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Esoteric(エソテリック) K-01Xs K-01X K-03Xs Grandioso K-1 比較 試聴 レビュー 評価Esoteric(エソテリック) K-03Xs、K-01X、K-01Xs、Grandioso(グランディオソ) K-1 音質比較 (ネットワーク・トランスポーター Esoteric N-03Tの比較試聴はこちらからご覧いただけます) 2018年3月1日より、EsotericからK-01X、K-03Xのマイナーチェンジモデル「K-01Xs」、「K-03Xs」が発売されました。 主な変更点は、電流音声出力「ES-LINK アナログ」搭載ために「出力バッファ回路」が設計変更されたこと、使用DACチップが「AK4495S」から、Grandioso K-1と共通の最新チップ「AK4497」に変更されたことなどです。また、DACのリニューアルに伴い「USB入力」の対応周波数が向上しています(下図参照:赤字が変更点です)。 今回は、新製品「K-03Xs」、「K-01Xs」の試聴に加え、従来モデルの「K-01X」、さらに同じDACを搭載する上級モデル「Grandioso K-1」を加えた、4台を比較試聴しました。 上図のように、K-03XsとK-01Xsは、搭載するDACと電源トランスの数が大きく異なるので、音質はそれなりの違いが出ると予想されます。しかし、K-01XsとK-1の仕様にはそれほど大きな違いがありません。では、それを試聴で確かめましょう。 Esoteric(エソテリック) K-03Xs メーカー希望小売 980,000円(税別) (メーカーホームページ)
Esoteric(エソテリック) K-01Xs メーカー希望小売 1,600,000円(税別) (メーカーホームページ)
Esoteric(エソテリック) Grandioso K-1 メーカー希望小売 2,300,000円(税別) (メーカーホームページ)
試聴環境 アンプには、やや無機的で艶が少ないEsotericの鳴り方を「補う」ために、艶やかで透明な音質の特徴のAIRBOW PM14S1 Masterを選び、スピーカーには普段使っているBeethoven Concert Grand(T3G)よりも高性能な「Liszt」を選び、それぞれのプレーヤーの設定は「デフォルト(工場出荷時設定)」で聞き比べました。価格的にはアンプが安すぎるように感じられるかも知れませんが、低音の量感や透明感、きめ細やかさなど、聞き比べには十分な音質が出ていたように思います。 AIRBOW PM14S1 Master 特別販売価格 309,000円(税込) Vienna Acoustics Liszt メーカー希望小売価格 2,000,000円(ペア・税別) 試聴ソフト
動画による音質比較(準備中)
(CD) 水の音は輪郭が少し太く、水の流れが粘っこく感じられる。 バイオリンの音に少しヒゲがつき、擦れる音が、強く、音が「かすれる」感じがある。 全体的にやや粉っぽく、演奏を「虫眼鏡」でクローズアップして聞いている感じがする。 100万クラスのCDプレーヤーとして、この鳴り方には不満を感じる。 (CD) ギターは、Esotericのプレーヤーらしく、指使いがハッキリ見える鳴り方をするが、音の線が太く、響きも少し濁っている。 (CD) 低音は太く、しっかり出るが、ウッドベースの「切れ味」が甘く、音像も膨らんでしまう。 シンバルの金気は出ているが、アタックの鋭さとカチッとした金属らしい密度感の再現が甘い。 ディスクの録音せいかもしれないが、高域が伸びたりずSACDらしい高音の伸びやかさが出てこないので、パッと聞く感じでは、CDとほとんど差がないように思える。けれど、じっくり聞けば、細部のディティールはより細かく出ているし、トランペットの音にも「唇のやわらかさ」が出てきているのが分かる。ウッドベースの倍音もよく伸びる。
(CD) K-03Xsに比べて、圧倒的に空間の「見通し」が良い。音場は透明度が高く、前後方向への広がりも大きい。K-03Xsでは、足りなかった鳥の鳴き声のバリエーションもきちんと出ている。 (CD) K-03Xsでは「薄っぺら」だったバイオリンの音だが、厚みと細やかさが増して俄然本物らしくなってくる。 一音目から、納得できる「グレースマーヤ」の声が聞ける。 グーレス・マーヤさんが声を止めるところの「吐息」のような雰囲気も良く出るし、呼吸する胸の動きも見えてきた。 音の立ち上がりのスピードが、K-03Xsとは全然違っている。 K-01Xの高音は鋭く、シンバルはきちんと高音までのび、ウッドベースのキレと唸りも出てきた。 (SACD) K-03Xsで感じたように、K-01XでもSACD層の音はパワー感が削がれている。特にトランペットのパワー感が小さくなっている。 ドラムも湿ってしまった。演奏が小ぢんまりして、いただけない。 音が少し大人しくなった感じがある。CLASSICは違うだろうが、JAZZには SACDよりもCDの「粗さ(強さ)」が合うようだ。
