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Mcintosh(マッキントッシュ)C47 , C52 , C1100 音質比較試聴
KRELLl プリアンプ ”Illusion2”、パワーアンプ ”Duo125”の試聴に引き続き、Mcintoshの新型プリアンプ C47、C52、C1100の試聴を行いました。スピーカーには、KRELL Illusion2との比較のため、Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G)を使っています。 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) AIRBOW SA11S3 Ultimate (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す)
Mcintoshと比較したプリアンプ KRELL Illusion 2 メーカー希望小売価格 1,100,000円(税別) Illusion
2(イリュージョン2)は、上級機のコンセプトをそのままにより身近に音楽をお楽しみいただけるように、電源一体型ボディーを採用したプリアンプです。このモデルには、KRELL社プリアンプとしては初めてヘッドフォン端子が搭載されています。 プリアンプ・セクション パワーサプライ・ユニット Eco-Friends 回路は、スタンバイ時の消費電力を2W まで低減する事に成功しています。
比較試聴に使ったパワーアンプ KRELL Duo125 メーカー希望小売価格 880,000円(税別)
試聴環境 試聴は、KRELL Illusion2+Duo125の後に、各プリアンプを数時間ウォーミングアップした後に行いました。 試聴したソフトは、KRELL Illusion+Duo125の試聴に使ったいつもの5曲です。CDを聞きました。 プリアンプ Mcintosh(マッキントッシュ) C47 メーカー希望小売価格 600,000円(税別) C47は、C48からイコライザー機能を省き、よりシンプルなプリアンプリファイアーとして生み出されました。 C47は192kHz/24bit対応の同軸×1、光×2、384kHz/32bit・DSD256対応のUSB入力×1、さらにMCT450などに備わるマッキントッシュ専用DINデジタルと接続することでSACD(DSD)信号のデジタル伝送が実現する、専用DIN入力×1のデジタル入力が備わります。 アナログボリューム感覚で高精度な音量調整を可能にする、0.5dB単位214 ステップのVRV(Variable Rate Volume)電子ボリュームを採用し、接点の経年変化に強い構造で長期間安定した動作を保証します。 負荷インピーダンス、負荷容量を選択できる最新設計のフォノ回路には、完全セパレートされた高音質MCとMMフォノ回路が各1系統備わり、誤差の少ない抵抗およびコンデンサーが採用され、ノイズ及び歪みを最小限に抑え極めてフラットな周波数レスポンスを実現しています トーンコントロールは必要に応じて、個々の入力ソース毎に割当が可能です。 ヘッドフォンに前方定位を実現する、HXDRクロスフィード機能を搭載する高音質ヘッドフォン出力が備わります。 軽量でスタイリッシュな新型リモコン採用
C47,C52,C1100の試聴機と共にエレクトリからはMCT450/D150の試聴機も届けられました。時間が許せば、MCT450をC47,C52に繋いでアナログとデジタルの両方の音を聞いてみたかったのですが、今回は時間が許さずアナログ入力のみの試聴となりました。直前に聞いていたKRELL Illusion2+Duo125にはAIRBOW SA11S3 Ultimateを繋いでいたのですが、純正の組み合わせが聞きたくて、まずMCT450/D150をC47に繋いで聞いてみました。 高音が伸びたりず、解像度も下がって、音像がぼやけ、かなり音が悪くなってしまいました。プリアンプだけでこれほど音が違うのはおかしいと考え、CDプレーヤーをAIRBOW SA11S3 Ultimateに戻すと、断然音が良くなるではありませんか。念のためMCT450を外し、AIRBOW MSS-i3 MsHD6.7と組み合わせてUSB接続でも試しましたが、やはり中高音が抜けきらず、細かい音も聞こえませんでした。D150の実力不足のようです。そこで、プリアンプの比較試聴は、KRELLを聞いたのと同じAIRBOW SA11S3 Ultimateをプレーヤーとして使うことにしました。 