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※ 2021年に行った小型スピーカー9モデルの聞き比べは、こちらからご覧いただけます。
2012年8月、3号館に常設している小型スピーカーにPMC Twenty 21 22を加えた8モデルの音質比較テストを行いました。
テスト環境
試聴室:逸品館3号館試聴室(リビングルーム)
30畳を超える大きな空間をの一部をパーテンションで仕切ったリビングルームを想定した試聴室です。写真正面には「ガラス窓を覆うように遮音カーテンが2重」になっています。高価なカーテンですが2重にすると、外の音がかなり小さくなります。
スピーカーを設置している向かって右側は「壁(防音壁)」で閉ざされていますが、左側はスピーカーの横にコピーラックを兼ねた簡易的な壁があるだけで天井部分は開いています。またその手前は、机やパイプラックを設置しているので音は反射しません。
スピーカーから出た音は左右の壁面で反射し、そこからはあまり遮られずに広がって行きます。
You Tubeを収録したマイクは、赤いリスニングチェア(Ekorness)に座ったときのリスナーの耳の位置に設置しました(動画に写っています)。
CDプレーヤー:AIRBOW SA15S2 Master
セッティング:Acoustic Design AD35a \75,000(ペア・税別)の上に設置
(Image 11/KAI2のみ専用スタンド Stand11s+SPF-11S \63,400/税込を使用)。
電源および接続ケーブルは、このクラスに見合う標準的(数千円〜1万円程度)なものを使いました。
試聴したディスク
フルート独奏/Patric Gallois | クラシック/101選 | ジャズライブ/Grace Mahya | J-POP/Superfly |
Telemann Fantaisies | 新世界より | Root66 | How Do I Survive? |
確認はしていませんが、ワンポイントステレオマイクあるいはそれに近いシンプルなマイク構成で収録されたと思われるフルートの独奏です。 鏡のような静かな水面の一点から波紋が広がっていくようなイメージで楽音が収録されたこのソフトを再生することで、システムの「直接音:間接音」の再現割合が把握できます。 スピーカー再生する直接音と間接音の割合が等しく、50:50の場合は、ホールの中央付近の座席で演奏を聴いているようなイメージで音が広がりますが、直接音が多い(強い)と座席位置が前方になり(スピーカーから音が前に出る)、間接音が多い(強い)と座席位置が後方に下がって(スピーカーの後方に音が広がる)聞こえます。 JazzやPops/Rockなどには直接音が強めのスピーカー、交響曲など響きのあるホールで演奏される音楽には、間接音が強めのスピーカーがマッチします。 |
ポピュラーなクラシック演奏をダイジェスト/サンプル的に収録したコンピレーションアルバムです。曲や演奏だけではなく録音も含めて、実に様々な音源がランダムに収録されたこのCDを聞いていると、演奏の違いと録音の違いがわかります。レーベルはデッカなので内容と録音状態は水準以上です。 今回は2枚目14曲目の「家路/ドヴォルザーク」を使いましたが、この演奏の録音状態は、マルチマイクの弊害が少ない「録音の良いソフト」に分類できると思われます。 大量の楽器(音)がスピーカーに入力されたとき、それを上手く分離して再現できるのか?楽器と楽器の音の描き分けは(音色や倍音の違い)は正確に再現されるか?など複雑な音源で構成される音楽を再現するために必要(重要)なスピーカーの能力が把握できます。 |
このソフトは生演奏(ライブ)を最小限のマイクでDSD収録し、ダイレクトカッティング(編集を行わずにトランクダウンする)もしくは、それに近い状況でマスタリングされたと考えられます。 楽器やボーカル、その場の音(声援や拍手など)を複雑な編集を介さず、音量調節のみでミキシングしていなければ、これほど音の純度は実現しないはずです。デジタル録音の中でアナログに最も近いと言われるDSDの音の良さ素直さ、複雑なデジタル編集を行わない(特にコンプレッションされていない)音の透明感の高さがひしひしと伝わってきます。 このソフトでは、スピーカーの楽器の音色の再現性に加え、エネルギー感やノリの良さの表現力が問われます。 You Tubeの録画では2分半当たりに聞こえるマーヤさんの歓声を聞き比べると「楽しさの再現性」を比較できると思います。 |
