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ハイエンド フォノイコライザーアンプ 音質 聞き比べ

 EAR PhonoBox De-Luxe(Chrome)・真空管式フォノイコライザーアンプ

  

 QUAD QC-24・真空管式フォノイコライザーアンプ

  

 Phasemation EA-550・トランンジスター式フォノイコライザーアンプ

  

プレーヤーは、YAMAHA GT-5000、カートリッジは、Phasemation PP-300、ortofon SPU Classic GE Mark2の2種類を使って、真空管式フォノイコライザーアンプ EAR Phonobox De-Luxe、QUAD QC-24P、トランジスター式フォノイコライザーアンプ、Phasemation EA-550を聞き比べました。

YAMAHA GT-5000(ブラック)  メーカー希望小売価格 600,000円(税別)

往年のGTシリーズをオマージュしたデザインですが、駆動方式をダイレクトドライブからベルトドライブに変更するなど、ヤマハが目標とする新世代のフラッグシップ・アナログプレーヤーにふさわしい音質を目指し、妥協無く作られた製品です。そのヤマハの思いは「26.5s」という重さに象徴されています。開発当初に決定した販売価格を固持したため「60万円」という「安さ」ですが、開発費用を抜きにして、販売価格の2倍程度でも採算がとれるかどうか疑問なくらいコストがかかっているようです。

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Phasemation EA-550 メーカー希望小売価格 600,000円(税別)

Lch、Rch 独立完全モノラル2筐体構成の強靭なシャーシ構造、10mm 厚アルミスラントフロントパネル、1.6mm 厚の銅メッキ鋼板シャーシベース、1.6mm 厚の銅メッキ鋼板カバーで構成された強靭な筐体構造を採用し、フットには外部振動を遮断する重量級金属インシュレーターを採用。オールディスクリート部品による V-I/I-V 変換型全段対称無帰還増幅回を搭載する、トランジスター方式フォノイコライザーアンプ。

3系統の入力端子を装備し、入力1、2は XLR コネクターによるバランス入力にも対応します。各入力個別にMM/MCの切り替えが可能です。

イコライザー特性は従来の STEREO 用 RIAA 特性に加え、モノラル専用の特性として Mono1(DECCA レーベル等で使用)、Mono2(コロンビアレーベル等で使用)を装備します。

MCカートリッジの再生のために、2次巻線材に高純度銅線PC Triple-Cを使用した独自の特殊分割巻き線構造を採用。大型のEIコアと相まって、広帯域で優れた周波数特性と位相特性を実現する新規開発 MCトランスを搭載します。

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EAR Phonobox De-Luxe(Chrome仕上げ) メーカー希望小売価格 340,000円(税別)

アナログにこだわる世界的なマイスター「ティム・デ・パラヴィチーニ」氏が考案した管球式フォノイコライザーの世界のスタンダードモデルと言うにふさわしい製品です。

3本の13D16 双三極管を採用する「EAR Phonobox」には、パラヴィチーニがデザインした独自のトロイダルトランスフォーマーが使用され、管球式フォノイコライザーとして極めて高いS/Nを実現しました。音質劣化を防ぐためにサーキットは可能な限りシンプルに、配線関係も極力短くし、RCA ジャックもPC ボードにダイレクトマウントされています。出力にはヴォリュームコントロールが搭載され、プリアンプを使わずパワーアンプを駆動することで、よりピュアなサウンドが楽しめるようになっています。

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QUAD QC-24P(ブラック仕上げ) メーカー希望小売価格 360,000円(税別)

設計をEARの「ティム・デ・パラヴィッチーニ」氏が担当し、クオード社の創立者ピーター・ウォーカーの後継者と目される「スティーブ・ヒューレット」氏のコラボレーションにより生み出されたフォノイコライザーアンプです。

EAR Phonoboxはオール真空管構成の回路を採用しますが、QUAD QC24Pは初段MOS Fと全段にわたり長期使用に耐える高信頼ミリタリー仕様 双3極管6111 を基盤直結でがカスケード接続され高S/N比を実現するハイブリッド構成となっています。

