左右のスピーカーの位置関係を調整しようサランネットを外して調整開始スピーカーのネット(サランネット)を 「付けておいた方が良いのか?」 、 「外した方が良いのか?」 という相談を受けることがあります。 ネットがなければ音は妨害されないので、ネットがない状態の方が、音がクッキリ・ハッキリ聞き取れます。 ネットがあると音が拡散されるため、ネットがあると、音はふわりと広がります。 どちらが良いかではなく、音が変わるので、好みやソフトとの相性で使い分けてください。 ただし、音響調整を行う場合は、ネットは「スピーカーの音を反射して濁らせる原因」となるので、調整に入る前に必ずネットは外しましょう。 スピーカーの調整はモノラル(一本ずつのスピーカー)が基本「スピーカーの調整」を行うときに「左右を個別に調整しなさい」とは言われません。 しかし、それは「ステレオ」=「2本のスピーカーが必要」という固定観念から生じた誤りです。 左右の二人から「同時に話しかけられた」と想像してください。「右の人の話」を聞き取ろうとすれば「左の人の話声」が「邪魔」になります。「左の人の話」を聞こうとすれば、今度は逆に「右の人の話し声」が邪魔になります。スピーカーのセットアップもこれと同じで、「左右を個別」に鳴らさないと「もう一方の音が邪魔」になって精密な音質調整ができないのです。 特に、これから行う調整では「個々のスピーカーの音質を環境も含めて調整」するのが目的ですから、調整は必ず片方ずつ(一本ずつ)行ってください。
波紋とブランコの原理スピーカーから出た音は、左右が混じると同時に壁や天井、あるいは床からも反射して耳に届いています。周囲の反射音と反対側のスピーカーから出る音と目の前にあるスピーカーから出る音の「響きを整える」のがスピーカーセッティングの基本的な考え方です。 音は目に見えませんが、それをイメージ化して考えることができます。波のないプール(あるいは浴槽でも構いません)の一点に指を入れて波を起こします。波は球状に広がり、プールの縁にぶつかって戻り、広がろうとする波とぶつかります。広がる波と戻る波のぶつかるタイミングが良ければ、それぞれは過度に干渉せず水面に乱れた波は生じません。 スピーカーから発生する高音(1kHz以上の比較的低い音から高音と考えて下さい)は、水面を広がる波と同じようにスピーカーから広がり、壁にぶつかって戻ります。音波は空気中を一秒間に約340m進みますから、1秒のエコーが生じる部屋ならばスピーカーの音が消えるまでに、少なくとも部屋を50往復する事になります。音が反射して往復する間には、何度となく交差します。この音の交差する状況を先ほどのプールの水面に生じた波と同じように考え、それぞれの波が打ち消し合うのではなく、ブランコを押すように相互の波を助け合うイメージで交差されられれば、音場の濁りが低減し音質の明瞭度が大きく増加させることができます。 スピーカーの位置を調整して音質を改善する方法
低音の調整方法一般的に「低音は低音単独で変化している」と考えられていますが、それは測定器を見ているために生じる誤解です。 ストラドバリ、ガルネリ、など名器と呼ばれるバイオリンの音は、例外なく「高域の立ち上がり」が早く、アタックがしっかりしています。測定的には小さな音が、大きな音の楽器よりも「ハッキリと聞き取れる」のは、高域がしっかりと出るからです。このアタック成分のことを「音の隈取り」と呼んでいます。 低音楽器も「高音の隈取りの明瞭度」で聞こえ方が変わります。エレキギターのベース音にメリハリを付けるためには「8kHZ付近の音」を持ち上げば良いことが知られています。 このように低音楽器の音(音階やリズム)を明瞭に再現するためには、高域の倍音を正確に発生させることが重要です。 クリアな低音をえるためには、「スピーカーと壁との距離」、「スピーカーの角度」の調整が大切です。 「壁との距離」 「スピーカーの角度」 周波数[40Hz][80Hz]・[125Hz]・[250Hz]程度の「サインウェーブ」の音源を用意します。これらの音を必ず片方のスピーカーだけで再生しながら、スピーカーを前後に10cm〜20cm程度動かして、「低音が膨らみにくくなる位置」を見つけます。 次に「アコースティックな低音楽器が録音されているソフト」を用意します。ウッドベースや、パイプオルガン、あるいはピアノなどの帯域の広い楽器が収録されているソフトが最適です。このようなソフトを使って、スピーカーを前後に数mm〜2cm程度動かしながら、高音がハッキリ聞き取れる位置を探します。さらに角度も僅かに変えて、高音がよりハッキリと聞こえる(低音と高音が分離する位置)を探します。 お薦めの調整方法 ワンポイントステレオで録音された「教会のクリスマス曲」です。金管楽器、パイプオルガン、コーラスと非常に幅広い種類の音源が使われています。 この調整をもっと早く、最も効果的に行うためには「レーザーセッター」を使います お薦めのチェックディスク合唱 オスカルモルテット合奏団 「カンターテ・ドミノ」 Proprius PRCD7762 (お求めはこちら) ワンポイントステレオで録音された「教会のクリスマス曲」です。金管楽器、パイプオルガン、コーラスと非常に幅広い種類の音源が使われています。 9曲目で、1曲目と同じチェックを行い、スピーカーの位置が正しいかどうかを確認します。 10曲目では、左右のスピーカーを同時に鳴らして、片方のスピーカーの角度を僅かに変えながら、コーラスが中央に定位し、エコーから教会の原寸の奥行き・高さが感じられる音がリスニングルームに展開する位置を確認します。360度方向にムラなく音が広がって聞こえれば、OKです。 スピーカーセッティングの実演
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