Mozart Violin
Concertos
K.216&K.219 アルテュール・グリュミオー を聴いて
LuiteはMonitor同様、従来のSonusfaberスピーカーに比べると“癖”がない。
低音は膨らまず、中高音が響きすぎることもない。
全帯域のタイムアライメントに揺らぎがなく、音色の統一感も見事だ。
Monitorの市長でも触れたが、最新のSonusfaberスピーカーの「精度の高さ=癖のなさ」は、徹底的な測定とシミュレーションによって実現したものだろう。本来このようなスピーカーの設計は、特に日本のメーカーが得意としている。しかし、音決めをあまり機械に頼りすぎ「味わい」が薄くなってしまう。その点、これまでのSonusfaberは機械に頼らないアマチュア的なアンバランスさから生まれる“癖”が魅力が感じられた。そういう方向から評価すれば、Luiteは従来のSonusfaberが持っていた「独特な魅力」は薄れているかも知れない。
Norah
Jones Come Away With Me を聴いて
思ったよりも低音がよく出ることに驚く。
感覚を確かめるため、同じ部屋に設置しているWウーファーのGrand
Piano Domusと比べたがやはり遜色が感じられない。ウーファーを一つ減らしても聴感上あまり変わらない低音が出せるのは、アルミ・マグネシウム合金を使ったことによりユニットのF0(最低共振周波数)が下がった結果なのだろう。
新旧仕様比較表 |
Luite |
Grand Piano Domus |
●形式 |
3ウエイ3スピーカー・フロア・スタンディング型、
フロント・リアバスレフ型 |
3ウエイ4スピーカー・フロア・スタンディング型、
フロント・バスレフ型 |
●使用ドライバー・ユニット |
高域
25mm高解像度プリコート・ファブリックドームツィーター
中域
150mmサーモモールド・ポリプロピレン(織物)採用・ミッドレンジドライバー
低域
220mm軽量アルミ・マグネシウム合金コーン採用ウーファー、Wバスレフポート |
高域
25mm口径リング・ラジエーター
中域
150mmペーパー・コーテッド・コーン使用フリー・コンプレッション・ドライバー
低域
180mmペーパー・コーテッド・コーン使用フリー・コンプレッション・ドライバー×2 |
●クロスオーバー周波数 |
300Hz、3kHz |
400Hz、3.6kHz |
●周波数特性 |
40Hz〜25kHz |
30Hz〜20kHz |
●音圧レベル |
89dB SPL(2.83V/1m) |
90dB SPL(2.83V/1m) |
●インピーダンス |
8Ω |
4Ω |
●耐入力 |
40W〜250W |
30W〜200W |
●寸法・重量 |
236W×1040H×415Dmm、31.4kg |
205W×1060H×310Dmm、26kg |
ギターの高音は澄み切って美しく、芯が強く明瞭度も高い。
ボーカルには、Sonusfaberと聞いて期待するほどの色艶はまだ感じられないが、今聞いている個体が全くの“新品“であること、を考慮すれば“鳴らし込み”と“アンプのチョイス”でさらに魅力的な音を引き出すことができるはずだ。
ピアノの音も濁りがなく響きが美しい。高音の透明感と切れ味の鮮やかさは、Grand
Piano Domusを明らかに凌駕する。
Minima
Vintage (この商品のご注文はこちら)
Luiteの音質をより正確に評価するため、Minima
Vintageと比較した。
Minima
Vintageはサイズが小さく低音はLuiteほど出ない。しかし、中高音のしなやかさ艶やかさは、初期の製品を正確に復刻して生み出されたMinima
Vintageが優れている。
中高音の透明感や繊細さ、空気感の表現はMinima
VintageがLuiteを圧倒する。
確かにMinima
Vintageは低音も出ないし、中音〜低音がやや膨らむ癖がありバランスや完成度では、Luiteに叶わないかもしれない。しかし、Minima
Vintageで聞くボーカルはLuiteよりも明らかに魅力的で、女性の色香が強く感じられる。端的に表現するなら“惚れてしまいそう”な音で鳴く。歌い手の口元を拡大したように聞かせてくれるMinima
Vintageには“それでしか感じられない魅力”に溢れている。
DJ
Kaori's J-MIX2を聴く
スピーカーをきちんと設置していないにもかかわらず、音が綺麗に広がる。
前後方向への奥行きが深く、ボーカルはフォーカスが定まり前に、伴奏は後ろに定位する。
低音の量感や力感は十分で、Grand
Pianoよりも引き締まっている。
高音のクォリティーも、Grand
Pianoよりも高い。
ぽんと置いただけでこれくらいの音が出れば、まず文句は出ないだろう。
しかし、しばらく聞き続けていると、やはりエージングが出来ていないためか?心地よく聴けても“Luteでなければならない!”という決め手には今ひとつ欠けることに気づく。
優等生的な仕上がりのLuteのポテンシャルは、Grand
Piano Domusよりも明らかに高いが、そこからプラスアルファの魅力を引き出せるかどうか?が、このスピーカーに“惚れ込める”かどうかのポイントになりそうだ。