MCカートリッジ再生には、ティム・デ・パラヴィッチーニ氏の設計による、完璧にシールドされた高品質のオリジナルMC入力専用ステップアップ・トンスが搭載されます。

出力ゲインは、0dB、-6dB、-12dB の3段階がリアパネルのノブで切り替えられ、固定(フィックス)と可変(バリアブル)の2系統の出力が装備されます。

メーカーホームページへのリンク)(逸品館による音質テストへのリンク

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試聴環境

プリメインアンプ AIRBOW PM12 Master、スピーカーには Vienna Acoustics Lisztを使用して聞き比べました。

 AIRBOW PM12 Master 販売価格 415,000円(税別)(詳細はこちらから

 Vienna Acoustics Liszt メーカー希望小売価格 2,000,000円(ペア/税別)(詳細はこちらから

この聞き比べをMusic BirdのYouTubeアーカイブで見る

試聴したレコード

ダイレクトカッティングで録音された、高音質の女性ジャズボーカル曲。

CDでも発売されているシンセサイザーなども伴奏に使った、録音の良いPOPSのレコード。比較的新しい高音質重量盤。

アンドレプレヴィン指揮・ロンドンフィル演奏の「惑星」から「火星」を試聴。先の2枚のような高音質レコードではなく、演奏・録音・マスタリング共に「テストにちょうど良い平均的な音質」のレコード。

  

高域は伸びやかで、透明感にすぐれています。EARの主張通りS/Nが高く、ノイズ感がほとんど感じられません。

解像度感や透明度の高さノイズの少なさは、まるでデジタルのようですが、ボーカルはセンターにしっかり定位し、ウッドベースの音も滑らかで明快です。
レコードらしい広がりと、シャープな中央定位感が両立しています。もう少し響きが豊かな方が好みですが、解像度が高く、最新のデジタルに匹敵する音質が実現しています。

シンセサイザーの音に少し癖があります。ボーカルも少し鼻にかかっているような感じですが、低音は実によく伸びて、レコードを聴いているとは思えません。
分離感には優れていますが、アタックが少し鈍く、それが原因でパーカッションやリズムセクションの切れ味がものたりず、少しだらだらと演奏しているような感じで、音調も暗く感じられます。

質感は高いですが、この曲では音楽があまり躍動的に感じられません。

低音の重厚感は抜群で、音が波のように押し寄せてきます。このレコードでも小さな音まではっきり聞こえ、ノイズ感は全く感じられません。このアンプが、オール真空管だとは俄に信じられないほど高いクォリティーです。
Dreamingのボーカルで感じたように、管楽器には少しくぐもったような癖が感じられます。弦楽器も高音は伸びているのですが、少しベールがかかっていうるように感じられることがありました。
ピアニシモとフォルテシモのエネルギー感の差が小さいように感じられるが、これは多分にマスタリングの問題でしょう。
分離感や広がり感にはとても優れているし、揺らぎやムラ、アナログらしい感覚はなく、デジタルさながらに安定した音が出ることに驚かされました。

Phasemation PP-300で聞く、EAR Phonobox De-Luxe (Chrome仕上げ)
真空管と聞いて感じる、ネガティブなイメージ「ノイズ感」や「揺らぎ(不安定な感じ)は一切ありません。しかし、真空管らしい響きが少し少ないように思えます。解像度は高く、分離感にも優れているが、カートリッジやレコードをやや選びそうに思いました。

  

音の出始めから、一聴して音色が明るくなりました。ボーカルの抜けが向上し、表情(声)の小さな変化までよりきちんと再現されます。ボーカルがセンターに定位し、ウッドベースが後ろに展開する、音の広がりや奥行き感は同じですが、空気感や雰囲気感がより濃密です。

EAR Phonoboxと比べると、なぜかQC-24Pの方が「レコードを聞いている」という気分になれる、リラックスして音楽に身をゆだねられる雰囲気が醸し出されました。

シンセサイザーの音の「冴え(鮮やかさ)」が向上して、ボーカルの透明感が向上しました。音の分離も良くなり、全体に一皮はがれたようなクリアな音質です。
それもでも、普段デジタルでこの曲を聴いている感じから比べると、曲の速度が少し重く、暗い感じがまだ僅かに残ります。

