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AVアンプ DENON AVR-X4100W 音質テスト (生産完了モデル)
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メーカー希望小売価格 130,000円税別)の価格ながら、7chのアンプを内蔵し4K映像やネットワークに対応し、しかも同価格帯のプリメインアンプ並みに音が良い!と三拍子揃った"YAMAHA RX-A1040"のコストパフォーマンスの高さと万能ぶりには驚かされました。今回テストするDENON "AVR-X4100W"は、メーカー希望小売価格\150,000(税別)で、YAMAHA RX-A1040が対応しない最新サラウンドフォーマット"Dolby Atmos"に対応しています。また、RX-A1040が7.1chなのに対し、AVR-X4100Wは7.2chに対応しています。YAMAHAでAtmosに対応するのは、A1040の上位モデルA2040からとなりますが、RX-A2040のメーカー希望小売価格は、\180,000(税別)です。しかし、YAMAHA RX-A2040は、9.2ch対応で9chのパワーアンプ(A1040とX4100Wは7ch)を搭載する違いがあります。2万円という小刻みな価格差で製品を並べられると選択に困りそうです。しかし、機能と内容を考えると意外にその選択は難しいものではありません。まず、音質テストの前に、YAMAHA RX-A1040、RX-A2040、DENON AVR-X4100Wの3機種を整理しておこうと思います。
まず、気になるのが"Dolby Atmos"だと思います。これまでのサラウンドは、スピーカーの数が5.1chから7.1chへと増加し、それぞれのトラックの音質を向上させるという流れで進化してきました。Atmosでは、スピーカーが7.1chから天井付近に装着するエフェクトスピーカー(ハイトスピーカー)が加わり、9.1chへと増加しています。しかし、この9.1chセッティングはAtmosの一つの形にしか過ぎず、映画館などの大きな空間では最大64chのスピーカーをサポートします。この大量のスピーカー(ch)をサポートするため、Atmosはこれまでのサラウンドとまったく異なる録音方式を採用しています。
先に説明しましたが、従来のDolbyサラウンドが収録するのは最大で7.1ch、つまり8トラックでした。これを一気に64トラックに増やすのは記録データー量から考えて不可能です。そこでAtmosでは、各チャンネルを「音」としてではなく、「音+情報(演算用メタデーター)」として提供するように大きく変わりました。これをもう少し詳しく説明しましょう。従来のDolbyサラウンドでは、各チャンネル(L/C/R/SR/SL/SLB/SRB)の「音そのもの」がディスクに「録音」されていました。これがAtmosでは、「素材としての音」と「演算データー」として記録されます。つまり、従来の「7.1chの音」はAtmosでは収録せず、「素材(原料)」として記録する音と、その音から必要な音を作り出すための「情報(メタデーター)」が記録されています。従来は録音された音を出力していたAVアンプが、Atmosでは素材を元に演算し各チャンネルの音を「すべてAVアンプが作り出す」という大きな違いがあるのです(Atmosを詳しく見る)。
しかし、Dolbyが用意しているAtmosのページを見れば、解説を読めばその開発方向は「映画館」だと分かるでしょう。なぜならば、家庭では最大64chにもスピーカーを増やす必要もなければ、Atmosが実現するという「スクリーンと一致する動き」もすでに既存のDolbyで十分に実現しているからです。では、従来のDolbyとAtmosの唯一の違いはどこにあるのでしょうか。それは「ハイトスピーカー」にあります。すでに各社が行ったDolby AtmosのDEMOをいくつか体験しましたが、「ハイトスピーカー」の効果は大きくハイトスピーカーを追加することで上方向への音場展開が拡大しました。この効果を現実の映画の場面に当てはめて考えた場合、アクション映画や最新サイファイ映画でなければ、「物体が上方向で移動する様子」を表現することはあまりないと考えられます。しかし、普通の映画でも「室内と室外の違い」、「空間の大きさ(天井の高さ)」の違いが再現されると臨場感はかなり違ってきます。つまり、ハイトスピーカーが再現するのは、「上方向での音の動き」よりも、単純に「上方向へ音を広げる」効果だけで十分なのです。
