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HIGHLAND AUDIO ハイランド オーディオ

AINGEL 3201 AINGEL 3203 AINGEL 3205 AINGEL 320C

ORAN 4301 ORAN 4303 ORAN 4305 ORAN 430C

DORD 265

試聴テストと音質評価

PMCの輸入代理業務でおなじみの「ヘビームーン」から、フランス[highland audio/ハイランドオーディオ]社のスピーカーの輸入が開始されました。ラインナップ中、試聴機が間に合わなかったブックシェルフ型の[ORAN4301]を除く全製品の聞き比べを行いました。
※AINGEL 3201は、別ページにaudiopro IMAGE12 AIRBOW IMAGE12/KAI 、 IMAGE11/KAI-Sとの比較試聴を掲載しました。

試聴したスピーカー / 画像をクリックすると背面が見られます

Highland Audio / ハイランドオーディオ

AINGEL SERIES

生産完了

ORAN SERIES

生産完了

3201の評価はこちら


ORAN 4301 のみ試聴機が間に合わず、未テストです。
3201-LO 4301
形式 AINGEL 3201
2ウェイ、バスレフ
ツィーター 25mm、チタンドーム
ウーファー 100mm高解像度ユニット
クロスオーバー周波数 2.5KHz
再生周波数 65Hz-20KHz
出力音圧レベル 84dB/1W/m
インピーダンス 6オーム
外形寸法 W127×H230×D210mm
質量(逸品館での実測値/ペア) 6.0kg
メーカー標準価格
(ペア)ライトオーク-LO
完了
メーカー標準価格(ペア)
ブラック-BK
¥36,000(税別)
形式 ORAN 4301
2ウェイ、バスレフ
ツィーター 25mm、チタンドーム
ウーファー 100mm高解像度ユニット
クロスオーバー周波数 2.5KHz
再生周波数 65Hz-20KHz
出力音圧レベル 84dB/1W/m
インピーダンス 6オーム
外形寸法 W127×H230×D210mm
質量(カタログ値/ペア) 5.0kg/1本
メーカー標準価格(ペア) ¥62,000(税別)
仕上げ チェリー/ウォールナット
メーカー標準価格(ペア) ¥74,000(税別)
仕上げ ピアノブラック

3203-LO / 3205-LO

生産完了

4303 / 4305

生産完了

形式 AINGEL 3203
2ウェイ、バスレフ方式
AINGEL 3205
2ウェイ、バスレフ方式
ツィーター 25mm
チタンドーム
25mm
チタンドーム
ウーファー 100mm
高解像度ユニット×2
120mm
高解像度ユニット×2
クロスオーバー
周波数
2.5KHz 2.5KHz
再生周波数 40Hz-20KHz 39Hz-20KHz
出力音圧レベル 85dB/1W/m 87dB/1W/m
インピーダンス 6オーム 6オーム
外形寸法 W127×H980×D210mm W140×H1020×D272mm
台座寸法 W210×D230mm W220×D305mm
質量
(カタログ値/一本)
10.5kg 15kg
メーカー標準価格
(ペア)ライトオーク-LO
完了 完了
メーカー標準価格
(ペア)ブラック-BK
¥72,000(税別) ¥90,000(税別)
形式 ORAN 4303
2ウェイ、バスレフ方式
ORAN 4305
2ウェイ、バスレフ方式
ツィーター 25mm
チタンドーム
25mm
チタンドーム
ウーファー 100mm
高解像度ユニット×2
120mm
高解像度ユニット×2
クロスオーバー
周波数
2.5KHz 2.5KHz
再生周波数 40Hz-20KHz 39Hz-20KHz
出力音圧レベル 85dB/1W/m 87dB/1W/m
インピーダンス 6オーム 6オーム
外形寸法 W127×H980×D210mm W140×H1020×D272mm
台座寸法 W210×D230mm W220×D305mm
質量
(カタログ値/一本)
10.5kg 15kg
メーカー標準価格
(ペア)
¥125,000(税別) ¥168,000(税別)
仕上げ
チェリー
チェリー/ウォールナット
¥188,000(税別)
ピアノブラック