耳を欹てると、音と音の間に何か「微粒子」のようなものがあって、それが全体をごくわずかに「粉っぽく」しているように思えます。その聞こえないノイズ?(バックグラウンドノイズ)が原因なのか、エコーが完全に伸びきる前に消えてしまう印象があります。音は良くなっていますが、まだ私が求める「アナログらしさ」には到達していません。もっと濃い色彩感、滑らかに伸びる美しいエコー感が欲しくなります。

イントロの打楽器の立ち上がりが早くなって、メリハリが強くなりました。管楽器の音量変化も大きくなっています。

Phonoboxで感じられた音の癖、弦楽器の曇った感じもほとんどとれましたが、またデジタルノイズにマスキングされたように高域が伸び足りず、中低域は非常に良いのですが、高域の「艶」や「色彩の鮮やかさ」がそれに比べるとやや物足りなく感じられます。
ただし、全体的なバランスには優れ、レコードに刻まれた情報はきちんと引き出せています。
Phasemation PP-300で聞く、QUAD QC-24P
メーカーは違っても、Phonobox ChromeとQC-24Pは、どちらも「ティム・デ・パラヴィッチーニ」氏が手がけた製品です。価格もわずかしか違いませんが、オール真空管とハイブリッドという構成が影響するのか、QC-24PがPhonobox Chromeよりも鮮やかな音質で、透明感も高く感じられました。またゲインの3段切り替え、音量固定と可変の出力が備わるなど、2万円という僅かな価格差なら、QC-24Pのほうがグッドチョイスに思えます。ただし、その音質差はカートリッジとの相性や、ユーザーの好み次第で簡単に逆転するほどの、僅かなものでしかありません。

  

アンバランス(RCA)接続

さすがにメーカー希望小売価格が2倍になっただけあって、音のきめ細やかさ、再生帯域レンジが一気に向上します。ボーカルは目の前で歌っているようにリアルですし、ウッドベースやピアノの低音も充実してきました。
若干「モニター的」に感じられることもあるのですが、QUAD QC24Pで感じられた「微粒子ノイズ感」もほとんど消えました。

EAR Phonoboxで感じられた癖のらしきものもなく、音の出始めから消えるところまで、完璧に狂いがなく、滑らかに再現されます。新世代の高品位なアナログの音を感じます。

シンセサイザーの音は、さらに鮮やかになり密度感も高まっています。けれどわずかに感じられる「薄いもやのようなもの」はまだ完全には解決していません。

エコーも長くなりましたが、真空管式フォノイコライザーアンプの2モデルに比べると、色彩や音色の変化にやや乏しく、まだこの曲らしい求心力の強さは伝わってきません。

「音質の高さ」よりも「音色の鮮やかさ」が求められるこの曲では、価格が2倍になったと言われて納得できるかどうかは、にわかには判断できません。どんなにきれいな声でも「心がこもらない声」よりも、少しくらい悪くても「心に伝わる声」のほうがいいに決まっています。特に歌謡曲、流行歌とはそういうものでしょう。情報量が再現性の決め手になる「インストゥルメンタル」とは評価の軸が違い、雰囲気の濃さがより強く求められるように思います。

イントロ部分の重圧感がさらに増しています。金管楽器もさらに鋭くなっているし、パーカッションの存在感も大きくなってきました。また、やや不満があったこのレコードのピアニシモからフォルテシモへの音量変化もリニアになっています。楽器の数が多くなるところ、音量が大きくなるところでも、音が飽和しません。

すこし気になるのは、音場が音量に比例して広がらないことです。録音の問題かもしれませんが、フォルテの音量では空間が小さすぎるように感じます。音は良いのですが、空間の動きが今ひとつ小さいように思いました。
Phasemation PP-300で聞く、Phasemation EA-550

価格が2倍になって確かに音質は良くなっています。しかし、音質が向上したのと同じだけ演奏が魅力的になったかと問われると、ちょっと答えに窮します。
そういう印象を割り引けば、癖がなくストレートな音、驚くほど豊富な情報量には好感が持てるでしょう。60万円という価格に見合った物量を投入しているだけの音は出ています。

