デジタルオーディオマスタークロックジェネレーターOCX

antelope audio ocx マスタークロックジェネレータ 音質 評価 比較 試聴

アンテロープ オーディオ ocx マスター クロック ジェネレータ 音質 評価 比較 試聴

Antelope Audio OCX

Infranoise ABS-7777 、 ABS-9999 、 CCG-525 、CRV-525

音質 比較 試聴 テスト

今まで私が音質向上に納得できた「マスタークロックジェネレーター」は、少数でした。また、音質改善が実現しても同じコスト(お金)をAC電源やインターコネクトケーブル、デジタルケーブル、インシュレーターなどに使う方が、より確実で効果の高い音質改善が得られることが多く、「コストパフォーマンスが良くない」それがこれまで逸品館がクロックジェネレータを積極的に取り扱わなかった最大の理由です。

そんな私を驚かせたその製品、それがAntelope Audio OCX Master Clockです。

価格も?効果から考えると想像できないほど安く、OCXのコストパフォーマンスは逸品館が自信を持ってお薦めしているAETの同価格帯ケーブルを超えるほどです。

しかし、今まで本格的に「マスタークロックジェネレーター」と取り組んだことがなく、様々な機器との相性やあるいは「外部リクロック機器」とOCXの組合せによる「ジッター低減」など、調べなければならない問題が山積している状態です。

そこで、これまで逸品館がお薦めしてきたデジタル音質改善装置Infra noiseの各機器とOCXを組み合わせたり、比較しながら、効果の高い使用法を探ることにしました。

またテストを通じて、一般的に理解が不明瞭と考えられる

デジタルオーディオにおける音質とクロックの関係について

私もその一人ですが、「理屈」でものを考えるタイプの人達は、「数字」や「難しい理論」で説得されると弱く、特にデジタルオーディオ(PCオーディオを含む)では、理論が先行するためか「高いスペック=音が良い」と短絡して考えられることが多いように感じます。

結論を先に述べるとデジタル領域でも「スペック=音質」という比例関係は成り立たたず、その点から考えても一般的なデジタルに関する情報は、音質との関係について正しくないと言えるのですが、特に「ジッターと音質の関係」についての情報はあまりに現実とかけ離れており、メーカーの説明や勉強不足の評論家、あるいはそれに乗っかるショップアドバイザーの言い分を鵜呑みにしていると、いつか痛い目に遭うと思います。

そこで今までの経験と実験から得られた知識を元に、私なりの「ジッターと音質の関係についての考え方」をご紹介したいと思います。あくまでも「モデル(イメージ)」ですから、"正しい"、"正しくない"を論議するより「音質改善の考え方の助け」として捉えて頂ければ嬉しく思います。

まず、上の3枚のギアが回転しているアニメーションをご覧下さい。

ギアの一枚一枚を「一つのデジタルデータ」に当てはめて考えましょう。仮に左のギアが「送り側」で右のギアが「受け側」だとします。データーを順次伝えるためには、規則正しくギアを回転させ、左のギアから中央のギア、そして右側のギアへと、歯車を正しくかみ合わせて回転させなければなりません。

もし、ギアがスムースに回転しなければ、歯車がぶつかり合って「ノイズ」が発生します。このギアを回転させたときに発生するノイズ(ギアノイズ)が「音質に有害なデジタルノイズ」です。デジタル機器の音質を向上させようとすれば、ギアが回転するときの「ノイズ」を減らせばよいわけです。これが「ジッターと音質の関係を説明するためのモデル」となります。

では、このモデルを使って「音質を改善する方法=ギアノイズを減らす方法」を考えましょう。

ギアノイズを減らすには、二つの方法が考えられます。一つは「回転を安定させること」です。もう一つは「ギアの噛み合わせ精度を向上させる」ことです。

OCXのような「マスタークロックジェネレーター」は、ギアを回しているモーターの回転を制御する「クロックの精度」を改善し、ギアを安定して回転させノイズを低減する働きを持つと考えてください。マスタークロックジェネレーターを使って、クロック精度を改善すればギアがスムースに回転し、噛み合わせで発生するギアノイズが減少し、音質が改善します。これが「クロック発信精度の向上による音質改善」のイメージです。