320C-LO

生産完了

 430C

生産完了

形式 AINGEL 320C-LO
2ウェイ、バスレフ方式
ツィーター 25mm、チタンドーム
ウーファー 100mm高解像度ユニット×2
クロスオーバー周波数 2.5KHz
再生周波数 65Hz-20KHz
出力音圧レベル 85dB/1W/m
インピーダンス 6オーム
外形寸法 W430×H127×D210mm
台座寸法 W220×D305mm
質量(カタログ値/一本) 5.5kg
メーカー標準価格/ライトオーク-LO 完了
メーカー標準価格/ブラック-BK ¥27,000(税別)
形式 ORAN 430C
2ウェイ、バスレフ方式
ツィーター 25mm、チタンドーム
ウーファー 100mm高解像度ユニット×2
クロスオーバー周波数 2.5KHz
再生周波数 65Hz-20KHz
出力音圧レベル 85dB/1W/m
インピーダンス 6オーム
外形寸法 W430×H127×D210mm
台座寸法 W220×D305mm
質量(カタログ値/一本) 5.5kg
メーカー標準価格 ¥45,000(税別)
チェリー/ウォールナット
メーカー標準価格 ¥54,000(税別)
ピアノブラック

DORD265

ご注文はこちら

 スピーカーの付属品
(サブウーファーを除く)
形式 DORD 265
アクティブウーファー
バスレフ式、磁気シールド
アンプ出力 120W
ウーファー 170mm×2
再生周波数 28Hz-150KHz
フェイズコントロール 0-180°(連続可変)
クロスオーバー 38-150Hz
入力 ライン入力、スピーカー入力
外形寸法 W205×H428×D553mm
質量(カタログ値/一本) 18kg
メーカー標準価格 ¥72,000(税別)ウォールナット
メーカー標準価格 ¥90,000(税別)チェリー

AINGEL / ORAN
トールボーイ型 製品の付属品
(上写真はクリックすると拡大します)

台座 ※写真はW175×D230mmサイズ
上左/台座-表(スピーカー側)、取り付けネジ付き

金属製スパイク×8本
上右/スパイクを取り付けたところ

金属製スパイクベース×8個
上右/プレートの上には4個

ゴム脚(半球形)×8個
上右/プレートの上には4個

特徴

AINGELとORANの対応するモデル(3201/4301、3202/4303、3205/4305、320C/430C)に使用されている「ユニット」、「ネットワーク」、「エンクロージャの容積」などは共通です。そのため電気的特性は同一となっています。異なっているのは、「内部配線材(AINGLE-OFC銅線/ORAN-銀コートOFC銅線)」、「スピーカーターミナル(AINGEL-通常/ORAN-ハイグレード)」、それから「外観の仕上げ」です。
コーン紙の色が異なっているのは、AINGELのコーン紙の表面が銀色にコーティングされているためで、コーティングされていないORANは黒色です。

ユニットやネットワークなどの電気的仕様は変わりませんが、配線、エンクロージャーの仕上げ、端子などがグレードアップされたORANがAINGELのハイグレードモデルという位置づけです。

音質は、下記に詳しくレポートしますが、ORANはAINGELに比べて「クッキリ」、「ハッキリ」した音調です。確かに「音質グレードは高い」のですが、バランスの問題なのか対応するモデルで必ずしもORANの方が音が良いとは限らないように感じました。

音質

今回の音質テストには、次の機材とソフトを使用しました。
トールボーイ型の製品は、床に直置き(スパイクはなし)、センタースピーカーは床から約50cm程度の高さで試聴しました。
ジャンパー線は、付属のジャンパープレートではなく、AET(SCR/AC)+AIRBOW(Yラグ)を使用して作ったオリジナル(非売品)を使いました。

プレーヤー  AIRBOW UX−1 Supreme emotion
プリアンプ   AIRBOW CU−80 Special tuned
パワーアンプ LUXMAN MU−80
スピーカーケーブル AIRBOW 6N14W

ソフト1(CD)

For Sentimental Reasons / Linda Ronstadt
ASYLUM/9-60474-2
ジャンル:ジャズボーカル(ビッグバンド)

