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Technical
Brain セパレートアンプ ZERO/EX 音質テスト
(プリメインアンプ
ZERO INT/EXの音質テストはこちら )
(その他の音質テストはこちら )
2015年3月31日までの価格
Technical Brain TBC-ZERO/EX(プリアンプ) メーカー希望小売価格
2,980,000円(税別)(問合せ )
TBP-ZERO/EX(モノラル・パワーアンプ、ペア) メーカー希望小売価格 4,685,000円(税込)(問合せ )
2015年4月1日からの価格
Technical Brain TBC-ZERO/EX(プリアンプ) メーカー希望小売価格
4,200,000円(税別)(問合せ )
TBP-ZERO/EX(モノラル・パワーアンプ、ペア) メーカー希望小売価格 5,850,000円(税込)(問合せ )
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製品の概要
「エミッター抵抗レス」。この言葉を聞いて「ピン!」と来た方は、相当のアンプ通だと思います。ほとんどの方は、一体何のことかわからないはずです。
エミッター抵抗とはプッシュプル回路トランジスターアンプに使われている、出力素子(トランジスター)の焼損(破壊)を防止するために出力と直列に間に入れられている、小さな(0.2-0.5Ω)抵抗のことです。エミッター抵抗が使われる事で、トランジスターアンプはスピーカーとダイレクトに接続されず(0Ωで接続されない)、無帰還を謳っていてもエミッター抵抗部で必ず「帰還」がかかってしまいます。理想的なトランジスターアンプ設計の目標として「エミッター抵抗を外す=エミッタ抵抗レス」は超えなければならない一つの夢でもありました。
けれど「熱によって特性が変化するトランジスター」という素子を「その誤差の安全を保障するためのエミッタ抵抗」無しで用いることは、トランジスターの選別とマッチングを非常に高いレベルで行わねばならないなどの理由から、理想とされながらも実現することはありませんでした。
この命題に対し、Technical-Brain社は「2002年に特許を取得した回路」方式によって、エミッター抵抗なし(エミッター抵抗レス)で安定して動作する「Zero(ゼロ)」と名付けたアンプを発売しました。さらに音質劣化の原因となる「リレー」の排除、電源トランスから電源ケーブル直出しなど、徹底して接点による音質ロスの低減が実施され、ZERO/EXへと進化しました。
今回試聴するのは、ゼロのフラッグシップモデル「TBP-ZERO/EX(モノラルパワーアンプ」と完全バランスプリアンプ「TBC-ZERO/EX」のセットです。これらのアンプは非常に高価で、プリアンプ+モノラルアンプ×2のセット価格は、1000万円に届くほどです。
※今回の試聴機は、パワーアンプ・プリアンプ共にシックな「ピアノブラック仕上げ」ですが、これは50万円/1台の「特注色」で、標準は「アルミ色(銀色)」です。
試聴機材
TAD R1 Mark2
TAD
D600
AIRBOW TL3N
Analogue
AIRBOW DA3N
Analogue
試聴は、逸品館3号館で行いました。スピーカーは、TAD
R1 Mark2、CDプレーヤーは、TAD D600とAIRBOW TL3N/DA3N
Analogueの二つを使いました。
2015年3月31日までの価格・Technical Brain TBC-ZERO/EX 2,980,000円(税別)、TBP-ZERO/EX 4,680,000円(税別)
2015年4月1日からの価格・Technical Brain TBC-ZERO/EX 4,200,000円(税別)、TBP-ZERO/EX 5,850,000円(税別)
※上の写真(試聴機)は、ピアノブラック仕上げです。
標準色は左のシルバーで、ピアノブラック仕上げは50万円/1台のオーダー仕上げとなります。
形式
完全DC無帰還プリアンプ
入力数
XLR×4
ゲイン
約12dB
入力インピーダンス
7.2-17.2KΩ(バランス)
最大出力電圧
10Vrms
周波数特性
DC-2MHz(-3dB)
消費電力
45W(カタログ値)
サイズ(W/D/H)/重量
346×425×200(mm)/約25kg
付属品
なし(電源ケーブル直出し)
形式
AB級・フルバランスBTL
入力数
XLR×1
入力感度
1.76V
rms/定格出力時
入力インピーダンス
3.6KΩ
最大出力(Ω)
350W×2(8Ω)
700W×2(4Ω)
1400W×2(2Ω)
周波数特性
DC-800KHz(-0.2dB)/1W時
サイズ(W/D/H)/重量
346×600×250(mm)/約75kg
付属品
なし(電源ケーブル直出し)
動画による音質評価 クラシック編
VIDEO
最初にTAD
D600を組み合わせて「Time
Warp/ASCENT」を聞きました。音が消えるところまで完全に聞き取れる、非常に高いS/N感と音量変化のリニアリティーの高さ(精密で一定のスケールで音量が変化する)、過渡特性の正確さ(音量や音の高低で音の立ち上がり立ち上がりの速さが変わらない)に驚かされました。これ土精密な音を来たことはこれまでありません。次に、AIRBOW
TL3N DA3N
Analogueのセットで五嶋みどりさんのライブアルバム「Live
at Carnegie