さらに左からギアの力で右のギアを「受動的」に回転させるのではなく、各々のギアにモーターを付け「すべてのギアを同期させて回転」させれば、ギアの回転がよりスムースになります。業務機などではよく行われている「各々の機器を一つのマスタクロックで同期させて動作させる」方法は、このイメージに合致します。マスタークロックを使って複数のデジタル機器を同期させると、一台の機器にマスタークロックジェネレーターを使うより効果的に音質を改善できることが分かります。

では次に「歯車の精度」を調整してのイズを減らす方法を考えましょう。

もう一度、3枚のギアが回転しているアニメーションをよくご覧下さい。ギアとギアの間には隙間があり、その噛み合わせの不整合が「ギアノイズ」を発生される原因になっていることが分かると思います。もし、この隙間を小さくできたり、ギヤの形状をノイズを発生しにくい形にできればどうでしょう?あるいは適切な潤滑油を使うのもよいはずです。このような対策を講じれば、回転精度を上げなくても「ギアノイズ」を大幅に減らせることが分かるはずです。

細かい説明は難しくなるので省きますが、ギアの形状は「クロック波形」、潤滑油は「クロック発信回路」に当てはまります。しかし一般的には、このような「クロック波形」に関しての説明はほとんど行われていません。なぜでしょう?雑誌やメーカーが行う技術解説は、明らかな「宣伝目的」です。そのため提供される情報は、メーカーに都合の良いもの(メーカーが説明しやすいもの)に限られるからです。そう言う解説を信じて音質改善に取り組んでも、結果は見えています。最近ではPCオーディオ系の製品にその傾向が強く見られます。もちろん、これはオーディオ全般に言えることなのですが、とにかく宣伝広告では「最も強く訴えられ、見えやすいものこそもっとも疑わしい」ことを自己防衛のためにも忘れないで下さい。

話がそれましたが、AIRBOWカスタマイズモデルでは発信回路を調整し、クロック波形立ち上がり時のオーバーシュートやリンギング発信を抑制しています。この方法ならクロック精度はそのままで、大幅な音質改善が実現します。「デジタルオーディオの音質改善」を考えるときは、このように「回転精度(クロック発信精度)」だけではなく「クロック波形」も合わせて考えれば、より早く正解に近づけると思います。

では最後に、この「歯車のモデル」をイメージしながら、マスタークロックジェネレーターについて再びさらに深く考えてみましょう。このページの最初に多くのマスタークロックジェネレーターの効果に疑問があると書きましたが、それはいくら精密な発信素子を使ったとしても「クロック波形」が乱れてしまえば、音質改善効果が期待できないからです。

マスタークロックジェネレーターから発信されたクロックは「デジタルケーブル」を使って「デジタル機器」に入力されます。クロック伝送時における歪み(接続ケーブルや端子による影響)にきちんと対処されていなければ、受け取り側で「クロック波形」に乱れが生じます。結果としてマスタークロックジェネレーターを使ったにもかかわらず、ギアの回転はスムースにならず音質が上手く改善されません。私は、今までそういう「解説書に書かれていない部分」までしっかり作り込まれたマスタークロックジェネレーターを見つけられませんでした。

しかし、OCXの音を聞いている(音質改善効果を聞いている)とこの機器なら信頼できると感じます。いわゆる「デジタルノイズ臭さ」をまったく感じないからです。OCXには、カタログに書かれない貴重なノウハウが詰まっているのでしょう。だから、絶対的には安くないその価格が、私には安く感じられたのです。

Antelope Audio ocx Master Clock

32kHZ-192kHz Master Clock Generater 解説はメーカーHPより抜粋

音質テスト使用機器


ISOCHRONE OCX 主な仕様

発信周波数

32kHz〜192kHz

クロック出力 BNC:8系統 、 S/PDIF:2系統 、 AES/EBU:2系統

クロック入力

別売りアトミッククロック入力(スルー端子付き):1系統

外形寸法

485 mm(W)×45 mm(H)×185 mm(D) ※突起部含む

重量

2.5 kg

メーカー標準価格

OPEN 逸品館販売価格 ¥148,000(税込)