チェックポイント

ジャズ、カントリーのボーカリストとして評価の高い「リンダ、ロンシュタット」がアコースティック楽器主体のビッグバンドをバックに、切なげなラブソングを歌う。
彼女の伸びやかで芯のある独特のソプラノとビッグバンドの様々な楽器の音が収録されているので、基本的なアコースティック音源のほとんどはこれ一枚でチェック可能。
システムにより彼女の声の「張り」や「表情」が変化する。それを聞き分けることで、システムの「基本的な音色傾向」を判断できる。
バックバンドの「広がり」や「分離感」、「立体感」を聞き分けることで、スピーカーの音の広がりや「前後感」などが判断できる。

これらを総合的に聞き分けることで、その製品が持っている「特徴」を明らかにできる。


ソフト2(CD)

TITANIC / MUSIC FROM THE MOTION PICTURE
SONY/SRCS 8529
ジャンル:映画サウンドトラック

チェックポイント

PMCをモニタースピーカーとする高品位なスタジオで「最新のミキシング/マスタリング」が行われているので、音が緻密でD/Fレンジが共に広大。

一曲目の「リード楽器のイントロ」〜「どーんという重低音が低く沈んでゆく所」までで、かなり広い周波数帯域での「スピーカーの持つ物理/音響特性」が露わになる。
さらに、思いっきりお金をかけて精度の高い精緻な音作りが行われているため、音速の整合性など「細かいチューニングの狂い」もハッキリわかる。音が重なる部分では、スピーカーの分解能、立体感が判断できる。音楽としては簡単そうに思えるが、実はスピーカーにとってかなり手強いソフト。

HIGHLAND AUDIO AINGEL 3203

ソフト1
非常にまとまり良く鳴り、質感が高くがさつな所がない。サイズを考えるとこの質感の高さは大賞賛に値する。
声には、シッカリした張りが感じられ、リンダ、ロンシュタットの年齢は「実年齢」に近い感じに聞こえるが、欲を言えばプレゼンス(声の輝き)がもう少し欲しい。
ボーカルまでの距離感は近くも遠くもないが、細部のピントが少し甘く、薄いベールがかかったように感じられる。
ピアノのアタックは芯があり、ハッキリとして良好。弦やフルートの質感は、ややエレクトリック。
ステージのサイズは、ややこぢんまりするが、まとまりがよく使いやすそう。

ソフト2
音の広がりが豊かで、UX−1SEの音の良さにも助けられリスナーの背後まで音が回り込み、2ch再生にもかかわらずサラウンドで聞いているような感じがする。左右のみならず、普通は出にくい前後の奥行き(このソフトは特に深い)もきちんと出している。上方向への音の広がりはやや乏しく、天井が低く感じられる。
このサイズでタイタニック一曲目の「ドーン、ズーン」という音の厚みと量感を出す、中低音の豊かさは驚くべきものでサブウーファーの必要性を感じさせない。
ソフト1同様、まとまりが良く、落ち着いた鳴り方をする。鮮やかではないが、緻密さがそれを補う。開放的ではないが暗くもない。あらゆる部分がニュートラルで突出しておらず、中性的で不思議な感じがする。

ここがお薦め!
中低音の量感がこのサイズのスピーカーとしては信じがたいほど良好(PMC GB1やB&W703に匹敵すると感じるくらい)で、質感が非常に高く(音が緻密、精緻)細かい音まで再現されるので音量を絞っても音が痩せない。これは、防音を施していないようなリスニング環境や夜遅くにプライベートで音楽を楽しみたいときなど、音量を上げずに音楽や映画を楽しみたいときに非常に大きな助けとなる。
定位が素晴らしく、スピーカーのすぐ側で聞いてもスピーカーの外側に回り込んで音が聞こえるので、セッティングにこだわらなくてもかなり良好な音場が実現すると思われる。
この価格帯でこまで中低音が充実し、質感の高い音を出すスピーカーを他に知らない。

