ターンテーブルシートを付属品に戻し、Phasemation
EA-200の音質テストを行います。
今まで色々なフォノイコライザーアンプをQUAD
QC24Pと比較してきましたが、なかなかそれに匹敵する製品に出会うことはありませんでした。また、良質な昇圧トランスを内蔵するQC24Pにトランジスターで増幅するMCヘッドアンプが匹敵するとも考えていませんでした。
しかし、今回のテストでは私の想像は裏切られてばかりです。EA-200とPP-300との相性が抜群なのか、出てきた音はQC24P+PP-300と比べて大きく聞き劣ることがありません。EA200の魅力は、MCヘッドアンプを使うにもかかわらず、中低音が薄くならないことですが、高域の芯の太さなどでEA200がQC24Pを凌ぐと感じる部分すらありました。高音も滑らかさと引き替えに芯がやや柔らかく感じるQC24Pに比べ、EA-200は芯のシッカリした高音が出ます。
しかし、しばらく聞いていると「アナログレコードらしいふくよかさ」が、EA-200はQC24Pに敵わないことを感じます。QC24PとTD240-2(付属カートリッジ)が持っていた牧歌的な「いかにもレコードでござい」という柔らかく豊かな雰囲気が薄くなったからです。EA200とQC24Pを聞き比べたことで、今まで抜群のバランスだと感じていたTD240-2の持ち味は、TD240-2単体の性格ではなくQUAD
QC24Pも大きな役割を担っていたことがわかりました。
PP-300とEA-200を組み合わせて聞く音は素晴らしくHiFiです。10万円そこそこのプレーヤーを使っているとは思えないほど音が細かく、S/Nが高く、かなり高価なデジタルプレーヤーの音質すら凌ぎます。しかし、Phasemationに限らずアナログプレーヤーシステムの高音質化は、デジタルとアナログの味わいの差を小さくするという危険を秘めています。無闇にアナログレコードで音質を追えば、デジタルよりも雰囲気の薄い音になってしまうのです。もともとレコードは「デジタルよりも音が悪い(スペック比較という意味で)」のですから、特性や音質を追うのはお門違いです。レコードを使った音質追求は、音質と雰囲気、解像度と音色のバランスを良く考えなければなりません。デジタルで薄く、アナログで濃いもの。それを薄めないようにすることが大切だと私は思います。
EA200とPP-300の組み合わせで実現する音はデジタルでもなくアナログでもなく悪く言えばどっちつかずでよく言えばいいとこ取りのサウンドですが、私はこの音質と雰囲気の両立を目指すPhasemationの方向性は、最新のアナログの主流だと思い肯定的です。それと比べるとTD240-2やQC24Pはレトロ(よく言うとビンテッジ)なサウンドですが、私の好みはこちらです。