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CANTATE DOMINO
Format:CD (PCM 44.1KHz/16Bit)
輸入盤 : PRCD 7762
1976年録音 |
オーディオマニアなら誰でも知っている超有名なオーディオチェックにも最適なCDソフト。
録音が非常に優秀で自然。教会で行われた演奏の雰囲気が大きく展開し「場の広さ」特に天井の高さまで再現されるか?
パイプオルガンの重低音、金管楽器の輝き、男女コーラスの厚みや定位感など聞き所満載のソフト。
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このソフトをかけた瞬間に今回テストしているシステムの実力の高さをまざまざと感じさせられることになった。空間には、一切の濁りが感じられず空気が澄み切っている。音は止めどなく広がり、スピーカーをいい加減に設置しているにもかかわらずストレスを全くと言っていいほど感じない。
ボーカルは、確かな定位感・実在感を伴うが声が一点に塊ってしまうのではなく、歌手を取り巻く残響も余すところなく再現され、広い空間が美しいハーモニーで満ちてゆく。金管楽器は、ハーモニーで満ちた空間を割くように輝きながら飛んでくる。オルガンは、少し厚みが足りないが量感は十分だ。このクラスのスピーカーで、これほど濁りとストレスを感じないスピーカーは、他にほとんど類を見ない。
まるで小型スピーカーのように、音が素直に広がってゆくのが素晴らしい。22Lとの比較では、この「透明感」と「ストレスのなさ」が格段に向上しているはずだし、新型ウーファーの採用で低域の遅れや濁り、だぶつきも大幅に改善されている。QUADらしい美しい響きを損なうことなく、余計な音が消えた澄みきった美しい音というのがこのソフトを聞いた時の22L2の感想だ。
難点を挙げるとすれば、粒子が少し粗いことだ。同じCDとアンプを使って聞いたウィーンアコースティックT3GやT3G−Bの音とくらべると、高域にほんの少しの硬さが感じられ密度が希薄だ。しかし、それは使用されているツィーターのグレードの違い、スピーカーの価格差を考えれば、十分に納得できる範囲に収まっているし、それを指摘されて始めて気がつく種類のものだ。もし、CDプレーヤーをAIRBOWでもさらに高級なSA10/Ultimateクラスにすれば、不満は確実に解消するだろう。同クラス他社製スピーカーを検討されているならば、よくお聞きになるソフトをご持参の上で22L2を聞いてご覧になるといい。一音が出た瞬間にそれらとは比較にならない美しいサウンドに驚かれるはずだから。
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Come away with me
NORAH
JONES
Format:CD (PCM 44.1KHz/16Bit)
輸入盤 : 7243 5 32088 2 0
2002年録音 |
言わずと知れた、ノラジョーンズの大ヒットアルバム。一部分でノラの声が歪むなど録音的には、けっして褒められたものではないが、演奏自体は最近のジャズでは出色の仕上がり。
セッションの組み立て音の使い方が丁寧で見事。このソフトの持つ音楽的要素の緻密さが上手く再現できるか?チェックに選ぶ。
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ソフトを変えても分離感と広がり感が優れていること、色彩感が豊富なこと、透明感が高いという印象は変わらない。
ボーカルは伸びやかで濁りがない。ギターの音は切れ味と金属的な響きが美しく弦の分離感も抜群だ。ベースは、量感も十分で質感も高いのだが厚みがやや不足する。一瞬の溜があってからドスンと出てくるのではなく、比較的すぅ〜っと出てくる。オーバーダビングで重ねられたノラ・ジョーンズの声の分離感も抜群だが、やはりもう少し厚みが欲しい。
このあたりは、スピーカーの問題と言うよりは今回の試聴に使っているCDプレーヤーとプリメインアンプとの組み合わせによるのだろう。例えば、逸品館お薦めのUnison
research UNICO CDP/Pとの組合せなら、その魅力を損なうことなく中低域の粘りや厚みが出てくるはずだ。
試しに新製品として導入したBLADELIUSのCDプレーヤー“SYN”とプリメインアンプ“TYR”の組合せで同じ曲を聞いてみることにする。このCDプレーヤーとプリメインアンプは、すでに展開を計画して購入しているので別ページに詳しい試聴記事を掲載する予定だ。
“SYN”+”TYR”にCDとアンプを変更すると高域の音がしっとりとして粒子がさらに細かくなる。ノラ・ジョーンズの声にも女性らしい柔らかさや肉厚な感じが出てくる。演奏全体が滑らかになり、音符にレガートが変えられた様に曲調が滑らかでムーディーになる。音楽として聞くなら、この音の方がよりリラックスできる質感が実現する。
もう一度、アンプをLittle
Planet2に戻し、CDプレーヤーをSA10/Ultimateに変えて同じ曲を聞いてみる。女性らしい色気という点ではやや後退したように感じる部分はあるが、中低音の厚みは大幅に向上しノラ・ジョーンズの声に彼女らしい「ハスキーさ」が感じられるようになる。音の厚みが大幅に上昇し、粒子も格段に細かくなる。ピアノの音の重量感が増して、ピアノの厚みや色彩感が表現されるようになる。まるでスピーカーを一回り大型のモデルに変えてしまったかのようだ。
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Bach Partita No.3
Hilary Hahn
SK 62793(輸入盤)
全曲 |
今では名実共に若手バイオリニストの実力派として誰しもが認めるヒラリー・ハーンの初期の一枚。17才にしてこれほど見事にバッハを弾きこなしたバイオリニストがかつて存在しただろうか?
このソフトの録音も決して褒められたものではないが、演奏の透明感や純粋さがきちんと再現されるか?システムの歪みの小ささの基準を図るために選んだ。
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再びCDプレーヤーとプリメインアンプを元の組合せに戻し、バイオリンのソロ演奏を聴く。
美しい。濁りのないバイオリンの音と透明な響きのハーモニーが素晴らしい。微妙なタッチや繊細な音の変化まで見事に描かれ、ヒラリー・ハーンの奏でるバッハが空間に満ちてゆく。
スピーカーの存在感は完全に消えて、まるでヒラリー・ハーンがその場にいるような感覚で演奏が聞こえる。
オーディオ的な歪み電気的な歪み感は完全に消え、自然なバイオリンの音と空間の拡がりだけが感じられる。このソフトを聞く限り、何も付け加えることはない。今回の組合せで聞くこのソフトは、完璧に近い。