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外観及び仕様


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ABS−9999

ABS−7777

CRV−555

デジタル入力 3系統(RCA・BNC・XLR)
96KHz/24Bit対応
デジタル出力 3系統(RCA・BNC・XLR)
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 5W
外形寸法 W430×H95×D275mm
質量 5.0kg
メーカー標準価格 ¥189,000(税別)
ワードクロック出力 BNC/5.0Vp-p/75Ω
出力周波数 44.1・88.2・176.4(KHz)
48・96・192(KHz)各2系統
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 5W
外形寸法 W430×H95×D275mm
質量 5.5kg
メーカー標準価格 ¥250,000(税別)
デジタル入力 2系統(RCA/BNC・XLR)
96KHz/24Bit対応
デジタル出力 2系統(RCA/BNC・XLR)
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 5W
外形寸法 W190×H56×D220mm
質量 950g
メーカー標準価格 ¥85,000(税別)

生産完了

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外観及び仕様


\360,000(税別) ご注文はこちら

CCG−525

DAC−1

AET Evidence AC 1.8m

クロック出力 2系統(BNC)44.1/48KHz
倍率×1/2/4
クロック入力 1系統(BNC)
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 4W
外形寸法 W190×H56×D220mm
質量 810g
メーカー標準価格 ¥85,000(税別)
デジタル入力 3系統(RCA・BNC・XLR)
96KHz/24Bit対応
アナログ出力 1系統(RCA)
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 6W
外形寸法 W190×H56×D220mm
質量 1.15kg
メーカー標準価格 ¥198,000(税別)


\330,000(税別)

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Allegro Power Cable

スピーカーには、試聴テストに最もよく使う Vienna Acousutics "T3G"を選びました。

T-3G Vienna Acoustics T3G \638,000(ペア)

試聴ディスク

 Ken's Bar 平井 堅 DFCL-1122 (このソフトのお求めはこちら

GETZ & GILBERTO / STAN GETZ , JOAO GILBERTO / SACD /UCGU-7006

スタン・ゲッツ & ジョアン・ジルベルト

今回のテストの目的は、次の3点です。

・OCXが他のクロックジェネレータに比べて優れているのか?
 また、他の音質改善方法に比べて優れてるのか?

・OCXを使えない機器にOCXを使う方法はあるのか?

・OCXを使うことができれば、音質は必ず飛躍的に改善するのか?

マスタークロックジェネレーター音質比較

デジタルプレーヤーには、AIRBOW UX1SE/LTDを選びました。

AIRBOWマルチプレーヤーUX1 Supreme emotion AIRBOW UX1SE/LTD \1,500,000

クロック入力には、AETのデジタルケーブルを使いました。

 AET UR DG75(生産完了モデル)

アンプは、Musical Fidelity A5.5を使いました。

 Musical Fidelity A5.5 \400,000

最初に次の2項目を検証しました。

・OCXが他のクロックジェネレータに比べて優れているのか?

・他の音質改善方法(電源ケーブルの交換)に比べて優れてるのか?

テストは上記の機器を使用し、UX1SE/LTDにOCXとこれまで逸品館でお薦めしてきたInfra noiseの製品を使ってクロックを入力し、音質の変化を比較して行いました。また、クロックを使わず電源ケーブルのみの変更で同様な音質改善効果が得られるか?も試してみました。

テストの結果は、何もしない"素”の状態を[10]として、それぞれの製品を使った効果を数字で表しています。比較のため簡単なグラフを作りました。

※電源ケーブルは比較のため、通電直後の音を聞いています。数時間、もしくは数日間使い続ければ更に音質が向上する可能性が非常に高く、今回のテスト結果は「最低限度」とお考え下さい。

 

トータル

空気感

立体感

解像度

音色

雰囲気

標準状態

10

10

10

10

10

10

OCX

20

20

20

20

20

20

↑透明感、立体感が大きく向上し、ステージを取り巻く空気の響きが体に伝わるようになる。

ABS7777

11

12

12

10

10

11

↑高音がクリアになり、立体感が向上するが、標準状態と大差は感じられない。

CCG-525

13

13

13

12

12

12

↑音輪郭がクッキリして音に芯がでる。透明感も向上するが、OCXのように空気感までは出ず、
  音が良くなったと感じるに留まる。

アレグロ

15

13

13

13

15

15

↑音にコクがでる。電源(エネルギー)が浄化され、ミネラル分が与えられた感じで有機的な
  音になる。

エビデンス

17

17

15

15

15

17

↑透明感が抜群に高く、見通しがよい。音も細かくなり、S/N感が大きく向上する。
  AETの文法通り、音質を追求しながらも高い情緒性も見事にバランスさせている。

テスト結果

素性の良いマスタークロックジェネレーターによる音質改善効果は確実に求められるが、中でもOCXの性能は際立っている。Infra noise同士の比較では、価格の安いCCG-525の音質がABS-7777を上回った。ただし、条件によって結果が異なる可能性は否定できない。