C47音質評価 せせらぎ セレナード Illusion2は身体を包み込むように360度方向に音場が大きく展開させたが、C47ではそれが270度くらいに縮小する。コンサートホールで座席位置を後方に移動したような雰囲気だ。 大きな違いは超低域にある。Illusion2ではローエンド(再生可能最低域)がスピーカーの限界を超えて低いところから出てくるように感じられるのに対し、C47ではそれほど低くは出ない。これが最初に感じた「音の広がりの違い」の原因だろう。 C47からは、違和感のない立派な音が出ていることは間違いないし、価格を考えれば十分な音が出ている。しかし「セレナード」を聴く場合は、C47ではDuo125の驚くべき低音再生能力を完全に引き出せない。それがスケール感の差として露呈する。 だからこの曲では、Illusion2にハッキリと軍配が上がる。 500Miles 子音が若干強いが、ボーカルは雰囲気が良く出る。 響きはさほど多くはないのでさっぱりと感じられるが、ライブ演奏らしい雰囲気が旨く醸し出され、目の前で行われている生演奏を聴いているような音で500Milesが鳴った。 新世界 プレーヤーをSA11S3 Ultimateに変えて、C47をじっくりと聞いて行く。 気づくのは、C47が「音の関係性」を一切乱さないことだ。シンフォニーの各演奏者は凄まじい練習量で「自由自在な楽器のコントロール」を取得する。ライブでは「他の奏者の音」を聞きながら、それぞれがぶつからないように慎重に美しいハーモニーを作り上げて行く。C47で新世界を聞いていると、その高度な熟練の技がきちんと伝わってくる。 高域がほんの少し荒れるのだが、もともと高域の音が強いアコースティック楽器や弦楽器では、ボーカルで感じられたこの子音の荒れはまったく感じられなくなる。セパレートアンプらしい、雄大な深い音で新世界が見事に鳴った。 試聴後感想 Mcintoshという先入観から、C47にもややどろっとした「濃い音」を思い浮かべるられるかもしれないが、実はMcintoshは昔から2種類の音を作っている。C28に代表されるような、JAZZや演歌にフォーカスした「ゴージャス」なサウンドと、C29やC34系のクラシックも聴ける「ストレート」なサウンドだ。C47は、明らかに後者の音だ。 C47の良いところは、音に強い癖がなく、さっぱりとした鳴り方をしながらも、楽器の色彩感やボーカルの表情をきちんと出してくるところにある。ただし、ボーカルを聞く時は、子音が少し強く出る。弦楽器やアコースティック楽器ではこの「荒れ」は全く気にならないのだが、高域の「荒れ」に神経質な方は、この点は注意が必要だろう。 LuxmanやEsoteric、あるいはAccuphaseといった国産のプリアンプと比べると音の細やかさでこそ僅かに劣るかも知れないが、音楽を大きく躍動させる、音楽を楽しく再現する能力でそれを補って余りある。 110万円のIllusion2に比べると、価格が約半分のC47では音の密度はさすがに少し低くなるが、それはかなり良質なシステムでなければわからないだろうし、何よりもその「元気良さ」は、私が最も気に入っていたC29の音にとても近い。 C47はこの価格帯で自信を持って推薦できる、良いプリアンプだ。 プリアンプ Mcintosh(マッキントッシュ) C52 メーカー希望小売価格 900,000円(税別) C52は、C50の8バンドイコライザー機能を継承し、コントロールセンターの名にふさわしい多機能と操作性を両立したMcIntosh半導体プリアンプリファイアーのトップエンドモデルです。 MM/MCの独立したフォノイコライザー回路を搭載し、同軸/光/USBデジタル入力に加え、マッキントッシュ専用DINデジタル入力をそなえ、MCT-450との組み合わせでSACD(DSD)信号のデジタル伝送を実現しています。 アナログボリューム感覚で高精度な音量調整を可能にする、0.5dB単位214 ステップのVRV(Variable Rate Volume)電子ボリュームを採用し、接点の経年変化に強い構造で長期間安定した動作を保証します。 負荷インピーダンス、負荷容量を選択できる最新設計のフォノ回路には、完全セパレートされた高音質MCとMMフォノ回路が各1系統備わり、誤差の少ない抵抗およびコンデンサーが採用され、ノイズ及び歪みを最小限に抑え極めてフラットな周波数レスポンスを実現しています トーンコントロールは必要に応じて、個々の入力ソース毎に割当が可能です。 ヘッドフォンに前方定位を実現する、HXDRクロスフィード機能を搭載する高音質ヘッドフォン出力が備わります。 軽量でスタイリッシュな新型リモコン採用