トラック毎に収録された音源をデジタル編集でミキシングして作られた現代的な録音の1枚。 最近のPopsは内外の録音に関わらずコンプレッサーというエフェクターを多用し、小さい音を大きく、大きい音を小さくして、再生時の平均音量を大きくします。これはCDの販売リサーチで「音が多きソフトがよく売れる」ことがわかっているからです。 確かにコンプレッサーを使って平均音量レベルを上げる(音を大きくする)と、 ダイナミックレンジのそれほど大きくないゼネラルオーディオ機器(携帯プレーヤーのような)では音が良くなります。 しかし、広大なダイナミックレンジを持つ本格的なハイファイオーディオ機器では、「音と音の隙間」が少なくなり再生時に音が混じる、うるさい音になるなどの問題が生じることがあります。 ハイファイオーディオ機器にとって理想とかけ離れた録音のソフトがどう鳴るか?そのテストのためにこのソフトを選びました。 |
音質テスト結果
まずStirling Broadcast LS-3/5aの音量をオーディオショップで試聴するときのような大音量ではなく、一般家庭(マンションなどのあまり音が大きくできない場所)で音楽を聞いている音量(もしくは少し大きめ)にセットして再生音を収録しましたが、実際にその場で聴いているよりはやや「音が遠く」に感じられたのでスピーカーの音量とマイクの音量を微調整し、実際に耳で聞いている「生の音と再生された音のイメージがフィットする音量」を探しました。こうして見付けたアンプのボリューム位置は「-30dB」でしたが、一般的なご家庭では少し音が大きすぎるかもしれません。
オーディオマニアは任意の飲料で音楽を楽しんでいます。しかし、交響曲のように直接音と反射音で構成される演奏をオーディオセットで聞く場合には、確実な適正音量が存在します。今回のテストで使った「フルートの独奏」のように直接音と間接音が明確に聞き分けられるソフトを使った場合は、音量が大きいと直接音が強くなり前方の座席位置で演奏を聴いているように感じます。逆に音量が小さいと直接音が弱くなり、後方の座席で演奏を聞いているように感じられます。楽器から出た音が適正なエコーの長さを伴って消えるのが、クラシックを聴くための適正な音量です。住宅環境などの理由で音量が大きくできないときは、リスナーが前に移動(スピーカーに近づく)することで直接音の割合が増え、音が適正に広がる位置を見つけられます。
これに対し電子音源が多用されるPopsやRock、間接音を演奏に使わないJazzなどの場合には、音量は大きければ大きいほど(限度はありますが)気持ちよく音楽が楽しめるようです。
今回のテストでは、最初に書いたように「Stirling Broadcast LS-3/5a」で最適音量をみつけ、それ以外のスピーカーはスペック表の音圧に基づいてアンプの音量を調節しました。Stirling Broadcast LS-3/5aの音圧は83dBでこの時のボリュームは-30dBですから、88dBのスピーカーを鳴らすときはそれを-35dBに調整しるという具合です。しかし、結果的には各々のスピーカーから出る音の大きさは同じなりませんでした。
収録された音量が大きい場合は、音がハッキリと聞こえるようになります。逆に小さいと、元気がなく細かい音も聞き取りにくくなります。その点は考慮に入れてスピーカーの音質比較の参考になさって下さい。
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小さいスピーカーなのにホールの広がりが十分に伝わります。 音が自然で生々しく、スピーカーの存在を感じません。 フルートから出る音、ホールで反射する音の描き分けとそのバランスが素晴らしく、座席の位置での音がどんぴしゃりに再現されます。 |
小さいスピーカーなのに低音の音階がきちんと再現されます。 低音は不足しているはずなのですが、大型スピーカーと比べなければそれと気付けないほど巧妙にチューニングされた音で交響曲を聴いていると、みごとに違和感なく演奏に引き込まれます。 |