(CD) 高音の輪郭は、K-01Xよりも強く感じられ、鳥の声も少し耳障りだが、これは「エイジング(こなれ)」の違いかもしれない。 (CD) K-01Xsは、高域の輪郭(隈取り)がやや強めに出るためか、K-01Xに比べると音源が少し近い。K-01Xはほどよい距離感で「会場全体」が見えるが、K-01Xsは「バイオリニストにスポットライトを当てた」ようにステージがより近く見え、「奏者を取り巻く空気感の再現性」では、従来モデルのK-01Xに劣っているように感じられた。 バイオリンの擦れ音も少し強すぎるように感じられるし、全体的なバランス感覚は、K-01Xの方が優れていたように思う。 (CD) ギターの音が少し太くなりすぎている。また、ボーカルとギターの分離感は高いのだが、ボーカルとギタリスト二人の距離が少し遠くなったように感じられる。 (CD) K-01Xに比べて音は太いが、創出されるパワー感が弱い。ボーカルも力がなく、グレースマーヤさんの弾けるような元気さも、日野皓正さんの切れ込んで来る「トランペットのパワー感」も後退している。トランペットの弱々しさは、日野皓正さんの「年のせい」なのか?と思いたくなるほどだが、今までこのディスクを聞いて「そんな風」に感じたことはなかった。 「K-01X」では、SACDよりもCDが良かった。けれど「K-01Xs」では、SACDが断然いい。これは、一音が出た瞬間にわかる。 高音がしっかりの伸びて、音に力が出てきた。もう少しパワー感や荒々しさが欲しいが、これはこれで落ち着いた大人の雰囲気だと思う。変更されたDACチップにより、この音の違いが生まれているのかもしれない。
(CD) 一つ一つの音がしっかりして空気感が濃くなり、圧倒的にリアルな雰囲気だ。 しかし、今回組み合わせたスピーカーは相応だがアンプがちょっと弱かったせいかも知れないがが、Grandioso K-1=最上級モデルという位置付けや、価格差を考えると、もう少し大きな違いが欲しい気もする。 (CD) 音の質が「K-01Xs」とはまるで違っている。目の前のコンサートを聴いている雰囲気がとても濃い。 (CD) この曲でも、音が出た瞬間から「K-01Xs」には戻りたくなくなる。 「K-1」で「この雰囲気が出せる」のなら、なぜ「K-01Xs」でそれが出てこないのか、出せないのかが不思議に思えてくる。 この音なら、大枚をはたいても惜しくないと思える。 (CD) 音が出た瞬間、体を包む空気が揺れた。それくらい低音がよく出ているから、ベースの音は、一オクターブくらい低く感じられる。高音も伸びやかで芯があり、シンバルもびっくりするくらいリアル。 トランペットは鋭さだけではなく、柔らかさとパワー感さえ出てくる。日野輝正さんが若返り、まるで違うトランペッターが「違う楽器を吹いている」ように感じられる。 そして、私がEsoteric全体に感じる不満、演奏の「熱さ」もきちんと出てきているからたまらない。 CDの音があまりにも良かったので「SACDを聞いていた」と勘違いして試聴を終了し、ソフトを取り出しそうになった。 間違いに気づいて、再生レイヤーをSACDにセットし直して聞く。曲が始まると、音がほんのわずかに細かくなり、シンバルも高域が伸び低ることが分かるが、耳をそばだてても、CDとの違いはほんのわずかでしかない。 試聴後感想 今回は、Esotericから拝借した「K-03Xs」、「K−01Xs」に弊社に設置している「K-01X」、「 K-1」を加えた、4モデルを聞き比べてみましたが、その結果は私の予想を大きく裏切りました。 一つ目の「えっ!」は、「K-03Xs」があまりにも「K-01Xs」と大きく違ったことです。 「K-03Xs」の価格なら、他に選択肢はいくらでもありますし、価格は安くても「marantz SA10」のほうが、ずっと音が良いと思います。予算的に「K-01Xs」に手が出ないなら、迷わず「K-01Xの中古」を探します。 二つ目の「えっ!」は、一つ目よりはずっと小さいですが、「K-01Xs」と「K-01X」の違いの小ささにも驚きました。 