  

バランス(XLR)接続

今回試聴に使ったヤマハGT-5000二は、レコードプレーヤーには珍しいバランス(XLR)出力が装備されています。折角なので、接続をアンバランス(RCA)から、Phasemationが推奨するバランス(XLR)に変更して聞き比べました。

音楽再現の根本的な部分は、それほどは大きく変わっていませんが、接続をRCAからXLRに変えるとノイズ感が減り、分離感が向上しています。情報量も増えているが、基本的な音調は変わらないので、音楽の魅力はそれほど大きく変化したようには感じられません。ただし、どちらで繋ぐかと問われれば、XLRで繋ぐでしょう。Mastではありませんが、Moreなことは間違いありません。

音質が少し明るくなり、響きの美しさも増しています。S/Nは確実に改善し、分離感も向上しました。カートリッジからの微少な出力電圧を、バランスケーブルで伝送するのは、S/N屋情報量の点で確実に効果的なようです。

ただ、その変化はそれほどドラスティックなものではありませんから、ケーブルを含め「数十万円」も投資して、RCAからXLRに変えようとは思わないでしょう。「接続方法」よりも、プレーヤーやカートリッジ、フォノアンプなどの「機材」の方が重要だという「認識」を覆すほどではないからです。
良くなってはいるが、この曲の比較では「あれば良い」という感じです。

やはりこの曲でも劇的な差はないように感じます。あるいは音調の変化が小さいので、違いに気がつきにくいのかもしれません。
確かにアンバランス(RCA)接続よりもいい音でレコードが鳴っているのですが、大げさに思えるほどの変化があれば文字にしやすいのですが、正直それほど感動的な変化はありません。しかし、アンバランス(RCA)とバランス(XLR)が追加投資なしで選べるなら、バランス(XLR)を選ぶべきです。

  

ここからは、フォノイコライザーアンプを「逆順序(Phasemation EA-550から)で聞き比べました。最初は、カートリッジをSPU-Classic GE-2に変えて、フォノイコライザーアンプはEA-550/XLR接続での試聴です。

ピアノの一音が出た瞬間から世界がかわります。シルクのように滑らかで、艶やかな音。声が出る瞬間のパワー感、大きな声から優しい声に変化するその鮮やかさ。楽器の音色の鮮やかさ、説得力が全く変わってきました。

あらゆる音のプレゼンスが全く違います。求めている「音」に到達しています。

肩に乗っかっていた「重さ」が消えました。響きも美しく伸び、ボーカルも力強く説得力があります。ダイナミックレンジが拡大し、演奏の表現力が増している。

けれど、やはりどこか「暗い」、「重い」感じはまだ完全に消えていません。もしかすると純正で附属するターンテーブルシートの「ゴム」が悪さをしているのでしょうか?どこかで「響きが消えている」感じがします。

奥行きは同じくらいですが、左右への音の広がりが、5割くらい大きくなりました。Phasemation PP-300に比べると、すこし音が前に出てくる感じ。ホールの座席が前に移動したような感覚があります。
フォルテのパワー感は明らかに大きく、音量がそのままでも演奏がよりダイナミックに感じられます。

それでも3曲続けて聞いているとやはりどこか「粉っぽい感じ」がしてきました。この「粉っぽさ」は、たぶんGT-5000が原因だと思われるので、ターンテーブルシートの変更などすこし「響きが消えすぎないように」する工夫が必要かも知れません。

ortofon SPU Classic GE Mark2で聞く、Phasemation EA-550

カートリッジの変更でダイナミックレンジが拡大し、音量を変えなくても演奏がより大きく躍動するようになりました。艶もあり、色彩も鮮やかです。カートリッジ対決で言うなら、価格はほぼ同じですが、軍配はSPU-Clasiic GE2に上げたいと思います。

  

フォノイコラーザーアンプの価格が半分になり、音の細やかさが減少し粒子が粗くなったようですが、音色の鮮やかさは逆にEA-550を上回るように感じられます。真空管の響きの効果か、粉っぽさもほぼ完全に消えてしまいました。