ソフトドーム型ツィーターを採用しているのですが、金属振動板のような鋭い切れ味がシンバルやトランペットの倍音から感じられます。ピアノの打鍵感も綺麗に再現されます。 このサイズにもかかわらず、ウッドベースの唸りまで再現されるのには驚きました。 |
正直このソフトの再生は期待していませんでした。所がどっこいサイズを超えた低音の量感、LS-3/5aならではのボーカルの生々しさには舌を巻かされます。しかし、コンプレッションが強く変えられた部分ではさすがに音が混じって、うるさく感じられてしまいました。 |
ME25(詳細)
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LS-3/5aに比べるとブレス(息継ぎ)の音が強く聞こえます。中音の響きは豊かで、楽器のソノリティーの再現は見事の一言に尽きます。 直接音(楽器そのものの音)のエネルギーがやや強く、バランス的にはLS-3/5aより座席を少し前に移動させた感覚です。 |
中音が濃く楽器の響き、ホールの響きが濃密に聞こえます。 低音の量感は明らかにLS-3/5aよりも多く、また楽器そのものの位置と楽器感の位置関係がやや近くなります。 |
ウッドベースの圧力が強くベースの音が一歩前に出ますが、少しわざとらしい感じがします。 楽器それぞれの音はよいのですが、全部の音が前に出て少しうるさく感じますが、楽器のように箱を鳴らすMusikelectronic |
箱鳴きが生み出す響きと、高音の伸びやかさがコンプレッションでつぶれた音を補い、音と音の間に隙間を生み出します。 中音に厚みがあり、低音は少しだけ遅れてリッチに響きます。 |
Minima Vintage(詳細)
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堅くて引き締まった木の響きがフルートを美しく歌わせます。 楽器の高音が明るく響きが上質なのは、無垢集成材のキャビネットならではの美点です。 |
高性能なツィーターを搭載しているので中高音は非常に質が高く分解能も高いのですが、適度な響きがそれに美しく色を付けるので音が不要に神経質になりません。 |
低音は良く響いて量感もたっぷりですが、ME25よりも響きが引き締まりウッドベースの音がより上質に聞こえます。 高音はテキスタイルドームの弱点で金管楽器やシンバルの高音が若干細く楽器が薄っぺらく感じられましたが、ボーカルは艶があり女性らしい色気は絶品。さすがイタリアの歌姫。 |
ギターの音が透明で、その響きは驚くほどスィートです。 ボーカルは細かくニュアンスもデリケートに再現され、他のスピーカーよりも言葉(発音)がハッキリ聞き取れます。 音は明るく、演奏は楽しくまとまりよく再現されますが、ジャズと同じく音を前に押し出すパワー感が少し不足するように感じられました。 |
KX-3P Mark2(詳細)
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箱の響きが少なく、音源とホールの壁の位置関係が非常に正確に再現されます。また、小音量の再現性が高いので反射音が最後まで明確に聞き取れます。 フルートの音は自然ですが、中音がわずかに共鳴して膨らみフルートが木管楽器のように鳴りました。 |
響きに濁り(余計な付帯音)がつかず、ツィーターの質が高く解像度も高いので、楽器の数がとても多く感じられます。 音場の前後方向への広がりは少し浅く、中音にもわずかに膨らみを感じますが、低音は密閉箱とは思えないほど良く出ます。 国産と思えない楽器の質感の高さと、国産ならではの緻密さが両立したハイファイ的な魅力を持つ音質です。 |
密閉箱らしく低音は膨らまずに前に出て、ベースがリズミカルに弾みます。さすがに重低音は出ませんが、ジャズなら低音はこれで十分です。 キャビネットの中音の共鳴のせいでボーカルは少し太く、声がハスキーに感じられますが、表情は豊かに再現されます。 |
音の分離は良く、音色も心地よい音ですが音場があまり広がらず、窮屈に鳴っているように感じます。 全般的に音が細かすぎてハイファイ感が強く、少し分析的な感じがするのでノリで聞かせるこのようなソフトや音楽にはマッチしません。 良い音ですが、音楽(演奏者)との距離感や温度感の違いを感じました。 |