音質評価 せせらぎ 低音はC47よりも低いところから出るようになったが、それでもまだC52よりもIllusion2の方がより低いところから出るように感じられる。密度感が高く濃密に感じられるIllusion2とは違い、C52の低音がややあっさりしているのはC47と似ている。C47と違うのは、水の粒子が格段に細やかになり、聞こえなかった遠くの鳥の声が聞こえるようになったことだ。 C47でも「目の前をせせらぎが流れている」ように感じたが、C52を聞いてしまうとそれが「開け放った窓越しに流れているせせらぎの音だった」と感じられるから不思議だ。つまり、窓という「壁の中に空いた空間からせせらぎを見ていた(流れる音を聞いていた)」と感じるC47に対し、C52は「壁を取り払い(ベランダの扉をすべて開け放って)」せせらぎを聞いているような、何者にも制限されない圧倒的な情報量(音の細やかさ)が得られるところが違う。 目を閉じると、絨毯が濡れてしまわないか心配になりそうなほど、リアルな音でせせらぎが鳴った。 セレナード C52の音の広がりはC47かわらず、音場の展開は270度に留まるが、音の数が圧倒的に多い。また、低音のエネルギー感が大きく向上し、弦楽器のせつないイメージも、ずっとハッキリ伝わってくる。 バイオリン、チェロ、コントラバスのパートはその「楽譜」が読み取れるように、明快かつ明確に分離するが、それはあくまでも「自然」で無理矢理に分離させたような感じはなく、大変好ましい。 情報量が増え、細かい音まで伝わるようになったことでC47では感じられなかった、現場にいるような生々しさが感じさせるC52と、Illusion2の違いは「空気の濃さ」と「温度感」にある。温度感はイリュージョンがやや高く、空気の密度も高かった。Illusion2の音は、いかにも昔からのKRELL(無限の力)を感じさせてくれる。 しかし、C52がKRELLのような濃密さを持たないからと言って、Illusion2よりもC52が音楽の再現性に欠けると言うことはない。これも昔からそうであったように、ややクールなMcintosh(C52)、ややホットなKRELL(Illusion2)という「好み」の違いが存在するだけだ。 モナリザ C47に比べギターに細かい抑揚が出て、楽器そのものの質が上がった。ボーカルは優しく、丁寧になった。またC47で少し気になった子音の強さもほとんど消えた。情報量(音の数)が増えるので、ライブ会場の「空気感」も出てくる。 C47とC52の違いは、MMカートリッジをMCカートリッジの違いにイメージが近い。C47と音色はまったく同じだが、情報量は明らかに多い。低音も量感もかなり違っている。C47ではそこまで伝わらなかった、奏者の「身体の動き」まで見えてきた。 やはり「格の違い」は否めない。 500Miles MCT450+DT150+Illusion2ではバラバラだった音のタイミングが、SA11S3 Ultimate+C47ではピタリと合った。SA11S3 Ultimate+C52では、C47の通常解像度の映像がハイビジョンになったように、さらに細かく緻密になる。 ピアノのタッチは細かく、良いピアノをピアニストが細やかにコントロールして音を出しているのが伝わってくる。ボーカルはC47のそれよりもゆっくり、そして丁寧に聞こえる。息づかいや呼吸に伴う胸の動きまで見えるようだ。C47は、比較的カジュアルにライブ感溢れる音でこの曲を聴かせてくれたが、C52はより本格的な、スタジオでミュージシャンと対峙しているようなやや緊張感を伴う雰囲気でこの曲を精緻に鳴らす。 音楽の表現としてはどちらも良かった。しかし、音質と言うことであれば、C52はC47を圧倒する。 新世界 導入部での管楽器の響きの長さと深さ、ティンパニーの重量感がまるで違う。 C47でもそれほど悪くない、むしろ良いとさえ思った音が、C52を聞いてしまうと、この曲に関しては「C47がまったくしょぼかった」と言うことが思い知らされる。 弦の響きは重厚で長く尾を引く。あらゆる音が何倍も緻密で、そして説得力に富んでいる。この曲に関しては、Illusion2よりもC52の方が「合っている」かも知れないとさえ感じられる。 幽玄という言葉を連想させるような、深く静かで知性に満ちあふれた音で新世界が鳴った。 試聴後感想 C47単体だけを聞いていると不満なく、それは十分な音だと思われた。しかし、C52を聞いてしまうと、C47で聞いていたのが「間引かれた音」だと感じてしまう。 C52はMcintoshの最上級プリアンプ、C33を彷彿とさせる音が出る。これは高級でお金のかかった音だ。この音ならKRELL
