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アンテロープ オーディオ ocx マスター クロック ジェネレータ 音質 評価 比較 試聴
今まで私が音質向上に納得できた「クロックジェネレーター」はありませんでした。同じコスト(お金)をAC電源やインターコネクトケーブル、デジタルケーブル、インシュレーターなどに使う方が、より確実で効果の高い音質改善が得られたからです。「コストパフォーマンスが良くない」これまで逸品館がクロックジェネレータを積極的に取り扱わなかった最大の理由です。
こんなクロック嫌いの私の所に、クロックジェネレータを販売してくれないか?という依頼が入りました。あまり乗り気ではなかったのですが、とにかく聞いてみないことには判断できないので試聴機を取り寄せました。
届いた試聴機をAIRBOW UX1SE/LTDで繋いで音を出した瞬間!思わず息が止まってしまいました。
こんなすごい音!今まで聞いたことがなかったからです。
私を驚かせたその製品は、Antelope Audio OCX Master Clockと言います。すぐに試聴機を購入し、ずっと3号館で使っていますが、ソフト次第(アナログマスターのデジタルリマスタリング系ソフト)ではCDがマスターテープの音になるほど劇的に音が良くなります。反面、効果があまり期待できないソフト(デジタル系で雑な録音のソフト)も存在しますが、この音を一度聞くと元には戻れません。
価格は?それがビックリするほど安く、逸品館が自信を持ってお薦めしているAETの同価格帯ケーブルよりも効果が高く感じます。
では、その素晴らしいAntelope Audio OCX Master Clockの音質を確かめてゆきましょう。
Antelope Audio ocx Master Clock 32kHZ-192kHz Master Clock Generater 解説はメーカーHPより抜粋 |
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ISOCHRONE
OCXは、クォーツ・クリスタルを完全に隔離し温度管理されたオーブン内に設置、その結果
通信衛星等で採用されている”オーブン・コントロール・ディスクリート・クリスタル・オシレーター“は、最高レベルのクリスタル・オシレーターです。また、ディスクリート・マイクプリアンプは、ICベースのものより、ノイズレベルが低いことは、よく知られていますが、同じ原理が、ジッターに関連したオシレーターにも適用されています。 クォーツ・クリスタルを完全に隔離し、温度管理されたオーブンに設置すると共に、ディスクリート低ノイズ・トランジスターを採用しており、その結果、他社の競合製品と比較して、4−10倍の低ジッター、及び、100倍以上の超安定性を実現しています。 アイソクロンOCXは、デジタルオーディオから、デジタル臭さを取り去り、混じりけのない“ピュア・オーディオ”をデジタルミキサー、プロツール、DAWやデジタル・エフェクターに供給致します。OCXの驚くべきサウンドは、“ジッターコントロール・モジュール”に採用されているAFC(Acoustically Focused Clocking)テクノロジーをベースとしたDDS(Direct Digital Synthesis)に起因します。 Igor Levinにより発明されたAFCは、はじめて、AardSyncに採用され、世界のプロオーディオ業界でベストサウンドクロックとして、賞賛され、さらに、改善されたAFCテクノロジーは、AardSyncIIに受けつがれました。そしてついに、第3世代のAFCテクノロジーが、アイソクロンの製品群に採用されています。他社メーカーは、単にマスタークロックを基本としたDDSを紹介しているに過ぎず、実際にこれらは、初期の第1世代の技術製品です。 10年に及ぶクロックリサーチ歴史のあるアイソクロンOCXと比べれば、遥かに後方に位置する過去のものです。 “私が開発したAardSyncIIとアポジー社の”Big Ben“を超えるのが、私の挑戦でしたが、超低ジッター・ディスクリート・トランジスターオシレ-ター技術の第3世代のAFCは、圧倒的な飛躍で、この挑戦を終焉しました!” アイソクロンOCXは、デジタルオーディオから、デジタルサウンド色を取り去りました。前例の無い“超安定性”と驚異の音質を提供するOCXは、デジタルスタジオでの絶対不可欠なツールです。DVDマスタリング施設から、ライブ編集室にいたるまで、OCXは、すべての接続機材にとって、パーフェクトな同期を保証し、すばらしい音質改善を約束できる価値ある財産です。 |
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音質テスト |
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スピーカーには、試聴テストに最もよく使う Vienna Acousutics "T3G"を選びました。 Vienna Acoustics T3G \900,000(ペア) 生産完了モデル アンプはたまたま試聴機として手元にあったMusical Fidelity A5.5を繋いでいます。 Musical Fidelity A5.5 \400,000 生産完了モデル デジタルプレーヤーには、音質に絶対の自信を持つAIRBOW UX1SE/LTDを選びました。 届いた試聴機には「最低4時間以上のウォーミングアップが必要」と書かれていたのですぐに通電を開始し、試聴までに「タップリ10日間」ぶっ通しでウォーミングアップを行って万全を期しています。 UX1SE/LTD、Musical Fidelity A5.5、BEETHOVEN-CONCERT-GRAND(T3G)の組合せを一聴して感じたのは、「音色の美しさ」です。さすがにMusical Fidelityのアンプは違い、まるで生楽器を聞いているような鮮やかで美しい音色をスピーカーから出します。暖かいが緩くはなく、柔らかいがボケていない、その絶妙のチューニングはソフトの粗を消し、音楽だけをリスニングルームに浮かび上がらせます。ビンテッジという言葉が頭をよぎる、この上ない芳醇なサウンド。ずっと聞いていたくなるような、ずっと身を委ねていたくなるような、桃源郷で聞くような音。