発信クロック周波数を上げれば上げるほど、解像度が向上するなど音質改善効果が向上した。ただし、装置の相性次第では、音質向上が直ちに音楽をより良くすることに繋がらないので注意が必要だ。

テストした2機種の電源ケーブルはOCXの効果には及ばなかったが、Infra noiseの2機種を確実に上回り、電源ケーブルの交換でも、デジタルプレーヤーの音質が確実に改善することが立証できた。

・OCXが他のクロックジェネレータに比べて優れているのか? "YES"

・他の音質改善方法(電源ケーブルの交換)に比べて優れてるのか? "YES"

デジタル信号リクロック装置 音質比較

デジタルプレーヤーには、AIRBOW UD8004/Specialを選びました。

AIRBOW UD8004/Special AIRBOW UD8004/Special \350,000

AVアンプには、AIRBOW AV/MM8003/Specialを選びました。

 AIRBOW AV8003/Special \350,000

 AIRBOW MM8003/Special \320,000

各機器の接続には、AIRBOW MSD-090Vを使いました。

 AIRBOW MSD-090V

クロック入力には、AETのデジタルケーブルを使いました。

 AET UR DG75(生産完了モデル)

次にOCXを使えない機器にOCXを使う方法はあるのか?について検証を行いました。

テストに使ったのは、Infra noise CRV-555です。この装置を使えば、デジタルプレーヤーから出力されたS/FDIFデジタル信号を高精度なクロックで「リクロック」することが出来ます。接続は簡単で、プレーヤーのデジタル出力をCRV-555に入力し、CRV-555からの出力をアンプに入力します。マスタークロックジェネレーターは、CRV-555に繋ぎます。(詳しくはこちら

この装置を使って、

1.UD8004/SpecialとAV8003/Specialを同軸デジタルで直接接続。

2.CRV-555+OCXを使い、UD8004/Specialからの信号をリクロックしてAV8003/Specialに入力。

3.ABS-9999を使って、UD8004/Specialからの信号をリクロックしてAV8003/Specialに入力。

4.UD8004/Specialからの信号をアナログでAV8003/Specialに入力。

5.UD8004/Specialからの信号をDAC-1でアナログに変換してAV8003/Specialに入力。

6.UD8004/Specialからの信号をCRV-555+OCXでリクロックし、DAC-1でアナログに変換して
   AV8003/Specialに入力。

の6通りの音質を比較しました。

テストの結果は、何もしない"素”の状態を[10]として、それぞれの製品を使った効果を数字で表しています。比較のため簡単なグラフを作りました。

※アナログ接続には、AIRBOW MSU X-Tensionを使っています。RCAケーブルの品質が変われば、得られる音質が変わりますのでご注意下さい。

  トータル 空気感 立体感 解像度 音色 雰囲気
[1] 標準 10 10 10 10 10 10
[2]CRV555 15 15 15 15 15 15

↑低音がしっかりして、立体感が向上する。高音の抜けも良くなるが、サシスセソが強くなる。

[3]ABS9999 15 14 16 13 16 17

↑低音に厚みが出て、音が柔らかくなる。雰囲気の良いアナログ的なサウンド。

[4]アナログ 16 15 15 15 17 18

↑ストレスのない自然な音。体に音が溶け込んでくる感じ。

[5]DAC-1 17 15 15 17 16 17

↑クリアな音。良い音で音楽を聞いている感じ。

[6]DAC-1+OCX 18.5 18.5 18.5 18.5 18.5 18.5

↑CRV-555+OCXの追加ですべてが少しずつ良くなるが、価格対効果は高くない。

テスト結果

CRV-555を使用したリクロックによる音質改善効果は確実に求められるが、OCXをダイレクトに使える機器ほどの大幅な改善効果は得られない。回路に直接聞働く「クロック入力」と、外部に回路を置かなければならない、リクロックとの差異はやはり小さくない。

ABS-9999の音質はCRV-555+OCXに匹敵する。S/PDIFにしか対応しないCRV-555+OCXとは違ってABS-9999なら、ドルビーデジタル、DTS信号もリクロックできるので、DVDとAVアンプとの接続にはCRV-555+OCXよりもABS-9999がお薦めだ。ただし、ABS-9999はすでに生産が完了し入手は難しい。