Hall」から「ショパン/ノクターン」を聞きました。この曲も驚くほど緻密で正確に再現され、特に最後のピアノの音が消えて拍手が会場に広がって行くところの「音の広がりの正確さ=驚くほどの自然さ」には、本当に驚かされました。エミッター抵抗という「僅かな不純物」を取り除いたことが、これほど音の純度を「深める(あえて高めるとは書きません)」とは想像していませんでした。
動画による音質評価 JAZZ編
VIDEO
次に標準的な録音のソフトとしてノラ・ジョーンズのデビューアルバム「Come
Away with
Me」のSACD盤をD600で聞きました。ZERO/EXは、磨き込まれた名水のように「素材そのもの」をそのまま音に出してきます。コンプレッサー(ダイナミックレンジ圧縮装置)の使用によって、音がどれほど「劣化」するかこのソフトを聞けばすぐにわかります。ライブ録音の「五嶋みどり」と比べて、音がすかすかです。こんなソフトでは「本物の装置の良さ」は出せません。
続けて、AIRBOW
TL3N DA3N Analogueのセットで「Last Live at DUG/Grace Mahya」さんを聞きました。このソフトはSACDハイブリッドですが、TL3/DA3NではSACDがかからないのでCDレイヤーの再生になります。ソフトのフォーマットがSACDからCDに変わったにもかかわらず、音質がグンと良くなっています。これはD600が悪いのではなく、ZERO/EZはソフトに録音されていない音が出さないからです。ギターの音の響きの透明な美しさ、グレース・マーヤさんのボーカルの表情の細かさから、ZERO/EXのアンプとしての良さが伝わります。同時に良いソフトを最上級の音で聴くために、このアンプが作られていることが伺えます。
動画による音質評価 POP編
VIDEO
最後はD600で一般的なJ-POPから「Super Fly/誕生」を聞きました。この曲もコンプレッサーが多用されていますが、割とうまいコンプレッサーの使い方がされているのでノラ・ジョーンズほど音の数が減っていません。けれど、音の立ち上がりに髭が付かず(強調感がなく、音の立ち上がりにオーバーシュートがない)あまりにスムースなZERO/EXでは、音の芯がやや弱くパンチ力がなくなって聞こえます。この点をZERO/EXの製作者・黒沢さんに確認したところ「立ち上がりのオーバーシュートがなくなっているのではなく、エミッター抵抗による遅れがなく音が止まる部分で正確に音が止まっているため、そのように聞こえるのだ」という返答を頂戴しました。表現が違っていますが、オーバーシュートとは行き過ぎて戻ることなので、正確に止まっているという意味と同じです。けれど、そういう「強調感」を前提にして音が作られているソフトは、ZERO/EXではあまり上手く鳴りません。
試聴の締めくくりにプロプリウスから発売されている「カンターテドミノ」をAIRBOW
TL3N DA3N
Analogueのセットで聞いてみました。人間一人一人の声の質の違い、表情に違いまでも聞き取れるほど、情報が豊富でした。また録音された協会の大きさがその音にきちんと反映されていました。PCの出力を通していても、その音の圧倒的な自然さ(まるで協会そのものでこの音声を記録しているような)は伝わると思います。
音質テスト結果
Technical
Brain社のアンプを聞くまで、そのイメージはそれほど良いものではありませんした。聞こえてくる噂は「修理は素晴らしいけど修理代が高い」と言うものだったからです。私もアンプを作ったり修理をしますが、熟練の専門職が修理を行った場合「最低でも5000-10000円/1時間」の工賃が必要です。それはただ単純に「音が出る」のではなく「可能な限り元の音に戻す」、あるいは「同じ箇所が2度壊れないようにする(回路変更をする)」などの高い技術が要求されるからです。
けれど、それを修理代として請求するとその代金は簡単に10万円を超え、場合によっては100万円を超えるようなことになりかねません。「無形」の者に対して代金を支払おうとしない「日本人(アジア人)」にそれを理解して貰うのはなかなか難しく、時には誤解を生じます。私もTechnical
Brainをそのような目で見ていました。けれど、それは正当な代価であったことは、ZERO/EXの作りを見ればわかります。
今回ZERO/EXというアンプを聞いて「絶対的なは高い」と思います。しかし、それは「ぼったくり」で高い一部の海外製品とは違って「正当な価格」です。何よりそのコストは、その音に現れていますし、その内容を見ても納得できます。これだけの音を出すための研究期間、開発費、少量を熟練工がハンドメイドする製造コストを考えれば、ZERO/EXを高いとは言えません。
「価格」はともかくとして、ZERO/EXは一人のアンプ職人の情熱が昇華して生まれた、世界でも有数の素晴らしいアンプであることには間違いがありません。その音は実直で素直。「聞かせ方」に味を求める海外製品とは違い、素材そのものの良さをとことんまで引き出す。それはあたかも洋食と和食の違いのようです。ZERO/EXは、安定して素晴らしい部品の供給を受けられる「日本」だからこそ生まれたアンプ。世界最高の素材を吟味して、練り上げられたアンプです。
ZERO/EXに素晴らしい録音のソフトを組み合わせて聞いた時、目の前には「コンサート(ライブ)」が出現します。何の抵抗もなく、一つの違和感もなく、ただただ素晴らしい演奏に身をゆだねる自分がそこにいます。
その音を聞いた後では、好き嫌いはともかくすべてのアンプに「個性的な音」が存在することに気がつきます。コンデンサー型スピーカーを聞いた後に、ダイナミック型スピーカーを聞くと「箱の音」が聞こえるように。これほど純粋な音のアンプは、世界で他にないと思います。
2015年 2月 逸品館代表 清原裕介