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Stirling Broadcast AB-2 メーカー希望小売価格 ¥300,000(ペア・税別 / チェリー・ウォールナット仕上げ)
Stirling Broadcast AB-2 メーカー希望小売価格 ¥340,000(ペア・税別 / ローズウッド・エボニー・ゼブラノ仕上げ)
逸品館がお薦めの"Stirling Broadcast LS-3/5a V2"に組み合わせる「スタンド型サブウーファー」がStirling Broadcast社から発売されました。以前にもLS-3/5a専用サブウーファーはRogersからも発売されていましたが、低音が不要に膨らんでしまいあまり良い印象がなく、今回も少し不安を感じながらAB-2のテストに挑みました。
接続方法
接続はAB2の下にあるスピーカー入力端子にスピーカーケーブルを繋ぎ、上にある端子とLS-3/5aを繋ぎます。
バイ・ワイヤリングの場合は、アンプからAB2に入力しAB2を経由してLS-3/5aの低域入力を繋ぎ、LS-3/5aの高域にはアンプを直接繋ぎます。
動画での説明はこちら ※動画でのサブウーファーの接続説明で、プラスとマイナスを高域と低域と言い間違えております。お詫びして訂正させて頂きます。
Stirling Broadcast AB-2 (この製品のご注文はこちらからどうぞ) メーカー希望小売価格 ¥300,000(ペア・税別 / チェリー・ウォールナット仕上げ) メーカー希望小売価格 ¥340,000(ペア・税別 / ローズウッド・エボニー・ゼブラノ仕上げ) |
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試聴テスト
AIRBOW TL3 Special
Come away with me Norah Jones
先ず最初にJAZZボーカルでAB2の音質テストを行いました。AB2は片側にダクト(バスレフポートのようなもの)があり、このダクトを「内側に向ける/外側に向ける」二通りのセッティングがあります。Stirling Broadcast社はダクトを内向ける方法を推奨していますが、ダクトの方向を変えることでどれくらい音が変わるかを含めて音質テストを行いました。
Stirling Broadcast LS-3/5aは再生出来る最低周波数が78Hzと高いにも関わらず、十分な低音の量感を感じさせます。ボーカルにも十分な厚みと量感がありますし、ウッドベースも十分な量感で鳴らし、スペックを超える低音が実現しています。
( AB2をダクト内向きで追加して再生したノラ・ジョーンズを動画で聞く )
音が出てすぐにわかるのは、ノラ・ジョーンズの声の密度感が向上してハッキリすることです。ウッドベースもしっかりとします。中高音のメリハリと明瞭感が向上し、高域もスッキリと伸びています。低域はそれほど伸びた感じはしないのですが、ウッドベースの低い音がより自然に出ているように感じられました。ダクトを内向きにした場合、音は前後方向に深く広がります。左右スピーカー中央部分の音が濃くなる感じです。
( AB2をダクト外向きで追加して再生したノラ・ジョーンズを動画で聞く )
ダクトを外側向けてAB-2を設置すると、音がスピーカーの左右に広がるようになります。内向きでは小さなライブハウスの演奏に感じましたが、外向きではボーカルと伴奏、楽器間の距離が拡大し会場が広くなる感じです。相対的に中央付近の音の密度は低下しました。リスニングルームのサイズが小さくスピーカーとの距離が近いときには内向き、その逆の場合には外向きがよいかも知れません。ダクトの方向はどちらが正解というのではなく、音の広がり方が変わることをセッティングに生かせばよい思います。
Picture at an exhibition / Sergiu Celibidache , The Munich philharmonic orchestra
交響曲をサブウーファーなしで鳴らします。こんなに小さなスピーカーなのに、交響曲が十分楽しめる事に驚かされます。
( AB2をダクト外向きで追加して再生した展覧会の絵を動画で聞く )
サブ・ウーファー AB-2を追加すると冒頭の金管楽器の響きが変わり、音が消えるまでの余韻が長くなっていることがおわかり頂けると思います。中高域の密度と明瞭度が増加し、S/Nが上がったように細かい部分まで聞こえるようになります。良いサブウーファーは、低域だけではなく中高域を改善しますがAB-2は中高域を大きく改善することがわかります。曲が進み低音が入る部分では、音の広がり感と音圧(エネルギー感や躍動感)が改善されていることが聞き取れます。
総合評価
AB2の価格はLS-3/5aの本体価格とほとんど同じで組み合わせると40万円近くになり、上級モデルのLS-3/6がスタンドなし価格とほぼ同じになります。再生周波数の下限もAB2+LS-3/5aの52Hzに対してLS-3/6が45Hzとほぼ互角です。しかし、音質は少なからず違っています。
AB2+LS-3/5aのセットは筐体がスリムでさらにウーファーと本体の筐体が分かれています。それに対してLS-3/6はより大型の筐体に3つのユニットが納められています。このそれぞれの筐体(キャビネットの違い)が、それぞれの響きに影響を与えています。AB2+LS-3/5aは筐体の響き少なく、音場が引き締まっています。モニター的という言葉が正しいのかどうかわかりませんが、余計な響きや付帯音が少なく定位のピントがシャープです。LS-3/6は筐体の響きが大きく、またサイズが大きいため響きの周波数成分が低いように感じられます。音場は少し濁りますが中低音にしっかりとした厚みと量感があり、音楽がよりゆったりと流れてゆく間隔があります。それぞれの違いは、小型スピーカー+サブウーファーで実現する音楽再現と、大型スピーカーで実現する音楽再現そのものです。
シャープな定位で付帯音が少ない再現性をお求めならば、AB2+LS-3/5a。よりリッチでウォームな再現性とお求めならば、LS-3/6がお薦めです。
2012年2月 逸品館 代表取締役 清原 裕介 |
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