Autograph Mini(詳細)
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ホールトーンは若干少なめですが、フルートの音は一歩前に出てホールの響きは後に下がり、音場が前後に広がります。 高域がクッキリしているのでブレスは少し強く聞こえますが、嫌みな音ではなく十分許容範囲内です。 Tannoyの伝統的な良さがホーンらしい切れ味の良さと楽器の音色の再現性の高さに感じられ、価格よりも遙かに質の高い音で音楽を聞かせます。 |
低音はスペックで劣るKX3Pよりも良く出る感じで、ホールの雄大な響きがきちんと再現されるのには舌を巻かされました。 弦の音は切れ味が良くスリリングに響きま、低音は適度に膨らみ豊かです。管楽器の音がひときわ素晴らしいのは、ホーン型ツィーターを採用するスピーカーならではの魅力でしょう。 AIRBOWとの相性も良いのかも知れませんが、驚くほど素晴らしい音で交響曲が聴けました。 |
ボーカルはやや高音よりで声が細くなりました。ウッドベースの低音は箱が小さくやや窮屈で、箱が薄いのでやや軽く聞こえます。 しかし、トランペットやシンバルの高音の切れ味と質感はさすがにホーン。質の高さを感じさせます。 音量が大きすぎたのかも知れませんが、小さなスピーカーが少し無理してジャズを鳴らしているような感じがしました。 |
高音の切れ味に優れ、混ざった音が綺麗に分離して聞こえます。音が明るく、中低音にはエネルギーとパンチ力があって音楽が元気に弾みます。 声は前に出て、伴奏は後に下がり交響曲と同じように、前後方向の位置関係が立体的に心地よく描かれます。 Tannoyというイメージとは裏腹に、J-POPがびっくりするくらい良い音で鳴りました。 |
Twenty21(詳細)
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従来のPMCモニターと比べると響きが少し豊かで音も暖かく感じられますが、それでも精緻というイメージを覆すことはありません。 細部のディティールの描き方、再現性はさすがにPMC、価格を超えて緻密ですが、Twenty21では少しその精緻な響きに濁りを感じる部分がありました。 |
サイズよりも低音は良く出ますが、逆にそれがちょっと背伸びをしているようにも感じます。 精緻ですが少しクールで、演奏を聴くと言うよりは鑑賞しているという感覚がより強く感じられます。 しかし、あらゆる音が正確無比に描かれる心地よさはPMCならではの魅力です。 |
他のスピーカーと比べるとボーカルのエネルギーが少し弱く(ボーカルが少し後に下がり)楽器のエネルギーがわずかに強く(伴奏が前に出る)、ボーカルと伴奏が対等に鳴ります。 音が精緻で細かく、ライブ会場の空気が澄み切って感じられます。空間は前後左右に広がりますが、クールな音です。 |
低音は量感も豊かで広がりますが、前には出ず左右に広がる感じがあります。声はややハスキーで、パワー感よりも細やかさが勝ります。 解像度が高く、音は正確ですが分析的でパワー感に物足りなさを感じます。 静的なイメージが強いのはKX3Pと共通しますが、精度はPMCが高いように感じます。 |
Twenty22(詳細)
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Twenty21と比べると22は響き(エコー)が格段に長く、そして深く聞こえます。21よりも全般的に音にゆとりと厚みが感じられ、より生々しく演奏が再現されます。 フルート本体の音とブレスのバランスが完璧で生演奏を聞いているようです。 クールな印象は変わりませんが、21よりも一段音が明るいイメージです。 Twenty22と21には、価格以上の差があると感じられます。 PMCの音で音楽を聞きたいとお考えならお薦めは22です。 |
今回テストしたスピーカーの中で低音が最も良く出るのが22です。その響きには余裕とゆとりさえ感じされ、部屋いっぱいに音場が大きく広がります。下手なトールボーイ型スピーカー顔負けの低音です。 ppは深く静かに沈み込み、無駄な音のない澄み切った空間から細かく音が立ち上ります。 この色のないキャンバスに、それぞれの音がそれぞれの色で描かれるような感覚は、チェリビダッケが振るオケによく似ています。精緻さを極めたこの独特の感覚はPMCならでは、響きの整い方とあらゆる音のバランスは最強です。 |