UD8004/SpecialとAV8003/Specialの組合せでは、デジタル信号をCRV-555+OCXでリクロックしてAV8003/specialにデジタル入力するよりも、相互をアナログ接続する方が音質が良い。CRV-555+OCXの価格で買えるRCAケーブルを奢ってやれば、音質はさらに向上する。

外部DACとしてInfra noise DAC-1を使えば、UD8004/SpecialとAV8003/Specialをアナログ接続するよりのさらに良い音質が得られるが、その差はあまり大きくない。また雰囲気の良さ、ストレスのない自然さでは、UD8004/Special+AV8003/Specialのアナログ接続がDAC-1を上回る。

DAC-1に入力するデジタル信号をCRV-555+OCXでリクロックすると音質は僅かに向上するが、価格対効果を考えるとこの組合せの場合良い方法とは思えない。同じコストを電源ケーブルやRCAケーブルに投資する方が、縒り有効な音質/画質改善が実現する。

最初のテストと、このテストの結果からOCXによる改善は、癖がなくすべての項目がバランス良く改善されることが確認できた。

・OCXを使えない機器にOCXを使う方法はあるのか? "条件付きでYES"

※機器の組合せ次第では、ケーブルの買い換えなどが方法として優れることがある。

OCX 相性比較

クロック入力には、AETのデジタルケーブルを使いました。

 AET UR DG75(生産完了モデル)

アンプは、Musical Fidelity A5.5を使いました。

 Musical Fidelity A5.5 \400,000

最後にOCXを使うことができれば、音質は必ず飛躍的に改善するのか?について検証を行いました。

テストには、OCXが使用可能なすべてのAIRBOW製品と、Esoteric X-01/D2、EMT 986を使用しました。オリジナルの状態を10とし音質改善幅を数字で現しています。DVDやSACDが再生可能な機器に関しては、すべての音質改善効果を検証しています。

AIRBOWマルチプレーヤーUX1 Supreme emotion AIRBOW UX1SE/LTD \1,500,000

結果はこちらをご覧下さい。

 AIRBOW DV60/Ultimate \580,000

・ 標準状態

AIRBOW UX1SE/LTDに比べ解像度が低く音がやや混濁するが、音質は暖かく雰囲気がある。

・ CD(176.4kHz):10→20

音像がビシッ!と引き締まり、S/N感が一気に向上する。混濁感が完全に消え解像度も驚くほど向上する。大げさではなく、CDがSACDになったと感じられるほどの驚くべき効果が聞き取れる。OCXの追加でDV60/Ultimateは素のAIRBOW UX1SE/LTDに匹敵するほど劇的に音質が向上した!

・SACD(176.4kHz):10→15

CDよりは変化が小さいが、あらゆる項目が確実に向上することがハッキリと聞き取れる。
OCXの追加で、悪くなるところは何もない。

・DVD/Audio(192kHz):10→11

CD/SACDの変化と比べると改善幅は小さく、効果をあまり感じられない。

・DVD/Video(48kHz):10→14

PCM信号:CDほどではないが、確実に音質は改善する。ドルビーデジタルやDTSでは、PCMよりも改善幅が小さくなるが、聞いてわかるくらい確実に音質は向上する。DVD/Video特にドルビーデジタルやDTSでのOCXの発信周波数は、最高の192kHzよりも、最も低い48kHzがマッチするように感じられた。

 AIRBOW X-05/Ultimate \580,000

・ 標準状態

DV60/Ultimateに比較して音の木目が細かく低音に重量感と厚みがある。音質レベルが非常に高いという印象。

・ CD(176.4kHz):10→18

もともと高い透明感がさらに大きく向上し、それまでは感じられなかった"空気感”までが如実に感じられるようになる。ボーカルや楽器のニュアンスの表現がものすごく!細やかになる。ボーカルの唇の動きが完全に見えるのは快感ですらある。音質最高!と思わず叫びたくなるほど素晴らしい音質に向上した。

・SACD(176.4kHz):10→13

OCXを使わなくてもSACDの音が良いので、相対的な改善幅は小さいように感じられる。しかし、SACDが完全にアナログマザーを聞いているような滑らかな音になる。このサウンドもやはり快感だ。