ここで各社が行ったDEMOの体験を書いてみます。複数のAtmosのDEMOソフトを視聴しましたが、上方向への音の動きが明確すぎて(わざとらしすぎて)ほとんどのソフトが非常に不自然に感じられました。しかし、従来方式のDolbyで録音されたソフトをAVアンプのDSPで処理してハイト信号を作り出して、擬似的なハイト信号をスピーカーで再生すると、音場が上方向に大きく広がり、その広がりも非常に自然に感じられました。ハイトスピーカーの追加により狭い部屋で映画を見ているという感覚が消え、天井の高い映画館で映画を見ている雰囲気が出ました。現時点での経験からは、Atmosよりもハイトスピーカーの追加による音質改善がはるかに大きく感じられたのです。
このようにDolby Atmosを高音質で再生しようと考える場合、「ハイトスピーカー」は必須だと思います。その考えでAVアンプを見れば、ハイト用のパワーアンプが搭載されない7.2chのDENON AVR-X4100Wは、やや中途半端に思えます。もちろん、プリアウトを使ってハイトスピーカー用のパワーアンプを後から付け足すことができますが、それなら、YAMAHA RX-A2040のようにハイトスピーカーを含めた9chのアンプを搭載するアンプを買う方が安上がりです。つまり、AVアンプの搭載するパワーアンプが7.1(7.2)chならばAtmosに対応する必要はなく、Atmosを聞きたいなら9chアンプとハイトスピーカーが必要とされるということになります。各メーカーもこのあたりの事情はよく分かっていて、ハイトスピーカーを天井に付けず(家庭のシアターで天井へスピーカーを増設するのは難しい)にハイトスピーカーの効果を出せるように、スピーカー上方にハイト用スピーカーをインテグレートした、新しいフロント・スピーカーを順次発売してくるようです。
話をまとめましょう。
もし今までのサラウンドに特に不満を感じられていないのであれば、買い換えるアンプが「Dolby Atmos対応」である必要はないと思います。また、Atmosに対応するAVアンプに慌てて買い換える必要もないと思います。YAMAHA RX-A1040、RX-A2040、DENON AVR-X4100Wの選択は、Atmosが必要ならRX-A2040+ハイトスピーカーが必要で、Atmosがいらないなら「音質の好み」でYAMAHA RX-A1040とDENON AVR-X4100Wを選択すればよいということになります。
なぜこれほど長い前置きを書いたかというと、今回のテストで重要なポイントは、AVR-X4100WとRX-A1040の「どちらの音が良いか?」を説明しようとしたからです。当然、DENON AVR-X4100Wは、YAMAHA RX-A1040とまったく同じ環境で試聴しました。
試聴に使ったスピーカーシステム
フロントスピーカー | センタースピーカー | リアスピーカー | ||
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試聴に使ったプレーヤーとデジタルケーブル
iPod Touch(第4世代)+ audioquest USB-DIAMOND
AIRBOW UD7007 Special + audioquest HDMI-Vodka
DENON AVR-X4100W メーカー希望小売価格 ¥150,000(税別)生産完了 (DENON最新モデルのご購入はこちら) |
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AVR-X4100Wの試聴に先立ち、ウォーミングアップを兼ね3時間ほど様々な楽曲を聴いてみました。基本的にはワイドレンジで低音もパワフル、ぐんぐん前に出てくる元気な音です。高域がほんの少しざらつき、子音が強調されるので長時間POPやROCK系の音楽を聞いていると少し疲れました。すべてのchを温めるため、ウォーミングアップは「DTS:NEO X」で行いましたが、試聴の前に「Stereo」と「Direct」、「Pure Direct」を聞き比べました。「Stereo」<「Direct」<「Pure Direct」の順に音が少し細かく、高域が伸びて感じられました。ただ、「Pure Direct」はソフトの粗まで出てしまうように感じられたので、音楽ソースの試聴は「Direct」で行いました。
iPod touch USB接続 音質テスト(音源はCDから取り込んだWAVファイル)
