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マハ YAMAHA RX-A3040 AVアンプ 音質 比較 レビュー 価格 試聴 販売AVアンプ YAMAHA RX-A3040 (生産完了) 音質テスト
少し前に行った試聴テストでその高音質に驚かされた"RX-A1040"の上級モデル、YAMAHA一体型AVアンプ・フラッグシップモデルRXA3040が発売されました。発売前に「新品」が試聴機として届けられたので、とりあえず1号館で数日エージングを行ってから3号館で試聴を行いました。 2ch(Stereo)のオーディオ機器の試聴なら繋げば音が出ますが、サラウンドアンプは「設定」が必要です。普通は「設定」を行う前に説明書を読みますが、私はあえて説明書を読まずにアンプを使い始めます。それは予習をせずにアンプが使えるかどうか(操作の簡便性)を確認するためです。 3世代前までのYAMAHA AVアンプは、かなり使いづらく設定時にいらいらしたことを覚えています。それがどうでしょう!A1040のレポートにも書きましたが、2014年モデルのYAMAHA AVアンプは驚くほどGUI(画面に表示されるアイコン)が進歩し、子供でも使えるのではないだろうか?と思えるくらいの素晴らしい出来映えです。反応の早さ、表示されるアイコンの適切さ(簡単で見やすい)は使い始めてすぐに感じられます。また、表示が日本語になっているのも便利です。AVアンプの操作に必要な「英語表示」を理解できない方はいらっしゃらないと思いますが、日本語だと操作がより「直感的」に分かるのでよけいなストレスがかかりません。デザイン的には英語表示の方がスマートですが、それをあえて日本語にしたYAMAHAの努力は高く評価されるべきだと思います。 また、このモデルチェンジに合わせてYAMAHAが刷新したスマホ用のコントロール・アプリも大変使いやすく、日本語表示にも対応しています・アンプを買わなくてもアプリをダウンロードして「DEMOモード」が試せますから、各社のアプリを比較なさってはいかがでしょうか?YAMAHAの良さが際立つと思います。 3号館の環境(5.1ch)合わせてA3040の設定を「手動」で行いました。以前のテストでは「サブウーファー」を使っていたのですが、最近はアンプの低域再生能力をより明確に判断するため、「サブウーファーはなし」で5.0chに設定しています。スピーカーの距離はすべて[1.9m]とし、フロントとリアスピーカーは「大」、小型スピーカーを使うセンターは「小/100Hz」にセット、センターのみ音量を[+1.5dB]アップします。このパラメーターは、製品比較時の環境を統一するため各社同じパラメーターで試聴を行います。 AVアンプのテストに手動設定を使うのは、数世代前まで自動設定より手動設定の方が音が良かったためです。しかし、最近はアンプに搭載される「自動設定」が進歩しましたし、また自動設定の善し悪しも判断するため、AVアンプの試聴テストは「自動設定」のよいかも知れません。とりあえず、今回は「手動設定」で試聴しました。それでは、A1040と同じ条件でA3040がどのような音を鳴らすかを聞いてみましょう。 試聴に使ったスピーカーシステム
試聴に使ったプレーヤーとデジタルケーブル iPod Touch(第4世代)+ audioquest USB-DIAMOND AIRBOW UD7007 Special + audioquest HDMI-Vodka
iPod touch USB接続 音質テスト(音源はCDから取り込んだWAVファイル) A Child is Born / Junko Mine ”My One and Only Love” 「ステレオ」 デジタル回路を32bitにアップグレードし、DSPやDACのICを余裕を持たせて複数使った効果でしょう。RX-A3040はAVアンプとは思えないほど音が滑らかできめ細かく、iPodを繋いで鳴らしていても、驚くほど細やかな雰囲気まで再現されます。また、聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの音の再現性に優れ、その場の雰囲気や空気感のようなものまで伝わります。 ボーカルは自然、サ行もキツくならず、滑らかで艶があります。ピアノの音には厚みがあり、いかにもピアノらしい上質でゴージャスな音が出ます。小さな音が大きくなる部分の変化もスムースで、音に不要な角や髭が付かないのはA1040と同じ美点です。じっと聞いていると、A1040を大きく超えるディティールの細やかな再現で音楽の世界に引き込まれるような、質感の高い大人の音でMy One and Only Loveが鳴りました。 「DSP(Dolby
