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2012年11月21日より、逸品館お薦めのBurson Audioから「Soloist(ソリスト)」という名前のヘッドホン出力付きプリアンプが発売されました。正式発売前ですが、輸入代理店の好意で試聴評価用の製品を届けていただいたので、早速聞いてみました。届けられた製品は「新品」だったのでまず5時間ほど軽い音出しを行い、試聴を開始しました。
※Soloistのパネルの合わせ部分やねじの取付凹み部分の精度は低く、隙間やオフセットが見られました。前から見るときは問題ありませんが、仕上げを気になさるお客様は、Burson Audioを避けられた方がよいと思います。
※Burson Audio製品は納入されるすべての製品がそのような状態ですので、パネルの小さな傷や立て付け不良へのクレームには応じられません。予めご了承のほどお願い申し上げます。また、傷などを気になさる場合、Luxmanなど仕上げの綺麗な製品をお選び下さいますようお願いいたします。
Burson Audio HA160、AB160R、DA160 音質テスト ・ Burson Timekeeper 音質テスト
Burson Audio Soloist メーカー希望小売価格 生産完了 (Burson製品のご購入はこちら) |
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音質テスト
まず、CDプレーヤーとプリメインアンプの間にSoloistを繋ぎ、「ない/ある」でどのように音が変化するかを確認しました。プリメインアンプのボリュームは「40dB(やや大きめの音)」で固定し、Soloistのゲインが0(ゼロ)になるようSoloistのボリュームを調整して比較しました。
ジャズ/ Groove Note 2 | J-POP/Superfly |
14:Here's to life /Jacintha | How Do I Survive? |
このソフトは、スタジオで演奏された音楽を入念にミキシングして作られた「高音質」ソフトです(音が良いのにもかかわらず編集時の音切れなどが残された部分があり、そこは不満です)。 楽器やボーカルの音が耳で聞き取れるよりも細かく収録され、ピアノのペダルの動く音、ボーカルの息づかいなど、オーディオならではの「音のイリュージョン」を聞かせてくれます。 Soloistの音質再現性の限界、解像度感(音の細やかさと明瞭度感/どこまで小さな音が聞き取れるか)を知るためにこのソフトを選びましたが、適度にエコーが追加されているので音の広がり感や定位感などもきちんと聞き分けられます。 オーディオ機器の限界を探るには厳しくも最適な一曲だと思いますが、音楽的にも素晴らしく、音楽的な表現力の富むシステムでこの曲を聴くとJachintha(ジャシンタ)さんの声とピアノの美音が心の奥まで届き、胸がジーンとなります。 |
最近のPopsは内外の録音に関わらずコンプレッサーというエフェクターを多用し、小さい音を大きく、大きい音を小さくして、再生時の平均音量を大きくします。これはCDの販売リサーチで「音が多きソフトがよく売れる」ことがわかっているからです。 確かにコンプレッサーを使って平均音量レベルを上げる(音を大きくする)と、 ダイナミックレンジのそれほど大きくないゼネラルオーディオ機器(携帯プレーヤーのような)では音が良くなります。 しかし、広大なダイナミックレンジを持つ本格的なハイファイオーディオ機器では、「音と音の隙間」が少なくなり再生時に音が混じる、うるさい音になるなどの問題が生じることがあります。 Soloistは、コンプレッサーで帯域を圧縮されたソフトをどのように聞かせてくれるのか?スピーカーとヘッドホンでは音質にどのような違いが感じられるか?それを聞きたくて、このソフトを選びました。 |
CDプレーヤー | → | プリメインアンプ | Focal 1028Be | |
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CDプレーヤー | Soloistを追加 | プリメインアンプ | Focal 1028Be | |
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CDプレーヤー | ヘッドホンアンプとしてSoloistを使用 | |||
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総合評価
Soloistは、実に良くチューニングされた音質に仕上げられていますが、基本はヘッドホンアンプとして音決めされているように感じます。なぜなら耳のすぐ側で音が出る(鼓膜に近い)ヘッドホンとスピーカーでは、高域の処理変えなければならないからです。
AIRBOWの開発でアンプの音を決めるときは、スピーカーからリスナーまでの間の空気の影響で「高域が少しドロップする分」ことを考慮し高域を少し強くします。そうすることで「角の立った良い音(明瞭度が高くスッキリ・クッキリした心地よい音)」に聞えるからです。
ヘッドホンでは、この「空気による高域ドロップの影響」がありませんから、入力されたままの音を出すことが正解になります。Soloistをヘッドホンで聴くと、実に素直で滑らかな良い音で音楽を楽しめます。高域がスッキリの伸びた透明できめ細かく、余計な響きが少ない中にも適度な潤いや滑らかさが感じられるウェルサウンドで音楽を楽しめます。その音をLuxmanなどの製品と比べると、Soloistの方が音に癖が少なく自然な感じで音楽が聞ける感じです。どちらが良いか?ではなく、どちらが好きか?という判断になるでしょう。アコースティックな音源を中心にお聞きになられるならSoloist、組み合わせるヘッドホンとの相性にもよりますが、全般的にジャンルを選ばず音楽をお聞きになられるならLuxmanがお薦めのように思います。
Soloistをプリアンプとして使うと高域が少し丸くなり、その影響で解像度感(音の細やかさ)や明瞭度感(ハッキリした感じ)がほんの少し失われます。ただしBurson Audioの製品らしくSoloistの音のまとまりや帯域バランスは素晴らしく、音楽を聞きやすく楽しませる部分は高く評価できますから、今の音がキツくて聞き疲れると感じていらっしゃるなら、プリアンプとしてSoloistを使うとスムースに解決するはずです。
Soloistの音を良くできた真空管アンプのようだと言えば、褒め過ぎかも知れませんがこの価格これだけの音が作れたのは素晴らしいと思います。 ボディーの立て付けの悪さが気になりますが、初期にあった「擦り傷」はなくなっています。良質な接続ケブルが付属するなど、無印良品的なこだわりが感じられ心を温かくしてくれるマインドを感じた製品でした。
2012年11月 逸品館代表 清原 裕介
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