「K-01Xs」はエイジング不足が考えられるほど「K-01Xs」との差が小さかっただけではなく、音楽的表現力では、むしろ「K-01X」の方が好ましく思えたほどでした。 もし、これが本調子の「K-01Xs」の音ならば、私は「 K-01X」を買い換えず、バージョンアップもせずそのまま使います。どうしても「お金を使いたい」のならば、Mutec MC3+ USBなどの「良質なクロックジェネレーターを追加」するでしょう。 最後の「えっ!」は、一つ目と同じくらい大きなものです。 「K-01Xs」が160万円。「Grandioso K-1」は、230万円。フロントパネルなどの「意匠」がずいぶん違う割には、価格差が小さく、使われているメカニズムやDAC、トランスの数などが「K-01Xs」と同じということで、音が本当に良いのがドキドキものだったのですが、その予想も良い意味で大きく裏切られました。 現時点でも「CDプレーヤー」のベストは、TAD「D600」だと感じていますが、多機能やデザインを考えると「Grandioso K-1」もそれに匹敵すると思います。少なくとも200万円強の価格帯では、内外ベストモデルの一つに間違いありません。 Esotericには「独特のサウンド」があります。音楽の熱さが体に伝わるTAD「D600」とは対照的な、「頭(耳)で聞かせる」その「クールな感じ」が、個人的な好みには合わないのです。しかし、「K-1」からは、音楽の魂が伝わる「熱い音」が出てきました。 K-1の持つ「熱さ」は、Esotericでは特別です。しかし、同時に「K-1」でこれほど完璧に近い音が出せるなら、「K-03XS」や「K-01Xs」の「中途半端な仕上がり」には、大きな疑問を感じます。 価格が2倍3倍違うのならともかく、私は「K-01Xs」を買うのなら、「K-1」を買う方が絶対に後悔しないと思いました。 このように、ことごとく予想が裏切られた「今回の比較試聴」ですが、ただ一つ裏切られなかったことがあります。 それは「Esotericの迷走」です。 今回の結果を極端に言うなら、「K-03Xsは落第」、「K-01Xsは普通」、「K-1は最優秀」とモデルによって満足度に大きな違いがあったのです。 このホームページを制作した数日後に、私がパーソナリティーを務める「Music Bird The Audio channel 逸品館 清原裕介の音楽を10倍楽しむ方法」で、Esoteric K-01Xs、N-03T、Grandioso K-1を取り上げたとき、ゲストとしてEsoteric設計責任者「加藤氏」をお招きし、音決めなどについて詳しくお伺いすることができました。 チェック用の音源には、「音源数の多い、鳴らしにくいソース」を主に用い、モニタースピーカーには、生産完了した「Esoteric MG-20」を使っていると言うことでした。MG-20は、癖が少なく品位の高いスピーカーだと思いますが、「艶の再現」よりも「音の再現」のほうが得意です。このスピーカーの持ち味を引き出すには、音を細かく聞かせることで音楽を伝えるための「解像度が高くやや分析的な音質がマッチ」するはずです。私の好みはともかくとして、Esotericの特徴である高解像なサウンドは、このモニタースピーカーとのマッチングに理由がありそうです。 そして、製品の最終音決めには「エンジニア」だけではなく、営業が参加する「会議で決める」と伺いました。AIRBOWのように一人のエンジニア(清原)が音決めをすれば、全モデルに通じる「サウンド」を生み出せます。しかし、複数の人間が音決めに参加するとそれができません。私が「迷走」と感じた、モデルによる音質の違いの大きさは、こういう理由で生まれているようです。 今回試聴したような高級機器の音質評価は、組み合わせる機器とのマッチングで「その印象」が大きく異なります。何度も買い換えを繰り返せる「余裕」があるのならともかく、ここまでの高級機・高額機の購入には、馴染みのお店に「自宅試聴」をお願いして「自宅環境で事前にじっくり聞いておけば」後悔のない買い物ができるのではと思います。 私は、marantz「SA-10」は、Esoteric、Luxman、Accuphaseの高級モデルに匹敵する音の良いCD/SACDプレーヤーだと思っています。けれど「外観デザイン」だけは、「他の高級機とマッチングが悪い」と思えるのです。個人の好き嫌いが決定を左右する趣味製品選びは、人の意見があまり参考にならずなかなか難しいと思います。近道は、悩むより見て聞くことだと思います。 2018年4月 逸品館代表 清原裕介
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