ウッドベースの音は太く厚みがありますが、Twenty21と同じく前に出るよりも横に広がります。これはスピーカースタンドとのマッチング(PMCはサイズが大きく天板とべたっと接する)が悪かったためかも知れません。 ボーカルは細かく表情もデリケートですが、少し元気が足りません。トランペットやシンバルの高音も少し細く、薄い感じです。 やはり傾向はKX3P Mark2と似ているのですが、精度でPMCがそれを上回り、細やかさでKX3PがPMCを上回る印象です。 |
低音は量感・厚みとも十分で、この曲では前に出て良く弾みます。ボーカルは滑らかで発音がよくわかります。ギターの音も滑らかで不要に音のエッジが荒れません。 しかし、コンプレッションが強い部分では、高音の刺激が不足してやや物足りない印象です。 分離の良さ、ハーモニーの美しさはさすがですが、ちょっとパワー感や押し出しが弱く綺麗な音で上品に鳴っている感じです。J-POPはもうちょっと下品でも楽器良くなる方が気持ちが良いです。 |
Image11/KAI2 + Stand 11s (詳細) |
さすがに他のスピーカーとは価格が違うので高音の細やかさや質感は一段落ちてしまいますが、ストレスを感じさせない音の出方、サイズを感じさせない音場広さは小型スピーカーならではの魅力です。 音の出だし(立ち上がり)が早く、音が消える部分にも不要な響きが残らないので、音場が濁らず、楽器の音の透明も高く感じられます。スピーカーが余計な音を作らないので、演奏が非常によくわかります。 音のバランスが良く、ブレスも自然でスピーカーをフルートと勘違いしてしまうほど、違和感のない自然な音が出ました。 |
こんなに小さいのに低音が良く出ます。さらにpp(弱音)〜ff(強音)への音の変化の度合いが非常に大きく、なおかつそのスケールも正しいので音楽が大きくかつ正確に躍動(運動)するのが感じられます。 キャビネットが小さく付帯音が少ないので、楽器の音の違い(個性の違い)が非常にリアルに再現され、クラリネットとファゴットのようになサイズの違う楽器の音(倍音の違い)を容易に聞き分けられます。 中央への奥行き、ホールの広さも上手く出て、音楽の特徴を再現する能力が非常に高いと感じました。 |
低音の厚みと量感はあまり感じられませんが、ウッドベースは前に出て良く弾みます。 ボーカルは明るくパワフルで一歩前に出て、明るく楽しく元気に鳴ります。 トランペットやシンバルは高音の切れ味が心地よく、メロディーラインにきらりと輝くアクセントを付けてくれます。 あくまでもボーカルが主役で伴奏はそれを引き立てるように再現され、ノリのよい明るく楽しい音でジャズライブをリズミカルに楽しめました。 |
高音にメリハリが効くので、コンプレッションが深くかかった部分でも音がほどよく分離します。 ボーカルの抜けは抜群、伴奏と見事に分離してハッキリ聞き取れます。 低音が少し軽く、響きの質感がわずかに安っぽく感じられますが、価格を考えれば納得の音質です。 IMAGE11/KAI2の最大の魅力は音が明るく、音楽が躍動的に元気よく再現されることです。 聞いているとなんだか楽しく、心が軽くなって気分がスッキリします。 |
スピーカーの詳細
写真 | スペック | 総評 | ||||||||||||||||||||||
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Rogers LS-3/5aを正確に復刻しようという目的で生み出されたStirling Broadcast LS-3/5aは、オリジナルの持つ素晴らしい音楽性を一切犠牲にせず、デジタルソースに適合するようワイドレンジに仕上げられています。 その音質はアコースティック楽器を主体とする演奏で最大の魅力を発揮します。特に交響曲の再現性は驚くほどです。サイズを超えた低音のスケール感、精密無比に再現されるハーモニーやユニゾン。そのどれもがオーディオで音楽を聞き続けたマニアを唸らせるはずです。 オーディオで音楽を聞きたい。その望みを叶えてくれる最高の道具がLS-3/5aです。この復刻モデルは、はオリジナルを確実に凌駕します。クラシックファンには特にお薦めのスピーカーです。 LS-3/5aは、出荷前にすべてヒヤリングテストが行われます。そのため生産台数は限られますが、スピーカーを「楽器」と考えていただければ、ヒヤリングテストの重要性は理解していただけると思います。 |