こんな方にお薦め!
セッティングや使いこなしなどにこだわらないで、小型スピーカーで高音質をお望みのお客様にベストマッチ。

HIGHLAND AUDIO ORAN 4303

ソフト1
3203の音に「冴え」、「切れ」が出て、細部までピントがハッキリし、楽器の細かい「操作音」やボーカルの「リップノイズ」までクリアーに聞こえるようになるが、再生周波数レンジが上に伸びた(ピントの焦点が上になった)分、中域が少し薄く感じられる。
ピント感(輪郭のハッキリ感)の向上に伴い、3203よりもステージが近くなる。ベールが剥がれた感じだ。
銀配線の影響もあるのか、ハードドーム特有のシンバルの金気が良く出て、キラキラ感が心地よい。
Dレンジ(躍動感)も大きくなるが、audiopro IMAGE44ほどの「鮮やかさ」はない。フランス映画?らしい、少し曇ったカラーは3203と共通でHIGHLANDの特徴のようだ。

ソフト2
高音の芯がシッカリし、細かい音まで聞き取れる。一曲目出だしの「リードの楽音のピーキーさ(突き抜けるような、刺すような感じ)が出る。3203よりも「HiFi調」で、磨かれたガラスを通してステージを見ているような感じがするが、完全にクリアにならず、曇り感が少し残っている。
低音の量感は3203と同じ。中高音がクリアになった分音の重心が上がってバランスが少し上よりになる。
全般的には、タイタニックらしい静かで落ち着いた感じが良く出る。中高音はやはりキラキラするが嫌な感じではなく、分解能、見通しの良さは3203を大きく上回る。
AETの高額ケーブルに類似したようなサウンドだ。3203で気にならなかったが、少し硬く深みに欠けるのは「ORANのみに使用されるハイグレード配線、パーツ」が「エージングしないと本来の良さを発揮しない(しばらくしないと音がなじまない)」ためかも知れない。

ここがお薦め!
AINGEL3203に比べ、中高音の繊細さと明瞭度が大きくアップ!ステージとリスナーの間に感じられたベール感がすごく薄くなる。フォーカス感が向上し(音の輪郭がハッキリし)音源までの距離感ががAINGEL3203よりも近くなる。
音量を絞ってもフォーカスが甘くならず、定位(立体感)が良い。音像はやや前に出る感じだが、低音の量感と奥行きは変わらないので音場が前後にさらに深くなる。
AINGEL 3203に繋いでいるスピーカーケーブルを「標準品」から「高音質品」に変えたような違いを感じるが、それは正に「内部配線」の違いが音に出ていると言える。
こんな方にお薦め!
AINGEL 3203のサイズは、「そのまま」に「少しでも良い音」を聞きたいとお考えの、こだわり派の方にお薦め。

HIGHLAND AUDIO AINGEL 3205

ソフト1
ステージの広さと、音のクォリティー感(情報量や音の質感の細やかさなど)が完全に一致して、生音を聞いているかのように違和感がまったくない。
自然に音楽が耳に、心の中に流れ込んでくる。
リンダ、ロンシュタットのボーカルとバックの演奏が見事にバランスし、すべての音が平等の力と表現力を持って完全に調和する。
絶対的なバランス、まとまりの良さという意味では、逸品館お薦めのaudiopro IMAGE44を上回るかもしれない。
スピーカーが鳴っているのではなく、そこで音楽が演奏されている感じだが、強いて言うなら、高域がやや物足りないため、ある程度の範疇で最高に無難な鳴り方をしているとも言えなくはない。

ソフト2
とにかく!タイタニックが一番ドラマティックに聞こえる!
音の質感、バランス、タイミングなどが、見事に調和して響く。
スピーカーはもちろん、部屋、プレーヤー、アンプなどの存在感が「完全に」消える!
素晴らしく良くできているスピーカーだ。わかる人にはわかる!好き嫌いを超越した「絶対的な良さ」がこの製品にはある。
逆に言うなら、このスピーカーの良さがわからなければ、まだまだオーディオのゴールは見えていないと言うことだ!

