大きさや鮮やかさという部分では、若干及ばないところがありますが、PM10
Ultimateの持つアナログ的な滑らかさや暖かさはトランジスターアンプ、スイッチングアンプの枠を超えています。 AIRBOW Stingray2 Ultimate Stingray2 Ultimateは、物理的な耳に聞こえる音ではなく、伝わってくる感動や音楽性にトランジスターアンプとの大きな違いが感じられました。もちろん、再現される音は今回テストしたプリメインアンプの中でも最も細かく、響きの美しさや分離感、広がり感にも優れ「音質」でもトップランクだと思いますが、そういう「質的」な部分よりも、「音楽の表現力」すなわち、心をぐっと鷲掴む感動の大きさと豊かさで、確実にトランジスターアンプを上回ったからです。 出力は、Triode接続で18Wですが、スピーカーの能率が極端に低くなければ、ご家庭で十分な音量が出せるでしょう。事実このアンプを、100名以上収容できる「音展2017」の会場で使いましたが、音量に不満はありませんでした。 今回聞き比べたアンプでは、Phasemation CA1000/MA1000のセットに最大の感銘を受けましたが、Stingray2 Ultimateはそれよりもずっと安い価格で、同じ雰囲気を醸し出してくれる良いアンプに仕上がっていると思います。 今回同時にテストした、AIRBOWPM10 Ultimateとは、価格も近く良い意味で対照的な存在感を持っているように感じます。 2017年7月 逸品館代表 清原裕介 |
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