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Musikelectronicは、旧東ドイツのスピーカーメーカーです。現代の多くのスピーカーメーカーがコンピューター解析による開発を行うのに対し、Musikelectronicは人間の耳を重視した開発を続けています。当初私はこのスピーカーがモニターだと言うことを納得できませんでした。PMCに比べると音響特性が劣ることが、聞くと明らかだったからです。 しかし、付き合いが長くなるにつれて「PMCはマイクの捉えた音を正確に再現する」のに対し、Musikelectronicは「音楽家の意図したイメージの音を再現する」ことが理解できました。 「耳で作るスピーカー」。その良さは一聴した瞬間にわかります。楽器の音、ボーカルの表情がなんと生き生きしていることでしょう。LS-3/5aが音楽モニターなら、ME25は演奏モニターです。Tannoyよりも正確に、Tannoyよりも少ない色づけで音楽を味わうことが出来ます。 ※すべてのME25は、出荷前にヒヤリングテストが行われます。 |
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Sonus Faberのデビュー作品でベストヒットしたMinimaを現代に復刻したのがMinima Vintageです。このモデルの最大の特徴は「バーチ(樫)の無垢材を組み合わせて作られたキャビネット」にあります。現在生産されるSonus Faberの中で無垢/合板を使用しているのは、Minima Vintageを除けば、Amati Futura以上の高級モデルだけです。 MDF材では作れない硬質で上質なキャビネットの引き締まった硬質な響きを生かして鳴るMinima Vintageは、録音-再生で失われがちな生楽器(アコースティック楽器)の響きをリスニングルームに蘇えらせます。 スピーカーを楽器のように鳴らすところはME25と同じですが、Minima Vintageの響きはより美しく、倍音が硬質に響きます。 イタリア製品らしく、音楽をノリよく躍動的に再現するのもMinima Vintageならではの魅力です。 |
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高音質で評価の高かったVicotr KX Seriesの流れを汲む純国産ハイファイスピーカーがKX3P Mark2です。クルトミュラー製の紙コーンウーファ、テキスタイルソフトドームツィーターは、オリジナルモデルを大幅にブラッシュアップされ搭載されています。 国産スピーカーは味気ない、音楽が鳴らないと音楽ファンには敬遠されることがあります(私もその一人かも知れません)。確かにKX3P Mark2もME25やMinima Vintageと比べると「静的」は感じがあります。しかし、その見事な精緻さ、細やかさは純国産品では実現しない高い「精度」に到達しています。ソフトに収録された音をありのまま加工せず、ハイクォリティーに再現したいとお考えなら、KX3P Mark2は相当高額な海外製品に勝ります。 純国産ならではの「真面目な音」を追求すると、ある次元を超えたときスピーカーが描き出す世界は変貌する。上手く鳴るソフトとそうでないソフトの差が明確ですが、そういう潔さがこのスピーカーの魅力です。 |