ここがお薦め!
AINGEL 3203に比べ中高音の透明度が向上し、3203では感じた音の曇り、ベール感が消える。
ORAN4305同様、重低音〜中高域の帯域バランスが抜群に良くなるので、高域、中域、低域といった「オーディオ的イメージ/スピーカーを聞いているという意識」から完全に解放される。
今回テストしたHIGHLAND AUDIO製品の中では、音楽のニュアンスが最も豊かで、周波数帯域バランス、音速のバランス、音色のバランス・・・あらゆる音の要素が見事に調和しているため、何も考えずに、何も意識せずに、音楽の中にすぅ〜っと入れる。試聴、テスト、評価と言うことを完全に忘れてすぐに音楽に聴き入ることが出来る。
価格とか、サイズとか、そういう「条件」を一切取り払った絶対的な評価に於いても、これは良いスピーカーだ!
こんな方にお薦め!
今回テストしたHIGHLAND AUDIO製品の中では「最もスピーカーを意識せず音楽に浸れる」モデル。
BEST OF HIGHLAND AUDIO!は、間違いなくこのモデル。
音のことなんてわからなくても良い、「少しでも良い音楽」を聞きたいとお考えの音楽派の方には、これしかない!
価格とか、そういう世俗的なことを一切を忘れて音楽に聴き惚れることが出来る、希有なスピーカー。

HIGHLAND AUDIO ORAN 4305

ソフト1
バックバンドの音の「厚み」、「エネルギー感」が向上し、リンダ、ロンシュタットの声の「エネルギーの強さ」とバランスが取れ、全帯域の音の調和が格段に良くなる。
ゆったりとゆとりを持った音になり、リンダ、ロンシュタットがいかにもセンチメンタルなラブソングを歌っているという感じ。
エコーが消え入るところまでシッカリと伸びる。楽器のボディー、基音までシッカリ聞こえる。
表現はニュートラルで癖がないが、欲を言えばやや硬いために、QUADやaudioproよりも電気的な音に聞こえる。
クリアでHiFi(歪み感が少ない)サイズを俄に信じがたいほど高いクォリティーで鳴る。
ソフト2
一聴した瞬間に4303に比べ、音の広がりが2〜3倍になったように感じるほど、音が大きく広がる。天井の高さ(上方向の広がり)も出て、すごく大きい部屋で聴いている感じ。
空間が360度方向に大きく広がり、プラネタリウム的な音場空間が出現し、ブラックホールに落ちてゆくかのように、その中に体全体が吸い込まれる。
4303と同じく、癖が非常に少なくニュートラルなサウンドで、電子楽器音は抜群にナチュラル、周波数帯域バランスが良い。
伴奏とボーカルの子音がシッカリ、ハッキリ聞き取れ、ベール感は消える。
中高域の情報量が多く、表現に深みがあり、AINGELよりも開放的な鳴り方をする。
4303でも良好だった低音はさらに伸びて、重低音と言える領域の厚み、押し出し感まで再現されるほどだ。一曲目の「ドーン、ズーン」という音がかなり下まで(海底深くまで)下がるのがよくわかる。ただし、量感が増えた分、低域の速度、レスポンス感はやや低下する。

ここがお薦め!
4303で感じられた高域の曇り、マスキング感が消え広がり感、空気感、透明感が増すと同時に中域が太くなり、低域の量感もアップする。。低域のスケールアップの効果で、エコー感、ホール感が向上する。
空間表現が広がったこと、情報量が増えたこと、の相乗効果で、ゆっくり、ゆったりとした音の出方をするようになる。スピーカーの表現力の余裕度をエンジンの排気量に例えると、4303は3L。4305は5Lくらい。
中域の押し出し、エネルギー感が、スピーカー、ユニットのサイズから想像されるよりも遙かに大きく増強されるので、大編成の音楽やアクション映画などでは、無視できない差が出るだろう。
反面、キャビネットのサイズが大きく(フロントバッフルの幅が大きく)なったために、指向性がやや強くなり「セッティングによる音の差」が問題となり「口がやや大きく(定位が甘く)」なる。解決には、AIRBOW レーザーセッターなどによる精密セッティングが必要となるかもしれない。
4303よりも「使いこなしの難しさ」はあるかも知れないが、スピーカーのサイズと価格をまったく感じさせない、このたっぷりとした堂々たる鳴り方は、非常に魅力的で、他モデル同様、価格を遙かに超える「質感の高いサウンド」を実現している。
外観の仕上げも良い。
こんな方にお薦め!
サブウーファーを使わずに、大編成の音楽を聴きたい。あるいは、大迫力の低音が聞きたい。とお考えの方に。
国産スピーカーでは味わえない、質の高い「ハイエンドHiFiサウンドを聞いて見たい」とお考えの方に。