PL2/Music)」 ボーカルはリスナー前方ステージの中央にしっかりと定位します。重厚感溢れるグランドピアノらしい響きは部屋中に広がります。それぞれの音の色彩感も増して、雰囲気がさらに濃くなりました。ただ、A1040と比べてA3040は「Stereo」の音質が大きく向上しているためか、DSPのあるなしによる変化は、A1040ほど大きくは感じられませんでした。 Ballad Collection Mellow / DOUBLE ”Stranger”
「ステレオ」 低音はシッカリと押し出して、ゆったりと収束します。A3040は低音の収束が早く、やや音が乾いて感じられたA1040とは違い、低音にタメが出ます。ボーカルは中央に綺麗に定位し、その声はウェットで艶があり唇の濡れた感じが伝わります。声の調子はA1040よりもさらに力強く、真っ直ぐリスナーに向かってきる雰囲気です。A1040で唯一不満を感じた「艶」がA3040では出てきました。 ピュアオーディオ機器と比べても何ら遜色のない良い音、自然なバランスでストレンジャーが鳴りました。 「DSP(ムービー:サイファイ)」 しかし、A1040ではよい方向に作用したYAMAHA DSPの高域明瞭度が、デジタル領域とパワーアンプの音質が強化されたA3040ではよくない方向に作用します。A1040でストレンジャーに合っていたDSPプログラム「ボトムライン」をA3040で聞くと、エフェクト音がクッキリしすぎるためかリアスピーカーから出てくる音が「やけに耳に付く」のです。演算後の音のクォリティーが高すぎることが逆に災いしているようですが、それでもYAMAHA DSPの「細かさ(高精度)」を体験すると、DolbyやNEO:6では我慢できなくなるのも事実です。 そこでストレンジャーで色々なDSPプログラムを試してみると、「ボーカルのセンター定位」と「後方への伴奏の広がり感」が両立している「ムービー:サイファイ」が適していました。音楽用のプログラムではない「ムービー:サイファイ」ですが、使うとStereoモードで横に広がっていた音が前後方向にも広がり、ステージの奥行きがグッと増します。ボーカルは前方中央ジャストに定位し、伴奏はゆっくりと後へ広がります。やや広がりに乏しかった演奏が、立体的に広がります。まるで絵画が彫刻になったような、見事な3Dサウンドでストレンジャーが鳴りました。 「ステレオ」 A1040では「1弦2弦」が魅力的に聞こえたヒラリー・ハーンが奏でるバイオリンは、得意とする音の帯域が一オクターブほど下がったイメージで、A3040では「2弦3弦」が魅力的に鳴りました。 A1040はフレッシュで快活にこの曲を鳴らし、A3040はそれよりもゆったりとふくよかにこの曲を鳴らします。音質は明らかにA3040が優れていますが、音楽を魅力的に鳴らすということでは、A1040もA3040に引けを取りません。普通のご家庭なら、A1040で十分だと思います。しかも、A3040よりも大幅に安いのです! 「DSP」 さらなる使いこなしが要求されるという意味で、A1040はエントリーモデル、A3040はハイエンドモデルと明確な違いが感じられます。A3040の真価を発揮させるためにはハイトスピーカーが必須だと感じますが、商品の個性が明確なのは良いことだと思います。 BDプレーヤー HDMI接続 音質テスト(音源はCD) iPod Touchとの組み合わせで一通りのジャンルを聞いた後、AIRBOW UD7007 Specialにそれぞれのディスクをセットし、iPod+USBとUD7007 Special+HDMIの音質を比較しました。ヒラリー・ハーンのバッハコンチェルトは、ハイブリッドディスクなのでSACDレイヤーを聴いてみました。 A Child is Born / Junko Mine ”My One and Only Love” 「ステレオ」 A1040で比較したときは、iPodよりUD7007 Specialの音が良く聞こえました。A3040でも同様にプレーヤーをUD7007 Specialに変えると音がさらにきめ細かくなり、かなり上質なピュアオーディオ機器でこのソフトを聞くときと同じような雰囲気が醸し出されました。 ピアノの響きは一段と美しく深く、ボーカルもその魅力を増します。ただ、DSPエフェクト同様にiPodとUD7007 Specialの差が大きく感じられないのは、A3040のデジタル回路がA1040よりもすぐれているので、「劣悪なデーターからも良い音が出せる」からだと思います。 また、再生周波数帯域の上限と下限が伸びきらないように感じたA1040と比べ、A3040の音はピュアオーディオ機器とほとんど変わらず高域はスッキリと伸び、ピアノも重厚に鳴ります。