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MUTEC MC3+ USB クロックジェネレーター 正規輸入品音質テスト逸品館がおすすめしてきた高音質クロックジェネレーター「Antelope Audio OCX」の生産が完了。後継モデル「HD」は、機能が向上しましたが価格もアップしました。OCXの代わりにおすすめできそうな、10万円を超えるくらいで音の良いクロックジェネレーターを探していたところ、比較的低価格のクロックジェネレーターを発売するドイツの「MUTEC(ミューテック)」社から、新発売された15万円を切る価格のクロックジェネレーター「MC3+ USB」に目がとまり、正規輸入代理店(ヒビノインターサウンド扱い)から試聴機を取り寄せてテストすることにしました。 ※MUTEC社のクロックジェネレーター「MC3+」は、並行輸入品が販売されています。並行品は日本国内でのメーカー保証が効きません。故障時の修理対応や、その他のアフターサービスやは正規輸入品が、圧倒的に安心です。代理店を通さないことで流通コストをカットしているので並行品は価格は安いですが、様々な問題があります。価格差がそれほど大きくないので、MUTECは正規品がおすすめです。 「MC3+ USB」には、PCとUSB接続した場合、送られてくる「PCM/DSD/DoP」信号を受信し、MC3+の内部高精度クロックで信号をリクロックすることでジッターを低減し、PMC信号として(DSD/DoP信号はPCMに変換されます)出力する機能を備える他、S/PDIF(同軸/光)、AES/EBU信号のリクロック機能も備えています。 この機能が不要な場合、MUTECから発売されている「MC3+」で良いと思ったのですが、輸入代理店に確認すると「内部の回路がMC3+ USBが新しく音質も良いだろう」とのことでした。メーカー希望小売価格も「MC3+ USB:148,000円/税別」、「MC3+:145,000円/税別」とたった、3.000円/税別しか変わらないので、わざわざMC3+を買う必要はないと思います。 MC3+ USBの機能について詳しくは、「輸入代理店ヒビノインターサウンドのHP」をご覧いただくとして、ここでは「オーディオ的に有効な機能」だけをかいつまんでご紹介しておこうと思います。 MC3+ USBの主な機能
このように「MC3+ USB」は、通常のクロック発振機能だけではなく、PCから出力されるUSB信号(PCM/DSD/DoP信号)をリクロックしてS/PDIF、AES/EBU信号として出力することができます。この機能を使えば、USB入力が備わらないDACをUSB-DACとして使うことができるので便利です。 さらにMC3+ USBがリクロックできるのはUSB信号だけではなく、通常のS/PDIF(同軸/光)やAES/EBU信号のリクロックも可能なので、DVDやCDトランスポーターとDACの接続間にMC3+ USBを使えば、クロック入力に対応しないデジタル機器の音質改善も実現します。 MUTEC MC3+ USB メーカー希望小売価格 148,000円(クロム仕上げ/ブラック仕上げ・税別)
試聴環境 今回の試聴には、デジタル信号の送り出し機として「AIRBOW
MSS-i5 MsHD」を使い、USB入力で「AIRBOW N05
Ultimate」に接続しました。アンプは「AIRBOW PM11S3
Ultimate」、スピーカーは「Vienna Acoustics Beethoven Concert
Grand(T3G)」といつものセットで聞き比べました。また、10MHzを発信できる「AIRBOW
GPS-10MH」とのクロック音質比較も行っています。
Vienna
Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す)
AIRBOW
PM11S3 Ultimate (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す)
AIRBOW MSS-i5
MsHD 6.7(現金で購入)・(カードで購入)
AIRBOW N05
Ultimate 販売価格 650,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入)
AIRBOW Ud7007
Special 販売価格 148,000円(税込み)〜(現金で購入)・(カードで購入) AIRBOW GPS-10MH 販売価格 221,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入)
試聴したソフトは、いつもの5曲です。CDからリッピングしたデーターをAIRBOW MSS-i5 MsHDに標準搭載している「HQ Player」で、88.2kHz/24bitにアップサンプリングして聞いてみました。 また、S/PDIFリクロックの音質をテストするため、「AIRBOW UD7007 Special」をトランスポーターとして使用し、5曲をCD-Rに焼いたディスクを使って、MUTEC MC3+ USBの「なし・ある」比較試聴しました。 この比較試聴を「YouTube」の高音質付き動画で見る。 クロックジェネレーター機能音質テスト