HIGHLAND AUDIO AINGEL 320C / ORAN 430C / DORD 265

AINGEL 320C
良くまとまっていて、二つのウーファーから出る音のズレ、濁りも少ないが、中央にあるバスレフポートからの「低音」がややブームで、離れていてもそれが気になる。
音色はニュートラルで、HIGHLAND AUDIO製品とはもちろん、他のスピーカーともマッチしやすいだろう。
ボーカルの口は、やや大きく、ピントも甘めで、平均よりも少し良い、といった感じのセンタースピーカー。
HIGHLAND AUDIOでまとめるならこのセンターを選んでも良いが、残念ながら単体でセンターとして使ったときのAIRBOW IMAGE11/KAI−Sと音質は比べものにならないから、セット使いでなければAIRBOW IMAGE11/KAI−Sを選ぶべきだろう。珍しく、サランネットは、付けた方がバランスがまとまり、音は良い。

ORAN 430C
高域がキラキラして前に出すぎる。テストした個体が新品だったので、銀線のエージング不足の可能性が高い。
同じキャビネット、ユニットを使用しているにもかかわらず、AINGEL 320Cで感じたバスレフポートのブーミーさが気にならない。
音色こそヤや金属的だが、口は大きくならず、ピントもシャープで、センタースピーカーとしては、良くできている部類に入る。
サランネットを付けると音が曇るので、ネットは付けない方が良い。

DORD 265
すごく下(低域)まで伸びているわけではないが、ナチュラルな質感で、HIGHLANDの製品とはスピード感もマッチするし、他メーカーのスピーカーとも違和感なく繋がるだろう。
ローパスフィルターの性能は優秀。連続可変フェイズコントロールも搭載され使いやすい。

まとめ

PMCの輸入代理業務でおなじみのヘビームーンが本格的に輸入を開始した、HIGHLAND AUDIO製品は、良い意味で逸品館がこれまで進めてきたaudiopro製品と双璧をなす、素晴らしい音を聴かせてくれる。

今回テストした中では、AINGEL 3205が出色の仕上がりで、HIGHLAND AUDIOの中で私は最も高く評価する。あらゆる音の要素が見事に調和し、スピーカーの存在を意識させない。しかも、上にも下にもレンジが広く、とくに中低域の厚みはこのサイズでは他に例を見ないほど豊かで、その豊かな低域に支えられた「空間表現力(音の広がりの大きさ)」には、そのサイズを考えると驚きを隠せない。

フランス製品らしく高域よりも中低域方向へ表現が伸びており、その点に於いて北欧的な透明感、高域の伸びやかさをもつaudioproと対照的だ。モデルによって性格の差こそあれ、HIGHLAND AUDIO製品がやや閉ざされたような「アンニュイなイメージ」と豊かな厚みを持つのに対し、audioproは開放的で明るく爽快だが、中低域の質感がやや軽い。

生真面目一本槍な音がする平均的な日本製のアンプには、HIGHLAND AUDIO製品の方が音色的にマッチし、その良さ、特徴を引き出すだろう。しかし、同色の組合せは短所をも増強するから、内向的/閉鎖的にならないよう注意が必要だ。
それに対し音楽的なニュアンスの豊かな海外製品やAIRBOW製品には、audioproの音色がその良さを引き出すように思うが、これらのアンプとHIGHLAND AUDIO製品を合わせると、それが案外、平均的な日本人の好みには一番マッチするのかも知れない。

外観の仕上げも良く、audioproには用意されていない「明るい茶色/ライト、オーク」がラインナップされているなど、ひと味違う魅力があるHIGHLAND AUDIO製品は、2ch、サラウンドにかかわらず比較的リーズナブルな予算で本格的なスピーカーをお探しの場合、必ずチェックするべき魅力ある良品だと思う。

2005年10月9日 清原 裕介

 

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