AIRBOW'CDプレーヤー'DV12S2/Specialシルバー AIRBOW SA10/Ultimate \430,000

・ 標準状態

音質はDV60/Ultimateに似て暖かく雰囲気のある音だが、X-05/Ultimateと比べると低音がやや緩く、全体的に音の芯が弱い感じがする。しかし、音色のクリア(音色が鮮やか)さとソフトの粗を不要に暴かないデリケートな表現力、濃密な空気感を伴う自然な音の広がりとナチュラルな雰囲気は、私が音楽的を聞く目的に最も叶う音質だ。今回試聴したソフトのボーカルのリップノイズは、UX1SE/LTDを除いてSA10/Ultimateが最も自然に感じられた。

・ CD(176.4kHz):10→20

OCXとSA10/Ultimateの相性は抜群だ!

X-05/UltimateではOCXを使うとCDがSACDに匹敵した。SA10/Ultimateはそれ以上で、CDがSACDを超えると感じられるほど、さらに大きく音質が向上する。

SA10/Ultimateが苦手としていた低音がビシッ!と引き締まり、高音の輪郭もしっかりしてアタックに芯が出る。もともと得意としていた音色はさらに鮮やかになり、立体感がより際立ってくる。

OCXの追加で何より変化したのが、ニュアンスの細やかさだ。SA10/Ultimateの持ち味であるデリケートなニュアンスの再現性が耳を疑うほど大きく向上し、もしかするとOCXを使わないUX1SE/LTDを上回るかも?とさえ感じさせるレベルに高まる。恐ろしいほどの音楽性が「ただのCD」から引き出された。脱帽!

・SACD(176.4kHz):10→18

SA10/UltimateのSACDの音は、OCXを使わないとX-05/Ultimateにやや聴き劣る。しかし、OCXを使った場合の音質改善幅はSA10/Ultimateがより大きく、結果としての音質はX-05/Ultimate+OCXにほとんど匹敵するようになる。SA10/UltimateにOCXを加えれば、SACDは完全にアナログの音になる。

ESOTERIC X-01D2 Super Audio CD/CD Player Esoteric X-01/D2 \1,400,000

・ 標準状態

EsotericをベースとするAIRBOW全カスタマイズモデルとの比較では、X-01/D2は輪郭に明らかな強調感があり音が前に出る。ある種の快感ではあるが、時としてそれが圧迫感に感じられることがある。また、その強調感が原因となり、前後方向の奥行きがやや浅く感じられてしまうことがある。

AIRBOW X-05/Ultimateとの比較では、「音の木目」はX-05/Ultimateの方が明らかに細やかに感じられる。しかし、低音の引き締まり感、音の余裕感などX-01/D2には高級機らしい良さが随所に感じられた。

・ CD(176.4kHz):10→15

AIRBOW製品よりもOCXの追加による音質改善は穏やかだが、それでも"普通ではない大幅な音質改善"が実現する。バックグラウンドノイズがほぼ完全に消え、透明な中に音が浮かび上がるようになる。

基本的なEsotericの特徴はそのまま残るが、輪郭の強調感、子音の荒れは緩和されて聞きやすい自然な音になる。

・SACD(176.4kHz):10→18

AIRBOW機器にOCXを使った場合、CDでSACDよりも大きい音質改善が実現した。しかし、X-01/D2ではCDよりもSACDの音質改善幅が大きい。ギターに触れるギタリストの爪の音まで聞こえる。解像度感は最高になった!

OCXの効果は、Esotericの最高級マスタークロックジェネレーター、G-0Rbを超えると感じるほどすごいのではないだろうか?少なくともOCXの価格からは信じられないほど、大きな音質向上が得られることに疑いはない。

 EMT 986 \750,000

・ 標準状態

EMTらしい音で雰囲気が濃くニュアンスが深い。思わず音楽に聴き惚れてしまうような、大人の説得力を持っている。良い音のCDプレーヤーだと思う。

・ CD(44.1kHz):10→15

低音が伸びて深くなる。ニュアンスはさらに細かくなるが、OCXを追加したAIRBOW SA10/Ultimateにはやや譲る感じがする。

出てくる聞いている音はSA10/Ultimateに44.1kHzのクロックを入力した音と非常に近い。もしEMT 986に176.4kHzのマスタークロック周波数が入力できれば、SA10/Ultimateと互角以上の勝負が出来たかもしれない。しかし、残念ながらEMT 986は44.1/48kHzのどちらかの周波数しか入力できない仕様だ。