同軸デジタル・リクロック機能音質テスト
USB→ (内部クロックで再生) 十分な音質、広がり感、音の細やかさに優れている。 無理なく自然な音。 バイオリンの陰影がよく出る。 S/N感も高い。 リザ・フェルシュトマンのバイオリンと同じように、S/Nが高く、見通しが良い。 ピアノの音が澄み切って、低音が膨らまない。とても丁寧に演奏している様子。 S/Nに優れ、空間の見通しが良い。 ←44.1kHzを入力 音が一層細くなり、奥行きが出る。水の音、鳥の声の分離感が向上、音の細やかさも向上し、明らかな改善が感じられる。 波の振幅が大きくなった。 バイオリンの音がきめ細かく、滑らかになった。演奏している人の様子が伝わってくる。 ギターの音が細かく、エコーが長くなった。 ピアノの打鍵感が軽くなった。低音と高音の分離、アタックと共鳴音、残響の分離感が向上した。 この曲では、比較的変化が感じ取りにくいが、音の厚みが増していることが伝わってくる。 ←176.4.1kHzを入力 水量が増えた。44.1KHzでは聞こえなかった、細かい音まではっきりと聞き取れる。 バイオリニストのブレス(息遣い)まで聞こえそうなほど、リアルで細かい音。 リザ・フェルシュトマンのバイオリンでも感じたように、奏者の「タッチノイズ」まで明確に聞き取れるが、明瞭度を上げた感じではなく、あくまでも自然なままで音が細かくなる。 ピアノの打鍵感がさらに軽くなった。音質がやや明るく、キュートなイメージに変化する。ボーカルは暖かさと深みが増し、ヌーンさんらしい厚みと柔らかさが出てくる。 演奏の温かみが増した。金管楽器が木管楽器のように、暖かく厚みのある音で鳴る。 ←10MHzを入力 MC3+と比べると、音の輪郭がクッキリしている。音の細やかさは対等以上で、より遠くの音まで聞き取れる。 MC3+よりも空気がひんやりとするが、現実の「せせらぎの温度感」には、こちらの方が近いように思える。 ほぼ完全な音質とバランスで鳴り、機器の存在感が完全に消えてしまうので、音質を評価できない。 ギタリストと私の間には、何の障壁もない。 ピアノのキーの動きにさえ「重厚さ」が感じられる。ハンマーと弦の「重量」が見えるような音。 イントロの重厚感が素晴らしい。尊厳なイメージがとてもよく出る。 同軸デジタル(S/PDIF)→ (内部クロック) 音の細やかさはなかなかのもので、想像した以上に音が細かい。明瞭度も高く、鳥の声も自然。 バイオリニストまでの距離がやや遠くなった。もしくは、わずかなベールがかかった。 この演奏の良さを味わうのに、十分な音質。ただし、MSS-i3と比べると情報量が減少していることが聞き取れる。それ以外、音のバランスや関係性はほとんど変化しないところに、AIRBOW製品の音質チューニング(機器調律)のレベルの高さが感じられる。 ピアニストが1音目を集中しながら、譜面の上の音符を愛でるように、ピアノのを奏でている様子が伝わる。 音の芯がやや甘くなるので、演奏が少しカジュアルに感じられるが、聞きやすく心地よい音だ。 冒頭部分の金管楽器の音がわずかに濁る。また弦楽器と金管楽器の距離感(分離感)も低下する。空間の透明感、静寂感も同様に低下するが、BDプレーヤーをソースに使っているとは、到底信じられない品位が高く、細かい音が出る。これはこれで、素晴らしい音だと思える。 同軸デジタル(S/PDIF)→ (リクロック) 同軸デジタル(S/PDIF)→ (内部クロック) 水量が増えた。水の音の滑らかさ、鳥の声のくっきりした感じ、それぞれの分離が向上する。 バイオリンの音の「安っぽさ」がほとんど消えた。 ギターの音の鮮やかさが向上する。グレース・マーヤさんの声も違和感がなくなった。 音が滑らかで厚みがある。ピアノの音は自然。ボーカルも自然。 MUTEC MC3+をUD7007 Specialに合わせて使うと、BDプレーヤーが通常の高級オーディオプレーヤーとほぼ同等になる。 価格で評価するなら、トランスポーター単体として20-30万円クラスの製品に匹敵するだろう。 少なくとも「ユニバーサルプレーヤーの音」ではなく、高級オーディオとして十分鑑賞に値する音質で新世界よりが鳴った。 試聴後感想 MUTEC MC3+ USBは、Antelope Audio OCXに勝るとも劣ることはない、良質なクロックジェネレーターでした。 使い勝手で「OCX」と違うのは、OCXがクロック周波数を上げるに比例して「響きが減る」ので、個人的には44.1kHzで使ってところが、MUTEC MC3+ USBは、クロック周波数に比例して「音質改善効果が高くなる」ので、176.4kHzを使うようになったことです。 また、S/PDIFのリクロックも大きな効果がありましたので、今回はテストしなかった「USBのリクロックとPCM変換」にも音質改善効果が期待できると思います。 2016年12月 逸品館代表 清原裕介 |
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