vienna-acoustics T3G
バイオリンの中音が柔らかく、刺激がまろやか。残響の豊かな「木のホール」でバイオリンを聞いているようなイメージで非常に心地よく聴ける。相性はよい。
sonus-faber グランドピアノドムス
T3Gに比べると若干中〜低域の濁りや曇りが大きくなり、音のヌケが悪くなる(明瞭度が低下する)。相性はあまり良くない。
TANNOY Turnberry/HE
この形状のタンノイは元々中低域があまり得意でない。良く言えばウォーミーで悪く言えば濁っている。その特徴はアンプを変えたぐらいではあまり変わらない。エニグマとの組合せでも、中低域は他のアンプで鳴らすのとあまり変わらず、豊かだが締まりはない。それに引き替え中高域の透明度と細やかさ、刺激感の少ないメリハリや切れ味の鋭さはなかなか素晴らしい。タンノイは真空管アンプで鳴らすべしという音が、エニグマで実現する。クラシック中心の音になるが、それを目的とするなら相性は抜群によい。
PMC IB1S
エニグマの弱点である中低域の緩さや濁りが、PMCではまったく気にならなくなる。それどころが中高域が非常に透明で繊細。エニグマの短所を見事にスピーカーが補って鳴らしてしまう。今回はIB1Sを使ったが、PMCの小型トールボーイGB1との相性も抜群だろうと感じた。エニグマで鳴らすGB1。お洒落ですごくプロっぽい、「大人の道具」というイメージが浮かぶ。自宅で使うオーディオは、マシンミニマム、ミュージックマキシマムという私の考えにもピッタリだ。
KRIPTON KX3
本来エニグマは、これくらいのスピーカーよりも小さいサイズのスピーカーとの組みあわせが予想される。KX3は、中域に独特の張り出しがあり下手をするとその部分が暴れてうるさく感じることがあるのだが、エニグマはその部分を上手くなだめて丸め込んで聞かせてくれる。中高域の透明度と切れ味はT3Gの組合せよりも純度が高くPMC/IB1Sで聞くそれに近い。相性はかなり良い。
AIRBOW
IMAGE11/KAI−S
いよいよ本命の登場。この組み合わせから出る音はすごい!透明で明瞭度が高く繊細。自室であるにもかかわらず、バイオリンのは澄み切っている。非常に細やかで定位も良く、ヒラリー・ハーンのボウ使いが目に見えるようだ。バイオリンが目の前で鳴っている。素晴らしい音!素晴らしい演奏!こんなに小さなスピーカーを鳴らしているのに、サブウーファーの必要性はまったく感じられない。でも、もしサブウーファーを使いたくなっても・・・、残念ながらエニグマにはプリアウトがない。それが唯一の不満として感じられるかも知れない。
まとめ
このアンプの「ダイナミックレンジの大きさ=躍動感の大きさ=表現力の豊かさ」に一番魅力を感じる。この音楽の表現力ともっとも深く結びついている要素の再現性が優れているために、小さなボディーからは想像もできないほど「音楽豊かに朗々と鳴る!」耳には優しいが、心にはしっかり響く。
イタリア製のユニゾンリサーチも、このオーディオアナログも小さなボディーに似合わないほど「躍動感が豊か」で「音楽を楽しく歌わせて」くれる。デザインや音質が官能的で心に響くという部分では、イタリア製品はどこの国の製品よりも優れているのだろう。さすがに「フェラーリ」や「ランボルギーニ」、「アルファロメオ」のふるさとで生まれたオーディオ製品はひと味違う。エニグマの音からは、イタリアの「情熱」がひしひしと感じられた。
とくにエニグマと組み合わせられるであろう「小型スピーカー」との相性が抜群で、互いの長所を引き立てあって素晴らしい音で鳴る。少し高額になるけれど「小型で本物の音を出すオーディオ」をお考えなら、エニグマとIMAGE11/KAI−S+STAND11S(必要があれば適当なサブウーファー)に敵うものはないだろう。
LINNなどの海外製高額小型システムを考えている方に、是非一度聞き比べて頂きたいと思う。音質的にも音楽性においても、絶対に他のコンポに負けることはないはずだから。
ここがよかった。
音・デザイン・質感。
音量が細やかに調整できる。
もうちょっと、頑張って!
各スイッチの動作に「がたつき」が大きく、操作したときの質感が低い。
トレイの開け閉めの動きがぎくしゃくして、かなり雑。
2006年6月 清原 裕介