なんて気持ちが良いのでしょう。A5.5とT3Gの相性は、想像を大きく越えていました。 その素晴らしい音につい聞き惚れて、「OCX」の試聴を忘れていました! まず、OCXの発信周波数を「44.1kHz」にセットし、UX1SE/LTDにワードクロックを入力し、先ほど聞いていた音と比べてみました。試聴に使ったソフトは「峰純子/チャイルド・イズ・ボーン」です。 接続用のデジタルケーブルには、音質に信頼を持っているAET UR DG75(生産完了モデル)を使いました。 “A CHILD IS BONE” 峰純子 TDCN-5127 クロックが入力された瞬間、あり得ない変化が起きました。これ以上はないと自信を持っていたUX1SE/LTDの音質が一変し、CDをSACDに変えたときよりも音質が一気に向上したのです。 個々の音はハッキリしますが、輪郭は不要に硬くなりません。シンバルに芯が出て、それらしい音になります。トランペットのアタックは鮮明で、空気を切り裂きます。とにかく、楽器の音の変化はすさまじいものです。音量を変えていないにもか変わらず、音圧感が2倍くらいに大きくなりました。 ドキドキする気持ちを落ち着けて、CDを最初に戻し聞き直します。OCX(クロック・ジェネレーター)を使わないときには、聞き取れなかった「マスタテープ」のヒスノイズが聞こえてきます。そればかりではなく、音が出る前から「音源を取り巻く空気感」が聞き取れるではありませんか!まるで目の前にスタジオが出現したような、まるで目の前がスタジオになってしまったかのような、なんて言えばいいのでしょう?リアルという言葉を遥かに通り越し、「生演奏」と錯覚するほどのリアリティーのある音がスピーカーから再現されるではありませんか。こんな音はあり得ません。オーディオでこんな音は、今まで聞いたことがありません。 曲が進むにつれて楽器の音の美しさ、ボーカルのデリケートさ、そしてエネルギー感、あらゆる表現力がすさまじく向上し、思わず目には涙が溜まるほど感激しました。想像だにしなかった、こんな世界がまだオーディオにあったなんて!暖かいエネルギーと感動に満ち溢れた音。最高のレコードシステムで同じ曲(同じマスターからダイレクトカットされたレコードを持っています)を聴いたときを遥かに超える素晴らしいサウンド!今日は、私のオーディオ史上記憶に残る幸せな日になりました。
感情に溺れるのはこれくらいにして、OCXのさらなる力を引き出すことにチャレンジします。 付属する説明書の推奨周波数は、私が今聞いている「44.1kHz」1ではなく「176.4kHz」となっています。そこで発信周波数を44.1kHzから176.4kHzに変更して試聴を再開しました。 一段と音質がクリアになります。余計なものが浄化されて、さらに演奏の本質に一歩近づいた感じがします。しかし、元々相当音が良いUX1SE/LTDとの組合せでは、ちょっと「行き過ぎた」感じがしなくもありません。音は良くなりましたが、「スタジオ」が見えてきました。44.1kHzでは「ステージ」が見えていたので、好みの違いはあるかもしれませんが、私は「ステージ」が見えた44.1kHzの音により強く感動しました。 ※その後の経験からCD/SACDでは、OCXの発信周波数を高くすると「音質の明瞭度(純粋な音の良さ)」が向上する事が分かりました。今回は44.1kHzと機器の相性が最良でしたがソフトの録音状態や、機器との組合せ次第で最良の周波数は変化します。色々とお試し頂くのが良さそうに思います。CD/SACDでは、発信周波数と関連して音質が明瞭に変化するので最良の周波数を選ぶのは、それほど難しくないと思います。 DVD系のソフトでは発信周波数を無闇に上げず48kHz(特にドルビーデジタルではその感じが強い)で固定する方が音が良さそうに感じましたが、CD/SACDと比較して音質変化の幅が小さく周波数を選択するのは難しいかも知れません。よくわからない場合には、48kHzをお使い頂くことを薦めいたします。
Antelope Audio Isochrone OCXはラックマウント機器(フロントのねじ穴で業務規格のラックに固定する)のため、脚が着いていません。そのまま直置きするとラックに傷が付きやすく、本体も上手く固定できません。 を併用すると、音質的にも設置的にも良い結果が得られると思います。
電源ケーブル交換による音質の変化は、ボードを遙かに上回ります。個々の音がよりきめ細やかに、高域のレンジが大きく伸びます。CDからSACDへソフトを変えたような、それくらい大きな変化が認められました。
最後にクロックをプレーヤーに送るデジタルケーブルの音質変化を検証しました。それまで使っていたAET DG75を一旦外し、AIRBOW MSD-090Vに変えて見ました。 AIRBOW MSD-090V 生産完了モデル 解像度感が僅かに低下しますがMSD-090Vの持ち味である「暖かさ」が音に乗ってよりアナログ的な音になりました。音質は明らかに劣化していますが、音楽としてはこれでも全然悪くない感じです。その価格差を考えるなら、MSD-090Vでも十分納得できる音質改善は実現します。 AET UR DG75(生産完了モデル) しかし、どちらのケーブルが欲しいか?と問われれば、間違いなくAETを選びます。やはり「聞こえない音が聞こえるようになる」その魅力には抗えないからです。いずれにせよ、ocxを使うときにはBNC端子付きの良質なデジタルケーブルをお選び頂くのがポイントです。 |
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総合評価 |
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試聴のまとめに、今回のシステムでベストバランスが得られた「ノーマル電源ケーブル」、「床のカーペットに直置き」、「デジタルケーブル AET DG75」に戻してディスクを聴き続けました。 「オーディオと出会えて良かった」、それが実感できるサウンドです。そして遂に断言します。デジタルは、アナログを超えたのです! |
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2010年 4月 清原 裕介 |
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