Illusion2と対等に渡り合える。そしてC52には、Illusion2を超える最新のデジタル入力が装備され、8バンドのトーンコントロールが備わる。価格も僅かに安い。魅力的なオファーだ。 プリアンプ Mcintosh(マッキントッシュ) C1100 メーカー希望小売価格 2,000,000円(税別) C1100は、シドニー・コーダマン氏の右腕としてキャリアを積み、昨年までマッキントッシュエンジニアリング部門を責任者として
音質評価 せせらぎ 「せせらぎ」を聞くと、C1100の情報量はC52とほぼ同じに感じられる。音のバランスや温度感もよく似ている。 Mcintoshの真空管プリアンプの代表作”C22”は非常に特徴的な「濃い音」を出した。C22で聞くシンバルは、その厚みが2倍くらいに感じられたものだ。トランジスターアンプでその音を引き継いだのが”C28”だが、陣空間プリアンプでありながらC1100の音は、C28よりも遙かに”C52”のようなトランジスタープリアンプに近い。 水の音には僅かに響きが乗り、エッジがマイルドになるが、違いはC52とそれほど大きくない。 けれど鳥の声の色彩感や艶っぽさは、C52では感じられなかった種類のものだ。 やはり真空管の音は、「石」とは明らかに違っているようだ。 セレナード バイオリンやチェロ、コントラバスに代表される「弓を使って奏でる弦楽器」は、楽器の中でも特に響きが複雑だ。奏者は難儀して、その難しい弦楽器の響きを整然と整える。だから、良い奏者が奏でる良い演奏には「整然とした美くしさ」が感じられる。 しかし、 C52よりも若干だが響きの多いC1100でこの曲を聴くと、真空管の響き(共鳴)が原因となって、弦楽器分離感が僅かに後退する。 C52に精緻で正当なサウンドを聴いた後だからよけいにそう感じるのだろうが、この曲に関してはC52の「さっぱりした美しい鳴り方」が私の好みだ。 モナリザ ギターの音は優しくふくよかに響く。ボーカルはしっとりとした艶が出る。C52では感じられなかった「掛け合いの間」が醸し出されるようになる。しかし、ボーカルの子音はC47と同じように若干荒れてしまう。 雰囲気は良いが、密度感ではC52がC1100を上回っていた。 嫌な音ではないし、絶対的にも悪い音ではないのだが、Duo125とはC1100よりもC52の相性が良さそうだ。 500Miles 真空管アンプには、チューブとチューブを接続する時の電圧差(DC)を回避するために、カップリングコンデンサー、もしくはトランスが使われる。それらの素子が「DC領域に近い超低音の周波数を遮断する」ためのため低音の下限がゼロ(DC)ではなくなる。C52にもカップリングコンデンサーは使われていると思うが、聴感上の周波数特性はC52の方が低いところまでリニアに出ているように感じられる。超低音で評価するなら、C1100はC47よりも低く出るが、C52ほどではない。 低域が特に優れているDuo125との組み合わせでは、この僅かな低音の違いが音に出てくるように思う。 ピアノは左手の重さが軽くなり、グランドピアノがアップライトピアノに変わってしまった。ボーカルは体つきが一回り小さくなった。情報量ではC1100はC52に敵わない。 しかし、ピアノがポロポロ鳴って、ボーカルがしっとりと歌い上げる。そのステージの作り方は見事だ。小さなライブハウスでの生演奏を聴いているような雰囲気で500Milesが鳴った。醸し出される、雰囲気は良い。 新世界 響きの密度感はC52に僅かに及ばないが、音の広がりは大きくなった。弦楽器の分離感や解像度感でもC1100はC52に及ばないが、楽器の味わいは濃くなった。 C52は緻密な音で演奏を見事に再現した。C1100は実に優雅な雰囲気で演奏を再現する。 一つずつの「音」を比べるとC52が明らかによい。しかし、全体像の描き方はC1100が秀逸だ。 人間味のある音で新世界が鳴った。 試聴後感想 C1100とC52は対照的なアンプだ。 C52は音質重視、C1100は雰囲気重視。同じ山を北面と南面から登り詰める違いがある。 今回の比較では、KRELL Duo125をパワーアンプに使った。そのためC52がC1100を上回って感じられたが、Mcintoshのパワーアンプと組み合わせると、また違うイメージになるだろう。 オールマイティーで万人にお勧めして間違いないのはC52。音質を卒業して、細かいことよりも音楽の全体像を捉えながら、ゆったりと音楽に浸りたい方にお薦めできるのがC1100。価格ではなく、明らかな性格の違いが感じられた。 試聴後感想 プリアンプは、システムの「音色」を決める上で、とても大切だと思いました。 2016年5月 逸品館代表 清原裕介 |
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