A Child is Born / Junko Mine "My One and Only Love"
「Direct」
DENON AVR-X4100Wの前モデルAVR-X4000を聞いた時の印象は「しっとりとして穏やか」でした。AVR-X4100Wではこれががらりと変わり「元気はつらつ」としています。ただし、これは試聴に使ったスピーカーが、AVR-X4000:Sonus Faber Venere3.0、AVR-X4100W:Focal 1028BEという違いが若干影響していると思います。
ピアノの音は打鍵感(アタック)が明瞭に再現され、共鳴箱の中でハンマーが弦を打つ音が感じられるほど明瞭度の高い鳴り方をします。このクラスのアンプではほとんど再現されることのない、グランドピアノの低弦の響きが克明に再現されて驚きました。中低音が力強く、ボーカルもお腹の底から声が出てくるようにエネルギッシュですが、力強いだけの音ではなく高域の繊細感と色彩感が伴います。
高域の角(輪郭)が若干強調されるため、音がスピーカーの前方に定位します。ボーカルとピアノ伴奏の距離はやや浅い感じです。音がクッキリして美しいですが、前後方向の広がりの浅さと輪郭の強調感が災いして、演奏が少しあっさりして聞こえます。その音を画像に例えるなら、シャープネスとコントラストを少しあげてクッキリ魅せている、店頭効果のあるTVのイメージです。
いい音ですが、少し「若い音」で峰純子さんのJazzが鳴りました。
「DSP(DTS:NEO X/Music)」
これまで聞いてきた感じでは、YAMAHAを除く各社のAVアンプでステレオ信号を疑似サラウンドで聞く場合、「Dolby」もしくは「DTS」が用意しているモードが使えるように思います。そこで他のモードは聞かず、「DTS:NEO X/Music」を選択して聞き始めました。
「DTS:NEO X/Music」は、実に上手くこの曲にマッチします。気になっていた高域の強調感が緩和され、ボーカルとピアノ伴奏の奥行き感が改善されました。センタースピーカーが加わることで、やや大きかったボーカルの口元が中央にコンパクトに定位します。響きも増えて、ピアノがボーカルの後側にゆったりと展開する理想的な音場が実現しました。
やや「若い音」だった演奏に艶が出てしっとりとした大人のムードに変化しますが、これは使っているセンタースピーカーAIRBOW IMAGE11/KAI2の力も大きいのだと思います。このスピーカーから出る声は実に生々しく、声の再現性だけなら大げさではなく百万円を超えるスピーカーを上回るほどです。その効果でボーカルが一段と滑らかで、艶やかになったのだと思います。
フロントスピーカーに使っているFocal 1028BEが搭載する高性能なベリリウムツィーターのキリリとした音が、ピアノの硬質な美しい響きを見事に再現します。「Direct」の「浅いJazz」が、ナイトクラブで聞く「大人のJazz」に変貌しました。この違いは想像を遙かに超える、驚くほど大きなものでした。
Ballad Collection Mellow / DOUBLE "Stranger"
「Direct」
高音にノイズ感がなく、イントロの音が澄み切っています。その音の美しさはYAMAHA
RX-A1040にも通じるのですが、ウインドベルの芯の強さ、低音の力感でAVR-X4100Wが断然優れています。
AVR-X4100Wが搭載するパワーアンプはスピーカーを駆動する力が強いようで、スピーカーから音が離れてぐいぐい前に出てきます。スピーカーに音がまとわりつかない、このパワー感はこの価格帯では随一でしょう。また、RX-A1040で感じた「低音の乾き(収束が少し早すぎる)」こともなく、低音は引き締まった量感と、適度な広がり感(ドライブ感)が両立しています。ただ、ボーカルと伴奏の「主役・脇役」の描き方が浅く、ボーカルを聞きたいときに伴奏が耳に付く感じが若干気になりました。
全体的にはよい音で、ピュアオーディオ機器と比べても何ら遜色のない音、自然なバランスでストレンジャーが鳴りました。
「DSP(DTS:NEO X/Music)」
My One and Only Loveでは1種類しか疑似サラウンドを試さなかったので、このソフトでは一通りプログラムされているDSPを試しました。しかし、そのどれもが「効果がわざとらしく」あまり芳しくありません。この点ではやはりYAMAHAが搭載する「YAMAHA独自のDSPプログラム」が優れているようです。そこで再び「DTS:NEO X/Music」を使います。