レコードがより伸びやかに、鳴っているようにも感じられました。

モノラル構成のEA-550にくらべてチャンネルセパレーションは明らかに低下しているのですが、左右の音が絶妙に混じり合うことでレコードらしい音の広がりや、ある種の「濃さ」が演出されます。
シンセサーザーは伸びやかで響きが美しく、パーカッションも切れ味が良くなりました。
フォルテで若干ひずみっぽく感じることがありますが、それほどは気になりません。

QUAD QC-24Pは、ゲインを「中」にしていても今回の比較しているイコライザーアンプの中では、特別ゲインが高いので、もし、歪みっぽさが気になるようなら、「中」にセットしいるゲインを「ロー」に切り替えれば解決するでしょう。

左右への音の広がりに加え、前後方向への広がりが出てきました。これも回路がモノラルからステレオ構成になったことで、クロストークが若干多くなった「効果」だと思われます。もちろん、音の混じりや濁りも増えていますから、広がりか、分離のどちらをとるかは、システムの相性や好みで決めればよいと思います。

低音は響きがより長く残り、広がりが出てきました。
EA-550で聞くこのレコードは、マイクがとらえた音=録音された演奏を聴いているようだったのですが、QC-24Pではそれがホールで生演奏を聞いているように印象が変化します。音質はともかく、雰囲気は断然QC-24Pが良好でした。

ortofon SPU Classic GE Mark2で聞く、QUAD QC-24P

カートリッジを変えるとフォノイコライザーアンプの絶対的な評価が変わるのは当然ですが、相対的な評価(基本的な性質)は、それほど変化しないように感じました。トランジスター方式のEA-550に比べて、真空管を使うハイブリッドのQUAD QC-24Pは、響きがより長く透明感にも優れています。空気感も濃くなって、生演奏に近い方向へ演奏(間隔)を引っ張ってくれました。

  

QUAD QC-24Pに比べて若干音がくすんでいるようにも思えるのですが、音の細やかさは上回り、しっとりとした大人の雰囲気でこの曲を鳴らしてくれます。比べるとQC-24Pは音が荒く、表現がやや雑なように感じられました。
低音もしっかり出てきますし、楽器の音の違いもはっきりとわかります。

楽器の製造メーカーを特定できそうなほど、ストレートな鳴り方です。

シンセサイザーの鳴りが「落ち着いて」きました。気がつくと、いつの間にか「暗さ」や「重さ」も消えて、いつもデジタルで聞いているのと同じバランスの音になっています。
高音がもう少し伸びて欲しい気もしますが、ほんのわずかに上下が丸め込まれた、このかまぼこ形バランスは安心できて、これはこれで良いという感じです。
レコードらしい音、レコードを聴いているという音になってきました。

イントロ部分の表現力が増しています。特に低音部が良くなりました。細かい音も、ハッキリ聞こえています。
金管は問題にならない範囲で少し曇っています。弦ももう少し鮮やかに分離して欲しのですが、生演奏でもこの程度混ざっていることがありますから、意識が演奏に入ってしまうとそれも気にならなくなります。
EA-550は録音されたままをプレバックしているように、QUAD QC-24Pはそれをライブのように鳴らします。Phonobox De-Luxe は、ちょうどその中間のイメージです。この演奏とこの録音にはとても良くマッチしています。

ortofon SPU Classic GE Mark2で聞く、EAR Phonobox De-Luxe(Chrome仕上げ)

Phasemation PP-300との組み合わせでは、艶ややかで響きも豊かなQUAD QC-24Pが良いと思いましたが、カートリッジをSPU Classic GE Mark2に変えると、Phonobox De-Luxe(Crome仕上げ)がより良いと感じられました。
EA-550は情報量が多く、音質的物理特性では文句なしに優れていますが、「アナログらしい演出」は真空管には届きません。どのフォノイコライザーを選ぶかは、とても悩ましく、実際にカートリッジやプレーヤーと組み合わせて見なければ答えは出ないと思いました。

2020年2月 逸品館代表 清原 裕介

 

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