それでも出てくる音は素晴らしく、OCXを繋がないときと比べると音の広がりが数段大きくなり、他の機器と同じようにリッチな空気感が感じられるようになる。

表現力はさらに増し、音の濃度もより向上する。EMT のプレーヤーとカートリッジでレコードを聞いているような濃密な音、スタジオでマスターテープを聴いているような深みのあるサウンドがOCXの効果で取り出せる。EMT 986でも一度繋いだOCXは、二度と外せなくなるのは間違いがない。

OCXを使うことができれば、音質は必ず飛躍的に改善するのか?  "YES!YES!YES!"

総合評価

デジタルオーディオにおいて"マスタークロックの精度向上"は、デジタルオーディオファンにとって魔法に匹敵するほど強力な音質改善方法として知られている。「ジッターの低減」も同じ意味を持つが、その「中身」についてしっかりとした知識と説明力を持っている技術者・評論家が非常に少ない。

正しいことを説く人が少ないため、一般的に考えられている「クロック」もしくは「ジッタ−」と音質の関連性は、迷信とすら呼びたくなるほど間違っていることが多い。また、デジタルでは理論ばかりが先行して理屈っぽくなりがちで、多くのマニアが頭でばかり考えて討論する傾向が強すぎるようにも思う。

今回テストして好結果を残した、Antelope Audio OCXは、その迷信を「正しく払拭する」能力を持っていると考えられる。何よりも「正しいマスタークロックジェネレーターの音は素晴らしい!」ということを、驚くほどの低価格で立証してくれた。また、マスタークロックジェネレーターの製品としての能力が「カタログ上の数字(ジッターの少なさ)」とあまり関係がないことを、その音質から直感的に理解させてくれる。

冒頭に書いたようにマスタークロックは、デジタルオーディオの音質に大きな影響を与えることは間違いがない。しかし、それには「精度」だけではなく「波形」が非常に重要な役割を持つこともおわかりいただけたと思う。そこで最初のギアノイズのモデルに今回のテスト結果を当てはめ、今回のテストで実現した音質改善についての説明を追記したいと思う。

まず、AIRBOW製品とOCXの相性が抜群に良かった点について解説する。AIRBOW製品は「ギアの形状」及び「ギアの潤滑油」を最適化することで「ギアノイズ」を減らしていると説明した。もともと回転してもノイズが小さいギアを持つAIRBOW製品に対し、ギアの回転をよりスムースにするOCXを追加したことで、ギアノイズがほぼ「ゼロ」になった状態、つまりデジタルオーディオにおける「理想」が現実となったのが「AIRBOW製品+OCXの音質」だと考えられる。理想のギアと理想のモーターを持つ、最高のデジタル伝送。オーディオにおける理想的な高音質がOCXと外部クロック入力端子を備えるAIRBOWデジタルプレーヤーとの組合せで現実となる。その音質は、聞かなければ決して信じられないほど、すごい。

次にInfra noiseのような「外付けでリクロックを行えるデジタルアクセサリー」の効果であるが、へたなリクロック機器を使うことを考えれば"デジタルの鬼才”と呼べるInfra noiseの製品は効果が高いと言える。しかし、外部に余計な機器を使うよりも、内部に直接働きかけられる「外部クロック入力端子」を使う方が、効果が高く価格も安くすむ。下手にごちゃごちゃ機器を揃えるくらいなら、いっそデジタルプレーヤーを「外部クロック入力端子」を持つ製品に買い換えた方が手っ取り早く、また根本的な音質改善が実現することに疑いはない。しかし、愛着のある機器から「さらなる良い音」を引き出したいと考えるなら、Infra noiseは、悪いチョイスではない。

Esoteric X-01/D2やEMT 986でOCXを検証した結果から、OCXはそれらの機器に対しても絶大なる音質改善効果を持っていると断言できる。たぶん、ほとんどの「外部クロック入力端子」を持つ機器に対して、大きい効果を発揮すると考えられる。OCXの改善効果で特徴的なのは「癖がない」、「改善がすべての項目で平均的」と言うことだ。この「無個性な改善」はアナログ系のアクセサリーでは、あまり見られない。