ボーカルはMy One and Only Loveと同じようにしっとりとしますが、この曲では高域が少し強くなりすぎる印象です。元々、そういう録音なのですが、もう少し高域が弱い方が聞きやすいと思います。伴奏は相変わらずパワフルですが、ボーカルに被り込む度合いが緩和されました。
クリアでパワフル、若々しさと艶やかさが上手くバランスした、良いムードでこの曲が鳴りました。
「Direct」
YAMAHA DSP-A1040同様に、弦楽器の音は高音までスッキリ伸びて魅力的な鳴り方をします。さらにスッキリと明瞭な高音に負けない中低音の力強さを兼ね備えているのは、DSP-A1040を超える魅力に感じられます。
バイオリン、チェロ、コントラバスの違いはきちんと出ますが、弦の音が若干金属的で、弦楽器の音がややチェンバロに近いイメージになります。
すべてのソフトで感じられた「僅かな高音の強調感」が、ホール前後方向への音の広がりを浅くしています。一つ一つの音は良い音ですが、小さなホールで凝縮した音で鳴っている印象です。この点では、ふわりと心地よく音が広がったYAMAHA RX-A1040との違いが感じられました。
「DSP(DTS:NEO X/Music)」
今回テストしたすべての「2chソフト」は、「DSP(DTS:NEO X/Music)」を使うことでその音質が飛躍的にアップしました。このソフトにもそれが当てはまりますが、特に広がりが求められる協奏曲の再生では、「DSP(DTS:NEO X/Music)」を使うことでホールの響きとサイズが大きく改善し、室内楽程度のホールからきちんとしたコンサートホールへ楽団が移動したのでは?と感じられるくらい大きな違いが感じられました。
気になっていた高域の僅かな強調感も消えて、帯域バランスが適正化されコントラバスの音に暖かさと厚みが出ました。チェロの音も、チェロらしい太さ(バリトンのような)が出てくるようになります。
「Direct」で聞いたこのソフトは、マルチマイクの弊害ですべての音が同じ大きさで録音されていたように聞こえました。それを「DSP(DTS:NEO X/Music)」で聞くとその圧迫感が見事に消えて、生演奏と同じような自然な音場が実現しました。
BDプレーヤー HDMI接続 音質テスト(音源はCD)
iPod Touchとの組み合わせで一通りのジャンルを聞いた後、AIRBOW UD7007 Specialにそれぞれのディスクをセットし、iPod+USBとUD7007 Special+HDMIの音質を比較しました。ヒラリー・ハーンのバッハコンチェルトは、ハイブリッドディスクなのでCD/SACDレイヤーを聞き比べてみました。
A Child is Born / Junko Mine "My One End Only Love"
「Direct」
気になっていた高域の強調感が、解消しました。
まだ、音が少し若く、浅いイメージですが、それはすでに欠点ではなく「傾向」として許せる、あるいはAVR-X4100Wの「魅力」として感じられるようになっています。依然ピアノの低音の厚みの凄さは、クラスを超えて一体型AVアンプの中でもトップクラスだと感じられます。ただ、時にはその低音の押し出しが若干わざととらしく感じられ、煩わしく(ちょっと不自然)」感じる事があります。また、YAMAHA RX-A1040ではiPodとUD7007 Specialで音が別物のように変わったのですが、AVR-X4100Wではその差はそれほど大きくありません。UD7007 Specialとの組合せならYAMAHA RX-A1040がより魅力的だと思いました。
Ballad Collection Mellow / DOUBLE "Stranger"
「CD:Direct」
iPodと比べると全体的に音が細かく、スムーズで骨格もしっかりしています。ただ、やはりMy One and Only Loveで感じたように、iPodとUD7007 Specialの違いはそれほど大きくありません。どちらかといえば、iPodの音が良すぎたという印象です。
「DVD:Direct」
ソースをDVDに変えるとCDで感じていた癖が完全に消えてしまいました。高域の強調感の煩わしさ、音場前後方向の浅さ、楽器とボーカルの分離感、すべてが素晴らしく改善します。
CDの高域の切れ味を「鉈」に例えるならDVDの切れ味は「カミソリ」です。音の一つずつの角が完全に再現され、音が「良い具合に尖って」います。だから、音が身体の中にすぅ〜っと入ってきます。低音はやはり力強く、高域に負けない厚みがあります。