ボーカルに艶もあり、唇の濡れたイメージが伝わります。 入力機器を変えたことで、A3040の魅力はさらに増し、価格を超える贅沢なサウンドでMy One and Only Loveが鳴りました。 Ballad Collection Mellow / DOUBLE ”Stranger” 「CD:ステレオ」 iPodでも不満がなかったイントロのベルの音に鮮やかな色彩が出ます。空間はさらに透明感を増し、音の密度も高まります。細部は驚くほど解像度が向上し、今まで聞こえなかった細かい音や、ハーモニーの重なりがより複雑に聞き取れるようになりました。 ただ、My One and Only Loveで感じたように、A3040では入力ソースの違いやDSPのあるなしでそれほど音が変わりません。接続機器やDSPプログラムでカメレオンのように音が変わったA1040に比べると変化が少なく安定しているA3040は、若干「面白み」に欠ける気がします。もちろん、すべての入力で音質が大きく高められているのでそれは高級モデルとして相応しいことなのですが、コロコロと表情を変えたA1040の新鮮さも、また魅力的でした。特にこのソフトではA1040のさっぱりしたフレッシュな音がより魅力的に感じられました。 「DVD:ステレオ」 ソフトをDVDに変えるとCDでは若干曇って感じられた高域が伸びやかになり、スッキリと見通しが良くなりました。けれどA3040はA1040に比べ、なぜか音が重く感じられます。肩の上に重しを載せられているように、なんだか重い感じです。 今日の天気は秋晴れで、空気もカラリと乾いているので、湿度のせいではなさそうです。なんだか、ちょっと気分が重い音です。音は細かく、性能は良いのですが・・・、ワクワクする感じがちょっと足りない感じです。 「SACD:ステレオ」 一つずつの音を分析的に聞いて行くと、奏者一人一人の音が聞こえるのではと感じるほど細かいところまで聞こえます。けれど主役と脇役の描き分けが浅く、そのためすべての音が一度に聞こえる感じです。もちろんそれは、使っているグラムフォンのソフトの「悪いところ」なのですが、A3040はA1040に比べ性能が向上している分「使いこなし」も難しくなっているのは間違いありません。A3040の音は、YAMAHAが「頑張った感じ」が少し強い印象でした。 また、部屋の響きと上手く一体化して鳴ったA1040に比べると、A3040はスピーカーの音を直接聞いているイメージです。ただし、A3040を聞いている3号館の試聴環境は一般家庭よりも少し響きが少なく部屋の響きが生かされません。一般家庭のよりライブな環境であれば、A3040の音質の良さが発揮されるはずです。 「DLNA」 iPodと比べるとネットワークの音は響きが少なく、中高域はややさっぱりとした印象です。低音は揺るがず巌のようにしっかりしています。この低音の安定感は、CDのようなふらつく回転系を持たないPCの利点だと思います(HDDの回転速度はCDと比較にならないほど速く、ジャイロ効果でディスクのふらつきがほとんどありません)。 UD7007 Specialと比べると、ネットワークの音は中高域のS/Nが少し悪化し、空間の見通しが悪くなりますが、その音はほとんど癖がなく、音楽を聞く音と考えれば悪くありません。少なくともiCAT Ink. HTPCをデーターストレージ(データー送り出し機)として用いれば、ネットワークを意識せずに音楽が聞ける高音質が得られると思います。 良い意味でごく普通に、ごく普通の音でヒラリー・ハーンのバッハ・コンチェルトが鳴りました。 試聴後感想 等身大で自然な音で音楽を聞かせてくれたA1040とは違って、A3040のDSPは「作られた音」という存在感が強くなっています。また、DSPを使わずに聞いた場合も音が細かく聞こえ過ぎて(情報量が増えすぎて)、スピーカー・セッティングなどに細かさが求められるように思いました。今回はテストしなかったのですが、A3040が搭載する「自動調整機能」を使えば、もっと自然な音で鳴ったかも知れませんし、エイジング(慣らし運転)の期間が足りなかったのかも知れません。 カジュアルで楽しい音を聞かせてくれるのがA1040なら、密度の高い精密な音を聞かせてくれるのがA3040です。どちら選ぶのかは、価格と音の性質が違うので迷われることはないと思いますが、はっきり言えるのは A3040はA1040よりも明確にマニア向きだということです。 2014年9月 逸品館代表 清原裕介 |
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