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小さく、軽く、なんちゃってホーンを取り付けただけの「売るためのレプリカ」このスピーカーが発売されたときそう思いました。しかし、音を聞いたときそれがとんでもない間違いだとわかります。ホーンならではの明るく明快なサウンド。68Hzというスペックからは信じられない豊かな低音がこんなに小さい箱から出てくるではありませんか。 この製品は単なるAutographの小型レプリカではありません。同軸2WayホーンにこだわるTannoyの伝統のエッセンスがギューッと濃縮されて詰まっています。 ソフトを選ばず現代的なソースも驚くほど楽しく躍動的に鳴らしてくれますが、その真価は「録音の古いソフト」で発揮されます。モノラル時代のクラシックやジャズをAutograph Miniで聞いて下さい。昔聞いたTannoyのサウンド、ジャズ喫茶で聞いたホーン型スピーカーの記憶が脳裏に鮮やかに蘇るでしょう。 |
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写真左:Twenty21 写真右:Twenty22 |
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PMCの特徴は、トランスミッションラインを使ったサイズを超える低音と、24dB/octという急峻なフィルターによる「クロスオーバー周波数の低さ」にあります。Twenty Seriesは、PMC独自の長所をそのままに、家庭用として開発されたfact Seriesのエッセンスを取り入れて作られた新しいラインナップです。 クロスオーバ付近で音の混じりが少ないPMCのサウンドは澄み切っているという印象が強いのですが、時にはその混じりけのなさから音が細か過ぎる、あるいは音が硬く冷たいと感じることがあるかも知れませんが、Twenty21はPMCの良さを失わない範囲で響きを豊かにし、家庭用としてチューンされています。 しかし、それでも精緻なイメージは変わりません。感覚派のスピーカーをME25・Minima Vintage・Autograph Miniとするならば、KX3P Mark2やTwenty Seriesは知性派に分類できます。 体で感じるか?頭で理解するか?異なる方向性を感じさせますが、その精緻な音は特別な世界観で音楽を描きます。 |
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ウーファーのサイズを大きくするとクロスオーバー付近での音の濁りが大きくなり音が曇る、あるいは中音がモコモコするというのが普通のスピーカーですが、PMCは先に述べた急峻なネットワークフィルターを採用することでクロスオーバー周波数を低くすることでこの難問を解決しました。 Twenty22の魅力は何と言っても「低音」にあります。トールボーイではないこのサイズのスピーカーから出るとは思えない厚みとボリュームのある低音は素晴らしいものです。スペックだけならばTwenty22の40HzはKX3P Mark2と同じですが、そこから下が急激に痩せる密閉型と、ゆっくりと伸びているトランスミッションラインの差が低音の量感と響きの違いになって聞こえます。 22は低音が伸びたことでTwenty21に比べ中音の厚みが増加し、高音の切れ味や透明感も増しています。価格差を考えれば、Twenty Seriesの買いは22です。限定されたスペースでワイドレンジのハイファイ音質を実現したいとお考えならTwenty22がお薦めです。 |
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AudioproのIMAGE11をカスタマイズして生まれたのがAIRBOW 確かに価格の限界から、高音の緻密さや品質感は今回テストした他のスピーカーに及ばないと感じることがあります。しかし、小型密閉キャビネットならではの反応の良い中音〜高音は、高価なスピーカーに勝るとも劣らない魅力が感じられます。 切れ味が良く伸びやかで立体的に広がる高音は、音楽のどきどき感を見事に再現します。レスポンスの良い中域はボーカルや楽器の音を驚くほどストレートに、そしてその微妙な変化を如実に再現します。 必要十分な音質で音楽を素晴らしく楽しませてくれるこのスピーカーを聞いていると、高価なオーディオの存在意義を見失うことがあります。音楽を楽しむなら、これで十分だからです。 |
2012年 8月 清原 裕介 |
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