旧モデルAVR-X4000の音を和食に例えるなら、AVR-X4100Wの音は洋食です。スパイスがきいた、キリリとした音でストレンジャーが明るく鳴りました。
「CD:Direct」
My One and Only Loveとストレンジャーでは、iPodとUD7007
Specialで聞くCDの違いはそれほど大きく感じられませんでしたが、ヒラリ・ハーンのバッハコンチェルトはかなり大きな差が感じられます。
気になっていた弦の音が金属的に感じられる傾向が改善しました。高域の強調感が消え、前後方向への音の広がりが大きくなりました。最も「よくなった」と思えるのは、各楽器のパートが分離しながら、ハーモニーを構成するその様子が「生演奏のように自然に感じられる」ように変化したことです。この音であれば、下手なピュアオーディオ・プリメインアンプは不要でしょう。DENON製品であれば、少し前の2000番Seriesの大型プリメインアンプよりも、音が良いと感じるほどです。PMA-2000 Seriesよりも「音が良い」が言いすぎであれば、「音が自然」です。それは間違いありません。
「SACD:Direct/Multi」
SACDをDSD Direct、Multiチャンネルトラックを聞いてみました。
音の細やかさと高域の繊細さが改善しますが、その差は想像ほど大きくはありません。リアチャンネルから音が出るので、身体を包み込むように音が広がりますが、生演奏と比べると「後の音が薄い」感じです。しかし、それはリアスピーカーの音量を大きくすれば解決するような問題ではなさそうです。
確かに音はよいのですが、CD+DSP(NEO X Music)と比べて圧倒的に音が良いかと問われると答えに窮する感じです。普通によい音です。ただし、15万円というAVR-X4100Wの価格を考えると、素晴らしい音が出ていると思います。
「DLNA」
AIRBOWでは音の良いサーバーとして"MSS/MSP
i5/MSHD"をラインナップしています。今回はこの兄弟モデルiCAT Ink.
HTPCをAVR-X4100Wに繋いで聞いてみました。
iCAT Ink. HTPCのLAN出力はDLNA(1.5準拠)なので、アンプ側がDSDの再生に対応していればネットワーク経由でDSDのネイティブ再生が可能です。しかし、なぜかYAMAHA AVアンプとの接続では、ハイレゾは再生できたのですがDSDファイルが再生できませんでした。しかし、DENON AVR-X4100Wとの組み合わせでは、各種のハイレゾファイルに加えDSF/DFFのDSDファイルをネットワーク経由で聞くことができました。
SACDと同じ音源のDFFファイルを聞いたのですが、CDよりは明らかにきめ細かく、音の質感も高く、立体感にも優れていました。ネットワーク経由のハイレゾ、DSDファイル再生の音質は、ディスクメディア(BD・DVD-A、SACD)のそれとほとんど変わらないばかりか、CDで気になった高域の強さや音質の不自然さが完全に解消した素晴らしいものでした。DENON AVR-X4100Wのネットワーク再生は、iCAT Ink. HTPCを使えばとても良い音で鳴ります。
「Dolby:Atmos」
Dolby AtmosのDEMOソフトを再生して、高音質マイクで録音してみました。その動画ファイルをYouTube
逸品館チャンネルにアップロードしています。
工場出荷設定時のサウンド | MCACC PROで設定したときのサウンド |
試聴後感想
AVR-X4100Wは前モデルAVR-X4000とは性格が全く違います。X4000を上品で大人しいお姉さんに例えるなら、X4100Wはクッキリ美人で快活な妹です。低域から高域まで音がはっきりしています。ただ、高域はメディアやソフトとの相性で若干強すぎる(気が強すぎる)傾向が感じられ、長く聞いていると(長く付き合っていると)ちょっと疲れる感じがありました。
YAMAHA RX-A1040は大人の音楽アンプ。フォルム時代の映画のパートナーとして、DENON AVR-X4100WはクッキリしたアップテンポなPOPSやROCK、デジタル時代のジェットコースタームービのパートナーとして、それぞれ棲み分けられると感じました。
それにしても、最新の10万円台AVアンプの実力の高さには舌を巻かされます。
2014年9月 逸品館代表 清原裕介
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