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ルームチューンの基礎知識

左右のスピーカーの音は混じり合ってはいけない

吸音パネルは、「反射音を吸収するために使う」と説明されています。

しかし、反射音の吸収だけなら、より効果が高く費用の安い「カーテンの施工」がベストです。また、壁や床なのに「吸音材」を貼り付けることでも対策ができます。

また、吸音パネルは音をすべて吸収するのではなく「何割かを反射」しています。吸収される音は消えてなくなるので、対策を考える必要はありませんが、反射される音は、その音質と反射方向を考慮しなければなりません。

「チャンネルセパレーション」という言葉をご存じですか?

それは、左右チャンネルの音を、できるだけ混じり合わせずに再生することです。

このためにオーディオメーカーは「モノラルアンプ(左右に独立したアンプを使うことがベスト)」を製品化しています。

けれど、部屋の中で左右のスピーカーの間には、どのような対策が成されていますか?

ほとんど何もされていません。

対策を講じない状態では、右のスピーカーから出た音は、反対側の壁(左の壁)で反射します。せっかくモノラルアンプを使っても、これでは「左右の音が盛大に混じり合って」います。つまり、音響(ルームアコースティック)的には、チャンネルセパレーションは「最悪(下図左)」の状態です。

この状態に吸音パネルを使って「音の方向を変え」、空間のチャンネルセパレーションを向上させれば、音質は一気に向上します。

その考え方は、次のようなものです。

写真撮影では「光の方向を変えて、対象物に最適な陰影を付けるための反射板(レフ板)」を使いますが、部屋の中に吸音パネルを設置するときも、同じように考えて「音の反射する方向を最適化する」と考えます。

音は左図のように「壁に沿って進み」ます。

そこで左右スピーカーの中央、壁に対して垂直方向にパネルを一枚設置し、音の回り込みを防ぎます。

さらに、スピーカーの内側に「スピーカーに並行にパネルを設置」し、スピーカー背後での音の回り込みを抑えます。

この時、中央のパネルは壁に接している方が効果が大きく、スピーカー内側のパネルは壁と接触している必要はありませんが、スピーカーとの角度(並行か、僅かに角度を付けるか)でかなり音の広がりが変わりますし、パネルをスピーカー(のバッフル)よりも、前に出すことでも音が変化しますので、パネルを動かして最適な音の広がりが得られるように調整してください。

お薦めの吸音パネルはこちら

下右図は、壁沿いにカーテンを施工して「左右壁面の間で発生するフラッタエコー」を抑え、スピーカー後方にカーテンを設置することで「前後壁面からのフラッターエコー」を抑え、さらに床の上に「吸音効果の高い毛足の長い絨毯(ムートンがお薦め)」を設置することで、「床と天井の間で発生するフラッターエコー」を低減し、さらにパネルで「空間のチャンネルセパレーション」を向上させています。スピーカーを壁面と並行に設置せず、内振りにしているのは、スピーカーをどの壁とも正対させないことで、部屋全体で発生するフラッターエコーを低減する目的があります。

この対策は、リスニングルームが狭いとき、特に効果的な方法です。

6~8畳のリスニングルームの効果的な対策方法はこちら

改善前  

改善後

反射パネルの効果的な使い方

スクリーンやTVなどが邪魔で、センターにパネルを設置できない場合は、左図@Aに反射パネルを設置します。

@のパネルは、左右方向への音の広がりを改善し、スピーカーの音にメリハリを出します。

Aのパネルは、前後方向への音の広がりを改善し、スピーカーの音に奥行きを出します。

パネルと壁との距離や角度を調整することで前後・左右への音の広がりを変えられます。

中央にパネルが設置できる場合は、右図のようにパネルを設置します。

@のパネルは、中央定位を向上させ、中央の奥行きを改善します。
Aのパネルは、前後方向への音の広がりを改善し、スピーカーの音にメリハリを出します。

Bのパネルは、後方への音の広がりを改善しますが、スピーカーから大きく離れた位置に設置するので、効果はかなり小さくなります。サラウンドの場合は重要ですが、ステレオの場合は特になくても問題ありません。

逸品館3号館のパネル配置

リスニングルームの邪魔者「TVからの反射」

スピーカーの中央にTVを設置している場合、その「画面からの反射」は、非常に有害であるといわれてきました。

昔のTVはブラウン管を使っていました。

空洞のガラスで作られているブラウン管を叩けば、ガラスが響く音が盛大に発生します。さらにブラウン管が「曲面」で形成されるのも良くありません。中高音は光のように反射します。曲面に光を当てると、どの位置から見ても「一点(あるいは一線)」だけが強く輝きます。音も同じように曲面で反射すると「特定の強い響き」を生じるのです。曲面からの反射は、時に非常に耳障りです。

平面パネルの画面が主流になった今では、事情が変わりました。

「平面」は一方向へ強い反射を起こします。そして反射の方向が明確なため、曲面に比べ、容易に「反射をコントロールする」ことができるので、TVに対してスピーカーを僅かに前にする、あるいは後にするといった「位置関係の調整」を行えば、平面TVの悪影響はある程度キャンセルできるばかりか、上手くすれば「音のを良くする反射体」として利用することも可能です。

1. なぜルームチューンが必要なのか?

2. 逸品館式ルームチューン

3. フラッタエコー(定在波)を取り除こう

4. 吸音・反射パネルの効果的な使い方

5. 6〜8畳サイズ・リスニングルームの最適セッティング

6. Kripton AP-R50/R100の詳しい使い方

 

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