この効果を再び歯車のモデルに当てはめてみよう。OCXを使うことでギアの回転は滑らかになる。しかし、ギアが持つ回転時に固有のノイズの癖は変わらない。もし、デジタルプレーヤーが持つ「固有の音(個性)」がクロック発信回路のノイズに依存すると考えるとするならば、OCXは機器の個性をまったく損なうことなく、その良さを引き出せることになる。実際に聴いた印象も、この説明と完全に一致する。OCXは、「無個性」に「デジタルプレーヤーがもともと持っている性能」を存分に引き出してくれる。

しかし、これほど素晴らしいOCXも万能ではない。なぜなら、OCXの追加によって「音質が著しく改善」した結果、それまで見過ごしていた「システムの欠点」が露呈することがあるからだ。

例えば、3号館でのテストではUX1SE/LTD+OCX、Musical Fidelity A5.5、T3Gの組合せによる音質がずば抜けている。さらなる高音質化を狙ってセパレートアンプを投入したりすると、逆にA5.5よりも安心して音楽が聴けなくなることがあった。これはいけないと思って、いろいろなアンプとの組合せをテストしていて気がついたことがいくつかある。まず、AIRBOW PM15S2/Masterとの組合せでは「TONEコントロール」をパスすると、音が左右に散ってしまい音楽性が明らかに低下する。あえてTONEコントロールを通過させることで、左右の音が少し混じり(クロストークの発生)、中央付近の音像が濃くなって安心して音楽を聴けるようになった。

OCXはデジタルノイズの悪影響をほぼなくしてしまうため、音の立ち上がり(アタック)が驚くほど鮮明になる。アタックが鮮明になると「音の方向性や位置関係」が驚くほど明瞭になる。それが原因で「音がバラバラ」になってしまうことがある。そんな時はOCXの発信周波数を下げる(44.1/48kHzのどちらか)か、アンプやアクセサリーなどを調整して「わざと音を濁らせてやる(音を悪くする)」方が、より良い音で音楽を安心して聴けるようになることが少なくない。音質向上と音楽性の低下は、表裏一体であることを忘れてはならない。OCXを使うときには、全体的な音質バランスを崩さないように厳重な注意が必要である。

またOCXは、再生(演奏)するディスクの素性も露わにする。デジタル多重録音が繰り返されたディスク、多数のトラックをミキシングして作られたディスクは、OCXを使っても音質改善幅が小さく「それなりの音」でしか鳴らない。それらに比べアナログマスターから作られたCD/SACDの音質は、飛躍的に改善する。CDの出始めに「AAD」のディスクの音が良いと評判になったことがあるが、OCXでそれが再び実感できる。古いJAZZやクラシックをOCXを使ったデジタルプレーヤーで演奏すると、名演奏がその素晴らしい素顔を存分に見せてくれる。その音を聞くだけでも、OCXの価値は実感できるだろう。

最後に付け加えたいのだが、デジタルオーディオの音質改善は、なにも「デジタル領域」だけで実現するのではない。電源ケーブルを変えるだけでも、下手なマスタークロックジェネレーターやリクロック機器を使うよりも効果的な音質改善が実現する。デジタルケーブル然り。「頭で理解できない」、「理論で説明できない」からといって、アナログ的「ローテク」なアポローチを侮ってはいけない。信じられないほど高額なケーブル(ただし、あくまでも常識の範囲内で)の存在がそれを肯定する。今回のテストでは、話がOCXの良さに集中してしまったが、それはすでに3号館では「それ以外の改善方法」がほとんど行われているため、OCXの良さが最適に引き出された結果と言える。

一般的なオーディオファンの自宅では、電源、信号、インシュレータ。ボード、セッティングなど、まだまだ実施できる音質改善方法は山積している。もしOCXにそれらよりも優れたところがあるとするなら「比較的使い方が易しい」ことに尽きると思う。OCXは、置き場所と接続ケーブルに気を使ってやるだけで機嫌よく、ほぼ最良の音を出してくれる。接続さえできてしまえば、機械に疎い音楽ファンには喜ばしいことだと思う。

余談になるが、オーディオは結局「理論」ではなく「結果論」でしか語れないと思う。そして、それは時代を経てもきっと変わることがないだろうし、変わって欲しくもない。もし未来に、理論でオーディオが解明できる時が来れば、オーディオという趣味はなくなってしまうだろう。謎は謎のままで解明しない方が、時により大きな幸せを授受できることを忘れてはならない。

2010年 4月 清原 裕介

 

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