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DENON AVR-X4000 音質 評価 試聴 レビュー
YAMAHA RX-A3030 ・ Pioneer SC-LX57音質比較テスト
YAMAHA から発売されたRX-A3030、Pioneerから発売されたSC-LX57、注目の新型AVアンプをAIRBOW SSS-2013と組み合わせ、HDMIとネットワーク(DLNA)の音質を比較しました。さらにそれぞれのDSP(疑似サラウンド機能)の音質やDLNA接続時のPioneer SC-LX57のハイレゾとDSDの音質比較を実施しました。 ※SSS-2013のHDMIは搭載する音楽再生ソフト「VLC Media Player」を使うことで、最大192kHzまでのハイレゾファイルを出力できます。また、DLNA経由であれば192kHzまでのハイレゾファイルに加え、dff形式で記録されたDSDファイルの出力(市販品では、バッファローよりも早く世界初、Pioneer 製最新型AVアンプ)に対応しています。 SSS-2013と各AVアンプの接続には、audioquest HDMI Vodka、RJ45Jを使っています。
試聴後感想 少し前にDENON AVR-X4000をほぼ同じ条件でテストしました。この製品は10万円を切る実売価格で驚くべき高音質を実現しましたが、それと比べるとRX-A3030の「素の音」は、価格ほどの向上感を感じさせないというのが正直な感想です。 しかし、搭載するDSPを使うことでRX-A3030の印象は一変します。 YAMAHAが世界で一番早くDSPをオーディオに持ち込んだときには、DSP(Digital Signal Processor)の性能が低すぎて、DSPを使うことで音の粒子が荒れ、確実に音が悪くなっていました。しかし、それから約20年を経てCPUとメモリーの性能が飛躍的に向上しました。このPCの進歩が、YAMAHAのDSP技術の「本当の良さ」を発揮させます。DSPの演算精度が32bitに達したことで、DSP演算前後の音質劣化がほとんど感じられなくなったのです。 過去に世界各国のホールの音響を実際に測定しプログラムに組み込んでいたYAMAHAらしく、RX-A3003が搭載するDSPのプログラムは非常に秀逸で一切の違和感なく「音場の広がりと立体感」を見事に向上させます。JAZZにDSPを使えば、ボーカルが中央に揺るぎなく定位しその背後に伴奏が位置する、理想的なライブ音場が実現します。交響曲に使っても、音の広がり感(立体感)が改善され再生される音は俄然「生々しく」臨場感を増します。 臨場感の向上と言う言葉は、オーディオの音質向上でよく使われます。私も使いますが、DSPを使った場合「サラウンドスピーカーに出力する音にディレイ(間接音に時間的遅延を付加できる)」が入るDSPであれば、例え四畳半という狭い空間でも「実物サイズのホール感(遠くから反射してきたような間接音)」を生み出すことが可能です。間接音に時間的遅延を加えて「音の広がりを強制的に広げられる」それが、「壁からの反射音を受動的に使って音を広げざるを得ない2ch再生(DSPを使わない再生)」との圧倒的な違いです。DSPの助けなしでは、実現しうる音場は部屋のサイズを大きく超えられません。遠くの壁から反射してくるように感じさせる遅延を実現できる「能動的な反射音」を再生できるサラウンドだからこそ、部屋のサイズを遙かに超える巨大な音場を実現できるのです。 優れたDSPを積極的に使うことで、RX-A3030は価格を大きく超える「音楽再生能力」を発揮します。逆に言えば、DSPを使わないのであれば、RX-A3030を選ぶ必要はありません。 また今回のテストは5.0ch環境で行いましたが、十分なサラウンド効果が得られました。スピーカーセッティングの難しさとコストを考えれば、スピーカーは5.1chもしくは6.1chで十分発揮できると思います。RX-A3030のDSPを使いこなして、ご家庭で「生々しい音楽」をお楽しみ下さい。
試聴後感想 SC-LX57はPioneerの下位モデルですが、その価格はYAMAHAの最上級モデルRX-A3030の3/4近くに達します。型式番号ではなく価格で考えるなら、両者は立派なライバルです。音質はアナログアンプを搭載するRX-A3030が情緒的ですが、SC-LX57のさっぱりとした癖のないさわやかな音質も魅力があります。価格差を考慮するならば、両者の音質差は妥当なラインでしょう。 一方搭載する「DPS(疑似サラウンド)」の音質は、大差があります。SC-LX57のDSPはハッキリ言って使い物にならないギミックの域を脱していません。効果があざとく、耳障りです。これに比べRX-A3030が搭載するDSPは、耳の肥えた私を唸らせるほど完成度が高く、使わない時(2ch時)にくらべて、圧倒的に音楽の臨場感が高まります。スピーカーをサラウンドに設置しているのであれば、DSPを切る必要を感じないほどオリジナルの音質を向上させます。ただし、サラウンドに使うスピーカーは「音色が揃ったもの」を選ばなければ、どれほど優れたDSPでもその良さを発揮できませんからご注意下さい。最も良い方法は同じ小型スピーカーを5-6本揃えて、良質なサブウーファーを追加することです。 SC-LX57の長所は「ネットワークサウンド(DLNA)」の良さです。最新モデルに相応しく、対応するサーバーと組み合わせれば、192kHzまでの各種信号とDSD信号がネイティブで再生できます。今回のテストではDSDの優位性は確認できなかったものの、とりあえず「良いと言われる音源が再生できる機能が搭載される」のは満足度が高いと思います。 前回テストしたDENON AVR-X4000はYAMAHA RX-A3030やPioneer SC-LX57より遙かに安い低価格にもかかわらず、遜色を感じさせない高音質を実現しています。BDレコーダーやプレーヤー、あるいはTVなどを繋いで良い音でサラウンドを楽しみたいとお考えのお客様に薦めしたい「最もお買い得なモデル」だと思います。 今回テストしたRX-A3030はHDMIとDLNA接続による有意義な音の違いは確認できませんでしたが、圧倒的なDSPの良さを持っていました。SC-LX57はDLNA接続の音質が他社よりも圧倒的に優れています。ただし、それを引き出すためにはAIRBOW SSS-2013のような「高音質サーバー」との組み合わせが必須だと思います。 各社から発売される新型AVアンプは、メーカーによる「思想の違い」が明確です。これだけハッキリした「作り込みの違い」があれば、選択に悩む必要はなさそうです。 2013年8月 逸品館代表 清原 裕介 |
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